43 / 48
十章 神々の系譜
43話
しおりを挟む
【おもな登場人物】
《ミィラス》
聖ドリード教団で若くして聖典楽師となった、孔雀色の瞳が印象的な青年
《ザイル》
太鼓の聖典楽師
《フルーバ》
笛の聖典楽師
《ミオリア》
踊り子
ミィラスは目を開けた。
彼がいるのは一面暗黒の世界だった。何も無い。町も木も動物も、風も温度も。
己が倒れ伏している地面だけが唯一目に見えるもので、血のような赤色をしている。ミィラスは身体の下から手ですくい、それが鉱物的なきらきらとした粒子であることを見て取った。
身体を起こすと、広い平原にたった一人である。頭上は真っ暗で星の類いは無く、そもそも光を発するものが何一つ存在しないようだ。どういった原理か、暗くとも視界は良好で、遠くまで見渡せた。それでも赤い地形が果てしなく続くだけであったが。
つまるところ、ここが冥府なのだろう。
ミィラスは砂の上を歩いた。ざく、ざく、と足が少し埋まりながらも、踏みしめる感覚は本物だ。
ふと気づいて、己の心臓に手を当ててみる。
弱々しいながら、鼓動がある。どうやら死んでいるわけではないらしい。生きながら冥府にいるというのも妙な心地だ。
突然、彼の目の前に赤い影が立ち塞がった。砂の中から這い出でて、崩れた手を伸ばしてくる。ミィラスは驚いて飛び退いた。
その拍子に、彼が懐に抱いていた竪琴に手が当たって、弦を弾いた。
「……」
それは小さな音だったが、目の前の赤い影は見る間に崩れ去り、地面へ戻っていく。
ミィラスは目を丸くしてそれを見つめていたが、他にも赤い影がいくつもこちらに忍び寄って来ているのに気づき、試しに竪琴をかき鳴らす。
彼らは非常に弱々しい存在のようで、竪琴の音が響くだけで形を失い、崩れていった。ミィラスはそれを哀れむべきものなのか迷い、じっと視線を注ぐ。
「おや、リィンの音がしたと思ったが、人違いだな」
突然の人の声に、ミィラスは顔を上げた。
三人の人間が忽然と立っていた。二人の男と一人の女だ。彼らは赤い影ではなく、しっかりとした実体があるように見える。ようやく自分以外の、人間らしき者に出会い、ミィラスは嬉しくなった。
思わず声を掛けようとして、声帯を潰されたことを思い出す。
仕方ないとがっかりしながら、非礼に当たらぬよう、ミィラスは喉を軽く押さえてみせたあと、彼らに向かって丁寧に一揖した。
一人が「おお」と腕を広げる。
「どうやら我らの後輩のようだな。ようこそ友よ。しかし声が出ぬとはな! まあまあ、気を落とすな!」
恰幅の良い彼は、豪快にミィラスに腕を回して抱擁し、ばんばんと背中を叩いた。そこに体温は無かったし、叩かれて結構痛かった。ミィラスは目を白黒させた。
「これこれ、若者を驚かせているではないか。全く、これだから太鼓の者はがさつじゃ大雑把じゃと言われるのじゃ」
女がたしなめると、男は「すまんな、わっはっは」と笑う。
「しかし、てっきりリィンの奴だと思ったがな」
「音色がよく似ておるせいじゃ。若い身空で、よくその境地に至ったものよのぅ」
女はたおやかな容姿でほっそりとしており、歳の頃はよく分からない。若くも見えるし、年かさにも見える。着ている衣装が古風な舞踊手のものであることだけが分かった。
それまで黙っていたもう一人の男が、ぼそりと呟く。
「そなたら、じゃれておらんで、この若者の困りごとを助けてやらんか」
彼は地味で目立たない容貌だが、眼光だけが鋭く険しく見える。彼に睨まれたなら思わず震え上がりそうだ。
しかし他の二人は彼にじっと見据えられてもちらとも動じず、むしろ楽しげだった。
