過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました

ムーン

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あっさり逆転

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査定士にサディストらしいと言われた顔でシャルの喉を犯し、万能感に満ちていた。嗚咽するシャルの可愛さに身悶えし、射精し、爽快感さえ覚えていた。それが数十秒前のこと。

「ひぁあぁっ!? やめてっ、シャルっ、シャルぅっ! やめてっ、やめてぇえっ!」

今はガクガクと揺れる腰にしがみつかれ、射精して萎えたばかりの陰茎を吸われながら舐め回され、ソファの上で仰け反って足を振り回している。

「やることは何一つ変わっていないのに逆転だね。ふふ……君達兄弟は本当に素晴らしいよ」

「笑ってないでシャル止めてよぉおっ! 溶けるっ、無理ぃっ! こんにゃのしゃれたらしゅぐイくぅうっ!」

「サクはやっぱりめちゃくちゃにイかされてる方が似合うよ」

「あぁああっ!? イったっ、イったのしゃぶんないでぇっ! イくっ、まらイくかりゃああっ!」

楽しげな査定士に文句を言う余裕も消えた。たったの今まで俺が優位に立っていたのに、今もシャルは俺の股間に顔をうずめているのに、俺は涙を流して懇願している。

「ふぁっ、ぁ、あっ……そ、そぉ……離して、シャル……いい子だから」

シャルの口がゆっくりと俺の陰茎を出していく。抜けていく感覚に足をピクピクと揺らしつつも、ようやく俺の言うことを聞いてくれたシャルを褒める。

「ぁ……? な、なんで止まるの、シャル……だめ、それだけはだめっ……ひぁあんっ! やぁっ、らめっ、さきっちょらめっ、らめなのぉっ!」

シャルは亀頭だけを口に含み、細く尖らせた舌先を鈴口に入れてぐちゅぐちゅと弄り始めた。舌先数ミリしか入っていないはずなのに気持ちよすぎて悲鳴を上げる。

「シャルっ、シャルぅうっ! ゃあぁああーっ! あぁああっ! イくっ、イくぅうっ! イってるんだってぇっ! もぉやめてよぉおっ!」

大量の精液を搾り取られていく。とても短い間隔で射精しているのにシャルは舌の動きを緩めることなく、口から精液を漏らすこともなく、全て飲んでいく。

「あぁあああっ……! イ、くぅぅっ……!」

革張りのソファを引っ掻いてもどうにもならない、せめてシーツのように掴めたなら気を紛らわすくらいは出来たのに。

「ぁ……ィっ……ぅ、ぁっ……」

「息を吸う間もなくて声が出せていないね。シャル、これじゃ意味がないよ。可愛い声を出させないと……まぁ、これはこれで可愛らしいけれどね」

シャルは査定士の助言を聞かずに俺の陰茎をしゃぶり続け、陰嚢の方まで舌を伸ばして精液を搾り取った。呼吸が上手くいかない俺はもう声も出せずに痙攣するしかなく、気絶寸前の快楽に身を任せていた。

「ん…………ぁ、ごめんなさい兄さん。そろそろ離してあげないと死んじゃいますよね」

どれだけ経ったか、もう体感で時間を予想する余裕すらない。ようやくシャルが口を離し、申し訳なさそうに頭羽を下げて俺を見上げた。

「しゃ、る……」

気持ちよかったから大丈夫だ、そう慰めるつもりだった。けれど舌は動かず、声帯は震えない。

「兄さんの精液、とっても美味しくて……つい」

シャルと同じく俺もインキュバスなのだから、媚薬効果も含む精液は美味だったろう。シャルの精液を俺が美味いと思うのだから間違いない。しかも俺には女神に付与されたスキルまである。

「……でも、兄さんは射精したかったんですよね? たくさん射精出来ましたし……喜んでくれていますよね?」

上手く声が出ないし、ボーッとした頭には言葉も浮かばない。

「兄さん……? お、怒ってるんですか? そうですよね、死にかけたんですもん、兄さんダメって、やめてって言ってましたもんね……聞こえてたのに、止まらなくて、僕……兄さん嫌がってたのに、やめられなくて」

「……シャル? 落ち着きなさい、サクは怒っていないよ」

「あなたに兄さんの何が分かるんですか!? 兄さんのこと何も知らないくせにっ、兄さんのこと売り飛ばしたくせにっ……! 知ったような口きかないでくださいよ! もし、僕があなたの言うこと鵜呑みにして兄さんに嫌われたら、取り返しがつかなくなったら……責任取れませんよね? 黙っててください」

