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教え子はサメ好きのサプライズ嫌い
イルカに渡されたプレゼントの中身は手紙とイルカ型クッキーと、日付が刻印されたイルカのストラップだった。無難だ。
「恥ずかしかったぁ……」
「ごめんね? まさかサプライズ嫌いだとは思わなくって……本当にごめん」
まさか自分がサプライズの対象だとは思わず、直前に「サプライズなんて嫌だ」と話してしまった。落ち込む根野を見上げて「余計なことを言ってしまったな」と後悔する。
「落ち込まないでセンセ、大成功だよ。俺嬉しかった」
「気ぃ遣わなくていいよ……嫌いなんだろ?」
「サプライズなんかされたことないもん、何となく恥ずかしそうだし嫌だなって思ってただけ。恥ずかしかったし、勘弁してよって思ったけど、でも……イルカにプレゼント渡されて、嬉しくて、泣きそうになった」
「……実際受けてみたら好きだったってこと?」
そうなのだろうか? 確かに嬉しかったし、根野の想いも感じて嬉しさは倍増した。けれど、あの恥ずかしさは二度と味わいたくないと思っている。また似たようなサプライズを受けたら、どうせまた喜びが勝るのだろうけど。
「んー……俺はチョロくて単純ってことかな」
「ふーん……? ま、喜んでくれてよかった。ヒヤヒヤしてたんだよ、君がイルカ興味ないとか、サプライズやだとか言うから」
「ご、ごめん……でもイルカ可愛かったし、プレゼント嬉しいよ」
「手紙は帰ってから読んでね、恥ずかしいから」
「さっき俺めちゃくちゃ恥ずかしい思いしたのに……!」
俺の百分の一の恥ずかしさすら味わう気がないのか、屋内に戻っても他の客の視線と話し声が気になって仕方ないのに。いや、俺と同じ立場に置かれても根野は気にしなさそうだな、俺しか根野の感情を動かせないのだと思うと途端に誇らしくなってきた。
「……ねぇ、カナイって呼んでいい? 注目集めちゃったし……先生って呼んでたら、やっぱまずいと思うんだよね」
「ダメ。先生って呼んで」
「…………うん」
根野はいつまで経っても下の名前の叶で呼ばせてくれない。俺達の名前は望むと叶うでまるでセットのようなのに、下の名前で呼びたいのに、許してくれない。
「……あのさっ、センセ、なんで誕生日プレゼントってことにしたの? 担任なんだから俺の誕生日知ってるだろ? 俺の誕生日結構遠いよ」
何か理由があるのだと理解しているのに拒絶されているような気分になって落ち込んだ俺は、気分と空気を変えるために気になっていたことを尋ねた。
「だってサプライズ予約の理由、誕生日かプロポーズしかなくてプロポーズの方は男女じゃないとダメだったんだもん。指輪はもう渡してるしさ」
「そうなの……? そっか……」
「もちろん誕生日には別で何かしてあげるよ。またサプライズがいい?」
「サプライズなら言っちゃ意味ないじゃん。俺は静かにセンセの家で二人きりで祝ってくれるようなのでもいいよ」
根野は静かに微笑んでスマホを取り出し、何やらメモを残した。今の何気ない言葉が誕生日パーティの要望として受け取られてしまったのだろう。
「センセ、俺の誕生日知ってる?」
「四月の九日だろ?」
「えへへ……正解」
担任だったのだから知っていて当然なのに、覚えてくれていたと実感しただけで嬉しくなってしまうなんて、俺も大概乙女化が進んでいるな。
「じゃあノゾム、先生の誕生日分かるかな?」
「えっ……ご、ごめん、分かんない」
「一月二十一日だよ、教えてなかったかな……まぁいいや」
