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動けない幼馴染の前で飯食ってみた
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センパイは少し涙ぐんで俺の頭を撫でてくれている。レンに「テンポが悪い」と言われたことがそんなにショックだったんだろうか、少なくとも俺とレンはそう思っている。
「形州せんぱぁい……テンポが悪いって別に悪口で言ってた訳じゃねぇんだぜ? ペラペラ思ったこと話しちまうバカよりよっぽどいいし、そもそも悪口ならお前帰ってきた時点でやめるじゃん? お前に話振った時点で否定的なことじゃないっつーかぁ」
「……? どうしたんだ、急にしおらしくなって」
「お前が泣くからじゃん! 俺が虐めたみたいになっちまったからじゃん!」
「…………泣く? あぁ、これはノゾムが愛しくて少しこみ上げてきただけだ」
「あぁそうかいいつまで撫でてんだもっちっちーの可愛い頭がハゲるわ! 離れろ! ったくただでさえバカみてぇにギンギンに染めるから毛根傷んでそうで心配なのに」
センパイは俺の頭皮にだけは優しくないんだよな。黒髪がちょっと見え始めただけで嫌がって染め直せって言ってきて、ブリーチの痛さ怖さを知ってるのかな。
「ぉ、はん、さめちゃ……」
あぁ、もう声が上手く出ない。喉が疲れてうまく動かない。ご飯冷めちゃいますよ、すらも言えないなんて、なんて情けない。
「……ん、そうだな。ありがとうノゾム。また後で撫でさせてくれ」
優しい眼差し、優しい声色、やっぱり髪を染める大変さを知らないだけなのかな。俺がこんこんと言って聞かせたら、あるいはセンパイ自身が髪を染めてみたら、もう俺に髪を染めろと言ってこなくなるのかな。
「ん……ぁ、と……ぇ…………」
思い出してしまうのは、俺をレイプしたと気付いた後のセンパイのこと。罪悪感に苛まれて俺と別れるなんて言い出した、可哀想な彼のこと。怪異の仕業なのに、まるで自分だけが悪いみたいに思い込んで、思い詰めて──流石に洗髪程度じゃそこまで落ち込まないと思うけど、またあんなセンパイを見るのは嫌だな。黙っておこう、せめて髪か頭皮に異常が出るまでは。
「ほらほらもうもちに話しかけんな、もち疲れたんだから。飯食え飯、冷めるぞ」
「……分かってる、ノゾムの余韻を味わってるんだから邪魔するな」
「オラッ余韻かき消し!」
「……!? なんてことを……!」
レンがセンパイの手首を掴んで自分の頭頂部をセンパイの手のひらに擦り付けている。髪型が崩れるからと俺が触れるのも嫌がる日すらあるくせに、何故自らぐちゃぐちゃ絡まるようなことを……
「…………お前の微妙な茶髪の感触が残ってしまった、最悪だ」
「地毛だからもっちーより手触りはいいはずだぜ」
「……後半はほぼタワシだった」
「言い過ぎだろ!」
「ス、ススス、スチールウールみたいになってるよぉ、如月くん……頭のてっぺん。燃えたらパチパチしそう……」
「分かってる、食い終わったら梳かすぜ」
髪型が崩れたところも見せてくれているということは、それだけレンが気を張らなくなったと……いや見せてくれてないな。俺はベッドに仰向けに寝かされて首だけ横を向いていて、一番頭の近くに座っているのがセンパイだから、センパイに隠れてレンもミチも全く見えない。センパイがデカ過ぎる。
「い、い、いいのっ? ノゾムくんすごく見てるのに」
「いや形州で見えてねぇだろ」
レンも分かっていたか。センパイの手のひらに頭を擦り付けているところは見えたけれど、その結果レンがどんな頭になってしまったかは全く分からない。ミチがスチールウールと言ってくれたおかげである程度イメージはしやすくなったから、それで我慢するか。
「…………俺と友達になる件だが」
「忘れてなかったのか」
「……受けてくれるな?」
「えぇ……ゔーん…………ちなみに形州、先輩……と友達になったらなんか、ぇー、徴収されるもの? ってあるんですか?」
酷い質問だ。
「あっ、お、お友達料金っ? ぼ、ぼ、僕中学の時払ってたよ、半年だけだけど」
「…………ない。金銭で繋がるような関係は友人とは言えない。義務はない、友人とは権利だ。話す権利、頼る権利……何か困ったら俺を呼べ」
「え、呼んでいいのか? 普通に助かるな……でも形州の知り合いって分かるともちが狙われたみたいに挑戦的なバカが寄ってくるかもしんねぇんだよなぁ……そのデメリットと校内のバカが近寄らなくなるメリット、どっちのがデカいかねぇ。遠くのバカと近くのバカ……悩むぜ」
