いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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病院で走り回ってみた

確かにちょっとからかい過ぎたけれど、こんなに強く頭を握らなくたっていいじゃないか。

「か、かか、形州せんぱいと知り合ってから、頭が小さくなった気がする」

「……小顔が何かと持て囃される世の中だ、よかったじゃないか」

「こっ、こめかみだけへこむのは小顔じゃないよぉっ!」

「…………なら全体的に握ろうか?」

「やだぁーっ!」

「二人とも……ここ病院だぞ」

「……俺は静かに話してる」

「かっ、かかかっ、形州せんぱいが脅かすからぁ……!」

責任を押し付け合う二人を楽しく眺めていると、レンが戻ってきた。滑るように移動する彼には影がない。

「レン、おかえり」

「ただいま~、諸々の荷物取ってきたぞ。ほれ」

「ぁ、あぁっ、あ、ありがとっ、如月くん……き、き、如月くん今お化け?」

「お化けってお前、俺まだ死んでねぇぞー。まぁ生霊だからお化けっちゃお化けだけどな」

話しながらレンはふわりと浮かび上がり、俺の隣に腰を下ろした。このベッドにそんな幅はなかったはずだと視線をやれば、レンの腹からベッドの柵が飛び出している衝撃的な光景があった。

「うわっ……柵貫通してる」

「何に触るか触らないかは俺の自由だからな。ほれほれ」

「わっわっ、ノノ、ノゾムくんの頭に手刺さってるぅっ」

「今触ろうと意識すればもちの脳かき混ぜられるぜ」

「やっ、や、やや、やめてよっ!?」

触れようと意識する、というのはどの程度のものなのだろう。ついうっかりで触れてしまうようなものではないだろうか、俺はうっかりで殺されやしないだろうか。これまで散々腹を弄り回されてきたのに、今更怖くなる。

「やらねぇって。もっちー、俺が居ない間どうだった?」

俺の頭からレンの手が離れ、無邪気な笑顔が俺の顔を覗き込む。きらきらと輝く亜麻色の瞳を見ていると、脳をかき混ぜられて死んでもいいかと思えてしまう。

「どうって……話してただけだよ。甘いものの話とか、友達の話とか」

「友達?」

「きっ、きき、如月くんは友達居るっ?」

「友達かぁ、まぁペアワーク一緒にやるヤツくらいは四、五人確保してるぜ」

「そ、そうなんだ……ぼ、ぼ、僕ってさ、如月くんの友達……だよねっ?」

「え? あぁ、まぁ……そうだな」

レンの冷めた態度にミチの目が潤んでいく。それに気付いたレンは慌ててフォローを入れた。

「いやいや泣くな泣くな!? 色々忙しいわもち取り合ってるわでさぁ、だからそんな、そうそう俺ら親友~って咄嗟に言えなかっただけでさ、別にあんまり友情感じてないとかじゃないんだから泣くなよぉ」

「な、な、泣いてないもんっ……!」

「…………如月、俺も友達か?」

「え、違うけど」

「……友達にしてくれ」

「なんで? どしたん急に……もちぃ、形州頭打った?」

センパイはたまにこういう天然っぽいところを見せてくれて可愛いんだと説明していると、大きな手がぬっと伸びてきてレンの頭をすり抜けた。

「…………掴めないのか。如月……形州、先輩、だ。忘れるな」

「そうか、今なら煽り放題か! フッフーゥッ! だぁれが先輩なんて付けてやるかボケ! お前に尊敬すべきとこなんて何一つねぇーんだよ! 口下手七尺強姦魔! バーカバーカ! くるぶし強打して死ね!」

「レ、レン……?」

「あっ……違う違う、死ねとか本気じゃないからな? ただちょっとテンション上がっちゃってぇ……俺の可愛いおもちちゃんなら分かってくれるよな? あんな暴言、俺がスラスラ言える訳ないって」

「い、い、言えてたじゃん……! ブラック如月くんだ、ブラック如月くんだよノゾムくんっ」

「本気で言ってないのなんか分かってるよ、そんな焦って訂正しなくても……」

センパイが音もなく立ち上がる。緊張感が漂い、俺達三人は示し合わすこともなく同時にセンパイを見上げた。

「…………本体は寝てるんだったな?」

「へっ?」

にやりと笑ったセンパイが病室を出ていってすぐ、レンは何かに気付いて悲鳴を上げた。

「うわぁああっ!? ヤバいヤバいヤバい!」

床をすり抜けてどこかへ行ってしまった。まさかセンパイは仮眠室で眠っているレンの肉体を攻撃しに行ったのか? レンはそれに気付き、身体に戻って逃げる気なのか? 最も騒いではいけない施設であろう病院で、フィジカル強者と霊能少年の鬼ごっこが始まるのか?

