【完結】ココ、ついてますよ

赤猫@alice

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第一章

翔子とウロコ

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「翔子さんはとても優しい方ですな」

「えっ?」

「今、舞い落ちてきたハク様のウロコ。これは翔子さんの思いやりの心が作り出したウロコなんじゃ」

「思いやりの心……」

「まさしく、今翔子さんが聞いてくれた様にハク様は毎回ご自分の身を犠牲にして、自分の体から生えている鱗を剥がして願いをこめる。体に生えているものを剥ぐのじゃから、そりゃあ、痛みも伴う。それでもハク様はこの街を守る為、ご自分の鱗を使ってくださっているのじゃ。
ハク様のウロコは人間の思いやりの心、人を思いやる心が芽生えた時に自然と形を表すのじゃ。翔子さんが持っていたもう一枚のウロコはどの様にして手にいれたものかね?」

「さっきの一枚は……。道で転んで泣きそうになっていた男の子を抱え起こした時、空を何気なく見上げてみたら空から舞い落ちてきました」

「ふむ。きっとその男の子は翔子さんに助けてもらって(嬉しい)と感じたのじゃろう。翔子さんが手を差し伸べ、男の子が感謝をする。当たり前の事じゃが、今時なかなかそれをできる人間がおらん。翔子さんの人を思いやる心にハク様のウロコが共鳴したのじゃろう。そして今も、願いを込めるために鱗を剥がす事が痛くないのかと心配してくれる翔子さんの気持ちがハク様は嬉しかったのじゃろう」

「そうだったんですね。あの……、このウロコ、ハク様にお返しします」

そういって笑顔で二枚の花びら……もとい、ウロコを掌にのせ神主へと差し出す翔子。

「ありがとう。では、せっかくだから翔子さんからハク様へお返しください」

「どうすれば良いんですか?」

「ハク様が乗ってらっしゃる三方にそのままウロコを乗せてごらんなさい」

神主に言われるがまま翔子がウロコを三方に乗せると急にハク様がまばゆく光だした。

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