婚約者は元アイドル〜まったり過ごすつもりが波瀾万丈⁈〜

こと葉揺

文字の大きさ
23 / 44

22.

しおりを挟む

 
 あの後モモトセが帰ってきた。私も交代で外に行ってるねと言うがモモトセは見られても別に大丈夫と言って平気そうにお風呂に入りに行った。
 …自分が見られる分にはいいのだなと毎回思う。モモトセも浴衣に着替えて2人で久しぶりにトランプをして遊んだ。
 
 夜も更けてきて明日は貸し切った室内プールで遊ぶ予定なので早めに寝ることにした。久しぶりのベットでの就寝だった。ツインルームなので離れて寝ているのだが、私はなんだか物足りなくて目が冴えていた。

「ね、モモトセ」

「うん?なに」

「手を繋いで寝たい」

「ん?別にええけど腕辛ない?ちょっと遠いし」

 手を伸ばせば届くが宙ぶらりんになるところが出てきてたしかに辛いかもしれない。

「じゃあ少し話をしてもいい?」

「ええよ、何話する?」

 モモトセは起きてきて私の寝ているベットの近くに座って手を握ってくれた。自分の右手がモモトセの両手に包まれて安心した。

「モモトセの言ってるおつきあいにおける順序ってどういうこと?今はどこまでしていいの?」

 モモトセは少し息を呑んだが優しい笑顔を作り答えてくれた。

「付き合うのが初めてやから、とりあえず調べたりアンリ先輩に相談したりして、付き合ってこれくらいの時期に手を繋いだりとかそういうのを俺なりに考えてんねんけど…」

 モモトセは掴んでいる私の手を自分の口元に持ってきて手の甲に口付けてきた。

「今はキス…くらいまでしてもええんちゃうかなって思ってるねんけど、ツヅリはどう?」

 ドキンッと胸が高鳴る音がした。モモトセのこの熱を帯びた目で捉えられると全てをさらけ出したくなる。あの公園でキスした日に見たこの瞳。この瞳で見つめられるともう抗えなかった。

「キスしたい。この前の続きして」

 モモトセは優しくちゅっと口を合わせてきた。何度もちゅっちゅと時には角度を変えて戯れ合うようにキスをした。

「すき、ツヅリ、すき…すき」

 キスの合間に愛の言葉を呟かれて胸が苦しかった。

「わ、たしもっ…す…き…」

 私も好きで好きで堪らなくてそれを言葉にすると口の中にぬるっとしたものが入ってきた。クチュと音がして思わずクラクラした。


「あっ…」

 モモトセの舌が私の口内を動き回っている。下唇を軽く噛まれた後チロリと舐めとられてゾクゾクした。モモトセは上半身をグッと押し付けてきた。ピッタリとくっつき、モモトセの重みも愛おしい。
 しばらくお互いの唇や口内を楽しんだ後2人の舌先から名残惜しいかのようにツーッと糸を引いていた。その光景が扇情的で堪らなかった。

「こんなにキスしたのに、まだしたい。ツヅリの中に入れて嬉しい」

 そう言いながら首筋にちゅっと音を立てながらキスを落としていった。

「浴衣のツヅリをもうちょっと見てみたいなぁ…」

 つまり布団を剥いでいいか聞いてきている。モモトセは私がこのようにお願いされては断れないことを知っているようだ。

「……どうぞ」

 自分から布団を捲るのもどうかと思ったが、かと言って捲ってもらうのも仕方なしに許可しました感が恥ずかしかったので思い切って捲った。

「…はぁ。ええなぁ和服。黒髪のツヅリによく似合うわぁ」

 モモトセはうっとりと上から下まで眺めていた。すると髪を一房掴みサラサラと手ですいたと思ったらそこにもキスをした。

「ツヅリの髪は少し癖毛で柔らかい猫っ毛さんやねんなぁ、ずっと触ってみたかったんよ」

 優しく手櫛されると気持ちよくて眠たくなってきた。少し姿勢を変えようと体を捩ると足元の浴衣が肌けた。その際に右太ももの噛み跡が見えてしまった。モモトセはそこを凝視していたので慌てて隠してしまった。

「あ、ごめん。別に見るつもりはなかったんやけど…」

「…あの、こんなの見て軽蔑しない?」

「そんなこと絶対せん!たとえツヅリがぐちゃぐちゃになっても絶対に愛せる自信がある!」

 そこまで断言されると少し拍子抜けしてしまった。と、言うか極端すぎる。この際だから曝け出してみようか。私は起き上がりベットに腰をかけた。モモトセもそこから立ち上がり横に座った。

「あの、この跡ね…」

 事の経緯をモモトセに話した。アースィムと私の間であった事のみ話して、アースィムが辛い目にあったことは伏せた。モモトセは途中に何回か不快そうな顔をして「アイツは絶対殺す」と言っていたが最後には私を労るように抱きしめてくれた。

「辛かったよな。友達やのにこんなあとつけられて…」

 そうだ、と思い出したかのようにモモトセは自分の荷物の中の何かを探し始めた。そうして出てきたのは高級そうなクリームだった。

「これ、アンリ先輩のブランドのボディクリームなんやけど、シミとかを薄くしてくれる効果のあるもんやねん」

 どうやらモモトセは日に当たってシミになったところのケアのために買っていたものらしい。蓋をあけるとバラのいい香りがした。

「じゃあ俺が塗ってあげるからちょっと足開いて?」

「えっ⁇‼︎⁇‼︎!」

 私は動揺していたが後ろから抱きしめられ、強い力で体を固定された。モモトセの右手で優しく足を開かされ、その手つきが内腿から膝までスッと動き、なんとなくいやらしく動いていて恥ずかしかった。

「モモトセッ…ちょっと下着が見えちゃう…」

「そんな恥ずかしがらんでも…。やってこれはツヅリのためにやってる事やで?なにもいやらしい事なんてしてないやん」

 耳元でそうやって囁かれると力が抜けてしまった。捕まえられているのも支配されているようで少し心地よかった。モモトセはクリームを少しすくい器用に人差し指で噛み跡をなぞった。その指がくすぐったいような気持ちいいような何とも言えない感触だった。

「はい、これからは俺が毎日塗ってあげる。それと…」

 浴衣の肩の部分を大きく肌けさせたかと思うと肩甲骨のあたりにモモトセの唇が吸い付いた。

「アースィム君があと付けてもええって事は恋人の俺はもぉっとたくさんつけてもええってことやんな?ツヅリ、かくごしといてな♡」

 モモトセの目が妖しく光りモモトセが満足するまで背中中にキスマークをつけられたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました

せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~ 救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。 どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。 乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。 受け取ろうとすると邪魔だと言われる。 そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。 医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。 最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇ 作品はフィクションです。 本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...