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ウィル様のお城の広間に通され、めっちゃくちゃ高い天井と体育館くらいあるんじゃないかってくらい広い部屋の中の中心にあるソファに腰をかけた。アレンはなんか、ウィル様のお父さんに挨拶とか言ってどっか行ってしまい、僕とウィル様でふたりっきりだ。
すっご……シャンデリアだっけ? あの天井のやつ。僕の店にもあったけど格が違うなぁ。大きさとか、輝かしさとか。
「僕の部屋に行く前に少し会ってもらいたい人がいるので、しばらくお待ちください」
「会ってもらいたい人ですか?」
「はい!」
「ーーウィル~? 用ってなに~?」
ウィル様が返事をし終わるとほぼ同時に落ち着いた優しそうな声がして、階段から2人の男が降りてきた。
1人は栗色の髪をひとつに結った碧眼の男でもう1人は銀髪の碧眼の男。いずれにしろ2人ともウィル様よりも背が高い。
僕はこの人達を知ってる。
「り、り、リアム様!? 本物だ!!」
興奮で震える足で立ち上がり、栗色の髪の男の方へと駆け寄る。
「わぁ! イケメン! 超イケメン! 大人っぽい! 好き! 最高!」
僕が薄っぺらい褒め言葉を並べると困ったように苦笑して指で頬をかいた。
「あ、申し遅れました。僕はリベラ家長男のドロシー・リベラです」
「君がドロシーくんか~。初めまして、私はこの国の第1王子、リアム・ヒューズです」
そう言い、手を差し出してきたため、僕は自身の服で両手の手汗を拭ってからそっと手を握った。
見た目よりもガッチリしていて、The・男の人の手って感じがする。それに、暖かくて落ち着く。
「貴方の心が暖かいから、貴方の手も太陽より暖かいですね、その笑顔も太陽より輝いてる」
僕の言葉にウィル様は軽く黄色い歓声を送っていて、リアム様は挙動不審のようにキョロキョロしていた。
「えっと、流石に太陽の方が熱いし、輝いてると思うな~?」
「そ、そうですよね」
現実的に考えればそうなんだろうけど、なんだろ、この控えめに現実を伝えてくる感じ……脳裏にクレア様が過ぎるぜ……
「おいおい! 何オレ様のこと忘れてんだよ!」
僕とリアム様が話していると、銀髪の男が不機嫌そうに眉間にシワを寄せて入ってきた。
この人は……えぇっと……
「誰だっけ?」
「おい!」
「あ、いや、こんくらい出てきてるんですよ! こんくらい!」
僕が親指と人差し指の間を2ミリくらい開けて度合いを示すと銀髪の男は大きくため息を吐いた。
「全然出てねぇじゃねぇか! ルイ・ヒューズだ!」
ルイ・ヒューズ……ルイ……あ、あぁ!
「非リアか!」
「誰が非リアじゃ!」
ルイ・ヒューズ様はこの国の第2王子であり、ゲームでも攻略対象の1人だ。
シナリオによって婚約者が変わるウィル様とリアム様とは違い、ルイ様が婚約するのは主人公だけである。
そのため、ルイ様以外を選択してしまうとルイ様はドロシー並のモブになってしまうため少しだけ可哀想な立ち位置。
僕も攻略したのだが、ウィル様の次でかなり前だったから存在を忘れていた。僕自身俺様系はあんま興味がなかったんだよね。すみません。
「ったく、なんでオレ様には生意気なんだよ。このクソガキ。リアムみてぇに褒め讃えろ」
「すみません。僕って、僕から見て尊いなぁ、愛でたいなぁと思わないとスイッチが入らないので……無理です」
「よくわからねぇけど、オレ様がリアム達よりも下に見られてるのはよーくわかった」
うんうん。物分りが良くてよろしい。
僕が頷いていると、ルイ様の両手の拳が僕のこめかみに当てられた。
……へ?
