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幼馴染と病院にお泊まりしてみた
時間を忘れて三人で談笑する。俺が二股していることなんて事実ではなかったかのようにミチとレンは仲良く口喧嘩をしていた。
「ミチコちゃん、面会時間終わりだよ」
空が赤く染まる頃、レンの父親が病室に戻ってきた。
「ぁ、は、はいっ! かか、帰りますっ」
「送るよ。もう暗くなる」
「えっ、ゃ、い、いやっ、そそ、そんなっ」
「子供が遠慮しない。女の子に夜道を歩かせられる訳ないだろう?」
ミチが今着ているのはパーカーとカーゴパンツ。髪もボサボサ。しかし父親は少女だと信じて疑わない。
「月乃宮、お前もそろそろ自分の部屋に戻ったらどうだ。今日退院なんだろ? もう迎えが来てるんじゃないか?」
「ぁ、はい……そうなんですけど、泊まろうかと思って。レンと一緒に居たいし」
「……血縁でもないのに泊まれるわけないだろう、病院はホテルじゃないんだ。また明日来ればいいだろ」
レンには明日がないかもしれない。深夜に体調が急変して、ナースコールも押せないまま死ぬかもしれない。
「もち、また明日な。父さんもばいばい、みっちーも」
いつもと変わらないように見えて、いつもよりは弱い笑顔。レンは自分に明日があると信じている。
「ば、ばばっ、ばいばい如月くんっ!」
「またな、レン」
俺も挨拶しないと。また明日と笑ってレンに明日を確信させておかないと。
「レン……ま、また、後でな」
「明日だろ、ばかもち。家着いたらメッセくれよ」
「……うん」
父親が泊まるなら帰ってもよかったが、父親も帰るなら俺はレンの傍に居る。今から明日の面会時間まで一人きりだなんて時間がもったいない。
「ミチコちゃん、その……レンと付き合ってて、どうだ?」
「えっ? ぁ、ゃ、あのっ、付き合ってるって言うか……あのっ、服貸してもらったり、め、めめ、めいく……教えてもらったり、で、そのっ」
「……あぁ、女友達なんだね。そうか、そうだね、でなきゃガラの悪い男と浮気してるような彼氏の見舞いなんてすぐにやめるね」
父親とミチの後ろを歩いているのだが、会話に参加していないのに嫌味が飛んでくる。
「おかしいと思ったんだ、レンが彼女なんて。レンめ……嘘なんてつかなくても分かってるのに」
悲しげな声だ。父親はミチの頭を撫でて微笑んでいる、俺も昔はしてもらえていたのに不良のフリをしてしまった今はもう無理だ。
「ぁ、かか、階段なんですね……」
「エレベーターがよかったかな」
「い、いいっ、いえ!」
父親は健康志向だ、階段で降りると思っていた。
「……ミチコちゃん、好きな子は居るの?」
「えっ、ぁ……そ、そそ、そのっ、月乃宮君……」
「…………お前なんでそんなモテるんだ」
睨まれても困る。
「……こんなのやめておきなさい、ミチコちゃん」
義理の息子に対して「こんなの」は酷い。父親の代わりに病院に泊まる気でいるのに。病院には親族しか泊まれない? 患者の容態などの細かい条件がいる? 問題ない、レンの付き添いでは泊まらない。入院を長引かせるのだ。
「……っ!」
左足のスリッパを右足で踏んで、普通に歩こうとする。そうすれば人は転ぶ。自分から身体を傾けるよりも躊躇が少なく済むいい手だ。
「つっ、つつつつつっ、月乃宮くんっ!?」
階段の踊り場に横たわる。三段目から落ちただけなのだが、結構痛い。重傷になってはレンの部屋にいけないから控えめにしたが、これ……大丈夫かな。
「待てミチコちゃん触るな! 頭を打ったかもしれないから動かさない方がいい、人を呼んできてくれ」
「は、はははっ、は、はい!」
処置後、病室に運び込まれると既に母は居なかった。医者いわく俺が階段から落ちたと聞いて帰ったらしい。
「……君は毎日怪我をするね」
医者にまで嫌味を言われた。
「用がない限り外に出ない、階移動はエレベーター、廊下は走らない、いいね」
「はい……」
医者は深いため息の後、病室を後にした。
狙い通り退院は遠のいた、と言っても一日だけだ。明日も転ぶかな、流石に怪しまれるか。
消灯後、毛布の下に服や鞄を詰めて寝ている俺を装い、見回りの目を盗んで廊下を走り、レンの部屋に入った。
「レーンー……? 起きてるか?」