「……意外だ。お前は内申点だとかを気にして、俺みたいなのと大っぴらに関わりたがらないと思っていた」
「前までのレンくんならそうだったかもだけど、今の俺は超大企業に就職決定した超エリート、内申点どころか単位だって取らなくても平気なんだよ」
センパイとミチの表情に僅かな苛立ちが混ざった気がする。早く話題を変えさせないと。
「センパイに喧嘩で負ける人もダメなんですよねっ?」
「……ノゾム、話すな」
「そうだぞ、まだ声震えてんじゃねぇか。で、それマジなのか形州、じゃあみっちーダメじゃん」
口いっぱいにハンバーグと米を詰め込んだミチはその丸くて大きな目を見開く。
「…………少し違う。俺の喧嘩の強さに屈服したり、それを利用したがって慕ったり……そういうのは友人じゃない。という話だ。俺がこんな強い身体を持っていなくても、同じ関係を築けただろう相手こそ友人……違うか?」
「ぼっちのくせに大層な価値観持ってんだな」
「……ぼっちじゃない」
「だってミチしか友達居ねぇんだろ? 最近までぼっちじゃん」
「……いや、ミチと入れ替わりで一人辞めた」
「定員あんの?」
「い、い、嫌な人だったんだって! でも友達居ないの嫌だから無理して友達してて……僕、そんな人と無理に付き合うことないって、そしたらやめたんだ」
「はぁ~……? 何それバカじゃねぇの、ぼっちのがマシだろ」
「……ペアワークのために友人を作っているお前に言われたくない」
「要るだろそりゃ。お前もペアワークのためか?」
「…………他校だ」
「マジで何してんの?」
それは俺も言いたかった。多分ミチもだ。何でも臆せず言えてしまうレンの度胸がたまに羨ましい。
「つーかミチって屈服しそうじゃね?」
「……ノゾムのことに関してはしない。脅しても別れると言わなかった、その場しのぎの嘘すらつかなかった。怯えはするが、引きはしない。ミチは男の中の男だ」
「へー……よかったなミチ、不良のボスに男として認められてんぜ」
頬をぱんぱんに膨らませたミチはこくこくと笑顔で頷いている。嬉しいようだ。中性的な童顔で低身長の彼は男らしさに憧れている節がある。
「元友人さんはミチタイプ? それとも喧嘩強い系?」
「…………立てないくらいボコボコにしても這いずってきた」
「すげぇガッツ」
「……今思い出しても腹が立つ。やはり今度会ったら一発殴る」
「不良的にはそういうのいい思い出じゃねぇの?」
「…………俺は喧嘩が嫌いなんだ。殴り合って友情が深まるなんて意味の分からない連中と同じにするな」
「へいへい、悪かったよ。喧嘩の理由は?」
センパイはチラリと俺を見て、僅かに表情を歪め、レンに向き直ると首を横に振った。
「……ノゾムの前では話せない」
「男関係か……」
「………………言うな」
「俺やミチはそもそも体格的に勝ち目ねぇ感じだからな~、根野とやり合った時のが近いか? 刃物持った根野相手によくやったらしいじゃん、あんな感じだろ、違うか?」
レンは何故かはしゃいでいる。俺は不愉快だ、センパイの昔の男の話なんて聞きたくない。センパイは配慮してくれているのに、レンは好奇心に従っている。それで俺が不機嫌になっても原因はセンパイだから自分は関係ない、悪くない、とか考えてるんだろうな。実際そうだ、レンは悪くないしセンパイも悪くない、昔の男とやらも元友人とやらも悪くない、多情なくせに嫉妬深くて勝手に機嫌を悪くしている俺が悪い。
「……割と近いかもしれない。そういえばアイツも刃物を持っていた」
「マジかよ! やべぇ気になる、聞かせて聞かせて」
「…………だが」
センパイはまたチラリと俺を見る。機嫌を伺うような表情だ、その強面には似合わない。
「俺は、大丈夫。よかったら話してあげて」
「……分かった。だが、そう面白い話でもないぞ。セフレを盗まれて、取り返したらそいつが刃物を持ってウチに乗り込んできたんだ。ボコボコにしても這いずって追ってきた」
「いや既に結構面白ぇよ。で?」
「…………色々揉めて、大事になって、兄ちゃんが来て……嫌がってる相手とは別れてやれって、怒られて……終わりだ。嫌な思い出だ、兄ちゃんに怒られた……」
「はしょんなよぉ~」
「……一年以上前のことだぞ、もう覚えてない」
「割と直近じゃねぇか! どんな記憶力してんだよ、ったく仕方ねぇな」
