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友達連れて後輩の見舞いに行ってみた
根野が帰り、従兄も部屋を去った。物の少ない病室に一人きり、鉄格子のついた窓を眺める。余計憂鬱になって寝転がり、照明の眩しさに頭から毛布を被る。
「暇……」
センパイとミチの無事を確かめたい。レンに会いたい。根野に泊まって欲しかった。従兄に話し相手になって欲しかった。
「寂しい……」
スマホも紛失し、自分と向き合うしかない時間が訪れた。先程まで根野に愛撫されていた後孔も寂しがっている、自分の指で慰められるだろうか?
「んっ……! ん、んんっ……」
毛布の中で丸まって、切なげにヒクつく後孔に中指を咥えさせる。ちゅうちゅうと吸い付いてくる様は面白い、指を突っ込んでいたくなる。さっきしてもらった愛撫も根野にとって退屈ではなかったのかもしれない。
「ん、ぁっ、あっ……? んんぅ……んっ、どこ……?」
腹側の腸壁をゆっくりと押し撫でてつぶつぶとした感触やひだを見つけるが、肝心の前立腺が見つからない。
「この辺っ、なのに……なんでっ、ぁ、あっ……! んんっ! んっ、く……ふ、ぁうっ……ちがう、もっと奥……? ひぁっ!? あっ、ここっ、ここぉ……!」
ようやく見つけた前立腺を指でコリコリと撫で回してみるが、根野にされていた時ほどの快感がない。
「あれ……? んっ、きもちぃっ、きもちぃ……のに、なんかっ、足りない……なんでぇ……?」
ぐちゅぐちゅと恥ずかしい音を立て、どこか冷めた気持ちのまま自慰を続けた。快感も気分も盛り上がらず、けれど絶頂するまではやめる発想もなく、だらだらと後孔を弄り続ける。
「んっ、ん……んぅっ、く、ふぅうんっ……!」
結局、俺は夕飯の時間になるまで自慰をやめられなかった。
食事を終え、替えてもらったばかりのシーツの上に寝転がる。精液臭くも湿ってもカピカピしてもいない綺麗なシーツは寝心地がいい。
「センパイ……来てくれるかな、来てくれるよね……」
明日、きっと見舞いに来てくれるだろうセンパイを思い描き、頬を緩める。同時に、会うならば家に帰ってピアスを選び直してから、髪を整えてからがいいと思ってしまう。
「ちゃんとしたカッコで会いたいなぁ……」
根野の時にも思ったけれど、こればかりはどうしようもない。ふて寝のように目を閉じ、けれども目が冴えて眠れず、退屈な夜を過ごした。
朝食の知らせに欠伸で応える。拘束具を外されたら顔を洗い、歯を磨いて、ベッドに戻って朝食に手を合わせる。
「いただきます」
拘束具をつけ直して出ていけばいいのに、従兄はベッドの隣に置いたパイプ椅子に腰掛けてサラダチキンを齧っている。病院一階のコンビニで買ったものだろう。
「あの……」
無言が気まずくて声をかけると、センパイによく似た三白眼がこちらに向く。センパイの目には慈愛や肉欲が混じっているけれど、従兄の目には何も混じらない。
「えっと、その」
従兄が心優しい人間だということは分かっているけれど、黒い穴のような光のない目は怖い。ハッキリとは焦点が合わない目は彼が無感情な人間だと誤解させる。
「どうして……ずっと、ここに居るんです? 拘束具の鍵だって、ご飯持ってきてくれる人にでも渡しておけばいいのに……なんで、わざわざ」
「一人で食べるの嫌かなーと思って。一人で食べたいなら次からは来ませんよ」
「いえ……それなら、嬉しいです。一緒に食べてください……出来れば、会話も」
「はい、何話します?」
「あ、えっと……じゃあゲームの話していいですか?」
柔らかく微笑む従兄の目は死んだ魚のようなまま、だから今の言葉は嘘……そう感じてしまうけれど、従兄は今嘘なんてついていないはずだ。怖い目をしているだけ、あの目は彼の内面を映してなんていない、俺はそう思っている。
「最近は厳選楽でいいですねぇ。しかし個体値はともかく性格をアイテムで変えられるのってなんか怖くないですか?」
「深く考えたことなかったんですけど、確かにちょっと怖いかもですね」
「色違いもアイテムで出来たら楽なのに……」
「何か食わせて色変えるのも塗って色変えるのも倫理的にダメでしょ」
会話は弾み、食事は遅れ、ようやく食器を片付けた頃にコンコンと扉が叩かれた。センパイかもしれないと焦る俺を他所に、従兄は勝手に「どうぞ」と返事をした。
「……入るぞ」
「お邪魔しまーっす」
「お見舞いだぜお嬢」
「酒盛りしようぜー」
