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教え子との水族館デートは楽しかった
期待した俺が悪いんだ。勝手に期待しておいて裏切られたからって叩いた俺が悪いんだ。俺を殴った罪の意識で根野は泣いてしまったのだから、殴らせた俺の罪はもっと重いのだから、反省しないと。
「センセ……ごめんね、本当に……俺、反省してる」
期待しなければいいことばかりだ。
根野が水族館デートを本当に企画するなんて思っていなかったから、今日が楽しみだったし水族館を歩き回るのが楽しかった。
根野がイルカを使ったサプライズをしてくれるなんて夢にも思わなかったから、嬉しくて嬉しくて泣きそうになったし、今もプレゼントを見るだけで笑顔になれる。
期待なんてしてしまった俺が悪いんだ。ノゾムなんて名前だからって、多くを望んだ俺が愚かだったんだ。
「ちがう、ノゾム……僕が悪いの……ごめんなさい、ノゾムが怒るのは当たり前なのに、叩かれても仕方ないことしたのに、逆ギレした僕がおかしいんだ……ごめんねノゾム、ごめんね、今度から気を付けるから僕のこと嫌いにならないでね」
「え……」
あぁ、ほら、嬉しい。根野が反省してくれるなんて、成長してくれるなんて、予想も期待もしていなかったからこんなに嬉しい。もしも予想や期待をしていたら傲慢にも「当然だ」と思ってしまって嬉しくなかっただろう。
やはり何かをノゾムのは悪いことだ。その悪いことさえなければ世界は嬉しいことだらけなのだ。
「痛かった……? 僕、どこ殴ったっけ……なんで僕、ノゾムを、どうして……なんで、なんで母さんと同じこと」
「センセ」
「な、何っ? ノゾム……何かして欲しいことあるの? 何でもしてあげるし何でも買ってあげるからっ、お願いだから僕の家族やめないで!」
「頭、撫でて」
期待するな、期待が産まれてしまったらすぐに口に出せ。これを俺の座右の銘にでもしようかな。
「ノゾム……こう? これで、いい? 頭痛くない……?」
ワックスでしっかりと整えた髪を根野にわしゃわしゃと撫でられる。早朝の洗面所での努力が崩されていく。
「ぇへへ……うん、ありがとうセンセ。俺ね、センセに撫でて欲しかったの。頑張って声抑えたから……唇と、肘から血が出るくらい頑張ったから、褒めて欲しかった。無茶させてごめんって謝って欲しかったの」
「ノゾム……ごめん、ね。ごめん……ごめんなさい」
「…………俺さ、センセに殴られても、センセが変なとこで無茶なセックス強要しても、痛いことされても、泣かされても……撫でて抱き締めてもらえたらそれでいいんだ」
涙で冷えた頬を撫でてやると根野は流す涙の量を増やした。
「お得だろ? センセ……撫でるだけでいいの。それだけで、どんなことされても許せるから。センセのこと大好きだから……ね、もう泣かないで、センセ」
ひとしきり泣いた後、俺達は周囲の視線から逃げるように早足で階段を駆け上がり、顔を洗うため再びトイレに入った。涙の跡を洗い流したら昼食を食べるためフードコートへ向かった。
「何でもいいよ、好きなの選んで」
「マリトッツォ~可愛いメンダコちゃんモデル~」
「まずはご飯にしなさいノゾム、それはデザートとして買ってあげるから」
「生クリームたっぷりパンケーキ~海の仲間たちと共に~」
「ご飯……うーん……? ご飯、かな……?」
根野は天ぷらうどん、俺はパンケーキを注文した。四段に積まれたパンケーキ一枚一枚には跳ねるイルカの焼印が入れられており、可愛らしい。星型、いやヒトデ型のつもりか? 飾り切りのフルーツも可愛い。
「すごい生クリーム……見てるだけで気持ち悪くなってくるよ」
四段パンケーキの隣には生クリームの小山が作られている、パンケーキに適宜乗せて食べるのだ。生クリームの小山にはウニモチーフの金平糖が混ざっており、アシカ型のクッキーが乗せられている。
「センセも生クリーム否定派?」
センパイも俺が生クリームを使った料理を食べていたら怪訝な顔をしていた。生クリームが好きなんて別に普通の話だろうに、どうして誰も彼も「うわぁ」という顔をするのだろう。
「……も?」
「母さんも生クリーム食べてると変な顔するから」