「…………ノゾムの全てを覚えるので忙しいんだ、古い記憶を漁っている暇はない」
「センパイ……」
昔の男を匂わせる話を聞かされて嫌な気分になっていたけれど、ときめかされてその気分は吹き飛んだ。今はとてもいい気分だ。胸が痛んで、下腹が疼き始めた。
「形州せんぱぁい……テンポが悪いって別に悪口で言ってた訳じゃねぇんだぜ? ペラペラ思ったこと話しちまうバカよりよっぽどいいし、そもそも悪口ならお前帰ってきた時点でやめるじゃん? お前に話振った時点で否定的なことじゃないっつーかぁ」
「……? どうしたんだ、急にしおらしくなって」
「お前が泣くからじゃん! 俺が虐めたみたいになっちまったからじゃん!」
「…………泣く? あぁ、これはノゾムが愛しくて少しこみ上げてきただけだ」
「あぁそうかいいつまで撫でてんだもっちっちーの可愛い頭がハゲるわ! 離れろ! ったくただでさえバカみてぇにギンギンに染めるから毛根傷んでそうで心配なのに」
センパイは俺の頭皮にだけは優しくないんだよな。黒髪がちょっと見え始めただけで嫌がって染め直せって言ってきて、ブリーチの痛さ怖さを知ってるのかな。
「ぉ、はん、さめちゃ……」
あぁ、もう声が上手く出ない。喉が疲れてうまく動かない。ご飯冷めちゃいますよ、すらも言えないなんて、なんて情けない。
「……ん、そうだな。ありがとうノゾム。また後で撫でさせてくれ」
優しい眼差し、優しい声色、やっぱり髪を染める大変さを知らないだけなのかな。俺がこんこんと言って聞かせたら、あるいはセンパイ自身が髪を染めてみたら、もう俺に髪を染めろと言ってこなくなるのかな。
「ん……ぁ、と……ぇ…………」
思い出してしまうのは、俺をレイプしたと気付いた後のセンパイのこと。罪悪感に苛まれて俺と別れるなんて言い出した、可哀想な彼のこと。怪異の仕業なのに、まるで自分だけが悪いみたいに思い込んで、思い詰めて──流石に洗髪程度じゃそこまで落ち込まないと思うけど、またあんなセンパイを見るのは嫌だな。黙っておこう、せめて髪か頭皮に異常が出るまでは。
「ほらほらもうもちに話しかけんな、もち疲れたんだから。飯食え飯、冷めるぞ」
「……分かってる、ノゾムの余韻を味わってるんだから邪魔するな」
「オラッ余韻かき消し!」
「……!? なんてことを……!」
レンがセンパイの手首を掴んで自分の頭頂部をセンパイの手のひらに擦り付けている。髪型が崩れるからと俺が触れるのも嫌がる日すらあるくせに、何故自らぐちゃぐちゃ絡まるようなことを……
「…………お前の微妙な茶髪の感触が残ってしまった、最悪だ」
「地毛だからもっちーより手触りはいいはずだぜ」
「……後半はほぼタワシだった」
「言い過ぎだろ!」
「ス、ススス、スチールウールみたいになってるよぉ、如月くん……頭のてっぺん。燃えたらパチパチしそう……」
「分かってる、食い終わったら梳かすぜ」
髪型が崩れたところも見せてくれているということは、それだけレンが気を張らなくなったと……いや見せてくれてないな。俺はベッドに仰向けに寝かされて首だけ横を向いていて、一番頭の近くに座っているのがセンパイだから、センパイに隠れてレンもミチも全く見えない。センパイがデカ過ぎる。
「い、い、いいのっ? ノゾムくんすごく見てるのに」
「いや形州で見えてねぇだろ」
レンも分かっていたか。センパイの手のひらに頭を擦り付けているところは見えたけれど、その結果レンがどんな頭になってしまったかは全く分からない。ミチがスチールウールと言ってくれたおかげである程度イメージはしやすくなったから、それで我慢するか。
「…………俺と友達になる件だが」
「忘れてなかったのか」
「……受けてくれるな?」
「えぇ……ゔーん…………ちなみに形州、先輩……と友達になったらなんか、ぇー、徴収されるもの? ってあるんですか?」
酷い質問だ。
「あっ、お、お友達料金っ? ぼ、ぼ、僕中学の時払ってたよ、半年だけだけど」
「…………ない。金銭で繋がるような関係は友人とは言えない。義務はない、友人とは権利だ。話す権利、頼る権利……何か困ったら俺を呼べ」
「え、呼んでいいのか? 普通に助かるな……でも形州の知り合いって分かるともちが狙われたみたいに挑戦的なバカが寄ってくるかもしんねぇんだよなぁ……そのデメリットと校内のバカが近寄らなくなるメリット、どっちのがデカいかねぇ。遠くのバカと近くのバカ……悩むぜ」