病院の天井は高いと思っていたが、引き戸の枠に頭を擦りそうになっているセンパイ見て考えを改めた。
「…………ノゾム、怪我は」
従兄が席を立って脇に避け、センパイがベッド横にぴったりと立つ。
「センパイっ……! 俺は何ともありませんよ、それよりセンパイは大丈夫なんですか? 手とか腕とか酷いことされてましたよね、見せてください」
俺が人質になっていた間、センパイは無抵抗で不良達に殴られていた。それも金属バットや鉄パイプなどの凶器で。
「……平気だ」
センパイの腕には包帯やガーゼは見受けられないし、褐色の皮膚にアザなどは見つけられなかった。
「手とか、ヒビ入ったかもって……」
「……鉄パイプやバットごときで骨がどうにかなるわけがない。あの瞬間、少し痛かっただけだ」
それよりこっち、とセンパイは右手人差し指を突き出す。テープなどで処置されて患部は見えないが、爪が剥がされたのだ、今も相当痛いだろう。
「お前しょっちゅう手怪我してんな」
「……兄ちゃん。これ、どれくらいで治る?」
「基本三ヶ月だが、うちの最先端医療なら一週間まで短縮出来る」
「…………逆に怖い。だが、頼む」
従兄と軽く言葉を交わしたセンパイは俺に視線を戻す。幼かった表情が歳上のものに変わる過程がよく分かった。
「センパイ……ごめんなさいっ、俺、俺のせいで、センパイっ」
「……気にするな。一週間程度で治せると兄ちゃんが言っていただろう? それよりお前だ、お前の怪我はどうなんだ?」
「歯の治療と、薬の影響の検査くらいで……別に、大したことは」
「顔面、腹部に打撲があった。アザあるだろ? 触ってやるなよ、國行」
センパイはじっと俺の顔を見つめた後、毛布と入院着をめくって腹を観察した。眉をひそめた後、優しく首を撫でる。
「…………この包帯は」
「こ、これも怪我です……でも大したことはないので」
「……………………すまなかった」
センパイはベッドに膝を乗せて俺を抱き締めた。たった一日しか空いていないはずなのに、たくましい身体は酷く久しぶりに思えて、何故か涙が溢れた。
「……俺の、今までの悪行のツケが……今更、しかもお前に回ってくるなんて……如月に言われるまで想像もしていなかった」
恐る恐るセンパイのシャツを掴み、分厚い胸筋に顔を押し付ける。安心するセンパイの匂いがして、少し眠くなった。
「…………すまない。本当に……ごめん。ノゾム……お前にだけは、もう傷付いて欲しくないのに……因果報応は俺にあるべきなのに…………ノゾムばかり、こんな……」
傷のない頬の端っこを撫でながら、センパイは俺を優しい瞳で見下ろす。抱擁に感激して何も言えないまま、せめてもの返事をと微笑んでみた。
「……っ! ノゾム、ノゾムっ……ごめんなノゾム、すまない……!」
より強く抱き締められて肋骨が軋むのを感じた。
「せん、ぱっ……苦し……」
「クニちゃん加減しねぇとお嬢潰れるって!」
「普通の人間クニちゃんのハグ耐えらんねぇから!」
先輩達が気付いてセンパイの腕を引っ張ってくれて、抱擁が終わる。代わりにセンパイは俺の両肩を掴んで目を合わせた。
「……ノゾム。俺を……嫌いになったか?」
「なるわけないでしょ……センパイは助けに来てくれたじゃないですか。俺、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。その心配するのは俺の方です、足でまといな俺のこと、嫌になってませんか?」
「……っ、なるわけない! ノゾム……ノゾム、もう離れない。誰にも襲わせない。ずっと傍に居るからな」
「その言葉だけでも嬉しいです」
誘拐は俺の過失だ。センパイとレンの口喧嘩を見たくないからと無警戒に外へ出た俺が悪い。
「センパイは悪くないんですから、もう気にしないでください……ほら泣かないで、俺センパイの泣き顔嫌いですよ」
幼さの残る可愛い人、彼の心を傷付けてばかりの俺も、彼を痛めつけたあの不良どもも、みんなみんな大嫌いだ。
「ふふっ……そうです、そのぎこちない笑顔、大好きです」
不器用な可愛い人、彼の過去の所業なんてもう考えたくもない。俺にとっては今の彼が全てだ、復讐なんてもうさせない、俺はもう油断しない。
「暇……」
センパイとミチの無事を確かめたい。レンに会いたい。根野に泊まって欲しかった。従兄に話し相手になって欲しかった。
「寂しい……」
スマホも紛失し、自分と向き合うしかない時間が訪れた。先程まで根野に愛撫されていた後孔も寂しがっている、自分の指で慰められるだろうか?