おっといけない、センパイの名前なんて出したらまた殴られる。そういえば頭を庇った腕が痛いな、パンケーキを食べるのも一苦労だ。
「ふーん……ま、大人はあんまりいっぱい生クリーム食べらんないからね。気持ち悪くなっちゃうんだよ」
「へぇ……それって何歳くらいから?」
「んー、何歳かなぁ、ニキビ対策が必要なくなるくらいかな」
センパイはただの生クリーム嫌いなのだろうか。アンパンを好んで食べているようだから甘いもの全般嫌いだなんて話じゃないだろうけど……あぁ、ダメだ、ダメ、根野と居るのに他の男のことばっかり考えるな。
「今のうちに好きなものいっぱい食べておきなよ。大人になるとやりたかったこと出来なくなるんだ、身体も心も追いつかなくなる」
「ふぅん……?」
パンケーキを切る、パンケーキにフォークを刺す、そんな少しの動作のために入れる力ですら腕が痛む。センパイが相手なら膝に乗って「食べさせて」と甘えられるのに、もっと心配してくれるのに。
「買ってもらえなかったゲームとか大人になって買ってもやる気起きないで積みっぱなしになるし、アニメも録画するだけで終わり。映画館に行こうって計画立てても当日に足が動かない。肉や甘いものは胃もたれするし……自由なこと以外、いいことなんて何にもないよ、大人なんて」
根野は自分の話ばっかりだな。
「……子供に戻りたいとは思えないけどね。ノゾムは? 大人になりたいとか、もっとちっちゃい頃に戻りたいとか、そういうのある?」
あぁ、なんだ、俺の話を聞く気もあるのか。よかった、反省しなきゃな。
「…………幼稚園に入る頃に戻りたいかな」
「へぇ? 入る前。記憶あるの?」
「あんまりないけど」
幼稚園に入った時、幼稚園の制服でレンが男だと気が付いた。初恋の可愛い子をお嫁さんに出来ないんだと知った俺はとてつもないショックを受けて泣き喚いて熱まで出した。それが初めてレンを傷付けた瞬間だ。それから小中とずっと俺はレンを、レンの性別を否定し続けた。
「けど?」
「……それくらいの頃は、何にも考えずに楽しめてた気がする」
俺には幼稚園に入る前しかないのだ、レンを傷付けるという大罪をまだ犯していない、善人だった頃は。
「なるほどねー。僕はそのくらいの頃よく覚えてないなぁ……」
「ろくな生活してないんじゃない?」
「それは間違いないね。サバイバル生活だよ、調味料染み込ませてふやけた紙食べたり……アレは幼稚園の年長だったかなぁ」
「センセはその頃から賢かったんだね、教員免許取れるだけあるよ」
「……ふふ、ありがとう。でも、教員免許ってそんな大したものじゃないよ。教師が盗撮や痴漢で捕まったり、生徒殴って捕まったり、よくある話だろ?」
自己紹介かな?
「そだね。まぁでも、ほとんどの先生は真面目ないい人だと思うよ」
「ふふっ、その見た目でそんなこと言うの面白いね」
金髪にピアスと不良丸出しの姿だからな。俺みたいなのは教師に反抗的な態度を取るのが普通だ。
「でもねノゾム、教師なんて粗方クソだよ。社会が怖くて学校に引きこもるお山の大将、ロリコン、公務員ってワードだけに惹かれた真面目系クズ、聖職ってワードだけに惹かれた意識高い系、教師ドラマ見ただけの勘違い熱血クソ野郎……同僚はクソしか居なかった」
「い、色々あったんだねセンセ……結構ストレス酷かったんだ」
「僕の気を引こうと悪ぶる可愛い受け持ちの生徒のおかげで、先輩や上司に色々言われたからねぇ。同期にもバカにされちった」
俺のことかな? 不良がクラスに居ると教師は大変なんだな。
「俺のせいもある感じ……? あはは、ごめんねセンセ」
俺はナイフを置き、根野の手を握った。指と指の間に手を入れて艶めかしさを意識し、すりすりと根野の手を撫でた。
「水族館デート終わって夕ご飯食べたら、俺でいっぱいストレス発散しようね」
爬虫類を思わせる不気味な瞳が見開かれる。
「あんなトイレでちょっとしただけじゃスッキリしないもんね。今日のデートはすっごく楽しくて嬉しいから、少しでも恩返しになればいいなぁ……センセ、俺のこと好きにしていいよ。どんなプレイでもやったげる」
「ノゾム……! あぁ、もう、君は最高だよ!」
根野はこれから普段なら嫌がられそうなプレイだとかを想像するのだろう。普通の服を着た俺を見下ろし、頭の中でひん剥いて犯すのだろう。
