いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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仕事終わりに恋人に甘えてみた

順調、なのだろうか。結界に攻撃などはされていないように見える、鞭もバールもスポンジ製の剣も拳も怪異を消滅させ続けてはいる。けれど、終わりが見えない。

「一体どこまで……」

怪異は海からどんどんと上がってきている、一秒あたりの上陸速度が増しているような気さえする。

「あ、あの、社長……何か、親玉みたいなのとか居ないんですか?」

ボスを倒すまで雑魚が無限湧き、ゲームではよくあるギミックだ。

「霊視の結果を信用するならっ、居ない……!」

社長は鞭を振るいながらも返事をしてくれた、語尾が跳ねている。

「掃討しかないっ、それが出来ない量なら……雪風はっ、そう言う。アイツは何も言わなかった、僕一人でも何とか出来るって……ことだっ! はぁっ、あぁもうこの服袖が鬱陶しい!」

「が……頑張ってください、俺には応援しか出来ません、すいません……」

「君の役目は背後の監視だ!」

「あっ、はい、やってます! すいません」

集中力を削いでしまっただろうか、申し訳ない。しかし鞭を使うなら腕を振りやすい洋服にすればいいのに、どうして動きが制限される和服を着ているのだろう。従兄もそうだ。

「ノ、ノノ、ノゾっ、ノっ、ノノ」

「ミチ? どうした?」

テントの扉の隙間からミチが顔を覗かせ、酷く焦った様子で俺を呼んだ──いや、ちゃんと名前を呼べてすらいない。

「パパパパっ、パソ、パパっ、パ」

「パソコンか?」

ミチはコクコクと首を縦に振り、従兄が彼に託したパソコンを俺に渡した。

『あ、別の子か? すまない、さっきの子とは上手く話せなくて。その場に……えぇと、黒い和服を着た強面の方は居ないか? その人に渡して欲しい』

パソコンの画面にはサングラスをかけた男性が映っている、ビデオ通話だろう。

「はい。お兄さん! 連絡です!」

「國行ぃ! こっちやれ!」

「……如月、やれるな?」

「言っとくけど俺アンタより倒してるからな」

センパイがレンの隣を離れ、従兄の元へ。従兄は俺からパソコンを受け取り、テントの前に立った。

「忙しい、報告は手短に」

『はっ! 溺死者以外を調べるとは伝えていなかったので、死体などは残っていなかったのですが……死亡者数と死亡理由は何とか調べられました。ここ数ヶ月で睡眠中に心臓麻痺で死亡する方が異常に増えていました、成果はそれだけです』

「睡眠中の心臓麻痺……? 分かった、ご苦労」

従兄はビデオ通話を終えてパソコンを閉じ、俺に渡した。俺は盗み聞きしていた内容に怯えつつもミチにパソコンを渡し、センパイと従兄が元の位置に戻るのを横目で見ながら背後の監視に戻った。

「あっ……お兄さん、後ろにちょっと流れてます! レン、そっちも後ろに行ってる!」

「はい!」

短く返事をした従兄はすぐに背後に回り込みつつあった怪異を倒した。

「見えてるのは見えてるんだがっ、クソ、こっちが多くて……形州! 後ろ側行け!」

「……形州先輩と呼べ」

レンの態度は悪いしセンパイもそれに多少の苛立ちを覚えているようだが、連携は取れている。終わりが見えない不安はあれど、俺は負ける気はしていなかった。



完全に日が落ちてしばらく経ち、彼らに明確な疲れが見え始めるまでは。

「はぁっ……はぁっ……」

一番に息を上げたのは社長だった。普段の除霊は一撃必殺、アウトドアの趣味もなさそうな細身の彼に体力があまりないことは明らかだったとはいえ、一番の戦力が真っ先に潰れるなんてあってはならない。

「ミチ、水!」

「み、みみみ、水っ」

ミチにクーラーボックスから水を出してもらい、それを俺が社長に渡す。

「ありがと……」

嫌味でもなく、気が利くなんて褒め言葉でもない、単純な礼。俺はそれを彼が疲れている証だと感じた。

「大丈夫ですか? あの……少し休んでください、鞭を振るんですよね、俺にも出来ると思います!」

社長の手から鞭を奪い、振る──振れない、想像よりもずっと重い。鞭の先端が持ち上がらず、砂浜に線を引いただけに終わった。

「素人に振れるものじゃない、返せ」

諭すように言われ、鞭を取り返されてしまった。自分の情けなさが嫌になる

「…………如月、しっかりしろ」

「分かってるっ……」

「……太刀筋がブレている」

「分かってるっ!」

レンも辛くなってきているようだ。

「どうしよう……大丈夫かな。ミチごめん、俺にも水くれ」

「も、ももっ、もうお水ないよ。ぉお、お、お茶ならっ」

「どっちでもいいよ、ありがと」

冷えたお茶を飲む。クーラーボックスの中にはまだ何本か新品のペットボトル飲料があるが、怪異討伐にいつまでかかるか分からないから、討伐のため動いている者達に水を残しておくべきかと俺は口を湿らせる程度に留めた。