「んっ……! ん、んんっ……」
毛布の中で丸まって、切なげにヒクつく後孔に中指を咥えさせる。ちゅうちゅうと吸い付いてくる様は面白い、指を突っ込んでいたくなる。さっきしてもらった愛撫も根野にとって退屈ではなかったのかもしれない。
「ん、ぁっ、あっ……? んんぅ……んっ、どこ……?」
腹側の腸壁をゆっくりと押し撫でてつぶつぶとした感触やひだを見つけるが、肝心の前立腺が見つからない。
「この辺っ、なのに……なんでっ、ぁ、あっ……! んんっ! んっ、く……ふ、ぁうっ……ちがう、もっと奥……? ひぁっ!? あっ、ここっ、ここぉ……!」
ようやく見つけた前立腺を指でコリコリと撫で回してみるが、根野にされていた時ほどの快感がない。
「あれ……? んっ、きもちぃっ、きもちぃ……のに、なんかっ、足りない……なんでぇ……?」
ぐちゅぐちゅと恥ずかしい音を立て、どこか冷めた気持ちのまま自慰を続けた。快感も気分も盛り上がらず、けれど絶頂するまではやめる発想もなく、だらだらと後孔を弄り続ける。
「んっ、ん……んぅっ、く、ふぅうんっ……!」
結局、俺は夕飯の時間になるまで自慰をやめられなかった。
食事を終え、替えてもらったばかりのシーツの上に寝転がる。精液臭くも湿ってもカピカピしてもいない綺麗なシーツは寝心地がいい。
「センパイ……来てくれるかな、来てくれるよね……」
明日、きっと見舞いに来てくれるだろうセンパイを思い描き、頬を緩める。同時に、会うならば家に帰ってピアスを選び直してから、髪を整えてからがいいと思ってしまう。
「ちゃんとしたカッコで会いたいなぁ……」
根野の時にも思ったけれど、こればかりはどうしようもない。ふて寝のように目を閉じ、けれども目が冴えて眠れず、退屈な夜を過ごした。
朝食の知らせに欠伸で応える。拘束具を外されたら顔を洗い、歯を磨いて、ベッドに戻って朝食に手を合わせる。
「いただきます」
拘束具をつけ直して出ていけばいいのに、従兄はベッドの隣に置いたパイプ椅子に腰掛けてサラダチキンを齧っている。病院一階のコンビニで買ったものだろう。
「あの……」
無言が気まずくて声をかけると、センパイによく似た三白眼がこちらに向く。センパイの目には慈愛や肉欲が混じっているけれど、従兄の目には何も混じらない。
「えっと、その」
従兄が心優しい人間だということは分かっているけれど、黒い穴のような光のない目は怖い。ハッキリとは焦点が合わない目は彼が無感情な人間だと誤解させる。
「どうして……ずっと、ここに居るんです? 拘束具の鍵だって、ご飯持ってきてくれる人にでも渡しておけばいいのに……なんで、わざわざ」
「一人で食べるの嫌かなーと思って。一人で食べたいなら次からは来ませんよ」
「いえ……それなら、嬉しいです。一緒に食べてください……出来れば、会話も」
「はい、何話します?」
「あ、えっと……じゃあゲームの話していいですか?」
柔らかく微笑む従兄の目は死んだ魚のようなまま、だから今の言葉は嘘……そう感じてしまうけれど、従兄は今嘘なんてついていないはずだ。怖い目をしているだけ、あの目は彼の内面を映してなんていない、俺はそう思っている。
「最近は厳選楽でいいですねぇ。しかし個体値はともかく性格をアイテムで変えられるのってなんか怖くないですか?」
「深く考えたことなかったんですけど、確かにちょっと怖いかもですね」
「色違いもアイテムで出来たら楽なのに……」
「何か食わせて色変えるのも塗って色変えるのも倫理的にダメでしょ」
会話は弾み、食事は遅れ、ようやく食器を片付けた頃にコンコンと扉が叩かれた。センパイかもしれないと焦る俺を他所に、従兄は勝手に「どうぞ」と返事をした。
「……入るぞ」
「お邪魔しまーっす」
「お見舞いだぜお嬢」
「酒盛りしようぜー」
病院の天井は高いと思っていたが、引き戸の枠に頭を擦りそうになっているセンパイ見て考えを改めた。
「…………ノゾム、怪我は」