病室には微かな灯りが見えた。スリッパを履いて近寄ると灯りは消えた、どうやらスマホだったようだ、看護師が来たと思ったのだろう。
「レン、俺だよ俺」
「もち……? お前っ、退院したんじゃ」
「しーっ……静かに。退院は明日だよ、お義父さん聞き間違えたんだろうな」
簡単に納得してくれたレンは嬉しそうに声を弾ませた。
「消灯なのに俺のとこ来たのか? 悪いな、流石不良」
「やめてくれよ……不良らしいこと最近全然出来てねぇし」
「ははっ、だな。なぁ、寒くないか? 隣来いよ」
レンは毛布を持ち上げて自分の隣にスペースを作った。チューブなどもよけてくれて俺が寝転がる広さは十分にある。
「……えっ、い、いいの?」
「何想像してるんだよ、えろもち。今まで何度も一緒に寝できただろ」
「そ、それはそうだけどさぁ……分かったよ、隣行くよ……変な気起こしても知らないぞ」
「もちが何かしてきたらナースコール押すわ」
軽口を叩き合いながら俺はレンの隣に寝転がる。消毒液に混じってレンの匂いがする、俺の安眠のために必要な匂いだ。
「……あったかい」
俺の安心のために必要な体温だ。やはり俺にとってレンだけは特別なのだ。幼い頃に一目惚れをして求婚して、知らぬ間に恋を忘れて、男に抱かれた後に恋を思い出して──
「レン、好き」
「ナースコール」
「好きって言っただけじゃん!」
「冗談だよ、大声出すな」
レンはまだ俺の想いも自分の想いも茶化してしまう。照れ隠しだろうけど、そんな甘酸っぱい日々を過ごす時間はレンにはない。
「……なぁ、お嫁さんに腕枕してやりたいんだけど」
「泣き虫だったもちが男らしくなってお嫁さん嬉しい。でも、首に刺さってるのもあるからさ……ごめんな? 俺が腕枕してやろうか?」
夫の方が腕枕されるのは俺の理想ではない。
「……お嫁さんにマッサージしてやりたいな」
「色々チューブ繋がってるからうつ伏せになれないけど」
「仰向けのままでいいよ、ちゃんと気持ちよくするから任せてくれ」
毛布の中に潜ってレンに覆いかぶさる。決して体重はかけないように気を付けながら入院着をはだけさせ、暗闇の中で肌を晒す。
「まずは、えっと……肩から施術させていただきますね」
「前から? はは、新鮮だな」
肩を揉むにはやはり親指を押し込まなければならない。しかし、肩に前から手を置くのでは上手く出来ない。なので軽く押すだけにして、さっさと手を胸に移した。
「む、胸のせじゅちゅに移ります」
「噛むなよ。ってか肩ほぐれてませんけど」
「仰向けなんで無理です」
軽く誤魔化して胸の側面を撫でる。手探りで胸筋の境目を見つけ、下側から持ち上げるように愛撫する。暗くて見えないが平たい胸の形はきっと変わらない。
「ふ、ふへっ、まな板……擦り付けてぇ……」
「……ナースコール押そうかな」
「ただの施術でーす」
揉む脂肪どころか筋肉すらない平たい胸を両手で覆い、指の付け根に力を込める。手の動きは揉んでいるようになるが、胸筋をほぐすことすら出来ない。
「え、と……ひ、皮膚の状態を知るため、舌を使います。味で体調を測ります……?」
「……これがテイストマッサージかーすごーい」
わざとらしい棒読みの声は怒っていないことを示している。俺は概念としてしか存在しない胸の谷間に舌を這わせた。微かに汗の味がする。
「ん……ん、おいし……レン、レンすき……おいし、すき……」
谷間に留まらず胸全体を舐め回していく。舌が柔らかいままの乳首を見つけたのでそれに吸い付く。
「ん、んちゅ、んん……」
「……マッサージ師さん、それはどういうマッサージ?」
「んっ、コリをほぐしてます。硬くなってるので」
何の開発もされていないから俺のようには反応しないけれど、刺激を送り続けた甲斐あって少し膨らんだレンの乳首を唇で挟む。
「はむ、んっ……んん」
「…………ほぐすなら口じゃなくていいんじゃないですか?」
「ん、温熱療法? です……ぁ、むっ、んん……ん、ふあ……口の方が温度高いから」
「ふーん…………ふふっ、こじつけ下手だな。なぁ、マッサージ師さん? 手も動かすべきだと思うんだけど」
後頭部にレンの手が回る。軽く押さえながら撫でてくれるので吸っていていいのだと判断し、乳首を吸いながら両手でレンの腹を撫で回した。
「……もち、俺の体触るの楽しい?」
「んっ」
「普段からもっと触らせてやればよかったな」
