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おまけ10.吾輩は。
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吾輩は、猫である。
いや、かの高名な大文豪の名作のパクリでは決してない、断じてそんなことはない。それに我輩には猫の身としては、過分に立派な名前も我が主からいただいている。しかし言った通り、吾輩は本当に一介の猫なのだ。ただし、そんじょそこらの平凡な猫とだけは少し違う。そこらの飼い猫のように自堕落で怠惰に日々を過ごしている訳ではないし、我輩には確固たるすべき事があってここにおり我が主に仕えて、この宅に世話になっているのである。
「白虎ー。おいでー。」
おっと暫し失礼、我が主のママ上殿がお呼びなので一端吾輩は、少し席を外させていただこう。このままここで暫しお待ちいただいて……………………
いや、話の最中に大変失礼した。
我が主のご母堂に当たるママ上殿は、我が主についでこの家では重要な人物なのでお声がかかった場合はそのままには出来ないのだ。何がそれほど重要かと?そんなことは決まっている、ママ上殿には吾輩の食事に関する重大な選択権がある。吾輩はどちらかと言えばカリカリしたものよりは少しウエットなしっとりしたものの方が好み、それをアピールしておかないと夕食にカリカリが出てきてしまうではないか。夕食こそ好みのものを食して、ユッタリと寛ぎたい。ママ上殿の伴侶であるパパ上殿が、時折の夕食に食しながら嗜む妙な臭いの水の様なものだ。あれを嗜むとパパ上殿は生き返るだの上手いだのと大声で話すが、吾輩とて同じこと。最近あの滴るようなトロリとしたタイプの逸品というものを知ってからというものの、もう知らなかった時の我輩には戻れないという…………
「白虎ー。おやつだよー。」
おおおっ!!!大事な話の合間に暫し失礼いたす!主殿!それは昨日の逸品と同じものでございますな?!そ、その風合いは我輩の好物の香りがっ!!むむっ!やはりこの液状のモノは最高の味わいで…………主殿!ああっ!滴ってしまっては勿体無い。このマッタリとしてネットリとした脂質の上質さ、旨味とコク深さの織り成す絶妙なハーモニー!惜しむらくはこの逸品はやや全体としての量がカリカリやウエットな猫缶とやらに比較しても、格段に少ないことだけが我輩には…………………むむむ、うまーい!旨い!
むぅ、余りの至福にまた我を忘れて、貪るように舐め回してしまっていたか…………。これは誠にもって魅惑の逸品でございますな、我が主殿。しかも気がついていなかったが、なんと主殿の横には我輩にしても弟分の衛坊と主殿の御学友・香苗殿と早紀殿までスマート本とか言う板を構えておいで。
このスマート本とか申す板は誰もが一枚は手にしている許可証のようなモノらしく、我輩のような猫や何やら気に入りのものに出会うと誰もが同じように板を向けるものなのである。どうやら個人の気に入りを書き付け足りすることができる様子で、我輩の姿絵が書き付けられておるのには見せられた我輩も流石に面食らった。我が主殿は魔術でも使うのかと唖然と思いきや、衛坊も御学友も皆同様の事を意図も容易くやって見せるのだ。
つまりは、我が主殿達にすればこれは当然の技なのだ。
人というものは誠に技術というものに長けていて、それは衛坊のように幼くても変わらない。吾輩は成りは大きいが実際には生まれてまだ間もなく衛坊より少し上位の年だと思われるが、残念ながら衛坊のようなことはできないのだ。しかし、練習すれば何時かはその板を使うことはできると吾輩は信じてもいる。兎も角そう我輩も理解してからは、少しでも見た目のよい姿で姿絵に残るよう板を向けられた時には気をかけている。しかしそれも魅惑の逸品を賞味している最中では、少々姿絵にも自信がない。何しろ気がつくと我を忘れて必死に貪っているわけであり…………
「ふはっ!超ー必死な顔してんの!びゃっ君!」
「それ可愛いー。送ってー!!香苗!」
ちょっと待ってくれ、どう可愛いか見せていただきたい、香苗殿。我輩としては可愛らしい姿よりは、是非とも凛々しく雄々しい名前に恥じない姿絵にして頂きたいのだが…………なんと不細工な!!我を忘れて前足で主殿の差し出す逸品に縋りつき、がむしゃらに貪る姿だとは!!それは心外だ!香苗殿、それは消していただきたい!再考を願う!