それからすごい勢いでグリグリされた。
「痛い痛い痛い! ごめんって! ごーめーんー!!」
しばらくの間、悲痛な謝罪を繰り返しているとウィル様やリアム様に止められ、ルイ様がやっと手を止めてくれた。
こ、殺される……欲を言えば、もっと早く止めてもらいたかった……
僕が肩で息をしていると、リアム様の上品な笑い声が聞こえてくる。
「ドロシーくんって面白いね~。ルイ相手にあんな態度取れるなんてドロシーくんくらいだよ~」
「僕だけ?」
「ルイ兄さん顔が怖いですからね」
「うっせぇ!」
リアム様とウィル様の言葉にルイ様の表情がさらに険しくなった。
まぁ、確かに目付きは悪いけど……
「怖くはないですよ?」
「「「え?」」」
「だって、犬みたいで可愛いじゃないですか?」
「犬って……お前なぁ……」
ルイ様は自分の頭を乱暴にかき、目線を逸らした。頬がほのかに赤く染まってる気がするのは考え過ぎだろうか。
ルイ様は僕の方をチラッと見ると、また逸らし、何度か口をもごもごとさせている。
「どうしました?」
「……っ。な、なんでもねぇよ!! べ、別にお前に怖くないって言われて嬉しかったとかじゃねぇから!」
「わかりやすいツンデレありがとうございます」
「あ……」
自分の失言に気がついたのか真っ赤な顔から真っ青になり両手で口元を覆ってフリーズした。
そんなルイ様の肩に2つの手が乗せられた。
後ろにいたのは怖いくらい笑顔のアレンとウィル様。
アレン戻ってきてたんだ。
「お坊ちゃんに惚れないでくださいね」
「ドロシー様は僕の大事な婚約者ですから」
「惚れてねぇし! 変な事言うなよ! てか、お前誰だよ!?」
「私はドロシー様の専属執事でございます」
「はぁ!? 専属執事って……てことは、四六時中一緒に居るってことか!? っざけんなよ! オレ様もなりてぇ!」
「絶対ダメです。私だけでじゅうぶんです」
なんか、訳の分からない言い争いが始まってしまったようだ。
僕とリアム様はお互い顔を見合わせ肩を竦め苦笑した。
結局その日は広間での言い争い鑑賞で初めてのお城訪問は終わったのであった。
帰り際にウィル様が「僕の部屋掃除したのに……」と拗ねながらブツブツ言ってたのが可愛かったです。
すっご……シャンデリアだっけ? あの天井のやつ。僕の店にもあったけど格が違うなぁ。大きさとか、輝かしさとか。
「僕の部屋に行く前に少し会ってもらいたい人がいるので、しばらくお待ちください」
「会ってもらいたい人ですか?」
「はい!」
「ーーウィル~? 用ってなに~?」
ウィル様が返事をし終わるとほぼ同時に落ち着いた優しそうな声がして、階段から2人の男が降りてきた。
1人は栗色の髪をひとつに結った碧眼の男でもう1人は銀髪の碧眼の男。いずれにしろ2人ともウィル様よりも背が高い。
僕はこの人達を知ってる。
「り、り、リアム様!? 本物だ!!」
興奮で震える足で立ち上がり、栗色の髪の男の方へと駆け寄る。
「わぁ! イケメン! 超イケメン! 大人っぽい! 好き! 最高!」
僕が薄っぺらい褒め言葉を並べると困ったように苦笑して指で頬をかいた。
「あ、申し遅れました。僕はリベラ家長男のドロシー・リベラです」
「君がドロシーくんか~。初めまして、私はこの国の第1王子、リアム・ヒューズです」
そう言い、手を差し出してきたため、僕は自身の服で両手の手汗を拭ってからそっと手を握った。
見た目よりもガッチリしていて、The・男の人の手って感じがする。それに、暖かくて落ち着く。
「貴方の心が暖かいから、貴方の手も太陽より暖かいですね、その笑顔も太陽より輝いてる」
僕の言葉にウィル様は軽く黄色い歓声を送っていて、リアム様は挙動不審のようにキョロキョロしていた。
「えっと、流石に太陽の方が熱いし、輝いてると思うな~?」
「そ、そうですよね」
現実的に考えればそうなんだろうけど、なんだろ、この控えめに現実を伝えてくる感じ……脳裏にクレア様が過ぎるぜ……
「おいおい! 何オレ様のこと忘れてんだよ!」
僕とリアム様が話していると、銀髪の男が不機嫌そうに眉間にシワを寄せて入ってきた。
この人は……えぇっと……
「誰だっけ?」
「おい!」
「あ、いや、こんくらい出てきてるんですよ! こんくらい!」
僕が親指と人差し指の間を2ミリくらい開けて度合いを示すと銀髪の男は大きくため息を吐いた。
「全然出てねぇじゃねぇか! ルイ・ヒューズだ!」
ルイ・ヒューズ……ルイ……あ、あぁ!
