過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました

ムーン

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体の中に残らないように

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ドラゴンに体内も体外も白濁液まみれにされ、俺は査定士に文字通り泣きついた。

「掻き出して、お願い……」

「分かった。ただ、普通の動物の受精とは訳が違う。魔力による物質生成だ。魔力を吸収してしまった時点で手遅れかもしれないということは念頭に置いてくれ」

すすり泣きながら頷き、冷たい床に座って開脚する。

「……お願い」

「あぁ、今…………待て、私は檻に入れられてから体を洗っていない。粘膜の部分にそんな汚い手を触れさせるわけには……」

俺は躊躇う査定士の手を掴み、人差し指を口に含んだ。

「サク!? 汚いと言ったばかりだろう、離しなさい」

簡単に手を引かれてしまった。

「……前、シャルが言ってた。インキュバスは病気とか寄生虫とかには強いんだって。ちょっとくらい汚くてもいいから……変な味しなかったし」

「…………そうだな、再生もする……すまない、取り乱したよ。多少の病気や膿より妊娠だな」

改めて査定士の中指が後孔に挿入される。粘着質な精液を出すため、爪を立てずに俺の腸壁を引っ掻いていく。

「ふ、ぅっ……うぅぅっ……! んんっ、ひぁんっ!」

とうとう前立腺を引っ掻かれ、仰け反って倒れ、床で頭を打った。

「サ、サク? 平気かい? すごい音だったよ」

「頭割れたぁ……大丈夫だから、続けて」

もちろん頭蓋骨はなんともない、いくらインキュバスが脆いといっても自分でひっくり返ったので骨折なんて滑稽な真似はしない。

「ん、んぅっ……んんんっ……!」

仰向けになった俺は足が邪魔にならないよう折り曲げて開脚し、膝に腕を通していた。その状態で後孔をほじくられてくちゅくちゅと音を立てられては、消えたはずの羞恥心が顔を出して恥辱を訴える。

「流石はドラゴン……人間の指じゃ届かないよ。サク、足をどけてくれるかい?」

邪魔にならないようにしていたのに……と拗ねつつ、足を開いたまま伸ばして査定士の肩に乗せる。

「……少し苦しいかもしれないよ。我慢してくれるね?」

俺の下腹で心臓マッサージをするように両手を重ねた査定士を見て、全てを察して目を閉じて頷く。

「…………んぐぅっ! ふ、ふっ……ゔぅぅっ! ん、んぅぅ……」

腸を外側から強く押され、奥から精液が追い出されていく。

「サク……大丈夫かい?」

押さえられる度、苦痛の皮を被った快感が腹部を襲う。

「きも、ちぃ……」

「……そう、よかった。いつも旦那様にお腹を押さえられていたよね、少しくらいなら大丈夫なんだね?」

「ぅん…………んっぐぅぅっ! ぅ、ふぅっ、ううゔぅぅんっ! ん、ふ……ふぐぅっ!」

どぷっ……と射精するように後孔から精液が吐き出される。

「ぅっ……ちょっと、どいて……! ぅ、えぇっ……う、ふ……はぁっ、はぁっ……」

吐き気を催した俺は査定士の手を腹からどかし、体を横に向けて口から精液を吐いた。インキュバスの腸の僅かなくねりに合わせる柔らかい陰茎を奥まで突き入れられたのだ、腹を押されて下からしか出ないと思う方がおかしい。

「ふぅ……ふぅ……おじさん、まだ入ってると思う……?」

「どうだろう……粘着質なものだからね。インキュバスなら体内に精液が残留してるかは分かるんじゃないのかい?」

「お腹押さえられて、うぷってなって……なんかジンジンしてるから、今はよく分かんない」

「そう……とりあえずここまででいいかい?」

俺も査定士もかなり疲れた。彼はもう何日もろくな食事を取っていないだろうし、体を気遣ってやらなければ。

「……サク、寒いだろう? おいで」

体表は精液にまみれたままの俺を査定士は躊躇なく膝に乗せて抱き締め、唇を重ねた。

「…………臭くない?」

「サクを疎ましいと思うことはないよ……そう格好つけたいけれど、正直、ドラゴンの精液には興味があってね……!」

「……あなたらしい。変わってなくてよかった。酷い怪我いっぱいしてるから、酷いこといっぱいされたんだろうなって……心配だった」

「…………ありがとう、サク」

再び唇を重ねる。

「……サク、どうしてここに来たのか聞いてもいいかな?」

俺は正直に査定士を助けるために風俗店でスパイ行為に勤しんでいたことを話した。軍人の客を取ったはいいものの正体がバレてしまい、投獄されたことも。その過程で先輩と従業員に命をかけてもらったことも。

