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五章 鴉を追って
20話
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【おもな登場人物】
《ミィラス》
聖ドリード教団で若くして聖典楽師となった、孔雀色の瞳が印象的な青年
《パルラ》
聖ドリード教団に所属する踊り子で、快活で強気な女性
魔物は西の方角に飛び去った。ミィラスとパルラは街を出て、ひたすら西を目指す。それはすなわち西翼領のより奥に向かうことを意味していた。
西翼領出身のパルラが地理を説明する。
「街より西側はルパーネ川の水域になっているわ。この川の水源はキアル山──ほら、遠くに見えるでしょ──にある。つまり西に向かうには、川を遡っていけばいいわけ。あの山が西翼領の端よ。その先は未開の地になっているの。人も少しは住んでいるらしいけれど、私たちとは違う文化を持った少数民族らしいわ」
二人は一日歩き通した。道中に宿を求められるような町も村もなく、その夜は野宿することになった。
「あの大きな木なら、風を避けられそうよ」
パルラが道の脇に古木を見つけ、駆け寄っていく。
二人は協力して薪を集め、火をおこした。持ってきた食糧と、近くに茂っていた野草で食事にする。
「なんであれ食事は食事よ。ドリード神に感謝を……」
あぶった野草を口に運んだパルラは「うーん大自然の味」と唸った。
「外でご飯を食べるなんて初めてよ。あなたは?」
尋ねられ、ミィラスは答える。
「昔、子どものころに何度か。僕に勉強を教えてくれた人と一緒に」
するとパルラがミィラスのことをまじまじと見つめるので、彼は「どうかしたかい」と首をかしげた。
「あなたが自分のことを『僕』って言うの、初めて聞いた気がするわ」
パルラの指摘に、ミィラスは固まった。どうやら知らず知らずのうちに気が緩んでいたようだ──
だが、パルラは笑った。
「いいじゃない、なんだかそっちのほうが親しみやすいもの」
パルラは焚き火に手をかざしながら言う。
「あなた、育ちの良さがにじみ出てるのよ。そりゃあ、私だって父と兄が役人でそれなりに良い暮らしをしてきたし、近所では『お嬢さん』なんて呼ばれていた時期もあったけれど。あなたはきっと、立派な家族や、素敵な人たちに囲まれて、大事にされてきたんだと思うわ。つまりお坊ちゃんくさいというか、なんというか……」
彼女が薪を火にくべると、パチパチと火の粉が舞い上がった。
「そういう人って、態度が高慢な人もいるけど、そうじゃない人もいる。あなたは後者よね。私は逆に前者かも。わりとちやほやされて育ったもの。でも私は教団に入って、いろいろな事情で踊り子や神職になった人に会って、街では奉仕活動をしたりして、私よりもっと気の毒な人が沢山いるって分かったわ。今は神の教えを学んで、日々の中で実践していける。それは幸運なことで、苦しい人や貧しい人には出来ないこともある。私たちって、みんなから期待してもらうから成り立つのね。だから私たちの振る舞いが、神の御心として、〝救済〟と言われたりするんでしょう」
パルラは火にかけていた小さな鍋から汁物をすくって、ふうふう言いながら味見した。
「うん、即席のスープにしては上出来よ。塩気がもう少し欲しいけれど、節約しないとね。……話の続きだけれど、あなたは、神の──というよりも、あなたの心の中の何かに、追い立てられているように見えるわ」
ミィラスはぽかんとして彼女を見つめていた。だが、パルラの言葉がゆっくり胸の中に降りてくるにつれ、頭の中の霧が晴れるような気がした。
パルラは続ける。
「あなたが魔物を追うのは、魔物とアシェラを捕まえて、人々を救って神の御心に沿うためかもしれない。でも本当の理由は、あなた自身の心がそう命じるからよ。神ではなく、あなたが命じているのよ」
焚き火はあかあかと二人を照らしていた。夜の下で、そこだけが明るかった。
「この旅は、あなたが救われるためでもあるんじゃないかしら。そして私が救われるためでもあるのよ、きっと。だから二人で魔物をとっちめて、敵を討ってやろうじゃない」
ミィラスはじっと火を見つめる。孔雀色の瞳は深く、深く沈思していた。パルラという旅の道連れを得たことは、己にとって幸いなことに違いない。孤独な旅にはきっと耐えられなかっただろうから。
パルラがもぞもぞと尻を動かした。
「なんか、ここゴツゴツしてるわね」
彼女は腰を浮かし、地面を見た。
「なにか埋まってるわ。……岩?」
積もっている落ち葉をかき分け、パルラは「あ」と声をあげる。
「私ったら、石祠の上に座っちゃってたわ。ほら、見て」