「キリがないですよ社長、俺一旦外に出ます。俺に取り憑かせれば俺の中で融合して一個体になって倒しやすくなりそうじゃないですか?」

「バカ言うな、溺死者の霊だぞ。身体を奪うよりも海に引きずり込む方を優先する、無駄死にだ」

「社長! なんか硬くなってないですか? 一撃で倒せるのはそのまんまなんですけどっ、叩いた瞬間の重さが……これじゃすぐ腕が疲れる」

「……俺も拳が痛い。人間より硬いぞ」

「夜の方が霊は強力になる、式神も全部破られたし……もうアレしかないか、あぁクソ…………月乃宮! トランクを開けろ、札を出せ。束になってるヤツだ!」

テントの中に入ってトランクケースを開き、御札の束を取り出した。

「しばらく休業だな……」

社長は渋々と言った様子で束を受け取り、結界の外に向かって御札をばら蒔いた。十数枚の札は紙飛行機のように滑るように飛び、怪異の隙間を抜けていく。

「全員五秒間目を閉じろ!」

目を閉じてすぐ強い光を感じた。強烈な閃光に対して瞼だけでは心もとない、両手で目を覆った。

「も、もう大丈夫ですか?」

「いいよ」

ゆっくりと目を開ける。海から上がってきていた黒い塊──怪異の数が随分減っている。結界の側面や後ろ側に回った分はほぼそのまま残っている。

「残敵掃討!」

突然怪異が九割方減った驚きで固まっていたレンやセンパイが従兄の声に身体を跳ねさせ、すぐに残った怪異の討伐に動いた。

「ふぅ……残りは任せるよ」

社長は服が汚れるのも構わず砂浜に腰を下ろし、鞭からも手を離した。怪異はまた大量に居るが、終わりは見える、先程までとはレン達のモチベーションが違う。

「もう少しっ……!」

「レン! 右側に……センパイ後ろ側に何体か来てます!」

「……っ、よし……こっちはこれで最後か。兄ちゃんそっちは!」

「終わった! 後は手前の打ち漏らしだ、あの数なら直接叩いてもいいですよね社長」

御札から放たれたのだろう閃光はほとんどの怪異を消し飛ばしたが、遠くに居たモノには上手く当たらなかったようで結界から離れた場所にポツポツと生き残りが居る。死者に対し生き残りという言葉を使うのも変な感じだな……

「十分に注意しろ」

従兄は結界から出て残った怪異の掃討に向かった。

「終わり……ですよね、もう。お兄さんがアレ全部片付けちゃったら。なんか、あっさりしてましたね、俺途中みんなここで死んじゃうんじゃないかって怖かったんですけど」

「そんなに危ない仕事に子供何人も連れてくる訳ないだろ」

「そ、そうですね……あの、御札……爆弾みたいな感じなんですか? あんなすごいのあるならもっと早めに使っちゃえば晩御飯いつも通りの時間に食べられたのに……」

「お察しの通り爆弾みたいなものだよ。作るのに大変な時間と労力が必要でね、起爆にも霊力をかなり使うから疲れるし……あんまり使いたくないんだよ。一定量常備しておかないとだからしばらくは札作りに専念して、如月の教育も含め休業……はぁ、予定が崩れる。帰っても息子の相手がろくに出来ないかも……あーぁ」

全員無傷で怪異の討伐を終わらせられたのに社長は酷く落ち込んでいる。元々命の危険があるような仕事ではなかったのか……怖がって損をしたな。

「社長! 見た感じもう居ません!」

「みたいだね。まぁ溺死者の霊の成れの果てだから完全に消えることはないだろうけど……次回からはここまで溜まる前に適当な霊能力者に定期的に拝ませることをオススメするよ、とでも先方に伝えておいて」

「はい。社長、この地域で睡眠中の心臓麻痺の件数が増えていると報告が上がりました、雪風の言っていたもう一つの怪異かもしれませんが、どうします?」

「僕が受けたのは海難事故の件だけだ、スケジュールもギリギリだし……そもそもそれは怪異が原因とも言い切れないよね、地形とか食生活とかのせいかもしれない」

「じゃあ放置ですか?」

「まだ調べさせてるんだろ? 明日までに僕がやらなきゃダメそうな報告結果が出れば対応するよ」

社長と従兄はもう既に次の仕事の話をしているようだ。

「お、おお、終わったの? ノゾムくん……ぼ、ぼぼ、僕、生きてるよねっ?」

「おーぉー、何にもしてねぇくせに随分と疲れた顔してんなぁお前」

「こここっ、怖がるのも疲れるんだよぉっ!」

「…………何か食べたい」

腰を抜かして俺にすがりついているミチを撫でつつ、もたれるように俺に抱きついてきたセンパイを支える。手首に着けた数珠がどんどんと黒ずんでいくのを見て慌ててレンの手を掴む。

「なんだよ」

「ぁ、いや……レンにも引っ付いて欲しいなって」

「はぁ? はぁ……ふふっ、いいぜ」

きゅっと俺の腕に抱きついたレンは心底幸せそうに微笑んでいる。レンの嫉妬メーター……じゃなくて数珠の黒ずみの進行が止まった。恐怖に晒されていたのは数時間のはずなのに、何週間かぶりに日常が戻ってきたような気分だ。
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