「おじさん……俺、仲良くなった子がいたんだ。先輩……俺の教育係の男の子。俺と同じ歳くらいの見た目なんだけど……ぁ、俺はゼロ歳だから、その、人間基準で」

「分かっているよ。十七、八……ってところかな」

「そう……先輩。俺がナイフで刺されたりするの、助けようとして……ボコボコにされて。俺を、魔物を庇おうとしたってことで……首、切られて」

査定士は黙って俺を強く抱き締め、頭を撫でる。

「先輩っ……俺と結婚したいって言ってた。死ぬ間際も俺のこと責めたりしなかった、俺のせいで死んだのにっ……! 責めてくれたら楽だったのに、結婚しようって……俺がいいよって言ったら嬉しそうにしてっ、もう死ぬのにっ、あんな若くで俺なんかのせいで死んじゃったのにっ、俺の嘘であんな綺麗な笑顔っ……!」

「…………サク。彼はそれほど君を愛していたんだよ」

「それが嫌なんだよっ! 怖い……! おじさん、おじさんも俺のせいでこんなとこ入ってる。シャルもアルマもネメスィもカタラもっ! みんな俺のせいでいっぱい痛いことあった……俺のせいで」

「サク、君が気に病む必要は何もないんだよ。みんな可愛い君を愛している、君を守るのも君のために自分を犠牲にするのも、全て自分の意思でやってるんだよ」

先輩が死ぬ間際に「結婚する」と言った時、俺は頷いてしまった。せめてもの慰めになると思って嘘をついた。俺は先輩を慰められたのだろうか、俺を嘘つきだと蔑まなかっただろうか、本当は俺を恨んで──恨んでいたら、あんなに綺麗には笑えない。

「みんなに好かれるの、気持ちよかったんだ。シャルとかはちょっと怖いし、最初は抱かれるの怖かったけど……みんな、俺に惚れて、俺に優しくしてくれて、俺のこと可愛いって言ってくれて…………嬉しかったんだ。前は、そんなの全然なかったから」

「…………前?」

会社に使い潰されただけの、何のいい思い出もない人生を送った俺にとって、転生はご褒美だと思えたんだ。神様のお詫びなのかもしれないなんて思ったんだ。

「あいつっ……俺を弄んでるだけだっ! 先輩生き返らせてくれなかった! アルマとシャルは生き返らせてくれたのに……! あれインチキだったんだ、アルマもシャルも女神なんかに何も頼まなくても生き返った、違う、生きてたんだ! 死んでなんかなかった!」

アルマが生きていたのは魔神王との契約である婚姻のおかげだ。シャルはギリギリで生きていたのだろう。女神は何もしないで俺から感謝をもぎ取ったんだ。

「サク、すまない、何の話をしているんだ?」

「…………俺のことっ、みんな……嫌いになって欲しい。俺なんかに惚れないで欲しかった。俺のせいでみんな不幸になってる……」

「……そんなことはないよ。サク。私は今幸せだよ」

「嘘だっ……犯罪者扱いされて、こんなとこ閉じ込められてっ……そのうち処刑されるのに、幸せなんて嘘だっ!」

泣きわめく俺を査定士は抱き締めてくれる。それすらもスキルが作った好意のせいで、ただただ悲しくて虚しかった。

「サク……私は、君ほど愛した者はいないよ」

女神が俺に付与したスキルのせいだ。

「そんな愛しい君に酷いことをしたのに君は許してくれた。少しの間だけれど君や君の家族と一緒に過ごせて嬉しかったよ。本当に悔いはなかったんだ……君達が心配だっただけで。それなのに君は私を助けに来てくれた。これほどの幸せはないよ」

「…………ぜん、ぶ……嘘なんだ」

女神が変なスキルを付与しなかったら査定士は俺を愛さなかった。ただ売り飛ばして、その金で幸せになれていた。

「……嘘の、気持ちなんだ」

「サク……違うよ、信じて、私は本当に幸せだよ。本気で君を愛している。辛いからって私の心をを否定しないで、サク……サクは誰よりも可愛くて美しいんだよ」

無理矢理作り出した好意に甘えた俺は前世の醜男の姿以上に醜い魔物だ。

「サクほど可愛くて美しい魔物は居ない。サク、私は君に会えて嬉しかったよ」

後にも先にも、俺ほど醜い魔物は存在しない。
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