従兄が席を立って脇に避け、センパイがベッド横にぴったりと立つ。
「センパイっ……! 俺は何ともありませんよ、それよりセンパイは大丈夫なんですか? 手とか腕とか酷いことされてましたよね、見せてください」
俺が人質になっていた間、センパイは無抵抗で不良達に殴られていた。それも金属バットや鉄パイプなどの凶器で。
「……平気だ」
センパイの腕には包帯やガーゼは見受けられないし、褐色の皮膚にアザなどは見つけられなかった。
「手とか、ヒビ入ったかもって……」
「……鉄パイプやバットごときで骨がどうにかなるわけがない。あの瞬間、少し痛かっただけだ」
それよりこっち、とセンパイは右手人差し指を突き出す。テープなどで処置されて患部は見えないが、爪が剥がされたのだ、今も相当痛いだろう。
「お前しょっちゅう手怪我してんな」
「……兄ちゃん。これ、どれくらいで治る?」
「基本三ヶ月だが、うちの最先端医療なら一週間まで短縮出来る」
「…………逆に怖い。だが、頼む」
従兄と軽く言葉を交わしたセンパイは俺に視線を戻す。幼かった表情が歳上のものに変わる過程がよく分かった。
「センパイ……ごめんなさいっ、俺、俺のせいで、センパイっ」
「……気にするな。一週間程度で治せると兄ちゃんが言っていただろう? それよりお前だ、お前の怪我はどうなんだ?」
「歯の治療と、薬の影響の検査くらいで……別に、大したことは」
「顔面、腹部に打撲があった。アザあるだろ? 触ってやるなよ、國行」
センパイはじっと俺の顔を見つめた後、毛布と入院着をめくって腹を観察した。眉をひそめた後、優しく首を撫でる。
「…………この包帯は」
「こ、これも怪我です……でも大したことはないので」
「……………………すまなかった」
センパイはベッドに膝を乗せて俺を抱き締めた。たった一日しか空いていないはずなのに、たくましい身体は酷く久しぶりに思えて、何故か涙が溢れた。
「……俺の、今までの悪行のツケが……今更、しかもお前に回ってくるなんて……如月に言われるまで想像もしていなかった」
恐る恐るセンパイのシャツを掴み、分厚い胸筋に顔を押し付ける。安心するセンパイの匂いがして、少し眠くなった。
「…………すまない。本当に……ごめん。ノゾム……お前にだけは、もう傷付いて欲しくないのに……因果報応は俺にあるべきなのに…………ノゾムばかり、こんな……」
傷のない頬の端っこを撫でながら、センパイは俺を優しい瞳で見下ろす。抱擁に感激して何も言えないまま、せめてもの返事をと微笑んでみた。
「……っ! ノゾム、ノゾムっ……ごめんなノゾム、すまない……!」
より強く抱き締められて肋骨が軋むのを感じた。
「せん、ぱっ……苦し……」
「クニちゃん加減しねぇとお嬢潰れるって!」
「普通の人間クニちゃんのハグ耐えらんねぇから!」
先輩達が気付いてセンパイの腕を引っ張ってくれて、抱擁が終わる。代わりにセンパイは俺の両肩を掴んで目を合わせた。
「……ノゾム。俺を……嫌いになったか?」
「なるわけないでしょ……センパイは助けに来てくれたじゃないですか。俺、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。その心配するのは俺の方です、足でまといな俺のこと、嫌になってませんか?」
「……っ、なるわけない! ノゾム……ノゾム、もう離れない。誰にも襲わせない。ずっと傍に居るからな」
「その言葉だけでも嬉しいです」
誘拐は俺の過失だ。センパイとレンの口喧嘩を見たくないからと無警戒に外へ出た俺が悪い。
「センパイは悪くないんですから、もう気にしないでください……ほら泣かないで、俺センパイの泣き顔嫌いですよ」
幼さの残る可愛い人、彼の心を傷付けてばかりの俺も、彼を痛めつけたあの不良どもも、みんなみんな大嫌いだ。
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