次聞かれた時に忘れてしまっていたら殺されかねないな、今回見逃されたことを幸運だと思って──いや、最近の根野は大人しいような気がする。療養の成果だろうか。
「ノゾム、二階にふれあいプールあるけど行かない?」
「ふれあい? 魚触れんの? ドクターフィッシュとか?」
「ネコザメっていうのと……」
「サメ!」
「ふふ、うん、サメだよ。よしよし、行こうね」
サメという単語にはしゃいでしまって根野に子供扱いされた。それだけでも十分恥ずかしかったのに、ふれあいプールとやらに来てみれば居るのは子供やカップルばかりで、なんだか居心地が悪かった。
「ネコザメってどれかな」
浅いプールを覗き込む根野の隣で俺はパネルを眺めた。俺がイメージするサメとは姿が随分違う。暗い茶色で、濃淡による縞模様があるのだ。これでは見つけられなくて当然だ。
「えっと……居た、コイツだ」
「コレ? なんかサメっぽくないね、ちっちゃい……一メートルなさそうだよ?」
「成体って書いてる。このサイズでもう大人なんだよ」
一メートルに満たない縞模様の身体をしなやかに曲げ、ネコザメは浅いプールを泳ぎ回っている。こんなに浅いと腹を底に擦ったり、水面から身体が一部出てしまったりしそうだが、そんな心配はないのだろうか。
「触っていいんだよね? うわぁ……サメ、初めて触るなぁ」
「え、大丈夫? 噛んだりしない」
「平気だよ。ちっちゃい子だって居るんだから。離してよ、恥ずかしいよ」
幼稚園児らしい子供まで水槽に手を入れているのに、俺だけ根野に止められるのは恥ずかしい。
「センセ、ちょっと鞄持ってて」
財布とスマホ、さっきもらったプレゼントが入っている鞄を根野に渡し、屈む。
「……っ、んんっ……!」
挿入しっぱなしのアナルパールが腸壁をごりゅごりゅと押し、揉み、前立腺などの弱点でも構わずに刺激する。
「ふっ……ふっ……サメ、サメ……」
腸が曲がる屈んだ姿勢は辛い、快感で頭がボーっとしてバランスも狂う。俺は床に膝をついて膝立ちになり、水槽に手を伸ばした。
「サメ……」
くすんだ茶色い縞模様の背に触れる。初めての感触だ、冷たくてザラザラしていて、それでいて生き物だと確実に分かる。
「…………ノーゾムっ」
独特の触り心地に夢中になって撫でていると、根野が顔を覗き込んできた。
「どう? 楽しい?」
「うん……ちょっと野菜に似てる。やっぱりサメはいいなぁ、筋肉と骨って感じのガチガチのカッコよさ……えへへ」
「冷たい水中で暮らしてるんだし皮下脂肪たっぷりじゃないの?」
「サメはそういうの肝臓に貯めるんだよ。海洋哺乳類とかは皮下脂肪で鎧作ってるようなもんだけど」
「ふーん……? 流石、詳しいね」
わしゃわしゃと金髪を乱すように撫でられ、せっかく気合を入れてワックスも使ってセットしてきたのにと思いつつも、撫でられる嬉しさが勝って笑顔で根野を見上げた。
「サメはお腹弱いんだよ、内臓を守る骨がないから……所詮魚類だからさ、哺乳類のシャチとかのが強いの。サメはイルカに突進されただけでも死ぬかもしれない」
「ふぅん……? あんまり強くないの? なのにサメ好きなんだ」
「うん、サメは超クールだから。獰猛で血に飢えてて、船の上でも陸の上でも空の上でもサメからは逃げられないんだ。宇宙に居たってサメに食べられちゃうんだよ」
「そんな馬鹿な。サメなんて海に居てもそうそう出会わないよ」
「浜辺でイチャついたらすぐに食べられるよ? 最近なら犬は大丈夫、食われたっぽくても実は生きてたってのがラストでチラッと分かるのがトレンド」
