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しおりを挟む「モモトセ、大変。もう来てる」
私はアースィムから来たメッセージをモモトセに見せた。
ハッカイさんは自分の準備が整ったのかツムギさんとカタリさんを殺そうとしているのだ。しかもこの島に来ているということは私たちもともに始末しようとしているということだ。
「おとうさん…おかあさん」
気づくと涙が溢れていた。何とも言えなかった。客観的な自分が泣くことを責めてくる。しかしこれはもうどうしようもなかった。
「ツヅリ、大丈夫。絶対俺が守ったる」
モモトセは力強く私を抱きしめて担いでしまった。いつもの重装備をしてコテージから出た。
「今はアンドロイドどのあたりにおる?」
「もうすぐこの島に着く」
アンドロイドの電波に干渉できるくらいの距離になってきた。
「そうやな。とりあえず1回信号送ってみて」
ボタンを押すとどうやら成功したようだった。アンドロイドの動きが止まった。遠くにアンドロイド数体と抱えられているツムギさんが見えた。
「ツムギさん!!!!」
ツムギさんはハッとこちらに視線を向けた。
「こちらに来るな!ここはもう…もう」
気づいたら私たちの後ろにカタリさんがいた。いつ此処に来たのかわからず驚きを隠せなかった。
「ヤッホーツヅリちゃん」
さっきまで泳いでいたのかびしょ濡れだった。
「約束の日にはまだ早いけど、なんか事が凄い進んじゃってるね?」
思わずモモトセは私を背に庇ったがカタリさんはニコニコ笑いながら手を挙げた。
「殺さない殺さない。今はまずめんどくさいハッカイを殺してから私がやりたいことするんだもん」
船が船着場に近づくとカタリさんは跳躍しアンドロイドを次々に壊していった。後ろに立っていたハッカイさんは嘲笑を浮かべていた。
「ツムギさん、お願いしますわ」
「カタリ、こっちに来なさい」
「ツムギ~♡会いたかった」
カタリさんは完全に恋する乙女の顔をしてツムギさんに擦り寄って行った。ツムギさんはアンドロイドから下ろされて2人で向き合っていた。
「カタリ、自分のしたことは分かっているのか」
「どれの話をしているのかはわかんないけど、私は最初から最後まで目的は1つだよ?」
「…ナナミは殺したのか」
「ナナミ?さぁ、確かになんかムカつくこと言われたから首絞めた気がするけど、死んだの?」
その言葉を聞いてハッカイさんは嫌悪感を露わにしていた。私もツムギさんも顔が青くなった。彼女は反省などしていないのだ。
「…じゃあなんで学長を操っていた」
「それは前にツムギが言ったじゃない。世界に2人きりになったらセックスしてあげるって」
「そんなことで…」
「そんなことじゃないもん!アタシにとっては1番大切なことだもん」
すると銃声が聞こえた。どうやらハッカイさんがカタリさんに向かって打ったみたいだ。カタリさんの肩に銃弾がめり込んでいて血が噴き出ていたが、そこに指を突っ込み銃弾取り出すと傷はみるみるうちに治った。
「ホンマにお前は化け物やな」
「ハッカイうるさい、静かにして」
カタリさんはハッカイさんにチャームを使用したが効いていなかった。
「…ツムギが手を貸したの?なんで?ナナミの弟だから?」
カタリさんはツムギさんの肩をつかんでなんでなんでと繰り返していた。
「そうだ。ツムギ、ここでセックスしてくれたら、人を殺すのやめる。あ、でもツムギはナナミに いけないんだよね?じゃあモモトセくんを代わりにして しよ?」
モモトセが口元に手を当てた吐き気を催していた。私も自分の母親が何を言っているのか全くわからなかった。
「だってこの前アタシとツムギがした時ナナミの を すぐに もんなぁ~。それも悔しい!けどすき♡」
「ホンマに気色悪い女やな」
ハッカイさんはどうしようもないのか一定の距離を空けてただ悔しそうにカタリさんを見つめるのみだった。
「あははは!童貞で子どもたくさん作ってるハッカイのがキモいから~」
聞くに耐えれなかった。思わずカタリさんの口を塞いでしまった。
「これ以上はやめてください…」
モモトセが慌てて私を止めに来た。しかしカタリさんは素知らぬ顔をしてツムギさんに向き合った。
「やっぱりほしいな」
ツムギさんはモモトセの方に視線を向けていた。今までとは違う恍惚な表情で見つめていた。
「モモトセ君ってツヅリと1番相性がいいんだろ?ってことはボクとナナミもそうだったってことだ。ボクは男だしナナミはもう死んでるけど、君たち2人がいたら、ボクの望みは叶う」
「いやだ!いやだいやだなんでまたそんなこと言うの」
ツムギさんは1人でぶつぶつ言っていたがカタリさんは駄々をこねはじめた。
「僕の意識をツヅリの体に移して、モモトセ君にナナミの記憶を上書きすれば可能か?いずれにせよ、研究が必要だな」
ツムギさんは目の前に縋るカタリさんを突き飛ばしてハッカイさんの前にきた。
「ハッカイ。ごめん、ボクやりたいことできたから約束は必ず守るけど待ってほしい。君が望んでたナナミの血液返してあげるからさ」
ハッカイさんは体を震えさせて拳を強く握っていた。
「ほんまアンタら兄妹はどうしようもないな。最後の最後に侮辱してきやがって…」
ハッカイさんは私の方へ走ってきたが、モモトセがそれを阻止した。
「何するねん」
「どけ、その女をここで殺す。そしてそのあとあの2つのゴミの処理する」
「ツヅリは関係ないやろ」
「でも血を引いている子や。長生きすると何をするかわからへん」
「それこそ関係ないわ!どこをどう見たらこの2人とツヅリは似てるんや?ツヅリはツヅリや。お父さんの都合で殺していい人間なんておらん」
こちらにきたハッカイさんを容赦なく峰打ちし気絶させていた。
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