「白虎ちゃん、すっごい抗議の鳴き声してるよ?香苗ちゃん。」
「あはは、無我夢中なの恥ずかしいのかー?びゃっくーん。」
早紀殿が折角取りなしてくれつつあったところに、香苗殿は意味ありげにニヤリと笑ったかと思うと手を伸ばしてきて。おおお、香苗殿、喉元を擦るのは卑怯。おおお、おおおおおお…………これ…………また、至福………………。
「ゴロゴロ言ってるー、香苗ちゃん上手だねぇ!」
「ちょろいなー、びゃっ君。」
むぅ、そこは心地よく……出来ればもう少し…………下の、そこそこ………………ふにゃぁ…………それは……。弛緩しきった吾輩の姿に、主殿や御学友・衛坊も至福の時を過ごしている。むぅ、仕方がない、今日はこれでご容赦いただこうではないか。そうして吾輩は我が主の傍で、ノンビリと惰眠を…………
いや、かの高名な大文豪の名作のパクリでは決してない、断じてそんなことはない。それに我輩には猫の身としては、過分に立派な名前も我が主からいただいている。しかし言った通り、吾輩は本当に一介の猫なのだ。ただし、そんじょそこらの平凡な猫とだけは少し違う。そこらの飼い猫のように自堕落で怠惰に日々を過ごしている訳ではないし、我輩には確固たるすべき事があってここにおり我が主に仕えて、この宅に世話になっているのである。
「白虎ー。おいでー。」
おっと暫し失礼、我が主のママ上殿がお呼びなので一端吾輩は、少し席を外させていただこう。このままここで暫しお待ちいただいて……………………
いや、話の最中に大変失礼した。
我が主のご母堂に当たるママ上殿は、我が主についでこの家では重要な人物なのでお声がかかった場合はそのままには出来ないのだ。何がそれほど重要かと?そんなことは決まっている、ママ上殿には吾輩の食事に関する重大な選択権がある。吾輩はどちらかと言えばカリカリしたものよりは少しウエットなしっとりしたものの方が好み、それをアピールしておかないと夕食にカリカリが出てきてしまうではないか。夕食こそ好みのものを食して、ユッタリと寛ぎたい。ママ上殿の伴侶であるパパ上殿が、時折の夕食に食しながら嗜む妙な臭いの水の様なものだ。あれを嗜むとパパ上殿は生き返るだの上手いだのと大声で話すが、吾輩とて同じこと。最近あの滴るようなトロリとしたタイプの逸品というものを知ってからというものの、もう知らなかった時の我輩には戻れないという…………
「白虎ー。おやつだよー。」
おおおっ!!!大事な話の合間に暫し失礼いたす!主殿!それは昨日の逸品と同じものでございますな?!そ、その風合いは我輩の好物の香りがっ!!むむっ!やはりこの液状のモノは最高の味わいで…………主殿!ああっ!滴ってしまっては勿体無い。このマッタリとしてネットリとした脂質の上質さ、旨味とコク深さの織り成す絶妙なハーモニー!惜しむらくはこの逸品はやや全体としての量がカリカリやウエットな猫缶とやらに比較しても、格段に少ないことだけが我輩には…………………むむむ、うまーい!旨い!
むぅ、余りの至福にまた我を忘れて、貪るように舐め回してしまっていたか…………。これは誠にもって魅惑の逸品でございますな、我が主殿。しかも気がついていなかったが、なんと主殿の横には我輩にしても弟分の衛坊と主殿の御学友・香苗殿と早紀殿までスマート本とか言う板を構えておいで。
このスマート本とか申す板は誰もが一枚は手にしている許可証のようなモノらしく、我輩のような猫や何やら気に入りのものに出会うと誰もが同じように板を向けるものなのである。どうやら個人の気に入りを書き付け足りすることができる様子で、我輩の姿絵が書き付けられておるのには見せられた我輩も流石に面食らった。我が主殿は魔術でも使うのかと唖然と思いきや、衛坊も御学友も皆同様の事を意図も容易くやって見せるのだ。
つまりは、我が主殿達にすればこれは当然の技なのだ。
人というものは誠に技術というものに長けていて、それは衛坊のように幼くても変わらない。吾輩は成りは大きいが実際には生まれてまだ間もなく衛坊より少し上位の年だと思われるが、残念ながら衛坊のようなことはできないのだ。しかし、練習すれば何時かはその板を使うことはできると吾輩は信じてもいる。兎も角そう我輩も理解してからは、少しでも見た目のよい姿で姿絵に残るよう板を向けられた時には気をかけている。しかしそれも魅惑の逸品を賞味している最中では、少々姿絵にも自信がない。何しろ気がつくと我を忘れて必死に貪っているわけであり…………
「ふはっ!超ー必死な顔してんの!びゃっ君!」
「それ可愛いー。送ってー!!香苗!」
ちょっと待ってくれ、どう可愛いか見せていただきたい、香苗殿。我輩としては可愛らしい姿よりは、是非とも凛々しく雄々しい名前に恥じない姿絵にして頂きたいのだが…………なんと不細工な!!我を忘れて前足で主殿の差し出す逸品に縋りつき、がむしゃらに貪る姿だとは!!それは心外だ!香苗殿、それは消していただきたい!再考を願う!
「白虎ちゃん、すっごい抗議の鳴き声してるよ?香苗ちゃん。」
「あはは、無我夢中なの恥ずかしいのかー?びゃっくーん。」
早紀殿が折角取りなしてくれつつあったところに、香苗殿は意味ありげにニヤリと笑ったかと思うと手を伸ばしてきて。おおお、香苗殿、喉元を擦るのは卑怯。おおお、おおおおおお…………これ…………また、至福………………。
「ゴロゴロ言ってるー、香苗ちゃん上手だねぇ!」
「ちょろいなー、びゃっ君。」
むぅ、そこは心地よく……出来ればもう少し…………下の、そこそこ………………ふにゃぁ…………それは……。弛緩しきった吾輩の姿に、主殿や御学友・衛坊も至福の時を過ごしている。むぅ、仕方がない、今日はこれでご容赦いただこうではないか。そうして吾輩は我が主の傍で、ノンビリと惰眠を…………
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