何も言えないのに何か言いたくて口を離してしまった。
「…………もち? あぁ、ごめんな。気ぃ遣うなよ、マッサージごっこ続けようぜ」
「つ、次は……足、やりますね」
「腹は? ちょっと撫でただけじゃん」
内臓に傷があると聞いているのに腹を押したりなんて出来ない。
「マッサージは筋肉にするものですから」
「ふーん? あのさ、足はいいからさ、硬くなってるとこほぐしてくれない?」
レンは俺の右手首を握り、俺の右手に自身の陰茎を触らせた。服越しだが感触ははっきりと伝わってくる。
「これ筋肉じゃないからダメかな」
「い、いえっ! 俺の口腔温熱療法でほぐしてみせます」
「口腔温熱って……ふふっ、くっだらねぇなぁ……フェラだよな? 嫌じゃないなら頼むよ、マッサージ師さん?」
くつくつと笑うレンはきっと挑発的な笑顔を浮かべているのだろう。真っ暗で見えないのがもったいない。
「レンの……レンのっ、さ、ささ、触って……!? ぇ、あっ、ぱ、ぱんつ……レンのぱんつ」
「……お前本当に俺のこと好きなんだな、嬉しいよ。いいよ、好きにして。脱がせよ」
「………………被っていい?」
「…………好きにしろよ」
震える手でレンの下着を掴み、下ろしていく。親指の背に触れる足のもち肌が俺の愚息に効く。
「れんのぱんつぅ……! レン、これもらっていい?」
「もう何でも好きにしろよ」
何の変哲もないボクサーパンツを被り、クロッチ部分に鼻を押し付けて深呼吸。
「もち……お前いつの間にそんな変態に」
「レンの匂いがする……あっ、そうだ、フェラするんだよな、レンのしゃぶっていいんだよな。パンツ被ったままでいい?」
どうせ暗くて何も見えないんだ、下着で視界が邪魔されてもいい。
「別にいいけどさ、どう被ってんのお前」
「口は出さなきゃだから、えっと……縦に被って股のところに鼻当てて、足出す穴から口出してる」
普通は横に被って足を出す穴から目を出すのだろう。ん? 普通……?
「あぁ、そう」
「えっと、しゃ、しゃぶっていいんだよな? 本当にいいんだよな、やった、レンの……あれ? 柔らかいじゃん」
「お前の変態っぷりにドン引きして萎えたんだよ……」
被っていいと言ったくせに萎えないで欲しい。しかしそう言っても仕方ないので、とりあえず刺激すれば勃つだろうから柔らかいままの陰茎を握った。
「ミチコちゃん、面会時間終わりだよ」
空が赤く染まる頃、レンの父親が病室に戻ってきた。
「ぁ、は、はいっ! かか、帰りますっ」
「送るよ。もう暗くなる」
「えっ、ゃ、い、いやっ、そそ、そんなっ」
「子供が遠慮しない。女の子に夜道を歩かせられる訳ないだろう?」
ミチが今着ているのはパーカーとカーゴパンツ。髪もボサボサ。しかし父親は少女だと信じて疑わない。
「月乃宮、お前もそろそろ自分の部屋に戻ったらどうだ。今日退院なんだろ? もう迎えが来てるんじゃないか?」
「ぁ、はい……そうなんですけど、泊まろうかと思って。レンと一緒に居たいし」
「……血縁でもないのに泊まれるわけないだろう、病院はホテルじゃないんだ。また明日来ればいいだろ」
レンには明日がないかもしれない。深夜に体調が急変して、ナースコールも押せないまま死ぬかもしれない。
「もち、また明日な。父さんもばいばい、みっちーも」
いつもと変わらないように見えて、いつもよりは弱い笑顔。レンは自分に明日があると信じている。
「ば、ばばっ、ばいばい如月くんっ!」
「またな、レン」
俺も挨拶しないと。また明日と笑ってレンに明日を確信させておかないと。
「レン……ま、また、後でな」
「明日だろ、ばかもち。家着いたらメッセくれよ」
「……うん」
父親が泊まるなら帰ってもよかったが、父親も帰るなら俺はレンの傍に居る。今から明日の面会時間まで一人きりだなんて時間がもったいない。
「ミチコちゃん、その……レンと付き合ってて、どうだ?」
「えっ? ぁ、ゃ、あのっ、付き合ってるって言うか……あのっ、服貸してもらったり、め、めめ、めいく……教えてもらったり、で、そのっ」
「……あぁ、女友達なんだね。そうか、そうだね、でなきゃガラの悪い男と浮気してるような彼氏の見舞いなんてすぐにやめるね」
父親とミチの後ろを歩いているのだが、会話に参加していないのに嫌味が飛んでくる。