「……意外だ。お前は内申点だとかを気にして、俺みたいなのと大っぴらに関わりたがらないと思っていた」
「前までのレンくんならそうだったかもだけど、今の俺は超大企業に就職決定した超エリート、内申点どころか単位だって取らなくても平気なんだよ」
センパイとミチの表情に僅かな苛立ちが混ざった気がする。早く話題を変えさせないと。
「センパイに喧嘩で負ける人もダメなんですよねっ?」
「……ノゾム、話すな」
「そうだぞ、まだ声震えてんじゃねぇか。で、それマジなのか形州、じゃあみっちーダメじゃん」
口いっぱいにハンバーグと米を詰め込んだミチはその丸くて大きな目を見開く。
「…………少し違う。俺の喧嘩の強さに屈服したり、それを利用したがって慕ったり……そういうのは友人じゃない。という話だ。俺がこんな強い身体を持っていなくても、同じ関係を築けただろう相手こそ友人……違うか?」
「ぼっちのくせに大層な価値観持ってんだな」
「……ぼっちじゃない」
「だってミチしか友達居ねぇんだろ? 最近までぼっちじゃん」
「……いや、ミチと入れ替わりで一人辞めた」
「定員あんの?」
「い、い、嫌な人だったんだって! でも友達居ないの嫌だから無理して友達してて……僕、そんな人と無理に付き合うことないって、そしたらやめたんだ」
「はぁ~……? 何それバカじゃねぇの、ぼっちのがマシだろ」
「……ペアワークのために友人を作っているお前に言われたくない」
「要るだろそりゃ。お前もペアワークのためか?」
「…………他校だ」
「マジで何してんの?」
それは俺も言いたかった。多分ミチもだ。何でも臆せず言えてしまうレンの度胸がたまに羨ましい。
「つーかミチって屈服しそうじゃね?」
「……ノゾムのことに関してはしない。脅しても別れると言わなかった、その場しのぎの嘘すらつかなかった。怯えはするが、引きはしない。ミチは男の中の男だ」
「へー……よかったなミチ、不良のボスに男として認められてんぜ」
頬をぱんぱんに膨らませたミチはこくこくと笑顔で頷いている。嬉しいようだ。中性的な童顔で低身長の彼は男らしさに憧れている節がある。
「元友人さんはミチタイプ? それとも喧嘩強い系?」
「…………立てないくらいボコボコにしても這いずってきた」
「すげぇガッツ」
「……今思い出しても腹が立つ。やはり今度会ったら一発殴る」
「不良的にはそういうのいい思い出じゃねぇの?」
「…………俺は喧嘩が嫌いなんだ。殴り合って友情が深まるなんて意味の分からない連中と同じにするな」
「へいへい、悪かったよ。喧嘩の理由は?」
センパイはチラリと俺を見て、僅かに表情を歪め、レンに向き直ると首を横に振った。
「……ノゾムの前では話せない」
「男関係か……」
「………………言うな」
「俺やミチはそもそも体格的に勝ち目ねぇ感じだからな~、根野とやり合った時のが近いか? 刃物持った根野相手によくやったらしいじゃん、あんな感じだろ、違うか?」
レンは何故かはしゃいでいる。俺は不愉快だ、センパイの昔の男の話なんて聞きたくない。センパイは配慮してくれているのに、レンは好奇心に従っている。それで俺が不機嫌になっても原因はセンパイだから自分は関係ない、悪くない、とか考えてるんだろうな。実際そうだ、レンは悪くないしセンパイも悪くない、昔の男とやらも元友人とやらも悪くない、多情なくせに嫉妬深くて勝手に機嫌を悪くしている俺が悪い。
「……割と近いかもしれない。そういえばアイツも刃物を持っていた」
「マジかよ! やべぇ気になる、聞かせて聞かせて」
「…………だが」
センパイはまたチラリと俺を見る。機嫌を伺うような表情だ、その強面には似合わない。
「俺は、大丈夫。よかったら話してあげて」
「……分かった。だが、そう面白い話でもないぞ。セフレを盗まれて、取り返したらそいつが刃物を持ってウチに乗り込んできたんだ。ボコボコにしても這いずって追ってきた」
「いや既に結構面白ぇよ。で?」
「…………色々揉めて、大事になって、兄ちゃんが来て……嫌がってる相手とは別れてやれって、怒られて……終わりだ。嫌な思い出だ、兄ちゃんに怒られた……」
「はしょんなよぉ~」
「……一年以上前のことだぞ、もう覚えてない」
「割と直近じゃねぇか! どんな記憶力してんだよ、ったく仕方ねぇな」
「…………ノゾムの全てを覚えるので忙しいんだ、古い記憶を漁っている暇はない」
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