パルラが指さす場所を見ると、地面から半分埋まった岩が顔を出していた。上端部分は人の手で削られたような跡があり、かろうじて人工物だと分かる。
「石祠とは?」
ミィラスが尋ねると、パルラは「あら、知らないの?」と目を丸くした。
「ドリード神以前に信仰されていた神々を祀ったものよ。だからとても古いの。そういえば、王都では見かけないわね。地方にはけっこう残っているらしいわ。西翼領にも、有名な石祠群があるわよ」
ミィラスは興味深くその石祠を眺めた。風化してざらついた表面には、何かが刻まれている。
ミィラスがじっと石祠を凝視していると、隣でカサカサと音がした。パルラが紙を広げている。彼女が写し取った、白夜城の石碑の拓本である。
「そういえば、この模様、なんだか似てるわね。ほら」
彼女は石祠の隣に、拓本を置いた。それらを見比べたミィラスは、たしかにと頷いた。石祠に刻まれた文様と、石碑の文様。形は違えど、どこか似通っているように見える。
「その石祠群はどこに?」
ミィラスは尋ねた。
「もしかしたら、魔物について知る手がかりがあるかもしれない」
数日後。
石祠群はルパーネ川を見下ろす丘の上にあった。二人は昼過ぎに到着した。
ミィラスは初めて石祠群というものを見る。先人たちによる、旧き神への信仰の証──しかしその場所は明るい日の下にあっても、どこか陰気な気配を漂わせていた。ミィラスは眉根を寄せた。
ずいぶんな数の石祠が、地面に倒れている。
「ここかい?」
「ええそうよ。でも、以前よりも荒れ果てている気がするわ。昔は見物人がちらほらいたものだけど、今はなんていうか……」
パルラは石祠の一つに近寄り、じっと表面に視線を注いだ。
「ね、見て。やっぱり似ていると思わない?」
ミィラスも石祠に手を触れ、刻まれた文様を指でなぞった。
「似ている。けれど……」
ミィラスは周囲を見渡した。丘の上に点在する数百の石祠。
「この中に、手がかりが、本当に?」
ミィラスはやや唖然として言った。
パルラも苦笑いを浮かべる。
「探してみないと分からないわ。もしかしたら石碑と同じ文様があるかも。手分けしましょう」
二人は二手に分かれた。
ミィラスは石祠群を端から順に調べることにした。数がどうのと言っている場合ではない。彼らはひたすら、調べた文様を紙に書き写していく。
石祠の表面は摩耗しており、文様の判別は困難だった。目で見て分からない部分は指先の感覚を頼りにするが、それもおぼつかない。だがやらねばならない。
ミィラスが石祠を調べること、百基を超えたあたりだった。
悲鳴が聞こえた。パルラの声だ。
《ミィラス》
聖ドリード教団で若くして聖典楽師となった、孔雀色の瞳が印象的な青年
《パルラ》
聖ドリード教団に所属する踊り子で、快活で強気な女性
魔物は西の方角に飛び去った。ミィラスとパルラは街を出て、ひたすら西を目指す。それはすなわち西翼領のより奥に向かうことを意味していた。
西翼領出身のパルラが地理を説明する。
「街より西側はルパーネ川の水域になっているわ。この川の水源はキアル山──ほら、遠くに見えるでしょ──にある。つまり西に向かうには、川を遡っていけばいいわけ。あの山が西翼領の端よ。その先は未開の地になっているの。人も少しは住んでいるらしいけれど、私たちとは違う文化を持った少数民族らしいわ」
二人は一日歩き通した。道中に宿を求められるような町も村もなく、その夜は野宿することになった。
「あの大きな木なら、風を避けられそうよ」
パルラが道の脇に古木を見つけ、駆け寄っていく。
二人は協力して薪を集め、火をおこした。持ってきた食糧と、近くに茂っていた野草で食事にする。
「なんであれ食事は食事よ。ドリード神に感謝を……」
あぶった野草を口に運んだパルラは「うーん大自然の味」と唸った。
「外でご飯を食べるなんて初めてよ。あなたは?」
尋ねられ、ミィラスは答える。
「昔、子どものころに何度か。僕に勉強を教えてくれた人と一緒に」
するとパルラがミィラスのことをまじまじと見つめるので、彼は「どうかしたかい」と首をかしげた。
「あなたが自分のことを『僕』って言うの、初めて聞いた気がするわ」
パルラの指摘に、ミィラスは固まった。どうやら知らず知らずのうちに気が緩んでいたようだ──
だが、パルラは笑った。
「いいじゃない、なんだかそっちのほうが親しみやすいもの」
パルラは焚き火に手をかざしながら言う。
「あなた、育ちの良さがにじみ出てるのよ。そりゃあ、私だって父と兄が役人でそれなりに良い暮らしをしてきたし、近所では『お嬢さん』なんて呼ばれていた時期もあったけれど。あなたはきっと、立派な家族や、素敵な人たちに囲まれて、大事にされてきたんだと思うわ。つまりお坊ちゃんくさいというか、なんというか……」
彼女が薪を火にくべると、パチパチと火の粉が舞い上がった。