「おお、そうだな。すまなんだ」
「若者よ、そこでしばし待つがよい」
男たちは懐から楽器を出し、女は袖をゆるやかに振った。
タタタタタンッと太鼓が鳴ったかと思うと、笛──口で吹かず蛇腹状のふいごで鳴らすものである──が長々とした旋律を奏でた。男たちは演奏しながら、その喉から朗々とした歌声を響かせる。
それは、まぎれもなく見事な〝聖典の詩〟だった。
女は音楽に合わせて優雅に舞い、赤い砂を蹴散らしもせぬ見事な足運びで、踊り子そのものの動きをした。
だが彼らはすぐに「ううむ」と唸った。
「やはり少し物足りぬ」
「さすがに我ら三人では力が及ばぬか」
そこでミィラスが竪琴を構え、演奏に合わせて弦を弾くと、彼らは愉快そうに声を上げて笑った。
「良い良い! 上手いではないか!」
「逆にそなたら、久方ぶりで身体が鈍っているのではないか?」
「ほお、言ったな。笛のお前こそ、音が小さいぞ!」
「黙りゃ男ども。集中して奏でぬか」
「黙ったら歌えんではないか!」
やいのやいのと言いながら、一曲弾き終わる頃にはミィラスの喉は不思議と声を取り戻していた。
「感謝申し上げます、先輩方。ミィラスと申します」
ミィラスは彼らに心からの礼を言い、頭を下げた。〝聖典の詩〟の合奏が、実はこれほど楽しいものだとは知らなかった。かようにおおらかで、和やかな気持ちになったのは初めてだ。
「ほほほ、後世の後輩に出会うとはなぁ、妾たちもついぞ思わぬゆえ、はしゃいでしまったのじゃ」
女は涼しげな目元をにっこりと細めた。
「して、新しい亡者が冥府に来ることは長らく途絶えておったはずじゃ。今は彼岸へ渡って行くように、理がなったと思うたがのう。まあ、ここわずかな数日で再び亡者どもが増えた気がするが……妙なことに」
「いや待て。彼はどうやら生者のままここに来たようだが」
「ほう? それもまた奇っ怪な」
彼らはじろじろと三方向からミィラスを眺め回した。するとあることに気づいたようで、揃いも揃って笑い始める。一人は大口を開けて、一人は皮肉を込めて、一人は愉快そうに。
「あーっはっは! リィンめ、あいつちゃっかりしすぎだぞ!」
「食えない奴だ、まったく。先に一抜けするとは」
「ほほほ……しかしまあ、あやつよりこの若者のほうが妾は好きじゃがのぅ。ホレこの顔を見よ、なかなか愛いではないか」
彼らがひとしきり笑って落ち着くまで、ミィラスは待たねばならなかった。
三人の腹筋が震えを収めてから、ミィラスは「あの……」と口を開く。
「リィンというのは、私が思い浮かべている人物のことでしょうか。〝リィンの竪琴〟の……あと此岸の川辺で……」
どう説明したものかと考えあぐねている青年に、彼らは「うんうん」と物知り顔で頷く。
女は言った。
「あやつと会ったのであろう? そなたの中に、かの名リィン《生命》の加護が込められておる。そのおかげで命が繋がっておるのであろうな。まあここでは、どうせそう長くはもたぬ。曲がりなりにも死を司る神の領域じゃ」
「リィンはどうだった? 元気にしていたか?」
死者に対して元気とはこれいかに──
ミィラスは此岸の川辺で彼と出会ったときのことを話して聞かせた。
「ふむ、一足先にドリード神の御許へ参ったか」
「であれば、我らの役目もじきに終わるだろう」
んじゃ、とあっさり踵を返して立ち去ろうとした彼らを、ミィラスは慌てて引き留めた。
「お待ちください、先輩方。今、現世にこの冥府が溢れ出ているのです。それを止めるために私はここへ参りました」
ミィラスは彼らをまっすぐに見つめた。
「どうか、力を貸してください」
《ミィラス》
