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しおりを挟むあの後モモトセが帰ってきた。私も交代で外に行ってるねと言うがモモトセは見られても別に大丈夫と言って平気そうにお風呂に入りに行った。
…自分が見られる分にはいいのだなと毎回思う。モモトセも浴衣に着替えて2人で久しぶりにトランプをして遊んだ。
夜も更けてきて明日は貸し切った室内プールで遊ぶ予定なので早めに寝ることにした。久しぶりのベットでの就寝だった。ツインルームなので離れて寝ているのだが、私はなんだか物足りなくて目が冴えていた。
「ね、モモトセ」
「うん?なに」
「手を繋いで寝たい」
「ん?別にええけど腕辛ない?ちょっと遠いし」
手を伸ばせば届くが宙ぶらりんになるところが出てきてたしかに辛いかもしれない。
「じゃあ少し話をしてもいい?」
「ええよ、何話する?」
モモトセは起きてきて私の寝ているベットの近くに座って手を握ってくれた。自分の右手がモモトセの両手に包まれて安心した。
「モモトセの言ってるおつきあいにおける順序ってどういうこと?今はどこまでしていいの?」
モモトセは少し息を呑んだが優しい笑顔を作り答えてくれた。
「付き合うのが初めてやから、とりあえず調べたりアンリ先輩に相談したりして、付き合ってこれくらいの時期に手を繋いだりとかそういうのを俺なりに考えてんねんけど…」
モモトセは掴んでいる私の手を自分の口元に持ってきて手の甲に口付けてきた。
「今はキス…くらいまでしてもええんちゃうかなって思ってるねんけど、ツヅリはどう?」
ドキンッと胸が高鳴る音がした。モモトセのこの熱を帯びた目で捉えられると全てをさらけ出したくなる。あの公園でキスした日に見たこの瞳。この瞳で見つめられるともう抗えなかった。
「キスしたい。この前の続きして」
モモトセは優しくちゅっと口を合わせてきた。何度もちゅっちゅと時には角度を変えて戯れ合うようにキスをした。
「すき、ツヅリ、すき…すき」
キスの合間に愛の言葉を呟かれて胸が苦しかった。
「わ、たしもっ…す…き…」
私も好きで好きで堪らなくてそれを言葉にすると口の中にぬるっとしたものが入ってきた。クチュと音がして思わずクラクラした。
「あっ…」
モモトセの舌が私の口内を動き回っている。下唇を軽く噛まれた後チロリと舐めとられてゾクゾクした。モモトセは上半身をグッと押し付けてきた。ピッタリとくっつき、モモトセの重みも愛おしい。
しばらくお互いの唇や口内を楽しんだ後2人の舌先から名残惜しいかのようにツーッと糸を引いていた。その光景が扇情的で堪らなかった。
「こんなにキスしたのに、まだしたい。ツヅリの中に入れて嬉しい」
そう言いながら首筋にちゅっと音を立てながらキスを落としていった。
「浴衣のツヅリをもうちょっと見てみたいなぁ…」
つまり布団を剥いでいいか聞いてきている。モモトセは私がこのようにお願いされては断れないことを知っているようだ。
「……どうぞ」
自分から布団を捲るのもどうかと思ったが、かと言って捲ってもらうのも仕方なしに許可しました感が恥ずかしかったので思い切って捲った。
「…はぁ。ええなぁ和服。黒髪のツヅリによく似合うわぁ」
モモトセはうっとりと上から下まで眺めていた。すると髪を一房掴みサラサラと手ですいたと思ったらそこにもキスをした。
「ツヅリの髪は少し癖毛で柔らかい猫っ毛さんやねんなぁ、ずっと触ってみたかったんよ」
優しく手櫛されると気持ちよくて眠たくなってきた。少し姿勢を変えようと体を捩ると足元の浴衣が肌けた。その際に右太ももの噛み跡が見えてしまった。モモトセはそこを凝視していたので慌てて隠してしまった。
「あ、ごめん。別に見るつもりはなかったんやけど…」
「…あの、こんなの見て軽蔑しない?」
「そんなこと絶対せん!たとえツヅリがぐちゃぐちゃになっても絶対に愛せる自信がある!」
そこまで断言されると少し拍子抜けしてしまった。と、言うか極端すぎる。この際だから曝け出してみようか。私は起き上がりベットに腰をかけた。モモトセもそこから立ち上がり横に座った。
「あの、この跡ね…」
事の経緯をモモトセに話した。アースィムと私の間であった事のみ話して、アースィムが辛い目にあったことは伏せた。モモトセは途中に何回か不快そうな顔をして「アイツは絶対殺す」と言っていたが最後には私を労るように抱きしめてくれた。
「辛かったよな。友達やのにこんなあとつけられて…」
そうだ、と思い出したかのようにモモトセは自分の荷物の中の何かを探し始めた。そうして出てきたのは高級そうなクリームだった。
「これ、アンリ先輩のブランドのボディクリームなんやけど、シミとかを薄くしてくれる効果のあるもんやねん」
どうやらモモトセは日に当たってシミになったところのケアのために買っていたものらしい。蓋をあけるとバラのいい香りがした。
「じゃあ俺が塗ってあげるからちょっと足開いて?」
「えっ⁇‼︎⁇‼︎!」
私は動揺していたが後ろから抱きしめられ、強い力で体を固定された。モモトセの右手で優しく足を開かされ、その手つきが内腿から膝までスッと動き、なんとなくいやらしく動いていて恥ずかしかった。
「モモトセッ…ちょっと下着が見えちゃう…」
「そんな恥ずかしがらんでも…。やってこれはツヅリのためにやってる事やで?なにもいやらしい事なんてしてないやん」
耳元でそうやって囁かれると力が抜けてしまった。捕まえられているのも支配されているようで少し心地よかった。モモトセはクリームを少しすくい器用に人差し指で噛み跡をなぞった。その指がくすぐったいような気持ちいいような何とも言えない感触だった。
「はい、これからは俺が毎日塗ってあげる。それと…」
浴衣の肩の部分を大きく肌けさせたかと思うと肩甲骨のあたりにモモトセの唇が吸い付いた。
「アースィム君があと付けてもええって事は恋人の俺はもぉっとたくさんつけてもええってことやんな?ツヅリ、かくごしといてな♡」
モモトセの目が妖しく光りモモトセが満足するまで背中中にキスマークをつけられたのだった。
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