まずい、シャルがまた不安になって焦っている。早口になって、瞳をいつも以上に見開いて、尻尾を落ち着きなく揺らして──かなり危険だ。

「しゃ、るっ……」

「兄さんっ……兄さん、兄さん、ごめんなさい兄さん」

足は全く動かないが、腕は比較的動く。必死に広げるとシャルは俺の意図を察し、胸に飛び込んできた。

「おこ……て、ない……から。しゃる……すき、ちゃんと……だい、じょーぶ…………な?」

「…………兄さん、兄さん、にぃ、さんっ……ごめんなさい、僕、面倒くさいですよね、ごめんなさい……」

確かに面倒臭いが、その面倒臭さも含めて可愛い弟だ。そんな長文を話す体力はないので無言で抱き締め続け、体力の回復を待った。


立てる程度に回復したら一度立ち上がり、服を整える。慰め終わったシャルがきゅっと手を繋いできたので引き寄せ、唇を短く重ねる。

「兄さん……兄さん、僕のこと好きですか?」

「好きだよ」

「……この家に居る男の何番目ですか?」

その質問には答えられない、俺の中で順位なんてついていない。
シャルは一番だと言えば喜ぶほど単純ではないし、なら夫であるアルマの次だとか言えば──考えたくはないが、アルマに何かするかもしれない。

「…………大切な弟だよ」

「兄さん、兄さんは……僕に嫌われるかもって怖くなったことありませんよね、僕が兄さんを嫌うなんてありえないし、嫌われるかもって思えても怖くはなりませんよね、兄さんは僕に嫌われたってアルマさんもネメスィさんもカタラさんも居ますもんね」

「シャル……俺はシャルが無茶なことしないかとか、シャルが痛い目に遭わないかとか、ずっと怖いよ」

「もし兄さんが突然居なくなったら……ネメスィさんやカタラさんは悲しむだろうけど、きっとすぐ立ち直ります。アルマさんもきっと、生きてはいきます。僕は無理です、兄さん、兄さんが居ないと僕ダメなんです」

「シャル……? 何が言いたいんだ?」

「…………………………分かりません。ごめんなさい、部屋……戻りますね」

シャルはふらつきながら部屋を出ていった。たった今まで性的接触で仲を深めていたはずなのに、シャルの精神はかなり不安定だ。俺がフェラを嫌がるようなことを言ったからか? もっと素直に快楽に溺れるべきだったのか?

「……なぁ、俺……なんか間違えたかな」

「きっと正解なんてないよ、でも……しばらく放っておいてあげた方がいいかもしれないね」

そうは言ってもシャルが戻る部屋って俺とアルマの寝室だ。シャルが落ち込んで帰ったらアルマが話しかけるだろうし、扉の前で聞き耳を立ててみようか。エルフ耳が活躍する時が来た。

「……っと、まだ廊下か」

弱々しく歩くシャルはまだ廊下に居た。小走りで追いかけてきて追いついてしまった。ひとまず角に隠れ、シャルが寝室に入るのを待つ。

「ただいま戻りました……お義兄さん……」

シャルは後ろに居た俺に気付かず部屋に入った。
閉じた扉に右耳を当て、目を閉じる。

「……おかえり、シャル」

アルマの声はいつもより低い。扉越しだから……ではなさそうだ。俺以外にはあんなものなのかな?

「…………サクはどこだ?」

「兄さん……? 知りません」

「さっきまで抱いていただろ?」

アルマの声が低く冷たく突き放すようだった訳が分かった。俺がシャルの名を叫んでいたのが聞こえていたからだ。

「まさか弟ともそういう関係だったとはな……我が妻には恐れ入るよ」

シャルは返事をしていない。

「……他の男はサクへの好意を俺の前でも隠そうとしない。俺の目の前でキスをしたり、身体を触ったり……平気でする。ネメスィだったか、あの金髪の男とは王都に一緒に来たんだが、道中サクの抱き心地を平気で話していた」

そんな話をしていたのか。ネメスィめ、相変わらず常識とズレた奴だ。

「…………サクはあの男から贈られた物を常に身につけている。まぁ、それにどうこう言う気はないが……な」

チョーカーのことまで話したのか? 最初に聞かれた時にせっかく言い訳したのに。

「金髪の男も、銀髪の男も、恋敵だ……俺は夫なのだから俺が勝者ではあるがな。それでも恋敵だ、だがしかしそこまでの嫌悪感はない、開け広げで気持ちのいい男達だ。だがシャル、お前は気に入らない」

いつも優しいアルマとは思えない言葉に俺の思考は停止する。

「ただ仲のいい兄弟、ただの食事……そう言い訳して俺の前でキスをしていたな。あの時、本当に唾液を飲んでいただけか?」

「…………他の人だってあなたの目の前でキスくらいしてたんでしょう?」

「あぁ、だがお前のように好意を隠してはいなかった。悪いな、気に入らないと言ったのに明確な理由はない……無害な子供だと思っていたのが恋敵だったと分かって気分が悪い、それだけだ。苛立って八つ当たりをしているだけ……すまないな」

純粋で無害だと思っていたから安心できていた相手が、それなりに世を知っていた時の嫌悪感──それはなんとなく分かる。
声を荒らげない優しさも、けれど苛立ちを隠そうとはしない嫉妬深さも、扉の向こうから伝わってくる。
俺はこれから数時間は中に入れないかもしれない。
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