俺が好きなのはやっぱりホオジロザメだけれど、小さくて縞模様で大人しく撫でさせてくれるネコザメにサメらしさはあまり感じないけれど、ザラザラの肌は確かにサメのものだし触っていると愛着が湧いてくる。
「鼻先蹴っても無駄だし、銃も効かない。人間はバクバク食べられちゃうんだ。でもサメにめちゃくちゃ効く武器があるんだよ! 何だと思う?」
「え……? 銛とか?」
「分かってないなぁセンセ。チェーンソーだよチェーンソー! サメ特効武器!」
「……木とか切るやつでしょ、それ」
チッチッチッ……と根野の顔の前で人差し指を揺らす。根野はポケットからハンカチを取り出し、びしょ濡れの俺の手を拭いた。
「チェーンソーは明らかに刃の長さが足りてなくてもサメを真っ二つに出来るんだよ、チェーンソー最強! 最高!」
「……サメよりチェーンソーのが好き?」
「サメのが好き! チェーンソーはサメの対義語だよ、サメを引き立ててくれるけどサメの天敵でもある訳で……ぅ~、複雑な気持ちがあるよチェーンソーには」
「サメの対義語は……クジラとかじゃないの。いや、陸上で大人しい小さい……ウサギとかかな」
「チェーンソーだよ!? 常識だよセンセ、教師としてどうかと思う!」
「教職はもう辞めたもん。国語教師じゃないし」
根野は俺の手とそれを拭いたハンカチを交互に嗅ぎ、妙な顔をした。まるで人の靴下を嗅いだ猫だ。
「も~、センセはサメの基礎教養からやらなきゃだね。開祖にして至高の作品から、最新のぶっ飛び作品まで俺が持ってるサメ映画今度貸したげる」
「サメ映画ってクソが多いんだよなぁ……」
「鑑賞会しようねっ、ポップコーン買っといて」
「まぁノゾムが喜ぶなら……クソ見てもいいか」
「あ、それでね、頭が多いサメの映画もあるんだけど、実際に頭が二つあるサメは見つかってるから、あの映画の世界は起こり得ると俺思ってて……」
根野はサメの話を続ける俺をトイレに連れ込み、手を洗わせた。石鹸の匂いに変わった俺の手を嗅ぐと、根野は俺の手の甲に唇を触れさせた。
「恥ずかしかったぁ……」
「ごめんね? まさかサプライズ嫌いだとは思わなくって……本当にごめん」
まさか自分がサプライズの対象だとは思わず、直前に「サプライズなんて嫌だ」と話してしまった。落ち込む根野を見上げて「余計なことを言ってしまったな」と後悔する。
「落ち込まないでセンセ、大成功だよ。俺嬉しかった」
「気ぃ遣わなくていいよ……嫌いなんだろ?」
「サプライズなんかされたことないもん、何となく恥ずかしそうだし嫌だなって思ってただけ。恥ずかしかったし、勘弁してよって思ったけど、でも……イルカにプレゼント渡されて、嬉しくて、泣きそうになった」
「……実際受けてみたら好きだったってこと?」
そうなのだろうか? 確かに嬉しかったし、根野の想いも感じて嬉しさは倍増した。けれど、あの恥ずかしさは二度と味わいたくないと思っている。また似たようなサプライズを受けたら、どうせまた喜びが勝るのだろうけど。
「んー……俺はチョロくて単純ってことかな」
「ふーん……? ま、喜んでくれてよかった。ヒヤヒヤしてたんだよ、君がイルカ興味ないとか、サプライズやだとか言うから」
「ご、ごめん……でもイルカ可愛かったし、プレゼント嬉しいよ」
「手紙は帰ってから読んでね、恥ずかしいから」
「さっき俺めちゃくちゃ恥ずかしい思いしたのに……!」
俺の百分の一の恥ずかしさすら味わう気がないのか、屋内に戻っても他の客の視線と話し声が気になって仕方ないのに。いや、俺と同じ立場に置かれても根野は気にしなさそうだな、俺しか根野の感情を動かせないのだと思うと途端に誇らしくなってきた。