聖ドリード教団で若くして聖典楽師となった、孔雀色の瞳が印象的な青年
《ザイル》
太鼓の聖典楽師
《フルーバ》
笛の聖典楽師
《ミオリア》
踊り子
ミィラスは目を開けた。
彼がいるのは一面暗黒の世界だった。何も無い。町も木も動物も、風も温度も。
己が倒れ伏している地面だけが唯一目に見えるもので、血のような赤色をしている。ミィラスは身体の下から手ですくい、それが鉱物的なきらきらとした粒子であることを見て取った。
身体を起こすと、広い平原にたった一人である。頭上は真っ暗で星の類いは無く、そもそも光を発するものが何一つ存在しないようだ。どういった原理か、暗くとも視界は良好で、遠くまで見渡せた。それでも赤い地形が果てしなく続くだけであったが。
つまるところ、ここが冥府なのだろう。
ミィラスは砂の上を歩いた。ざく、ざく、と足が少し埋まりながらも、踏みしめる感覚は本物だ。
ふと気づいて、己の心臓に手を当ててみる。
弱々しいながら、鼓動がある。どうやら死んでいるわけではないらしい。生きながら冥府にいるというのも妙な心地だ。
突然、彼の目の前に赤い影が立ち塞がった。砂の中から這い出でて、崩れた手を伸ばしてくる。ミィラスは驚いて飛び退いた。
その拍子に、彼が懐に抱いていた竪琴に手が当たって、弦を弾いた。
「……」
それは小さな音だったが、目の前の赤い影は見る間に崩れ去り、地面へ戻っていく。
ミィラスは目を丸くしてそれを見つめていたが、他にも赤い影がいくつもこちらに忍び寄って来ているのに気づき、試しに竪琴をかき鳴らす。
彼らは非常に弱々しい存在のようで、竪琴の音が響くだけで形を失い、崩れていった。ミィラスはそれを哀れむべきものなのか迷い、じっと視線を注ぐ。
「おや、リィンの音がしたと思ったが、人違いだな」
突然の人の声に、ミィラスは顔を上げた。
三人の人間が忽然と立っていた。二人の男と一人の女だ。彼らは赤い影ではなく、しっかりとした実体があるように見える。ようやく自分以外の、人間らしき者に出会い、ミィラスは嬉しくなった。
思わず声を掛けようとして、声帯を潰されたことを思い出す。
仕方ないとがっかりしながら、非礼に当たらぬよう、ミィラスは喉を軽く押さえてみせたあと、彼らに向かって丁寧に一揖した。
一人が「おお」と腕を広げる。
「どうやら我らの後輩のようだな。ようこそ友よ。しかし声が出ぬとはな! まあまあ、気を落とすな!」
恰幅の良い彼は、豪快にミィラスに腕を回して抱擁し、ばんばんと背中を叩いた。そこに体温は無かったし、叩かれて結構痛かった。ミィラスは目を白黒させた。
「これこれ、若者を驚かせているではないか。全く、これだから太鼓の者はがさつじゃ大雑把じゃと言われるのじゃ」
女がたしなめると、男は「すまんな、わっはっは」と笑う。
「しかし、てっきりリィンの奴だと思ったがな」
「音色がよく似ておるせいじゃ。若い身空で、よくその境地に至ったものよのぅ」
女はたおやかな容姿でほっそりとしており、歳の頃はよく分からない。若くも見えるし、年かさにも見える。着ている衣装が古風な舞踊手のものであることだけが分かった。
それまで黙っていたもう一人の男が、ぼそりと呟く。
「そなたら、じゃれておらんで、この若者の困りごとを助けてやらんか」
彼は地味で目立たない容貌だが、眼光だけが鋭く険しく見える。彼に睨まれたなら思わず震え上がりそうだ。
しかし他の二人は彼にじっと見据えられてもちらとも動じず、むしろ楽しげだった。
「おお、そうだな。すまなんだ」
「若者よ、そこでしばし待つがよい」