「おかしいと思ったんだ、レンが彼女なんて。レンめ……嘘なんてつかなくても分かってるのに」
悲しげな声だ。父親はミチの頭を撫でて微笑んでいる、俺も昔はしてもらえていたのに不良のフリをしてしまった今はもう無理だ。
「ぁ、かか、階段なんですね……」
「エレベーターがよかったかな」
「い、いいっ、いえ!」
父親は健康志向だ、階段で降りると思っていた。
「……ミチコちゃん、好きな子は居るの?」
「えっ、ぁ……そ、そそ、そのっ、月乃宮君……」
「…………お前なんでそんなモテるんだ」
睨まれても困る。
「……こんなのやめておきなさい、ミチコちゃん」
義理の息子に対して「こんなの」は酷い。父親の代わりに病院に泊まる気でいるのに。病院には親族しか泊まれない? 患者の容態などの細かい条件がいる? 問題ない、レンの付き添いでは泊まらない。入院を長引かせるのだ。
「……っ!」
左足のスリッパを右足で踏んで、普通に歩こうとする。そうすれば人は転ぶ。自分から身体を傾けるよりも躊躇が少なく済むいい手だ。
「つっ、つつつつつっ、月乃宮くんっ!?」
階段の踊り場に横たわる。三段目から落ちただけなのだが、結構痛い。重傷になってはレンの部屋にいけないから控えめにしたが、これ……大丈夫かな。
「待てミチコちゃん触るな! 頭を打ったかもしれないから動かさない方がいい、人を呼んできてくれ」
「は、はははっ、は、はい!」
処置後、病室に運び込まれると既に母は居なかった。医者いわく俺が階段から落ちたと聞いて帰ったらしい。
「……君は毎日怪我をするね」
医者にまで嫌味を言われた。
「用がない限り外に出ない、階移動はエレベーター、廊下は走らない、いいね」
「はい……」
医者は深いため息の後、病室を後にした。
狙い通り退院は遠のいた、と言っても一日だけだ。明日も転ぶかな、流石に怪しまれるか。
消灯後、毛布の下に服や鞄を詰めて寝ている俺を装い、見回りの目を盗んで廊下を走り、レンの部屋に入った。
「レーンー……? 起きてるか?」
病室には微かな灯りが見えた。スリッパを履いて近寄ると灯りは消えた、どうやらスマホだったようだ、看護師が来たと思ったのだろう。
「レン、俺だよ俺」
「もち……? お前っ、退院したんじゃ」
「しーっ……静かに。退院は明日だよ、お義父さん聞き間違えたんだろうな」
簡単に納得してくれたレンは嬉しそうに声を弾ませた。
「消灯なのに俺のとこ来たのか? 悪いな、流石不良」
「やめてくれよ……不良らしいこと最近全然出来てねぇし」
「ははっ、だな。なぁ、寒くないか? 隣来いよ」
レンは毛布を持ち上げて自分の隣にスペースを作った。チューブなどもよけてくれて俺が寝転がる広さは十分にある。
「……えっ、い、いいの?」
「何想像してるんだよ、えろもち。今まで何度も一緒に寝できただろ」
「そ、それはそうだけどさぁ……分かったよ、隣行くよ……変な気起こしても知らないぞ」
「もちが何かしてきたらナースコール押すわ」
軽口を叩き合いながら俺はレンの隣に寝転がる。消毒液に混じってレンの匂いがする、俺の安眠のために必要な匂いだ。
「……あったかい」
俺の安心のために必要な体温だ。やはり俺にとってレンだけは特別なのだ。幼い頃に一目惚れをして求婚して、知らぬ間に恋を忘れて、男に抱かれた後に恋を思い出して──
「レン、好き」
「ナースコール」
「好きって言っただけじゃん!」
「冗談だよ、大声出すな」
レンはまだ俺の想いも自分の想いも茶化してしまう。照れ隠しだろうけど、そんな甘酸っぱい日々を過ごす時間はレンにはない。
「……なぁ、お嫁さんに腕枕してやりたいんだけど」
「泣き虫だったもちが男らしくなってお嫁さん嬉しい。でも、首に刺さってるのもあるからさ……ごめんな? 俺が腕枕してやろうか?」
夫の方が腕枕されるのは俺の理想ではない。
「……お嫁さんにマッサージしてやりたいな」
「色々チューブ繋がってるからうつ伏せになれないけど」
「仰向けのままでいいよ、ちゃんと気持ちよくするから任せてくれ」
毛布の中に潜ってレンに覆いかぶさる。決して体重はかけないように気を付けながら入院着をはだけさせ、暗闇の中で肌を晒す。
「まずは、えっと……肩から施術させていただきますね」
「前から? はは、新鮮だな」