「……ねぇ、カナイって呼んでいい? 注目集めちゃったし……先生って呼んでたら、やっぱまずいと思うんだよね」
「ダメ。先生って呼んで」
「…………うん」
根野はいつまで経っても下の名前の叶で呼ばせてくれない。俺達の名前は望むと叶うでまるでセットのようなのに、下の名前で呼びたいのに、許してくれない。
「……あのさっ、センセ、なんで誕生日プレゼントってことにしたの? 担任なんだから俺の誕生日知ってるだろ? 俺の誕生日結構遠いよ」
何か理由があるのだと理解しているのに拒絶されているような気分になって落ち込んだ俺は、気分と空気を変えるために気になっていたことを尋ねた。
「だってサプライズ予約の理由、誕生日かプロポーズしかなくてプロポーズの方は男女じゃないとダメだったんだもん。指輪はもう渡してるしさ」
「そうなの……? そっか……」
「もちろん誕生日には別で何かしてあげるよ。またサプライズがいい?」
「サプライズなら言っちゃ意味ないじゃん。俺は静かにセンセの家で二人きりで祝ってくれるようなのでもいいよ」
根野は静かに微笑んでスマホを取り出し、何やらメモを残した。今の何気ない言葉が誕生日パーティの要望として受け取られてしまったのだろう。
「センセ、俺の誕生日知ってる?」
「四月の九日だろ?」
「えへへ……正解」
担任だったのだから知っていて当然なのに、覚えてくれていたと実感しただけで嬉しくなってしまうなんて、俺も大概乙女化が進んでいるな。
「じゃあノゾム、先生の誕生日分かるかな?」
「えっ……ご、ごめん、分かんない」
「一月二十一日だよ、教えてなかったかな……まぁいいや」
次聞かれた時に忘れてしまっていたら殺されかねないな、今回見逃されたことを幸運だと思って──いや、最近の根野は大人しいような気がする。療養の成果だろうか。
「ノゾム、二階にふれあいプールあるけど行かない?」
「ふれあい? 魚触れんの? ドクターフィッシュとか?」
「ネコザメっていうのと……」
「サメ!」
「ふふ、うん、サメだよ。よしよし、行こうね」
サメという単語にはしゃいでしまって根野に子供扱いされた。それだけでも十分恥ずかしかったのに、ふれあいプールとやらに来てみれば居るのは子供やカップルばかりで、なんだか居心地が悪かった。
「ネコザメってどれかな」
浅いプールを覗き込む根野の隣で俺はパネルを眺めた。俺がイメージするサメとは姿が随分違う。暗い茶色で、濃淡による縞模様があるのだ。これでは見つけられなくて当然だ。
「えっと……居た、コイツだ」
「コレ? なんかサメっぽくないね、ちっちゃい……一メートルなさそうだよ?」
「成体って書いてる。このサイズでもう大人なんだよ」
一メートルに満たない縞模様の身体をしなやかに曲げ、ネコザメは浅いプールを泳ぎ回っている。こんなに浅いと腹を底に擦ったり、水面から身体が一部出てしまったりしそうだが、そんな心配はないのだろうか。
「触っていいんだよね? うわぁ……サメ、初めて触るなぁ」
「え、大丈夫? 噛んだりしない」
「平気だよ。ちっちゃい子だって居るんだから。離してよ、恥ずかしいよ」
幼稚園児らしい子供まで水槽に手を入れているのに、俺だけ根野に止められるのは恥ずかしい。
「センセ、ちょっと鞄持ってて」
財布とスマホ、さっきもらったプレゼントが入っている鞄を根野に渡し、屈む。
「……っ、んんっ……!」
挿入しっぱなしのアナルパールが腸壁をごりゅごりゅと押し、揉み、前立腺などの弱点でも構わずに刺激する。
「ふっ……ふっ……サメ、サメ……」