「非リアか!」
「誰が非リアじゃ!」
ルイ・ヒューズ様はこの国の第2王子であり、ゲームでも攻略対象の1人だ。
シナリオによって婚約者が変わるウィル様とリアム様とは違い、ルイ様が婚約するのは主人公だけである。
そのため、ルイ様以外を選択してしまうとルイ様はドロシー並のモブになってしまうため少しだけ可哀想な立ち位置。
僕も攻略したのだが、ウィル様の次でかなり前だったから存在を忘れていた。僕自身俺様系はあんま興味がなかったんだよね。すみません。
「ったく、なんでオレ様には生意気なんだよ。このクソガキ。リアムみてぇに褒め讃えろ」
「すみません。僕って、僕から見て尊いなぁ、愛でたいなぁと思わないとスイッチが入らないので……無理です」
「よくわからねぇけど、オレ様がリアム達よりも下に見られてるのはよーくわかった」
うんうん。物分りが良くてよろしい。
僕が頷いていると、ルイ様の両手の拳が僕のこめかみに当てられた。
……へ?
それからすごい勢いでグリグリされた。
「痛い痛い痛い! ごめんって! ごーめーんー!!」
しばらくの間、悲痛な謝罪を繰り返しているとウィル様やリアム様に止められ、ルイ様がやっと手を止めてくれた。
こ、殺される……欲を言えば、もっと早く止めてもらいたかった……
僕が肩で息をしていると、リアム様の上品な笑い声が聞こえてくる。
「ドロシーくんって面白いね~。ルイ相手にあんな態度取れるなんてドロシーくんくらいだよ~」
「僕だけ?」
「ルイ兄さん顔が怖いですからね」
「うっせぇ!」
リアム様とウィル様の言葉にルイ様の表情がさらに険しくなった。
まぁ、確かに目付きは悪いけど……
「怖くはないですよ?」
「「「え?」」」
「だって、犬みたいで可愛いじゃないですか?」
「犬って……お前なぁ……」
ルイ様は自分の頭を乱暴にかき、目線を逸らした。頬がほのかに赤く染まってる気がするのは考え過ぎだろうか。
ルイ様は僕の方をチラッと見ると、また逸らし、何度か口をもごもごとさせている。
「どうしました?」
「……っ。な、なんでもねぇよ!! べ、別にお前に怖くないって言われて嬉しかったとかじゃねぇから!」
「わかりやすいツンデレありがとうございます」
「あ……」
自分の失言に気がついたのか真っ赤な顔から真っ青になり両手で口元を覆ってフリーズした。
そんなルイ様の肩に2つの手が乗せられた。
後ろにいたのは怖いくらい笑顔のアレンとウィル様。
アレン戻ってきてたんだ。
「お坊ちゃんに惚れないでくださいね」
「ドロシー様は僕の大事な婚約者ですから」
「惚れてねぇし! 変な事言うなよ! てか、お前誰だよ!?」
「私はドロシー様の専属執事でございます」
「はぁ!? 専属執事って……てことは、四六時中一緒に居るってことか!? っざけんなよ! オレ様もなりてぇ!」
「絶対ダメです。私だけでじゅうぶんです」
なんか、訳の分からない言い争いが始まってしまったようだ。
僕とリアム様はお互い顔を見合わせ肩を竦め苦笑した。
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