肩を揉むにはやはり親指を押し込まなければならない。しかし、肩に前から手を置くのでは上手く出来ない。なので軽く押すだけにして、さっさと手を胸に移した。
「む、胸のせじゅちゅに移ります」
「噛むなよ。ってか肩ほぐれてませんけど」
「仰向けなんで無理です」
軽く誤魔化して胸の側面を撫でる。手探りで胸筋の境目を見つけ、下側から持ち上げるように愛撫する。暗くて見えないが平たい胸の形はきっと変わらない。
「ふ、ふへっ、まな板……擦り付けてぇ……」
「……ナースコール押そうかな」
「ただの施術でーす」
揉む脂肪どころか筋肉すらない平たい胸を両手で覆い、指の付け根に力を込める。手の動きは揉んでいるようになるが、胸筋をほぐすことすら出来ない。
「え、と……ひ、皮膚の状態を知るため、舌を使います。味で体調を測ります……?」
「……これがテイストマッサージかーすごーい」
わざとらしい棒読みの声は怒っていないことを示している。俺は概念としてしか存在しない胸の谷間に舌を這わせた。微かに汗の味がする。
「ん……ん、おいし……レン、レンすき……おいし、すき……」
谷間に留まらず胸全体を舐め回していく。舌が柔らかいままの乳首を見つけたのでそれに吸い付く。
「ん、んちゅ、んん……」
「……マッサージ師さん、それはどういうマッサージ?」
「んっ、コリをほぐしてます。硬くなってるので」
何の開発もされていないから俺のようには反応しないけれど、刺激を送り続けた甲斐あって少し膨らんだレンの乳首を唇で挟む。
「はむ、んっ……んん」
「…………ほぐすなら口じゃなくていいんじゃないですか?」
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「ふーん…………ふふっ、こじつけ下手だな。なぁ、マッサージ師さん? 手も動かすべきだと思うんだけど」
後頭部にレンの手が回る。軽く押さえながら撫でてくれるので吸っていていいのだと判断し、乳首を吸いながら両手でレンの腹を撫で回した。
「……もち、俺の体触るの楽しい?」
「んっ」
「普段からもっと触らせてやればよかったな」
何も言えないのに何か言いたくて口を離してしまった。
「…………もち? あぁ、ごめんな。気ぃ遣うなよ、マッサージごっこ続けようぜ」
「つ、次は……足、やりますね」
「腹は? ちょっと撫でただけじゃん」
内臓に傷があると聞いているのに腹を押したりなんて出来ない。
「マッサージは筋肉にするものですから」
「ふーん? あのさ、足はいいからさ、硬くなってるとこほぐしてくれない?」
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「これ筋肉じゃないからダメかな」
「い、いえっ! 俺の口腔温熱療法でほぐしてみせます」
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くつくつと笑うレンはきっと挑発的な笑顔を浮かべているのだろう。真っ暗で見えないのがもったいない。
「レンの……レンのっ、さ、ささ、触って……!? ぇ、あっ、ぱ、ぱんつ……レンのぱんつ」
「……お前本当に俺のこと好きなんだな、嬉しいよ。いいよ、好きにして。脱がせよ」
「………………被っていい?」
「…………好きにしろよ」
震える手でレンの下着を掴み、下ろしていく。親指の背に触れる足のもち肌が俺の愚息に効く。
「れんのぱんつぅ……! レン、これもらっていい?」
「もう何でも好きにしろよ」
何の変哲もないボクサーパンツを被り、クロッチ部分に鼻を押し付けて深呼吸。
「もち……お前いつの間にそんな変態に」
「レンの匂いがする……あっ、そうだ、フェラするんだよな、レンのしゃぶっていいんだよな。パンツ被ったままでいい?」
どうせ暗くて何も見えないんだ、下着で視界が邪魔されてもいい。
「別にいいけどさ、どう被ってんのお前」
「口は出さなきゃだから、えっと……縦に被って股のところに鼻当てて、足出す穴から口出してる」
普通は横に被って足を出す穴から目を出すのだろう。ん? 普通……?
「あぁ、そう」
「えっと、しゃ、しゃぶっていいんだよな? 本当にいいんだよな、やった、レンの……あれ? 柔らかいじゃん」
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