弱者だった少年が英雄になるまでの物語。

白達磨

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少年が英雄譚を歩み始めるまでの物語。

ステータスと加護

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 女神アティナンが言った限りでは神サガーは力のある神だと伺える。しかし——、

「そんな凄い神様に加護を与えて貰って何で僕は……」

 その先は、続けなくとも理解出来る。

「いや、ワータイガーのボス級と単身でやり合ったんだから弱くはないだろ」

「へー、ヒロは強いんだね」

 女神アティナンは、感心したように言った。ヒロは、力強く首を横に振った。

「とんでもない。未だGランクですよ。ワータイガーの件は加護が暴発しただけだろうし」

 ヒロは、包帯が巻かれた自分の右手に視線を落とした。

 あの戦いは、偶然の産物だとヒロ自身が痛い程自覚していた。

 確かに憧れの英雄に近づけた。しかし、ある意味では遠のいたのだ。

「よし、このままステータス更新しよう」

 女神アティナンは、何かを察したらしい。

 彼女は、手近にあった羊皮紙を手に取る。

「————」

 また、歌う様に何かを唱えた。

 すると、ヒロの右手の甲の刻印からワラワラと神々の文字が溢れ出てくると羊皮紙に吸い込まれていく。

 瞬く間にヒロのステータスが羊皮紙の上に出現した。

「……すごい」

 ヒロは、自然とそう口にしていた。

 コギーは、そんな彼を見てニッと笑った。

 普通、ステータス更新は、この様に神々が行うのだが、彼の様に神が傍にいない者は、ギルドに置かれている魔道具で行うのだ。

「どれどれー、え……すごい……」

 女神アティナンは、羊皮紙を手に取り、わかりやすく二度見した。

「あの……見せてください」

 何が凄いのかわからないヒロは、呟く様に言った。

「ああ、ごめんね。はい」

 女神アティナンは、思い出したかの様に言うと、羊皮紙を軽く撫でてからヒロに手渡した。

 ヒロは、それを受け取ると視線を落とした。

 コギーも横から覗き込む。

 体力:53→70

 筋力:57→76

 俊敏:60→87

 器用:54→63

 魔力:1→1

 合計:225→297

 加護を受け取ったばかりの者のステータスの合計値はだいたい200から250だ。

「成長値50越え?!」

「おいおい、マジかよ……やったなヒロ!」

 ヒロは、信じられずに何度も目を擦った。その度にこれが夢ではないと理解した。

 コギーは、自分のことの様に喜んだ。

「一応聞いておくけど……前にステータス更新したのっていつ?」

 女神アティナンは、頭痛を堪える様にこめかみを押さえて聞いた。

「確か……」

「4日前です」

 ヒロが答えるよりも先にコギーが答えた。

 余程のアクシデントがない限り、ステータスの成長値は、1日に5を超えるか超えないかくらいだ。

 また、GランクからFランクにランクアップする条件は、ステータスの合計値が300を突破することだ。

 Eランクにランクアップする条件は、合計値が400を突破すること。合計値100刻みでランクアップできるのだ。

 これがどれだけ異常な状態か理解することは容易いだろう。

「それに加護も1つ発現しているよ」

 女神アティナンがそう言った。それに釣られてヒロは、視線を落とした。

「『降りかかる試練』?」

「効果は?」

「えっと……対峙した敵の……強化?!」

 加護は、持つ者に恩恵を与えるはずなのだが、ヒロの加護は、不利益しかない。

「なんて加護だよ……」

 コギーは、ソファーに思いっきり体重を掛けた。

 ヒロの中で1つ嫌な予測が立った。

 ガルドが言っていたワータイガーの急成長について。

 ——まさか……

 もしかすると、通常個体のワータイガーは、この加護のせいでボス級までに成長いや、強化されたのではないか。

 そうなれば、酷い自作自演だ。

「そう言えば、加護のことを聞きに来たんだったね。暴発したとか言ってたけど?」

 女神アティナンはコホンと咳払いすると調子を戻して言った。

「はい、ボス級のワータイガーを一撃で瀕死にしました。でも、腕がボロボロになって……どうしたら加護が発現するかアティナン様なら知ってるのではないでしょうか?」

 女神アティナンは、難しそうに唸る。

 加護が発現せずに暴発したなんて話自体が稀なため仕方のないことだ。

「その時に何か変わったことはあった?例えば、行動や心境の変化とか」

 ヒロは、そう言えばと何かを思い出した。そして、口を開く。

「普段は逃げたり隠れたりする筈なのに戦おうとしました」

「それだ!それだよきっと」

 女神アティナンは、バッと前に乗り出した。

 その美しい顔が突然近づいてきたためヒロは、慌てて距離を取った。

「サガーのことだから加護の発現に何か条件をつけている筈よ。恐らく心情ね」

「なるほど……流石アティナン様です!」

 ここぞとばかりにコギーは、女神アティナンを褒めた。


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