婚約者は元アイドル〜まったり過ごすつもりが波瀾万丈⁈〜

こと葉揺

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「かわいい!これ見て!」


 この前聞いたことは一旦置いておき、今日は目一杯楽しんで思い出を作ることにした。今日は最高の1日にしてこの思い出を胸に生きていく。そう決めた。
 トレーニングウェアがレンタルできるとのことで借りるウェアを選んでいた。

「…ツヅリって案外可愛らしいの好きやんな」

 黄色に色んな動物の顔が散りばめられているデザインを選んだ。モモトセの言葉は何となく馬鹿にしている気がしてムッとなってしまった。

「オシャレなモモトセにはわからないかもしれないけど、これはこれでいいんです!」

「ごめんて!別にツヅリがきてもかわええけど…。ほらこういうのは?」

 割とシンプル目なデザインのものを選ばれてしまった。モモトセと一緒にいて目立つわけにもいかないし、言われる通りにその服を選ぶことにした。

「あはははっ!!ツヅリの顔!凄いことになっとる」

 VRスカイダイビングをしたが、正直記憶が飛んでいる。その時の顔を見られて爆笑されていた。

「モモトセはずるい!それだけ重装備ならどんな顔してるかわかんないじゃん」

 モモトセは肌が光に弱いためほとんど肌と顔を隠したトレーニングウェアを着ていた。

「ええやろ~でも俺はめっちゃええ笑顔で飛んでるから見せれんで惜しいことしたわ~」 

 モモトセが年相応の子のようにはしゃいでいてすごく嬉しかった。見たかった一面だったしもっと好きになった。

 次はVRPGというものを楽しんだ。自分が勇者や魔法使いになりダンジョンを楽しむゲームだ。画面越しではなく自分がそこに入って楽しむのだ。
 モモトセは格闘家で私は僧侶で行ってみたが、モモトセは戦闘力が高く身軽に動いていた。運動能力は少し乗算されてはいるが、元の運動神経もゲーム内の能力に影響するらしく中盤あたりまではモモトセ1人でサクサク進んでいっていた。
 私も呪文を唱えたり、回復魔法を唱えたりしてみるが、戦いながら文字を読むのが難しく、最初はひたすら呪文を暗記していた。
 慣れてきた頃にめちゃくちゃ強いボスに勝てず6割のクリアだった。

「あー惜しかった!再チャレンジしたいね」

「ツヅリもなかなかええ線いってたな~さすが勉強得意なだけあるわ。俺は体を動かす方が向いてるわ」

 他にもアスレチックゾーンもあったが、そこはたくさんの人が一緒に楽しむところだったので今回は控えておいた。

 軽くシャワーを浴び着替えてウィンドウショッピングを楽しむことにした。







「なんか見たことないものがたくさんある…」

 初めてみるものに目を光らせているとモモトセは不思議なものを見るような眼差しで私を見てきた。

「……ツヅリはどうやって生きてきたん?」

「ん?」

「失礼しました。ロストテクノロジー好きのツヅリは最新のものはあまり興味ない?ほらこれなんて、自分の好きなメイク道具セットしたらメイクを全部してくれるやつやし、これなんて脱毛脱色できるやつやし、これなんて廊下の掃き掃除拭き掃除ワックスがけをしてくれてかつAI搭載やから考えてムラなくしてくれるやつやし」

 色々な商品のプレゼンを受けて目が回ってきた。

「そうだよね。なぜ“ロスト“になったのかを知るために最新テクノロジー研究をすることにする」

 少し色々なブースを回ってみたら本を読み上げてくれるぬいぐるみや、今日のコーデを決めてくれるクローゼット、1日のカロリー計算をしてメニューを決めるだけでなく、材料をセットすると自動調理で出てくるキッチンなど目から鱗だった。
 しかしこれらの技術を使用するには芸能区、学問区、政治区に住む人にかぎるらしかった。電力供給が地区ごとによって違うので居住区は電力供給量が低いためこの便利グッズは使えないらしい。

「ますます学問区に行かなければ…全てを使いこなさなければ真の研究者ではないのだ…」

「あははっツヅリはなんでそんな研究目線なん?ほら、なんか欲しいもんとかある?もし良かったらお揃いとかで買おうっ」

 モモトセはとにかく私とお揃いでものを欲しがった。アイドル時代のお金と今のモデルのお金が有り余っているらしく全て払ってくれている。買ったものは部屋着、靴下、ピアスとイヤリング等だった。モモトセは目に見えて恋人っぽいものが好きだそうだ。

「ふふっ、楽しいなぁ~買い物ってアンリ先輩に付き合うくらいしか行ったことなかったけど、ツヅリとなら100倍楽しいわぁ」

 やはりサングラスとマスク、帽子の3種の神器に守られて顔は見えなかったが楽しそうな雰囲気は伝わってきた。それだけで私も嬉しくなった。

「お、もうこんな時間やね。そろそろホテルにチェックインしにいこ。ツヅリが入りたかった一瞬で洗えるお風呂もあるかもしれへんな」

 たくさん荷物を持ってくれているのに自然と手を繋いでくれた。私は手から感じるモモトセの感覚にドキドキしていた。







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