「ミチ……」

「な、何っ? ノゾムくんっ」

「俺達は、何も知らないってことにしよう」

「ぅ、うん……そうだね」

十数分後、落ち込んだ二人が帰ってきた。今度はレンに影がある、肉体に戻ったらしい。

「看護師さんに叱られた……正論の説教って効くな」

「…………兄ちゃんに連絡されるかもしれない」

反省出来ているようで何よりだ。普段なら彼らが落ち込んでいたら俺は必死になって慰めたり、どうにか機嫌を戻そうとするだろう。だが、今回は笑ってみていられる。理由がくだらないと分かっているからだ。


レンが戻ると途端に賑やかになった。軽い言い争いも怒るようになったが、無言の時は訪れなくなった。黙ってスケッチブックに向かっていたセンパイも今は俺や二人に視線をやりながら、スケッチブックは膝に置いて話しているし、無言の気まずさに震えていたミチはコロコロ表情を変えて吃りながらも元気に話している。

「やっぱりレンが居ないとダメだな」

「なんだ、恋しかったか?」

「うん。それもそうなんだけど、レンが居なかった間ちょっと気まずかったから……俺が話せる時はいいんだけど、息切れして話せなくなると二人とも黙っちゃってさ」

「がが、が、頑張って話してたよぉっ」

「あー……想像つくわ。コイツらの気まずさ」

「二人きりなら静かでもまぁいいんだけどさ、三人だとなんか気まずいんだよな。今は特に、動けないから暇だし」

「今後は仮眠中も幽体離脱して傍にいてやるから安心しろよ、もっちっちー」

得意げな笑顔のレンに対し、二人はどこか居心地悪そうにしている。言わない方がよかったかな? でも、レンは喜んだしなぁ。これを機に二人仲良く話せるようになって欲しいな。

「本当に疲れないんだよな、それ」

「お前、前にもそれ気にしてなかったか? 肉体はちゃんと休んでるから大丈夫だぞ」

「脳だけ休めてないとか……」

「脳みそも肉体、ぐっすりだ」

「…………霊体? に休みは必要ないのか?」

「ほぼ要らねぇな、エネルギーの塊みたいなもんだから動き続けてもエネルギーを消費し続けるだけだ」

「……エネルギー切れを起こしたら?」

「消滅」

「レ、レン……幽体離脱とかもうしなくていいからっ」

「いや大丈夫だっつーの、霊力使い切って消えるとかねぇから。大抵の人間は自然回復待ちしか出来ねぇんだが、俺は嫉妬すりゃ回復するしな」

「そっか、俺頑張るね」

「嫉妬させ過ぎもよくねぇって知ってるよなぁ?」

づんっづんっと強めに頬をつつかれ、視界が揺れる。動かない身体は踏ん張りも効かない、レンに押されるがままに揺れてしまう。ちょっと楽しい。

「わ、分かってる分かってる……」

「ノノ、ノっ、ノゾムくんそんなつついちゃダメっ!」

ミチはレンの手を掴むのではなく、レンに抱きついて彼を止めた。相変わらずあざとい子だ、顔には似合っているが女子ならまだしも男子でこれ……どんな育ち方をしたらこんなふうに育つんだ?

「可愛い……」

ともあれ、可愛らしい二人がくっついていると更に可愛らしい。可愛いは乗算だ。

「……そろそろ昼飯の時間だな」

「俺は鬼だけど、食いもんが喉を通らないもっちーを前に飯食うほど鬼畜にゃなれねぇぜ」

「気にしなくていいよ、美味しそうに食べてるの見させて欲しい」

「そうか? キツくないか?」

「平気……交代で食べてくれるつもりなんだろうけど、一人でも減るとやっぱり寂しいし、お風呂とか寝るとかそういうどうしようもないの以外は傍に居て欲しいな」

「もち…………お前そんな可愛いこと言って! この野郎!」

レンに抱き締められて、彼の背に腕を回せない現在の自分の身体を憎んだ。

「まぁ一人じゃ満足出来ねぇクソビッチとも言えるが、それはかなり前から分かってることだしな! 寂しんぼで可愛いでちゅね~もちもちたん!」

赤ちゃん言葉で愛でられて、他二人の視線が気になってしまう。でも頭を撫でられているうちにそんなことどうでもよくなって、彼氏に、いや、ままに甘えてしまった。
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