腸が曲がる屈んだ姿勢は辛い、快感で頭がボーっとしてバランスも狂う。俺は床に膝をついて膝立ちになり、水槽に手を伸ばした。
「サメ……」
くすんだ茶色い縞模様の背に触れる。初めての感触だ、冷たくてザラザラしていて、それでいて生き物だと確実に分かる。
「…………ノーゾムっ」
独特の触り心地に夢中になって撫でていると、根野が顔を覗き込んできた。
「どう? 楽しい?」
「うん……ちょっと野菜に似てる。やっぱりサメはいいなぁ、筋肉と骨って感じのガチガチのカッコよさ……えへへ」
「冷たい水中で暮らしてるんだし皮下脂肪たっぷりじゃないの?」
「サメはそういうの肝臓に貯めるんだよ。海洋哺乳類とかは皮下脂肪で鎧作ってるようなもんだけど」
「ふーん……? 流石、詳しいね」
わしゃわしゃと金髪を乱すように撫でられ、せっかく気合を入れてワックスも使ってセットしてきたのにと思いつつも、撫でられる嬉しさが勝って笑顔で根野を見上げた。
「サメはお腹弱いんだよ、内臓を守る骨がないから……所詮魚類だからさ、哺乳類のシャチとかのが強いの。サメはイルカに突進されただけでも死ぬかもしれない」
「ふぅん……? あんまり強くないの? なのにサメ好きなんだ」
「うん、サメは超クールだから。獰猛で血に飢えてて、船の上でも陸の上でも空の上でもサメからは逃げられないんだ。宇宙に居たってサメに食べられちゃうんだよ」
「そんな馬鹿な。サメなんて海に居てもそうそう出会わないよ」
「浜辺でイチャついたらすぐに食べられるよ? 最近なら犬は大丈夫、食われたっぽくても実は生きてたってのがラストでチラッと分かるのがトレンド」
俺が好きなのはやっぱりホオジロザメだけれど、小さくて縞模様で大人しく撫でさせてくれるネコザメにサメらしさはあまり感じないけれど、ザラザラの肌は確かにサメのものだし触っていると愛着が湧いてくる。
「鼻先蹴っても無駄だし、銃も効かない。人間はバクバク食べられちゃうんだ。でもサメにめちゃくちゃ効く武器があるんだよ! 何だと思う?」
「え……? 銛とか?」
「分かってないなぁセンセ。チェーンソーだよチェーンソー! サメ特効武器!」
「……木とか切るやつでしょ、それ」
チッチッチッ……と根野の顔の前で人差し指を揺らす。根野はポケットからハンカチを取り出し、びしょ濡れの俺の手を拭いた。
「チェーンソーは明らかに刃の長さが足りてなくてもサメを真っ二つに出来るんだよ、チェーンソー最強! 最高!」
「……サメよりチェーンソーのが好き?」
「サメのが好き! チェーンソーはサメの対義語だよ、サメを引き立ててくれるけどサメの天敵でもある訳で……ぅ~、複雑な気持ちがあるよチェーンソーには」
「サメの対義語は……クジラとかじゃないの。いや、陸上で大人しい小さい……ウサギとかかな」
「チェーンソーだよ!? 常識だよセンセ、教師としてどうかと思う!」
「教職はもう辞めたもん。国語教師じゃないし」
根野は俺の手とそれを拭いたハンカチを交互に嗅ぎ、妙な顔をした。まるで人の靴下を嗅いだ猫だ。
「も~、センセはサメの基礎教養からやらなきゃだね。開祖にして至高の作品から、最新のぶっ飛び作品まで俺が持ってるサメ映画今度貸したげる」
「サメ映画ってクソが多いんだよなぁ……」
「鑑賞会しようねっ、ポップコーン買っといて」
「まぁノゾムが喜ぶなら……クソ見てもいいか」
「あ、それでね、頭が多いサメの映画もあるんだけど、実際に頭が二つあるサメは見つかってるから、あの映画の世界は起こり得ると俺思ってて……」
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