そう考えると、きゅんと下腹が疼いた。
「センセ……ごめんね、本当に……俺、反省してる」
期待しなければいいことばかりだ。
根野が水族館デートを本当に企画するなんて思っていなかったから、今日が楽しみだったし水族館を歩き回るのが楽しかった。
根野がイルカを使ったサプライズをしてくれるなんて夢にも思わなかったから、嬉しくて嬉しくて泣きそうになったし、今もプレゼントを見るだけで笑顔になれる。
期待なんてしてしまった俺が悪いんだ。ノゾムなんて名前だからって、多くを望んだ俺が愚かだったんだ。
「ちがう、ノゾム……僕が悪いの……ごめんなさい、ノゾムが怒るのは当たり前なのに、叩かれても仕方ないことしたのに、逆ギレした僕がおかしいんだ……ごめんねノゾム、ごめんね、今度から気を付けるから僕のこと嫌いにならないでね」
「え……」
あぁ、ほら、嬉しい。根野が反省してくれるなんて、成長してくれるなんて、予想も期待もしていなかったからこんなに嬉しい。もしも予想や期待をしていたら傲慢にも「当然だ」と思ってしまって嬉しくなかっただろう。
やはり何かをノゾムのは悪いことだ。その悪いことさえなければ世界は嬉しいことだらけなのだ。
「痛かった……? 僕、どこ殴ったっけ……なんで僕、ノゾムを、どうして……なんで、なんで母さんと同じこと」
「センセ」
「な、何っ? ノゾム……何かして欲しいことあるの? 何でもしてあげるし何でも買ってあげるからっ、お願いだから僕の家族やめないで!」
「頭、撫でて」
期待するな、期待が産まれてしまったらすぐに口に出せ。これを俺の座右の銘にでもしようかな。
「ノゾム……こう? これで、いい? 頭痛くない……?」
ワックスでしっかりと整えた髪を根野にわしゃわしゃと撫でられる。早朝の洗面所での努力が崩されていく。
「ぇへへ……うん、ありがとうセンセ。俺ね、センセに撫でて欲しかったの。頑張って声抑えたから……唇と、肘から血が出るくらい頑張ったから、褒めて欲しかった。無茶させてごめんって謝って欲しかったの」
「ノゾム……ごめん、ね。ごめん……ごめんなさい」
「…………俺さ、センセに殴られても、センセが変なとこで無茶なセックス強要しても、痛いことされても、泣かされても……撫でて抱き締めてもらえたらそれでいいんだ」
涙で冷えた頬を撫でてやると根野は流す涙の量を増やした。
「お得だろ? センセ……撫でるだけでいいの。それだけで、どんなことされても許せるから。センセのこと大好きだから……ね、もう泣かないで、センセ」
ひとしきり泣いた後、俺達は周囲の視線から逃げるように早足で階段を駆け上がり、顔を洗うため再びトイレに入った。涙の跡を洗い流したら昼食を食べるためフードコートへ向かった。
「何でもいいよ、好きなの選んで」
「マリトッツォ~可愛いメンダコちゃんモデル~」
「まずはご飯にしなさいノゾム、それはデザートとして買ってあげるから」
「生クリームたっぷりパンケーキ~海の仲間たちと共に~」
「ご飯……うーん……? ご飯、かな……?」
根野は天ぷらうどん、俺はパンケーキを注文した。四段に積まれたパンケーキ一枚一枚には跳ねるイルカの焼印が入れられており、可愛らしい。星型、いやヒトデ型のつもりか? 飾り切りのフルーツも可愛い。
「すごい生クリーム……見てるだけで気持ち悪くなってくるよ」
四段パンケーキの隣には生クリームの小山が作られている、パンケーキに適宜乗せて食べるのだ。生クリームの小山にはウニモチーフの金平糖が混ざっており、アシカ型のクッキーが乗せられている。
「センセも生クリーム否定派?」
センパイも俺が生クリームを使った料理を食べていたら怪訝な顔をしていた。生クリームが好きなんて別に普通の話だろうに、どうして誰も彼も「うわぁ」という顔をするのだろう。
「……も?」
「母さんも生クリーム食べてると変な顔するから」
おっといけない、センパイの名前なんて出したらまた殴られる。そういえば頭を庇った腕が痛いな、パンケーキを食べるのも一苦労だ。
「ふーん……ま、大人はあんまりいっぱい生クリーム食べらんないからね。気持ち悪くなっちゃうんだよ」
「へぇ……それって何歳くらいから?」