「そういう人って、態度が高慢な人もいるけど、そうじゃない人もいる。あなたは後者よね。私は逆に前者かも。わりとちやほやされて育ったもの。でも私は教団に入って、いろいろな事情で踊り子や神職になった人に会って、街では奉仕活動をしたりして、私よりもっと気の毒な人が沢山いるって分かったわ。今は神の教えを学んで、日々の中で実践していける。それは幸運なことで、苦しい人や貧しい人には出来ないこともある。私たちって、みんなから期待してもらうから成り立つのね。だから私たちの振る舞いが、神の御心として、〝救済〟と言われたりするんでしょう」
パルラは火にかけていた小さな鍋から汁物をすくって、ふうふう言いながら味見した。
「うん、即席のスープにしては上出来よ。塩気がもう少し欲しいけれど、節約しないとね。……話の続きだけれど、あなたは、神の──というよりも、あなたの心の中の何かに、追い立てられているように見えるわ」
ミィラスはぽかんとして彼女を見つめていた。だが、パルラの言葉がゆっくり胸の中に降りてくるにつれ、頭の中の霧が晴れるような気がした。
パルラは続ける。
「あなたが魔物を追うのは、魔物とアシェラを捕まえて、人々を救って神の御心に沿うためかもしれない。でも本当の理由は、あなた自身の心がそう命じるからよ。神ではなく、あなたが命じているのよ」
焚き火はあかあかと二人を照らしていた。夜の下で、そこだけが明るかった。
「この旅は、あなたが救われるためでもあるんじゃないかしら。そして私が救われるためでもあるのよ、きっと。だから二人で魔物をとっちめて、敵を討ってやろうじゃない」
ミィラスはじっと火を見つめる。孔雀色の瞳は深く、深く沈思していた。パルラという旅の道連れを得たことは、己にとって幸いなことに違いない。孤独な旅にはきっと耐えられなかっただろうから。
パルラがもぞもぞと尻を動かした。
「なんか、ここゴツゴツしてるわね」
彼女は腰を浮かし、地面を見た。
「なにか埋まってるわ。……岩?」
積もっている落ち葉をかき分け、パルラは「あ」と声をあげる。
「私ったら、石祠の上に座っちゃってたわ。ほら、見て」
パルラが指さす場所を見ると、地面から半分埋まった岩が顔を出していた。上端部分は人の手で削られたような跡があり、かろうじて人工物だと分かる。
「石祠とは?」
ミィラスが尋ねると、パルラは「あら、知らないの?」と目を丸くした。
「ドリード神以前に信仰されていた神々を祀ったものよ。だからとても古いの。そういえば、王都では見かけないわね。地方にはけっこう残っているらしいわ。西翼領にも、有名な石祠群があるわよ」
ミィラスは興味深くその石祠を眺めた。風化してざらついた表面には、何かが刻まれている。
ミィラスがじっと石祠を凝視していると、隣でカサカサと音がした。パルラが紙を広げている。彼女が写し取った、白夜城の石碑の拓本である。
「そういえば、この模様、なんだか似てるわね。ほら」
彼女は石祠の隣に、拓本を置いた。それらを見比べたミィラスは、たしかにと頷いた。石祠に刻まれた文様と、石碑の文様。形は違えど、どこか似通っているように見える。
「その石祠群はどこに?」
ミィラスは尋ねた。
「もしかしたら、魔物について知る手がかりがあるかもしれない」
数日後。
石祠群はルパーネ川を見下ろす丘の上にあった。二人は昼過ぎに到着した。
ミィラスは初めて石祠群というものを見る。先人たちによる、旧き神への信仰の証──しかしその場所は明るい日の下にあっても、どこか陰気な気配を漂わせていた。ミィラスは眉根を寄せた。
ずいぶんな数の石祠が、地面に倒れている。
「ここかい?」
「ええそうよ。でも、以前よりも荒れ果てている気がするわ。昔は見物人がちらほらいたものだけど、今はなんていうか……」
パルラは石祠の一つに近寄り、じっと表面に視線を注いだ。
「ね、見て。やっぱり似ていると思わない?」
ミィラスも石祠に手を触れ、刻まれた文様を指でなぞった。
「似ている。けれど……」
ミィラスは周囲を見渡した。丘の上に点在する数百の石祠。
「この中に、手がかりが、本当に?」
ミィラスはやや唖然として言った。
パルラも苦笑いを浮かべる。
「探してみないと分からないわ。もしかしたら石碑と同じ文様があるかも。手分けしましょう」
二人は二手に分かれた。
ミィラスは石祠群を端から順に調べることにした。数がどうのと言っている場合ではない。彼らはひたすら、調べた文様を紙に書き写していく。
石祠の表面は摩耗しており、文様の判別は困難だった。目で見て分からない部分は指先の感覚を頼りにするが、それもおぼつかない。だがやらねばならない。
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