弱者だった少年が英雄になるまでの物語。

白達磨

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少年が英雄譚を歩み始めるまでの物語。

デートしませんか

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 ガルド達がゲートを潜り、邪界でオーガ達と遭遇したのはこちら側の世界で日が暮れてのことだった。

「いつもの席にガルドさん達がいませんね……」

 ヒロはまだ痛みの残る右手を使い英雄の食卓で食事を取っていた。

「【龍姫】のカンパニーに緊急任務が下ったらしいですよ」

 ヒロの隣ではミアが皿いっぱいのパスタを頬張っていた。そして、口の中のものを飲み込みそう言った。

「緊急任務……何も起こらないといいのですが」

 ヒロは自然そう呟いていた。

 彼は気を取り直し、ミアの方を向く。

 突然、彼に凝視され彼女は硬直した。

「あの、ミアさん!」

「は、はい!何でしょう?!」

 2人共声が裏返った。

 ヒロはコホンと咳払いをする。

「僕、明日ガルドさんに言われた通り装備を買いに行こうと思うんです」

「は、はい。いってらしゃい?」

「それで、その……」

 ヒロはそこで口ごもった。

 店内の者達皆がヒロを心の中で応援する。

 今まですすかぶりと馬鹿にされてきたのが嘘のようだ。

「あの!明日デートしませんか?」

 ヒロは意を決してそう言った。

 店内の者達皆が盛大にガッツポーズをする。

「え、えと、嬉しいんですけど……明日もお仕事が……」

 ミアは控えめにそう言った。

 ヒロはあからさまにしょんぼりする。

「あの、また次の機会に……」

 その時だった。カウンターで皿を吹いていたネネがわざとらしく声を上げる。

「そう言えばミアに明日定休日だって言ってなかったわー」

「ええ?!そうなの、ママ?」

「ええ、そうよ。ねえ?」

 ネネが傍にいた冒険者に問うとその冒険者は勢いよく首を縦に振った。

 そこでドスンドスンという音が店内を木霊した。

「ミア、明日坊主と楽しんできなさい」

 厨房へと続く入口からかがみながらコクスが出てきた。

「ありがとう、パパ」とネネが小さく耳打ちした。それに対し彼はうんと頷いた。

 コクスとネネはミアのことを幼い頃から知っており、我が子のように可愛がっている。

「それじゃあ、しましょう、デート」

 ヒロはミアがそう言うと同時に大きくガッツポーズした。そして誰もいなくなった、直ぐに恥ずかしそうに顔を逸らした。

「じゃあ、明日の朝、お家まで迎えに行きますね」

「はい、お願いします」

 明日のデート、行き先はギルド本部だ。

 ギルド本部は多くのカンパニーが出店しており飲食店も充実している。

 若い2人にとっても十分な場所だ。

「ねえ、ママ」

 ハピがネネにそっと耳打ちした。ネネは何かしらとそちらに耳を傾ける。

「明日休みにするならデートに着いていかない?」

「いいわね、それ」

「私も行くのです」

「俺も俺も」

 いつの間にかクローとエルも傍に来ており、ハピの提案に乗る。

 コクスは少し悪い顔をしている4人を見て困った顔を浮かべたのだった。

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