「んー、何歳かなぁ、ニキビ対策が必要なくなるくらいかな」
センパイはただの生クリーム嫌いなのだろうか。アンパンを好んで食べているようだから甘いもの全般嫌いだなんて話じゃないだろうけど……あぁ、ダメだ、ダメ、根野と居るのに他の男のことばっかり考えるな。
「今のうちに好きなものいっぱい食べておきなよ。大人になるとやりたかったこと出来なくなるんだ、身体も心も追いつかなくなる」
「ふぅん……?」
パンケーキを切る、パンケーキにフォークを刺す、そんな少しの動作のために入れる力ですら腕が痛む。センパイが相手なら膝に乗って「食べさせて」と甘えられるのに、もっと心配してくれるのに。
「買ってもらえなかったゲームとか大人になって買ってもやる気起きないで積みっぱなしになるし、アニメも録画するだけで終わり。映画館に行こうって計画立てても当日に足が動かない。肉や甘いものは胃もたれするし……自由なこと以外、いいことなんて何にもないよ、大人なんて」
根野は自分の話ばっかりだな。
「……子供に戻りたいとは思えないけどね。ノゾムは? 大人になりたいとか、もっとちっちゃい頃に戻りたいとか、そういうのある?」
あぁ、なんだ、俺の話を聞く気もあるのか。よかった、反省しなきゃな。
「…………幼稚園に入る頃に戻りたいかな」
「へぇ? 入る前。記憶あるの?」
「あんまりないけど」
幼稚園に入った時、幼稚園の制服でレンが男だと気が付いた。初恋の可愛い子をお嫁さんに出来ないんだと知った俺はとてつもないショックを受けて泣き喚いて熱まで出した。それが初めてレンを傷付けた瞬間だ。それから小中とずっと俺はレンを、レンの性別を否定し続けた。
「けど?」
「……それくらいの頃は、何にも考えずに楽しめてた気がする」
俺には幼稚園に入る前しかないのだ、レンを傷付けるという大罪をまだ犯していない、善人だった頃は。
「なるほどねー。僕はそのくらいの頃よく覚えてないなぁ……」
「ろくな生活してないんじゃない?」
「それは間違いないね。サバイバル生活だよ、調味料染み込ませてふやけた紙食べたり……アレは幼稚園の年長だったかなぁ」
「センセはその頃から賢かったんだね、教員免許取れるだけあるよ」
「……ふふ、ありがとう。でも、教員免許ってそんな大したものじゃないよ。教師が盗撮や痴漢で捕まったり、生徒殴って捕まったり、よくある話だろ?」
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「そだね。まぁでも、ほとんどの先生は真面目ないい人だと思うよ」
「ふふっ、その見た目でそんなこと言うの面白いね」
金髪にピアスと不良丸出しの姿だからな。俺みたいなのは教師に反抗的な態度を取るのが普通だ。
「でもねノゾム、教師なんて粗方クソだよ。社会が怖くて学校に引きこもるお山の大将、ロリコン、公務員ってワードだけに惹かれた真面目系クズ、聖職ってワードだけに惹かれた意識高い系、教師ドラマ見ただけの勘違い熱血クソ野郎……同僚はクソしか居なかった」
「い、色々あったんだねセンセ……結構ストレス酷かったんだ」
「僕の気を引こうと悪ぶる可愛い受け持ちの生徒のおかげで、先輩や上司に色々言われたからねぇ。同期にもバカにされちった」
俺のことかな? 不良がクラスに居ると教師は大変なんだな。
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俺はナイフを置き、根野の手を握った。指と指の間に手を入れて艶めかしさを意識し、すりすりと根野の手を撫でた。
「水族館デート終わって夕ご飯食べたら、俺でいっぱいストレス発散しようね」
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「あんなトイレでちょっとしただけじゃスッキリしないもんね。今日のデートはすっごく楽しくて嬉しいから、少しでも恩返しになればいいなぁ……センセ、俺のこと好きにしていいよ。どんなプレイでもやったげる」
「ノゾム……! あぁ、もう、君は最高だよ!」
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