男たちは懐から楽器を出し、女は袖をゆるやかに振った。
タタタタタンッと太鼓が鳴ったかと思うと、笛──口で吹かず蛇腹状のふいごで鳴らすものである──が長々とした旋律を奏でた。男たちは演奏しながら、その喉から朗々とした歌声を響かせる。
それは、まぎれもなく見事な〝聖典の詩〟だった。
女は音楽に合わせて優雅に舞い、赤い砂を蹴散らしもせぬ見事な足運びで、踊り子そのものの動きをした。
だが彼らはすぐに「ううむ」と唸った。
「やはり少し物足りぬ」
「さすがに我ら三人では力が及ばぬか」
そこでミィラスが竪琴を構え、演奏に合わせて弦を弾くと、彼らは愉快そうに声を上げて笑った。
「良い良い! 上手いではないか!」
「逆にそなたら、久方ぶりで身体が鈍っているのではないか?」
「ほお、言ったな。笛のお前こそ、音が小さいぞ!」
「黙りゃ男ども。集中して奏でぬか」
「黙ったら歌えんではないか!」
やいのやいのと言いながら、一曲弾き終わる頃にはミィラスの喉は不思議と声を取り戻していた。
「感謝申し上げます、先輩方。ミィラスと申します」
ミィラスは彼らに心からの礼を言い、頭を下げた。〝聖典の詩〟の合奏が、実はこれほど楽しいものだとは知らなかった。かようにおおらかで、和やかな気持ちになったのは初めてだ。
「ほほほ、後世の後輩に出会うとはなぁ、妾たちもついぞ思わぬゆえ、はしゃいでしまったのじゃ」
女は涼しげな目元をにっこりと細めた。
「して、新しい亡者が冥府に来ることは長らく途絶えておったはずじゃ。今は彼岸へ渡って行くように、理がなったと思うたがのう。まあ、ここわずかな数日で再び亡者どもが増えた気がするが……妙なことに」
「いや待て。彼はどうやら生者のままここに来たようだが」
「ほう? それもまた奇っ怪な」
彼らはじろじろと三方向からミィラスを眺め回した。するとあることに気づいたようで、揃いも揃って笑い始める。一人は大口を開けて、一人は皮肉を込めて、一人は愉快そうに。
「あーっはっは! リィンめ、あいつちゃっかりしすぎだぞ!」
「食えない奴だ、まったく。先に一抜けするとは」
「ほほほ……しかしまあ、あやつよりこの若者のほうが妾は好きじゃがのぅ。ホレこの顔を見よ、なかなか愛いではないか」
彼らがひとしきり笑って落ち着くまで、ミィラスは待たねばならなかった。
三人の腹筋が震えを収めてから、ミィラスは「あの……」と口を開く。
「リィンというのは、私が思い浮かべている人物のことでしょうか。〝リィンの竪琴〟の……あと此岸の川辺で……」
どう説明したものかと考えあぐねている青年に、彼らは「うんうん」と物知り顔で頷く。
女は言った。
「あやつと会ったのであろう? そなたの中に、かの名リィン《生命》の加護が込められておる。そのおかげで命が繋がっておるのであろうな。まあここでは、どうせそう長くはもたぬ。曲がりなりにも死を司る神の領域じゃ」
「リィンはどうだった? 元気にしていたか?」
死者に対して元気とはこれいかに──
ミィラスは此岸の川辺で彼と出会ったときのことを話して聞かせた。
「ふむ、一足先にドリード神の御許へ参ったか」
「であれば、我らの役目もじきに終わるだろう」
んじゃ、とあっさり踵を返して立ち去ろうとした彼らを、ミィラスは慌てて引き留めた。
「お待ちください、先輩方。今、現世にこの冥府が溢れ出ているのです。それを止めるために私はここへ参りました」
ミィラスは彼らをまっすぐに見つめた。
「どうか、力を貸してください」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる