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いつまでも居る先輩 (水月+カンナ・カサネ・アキ・セイカ・ハル)
俺ではなくセイカ待ち、俺とのデートではなくクンネへの厚意、間を空けた二連撃は結構効いた。
「はぁ……」
今日最後の休み時間、俺はハルから受けた二連撃を引きずってため息をついていた。
「……? みぃ、くん……つか、れた?」
「ん、いや、次の授業終わったらもう帰らなきゃなの、寂しいなぁって……昼休みが一番みんなと話せるだろ? その時間が今週はないんだって思ったら、な」
「わ……かる。さみ、し……」
「だよな? カンナ、放課後俺と過ごしてくれたりするか?」
「……ごめ、ん……なさ…………べんきょ、しな……きゃ」
「だよなぁー……俺も勉強頑張るか」
カンナには癒されたが、寂しさは拭えない。まぁ、自宅に帰っても常に六人居るからいいんだけどさ。
イチャつくぞとやる気たっぷりに家を出なければ、ここまで落ち込むことはなかっただろうなと思いつつ、自宅に帰った。人肌恋しさが普段以上に強くなっていたので、着替えたらすぐにアキの部屋へ向かった。
「にーに、おかえりなさいです」
「おかえり鳴雷くん、早苗ちゃん」
カサネ、まだ居た。じゃあ七人か、大所帯だな。
「ただいま帰りました。先輩、朝居ませんでしたけど……帰ったんじゃなかったんですね」
「散歩行ってただけだべ。つか鳴雷くん達早くね?」
「テスト前週間で短縮授業なんですよ。一応同じ学校の生徒ですよね、分かっててくださいよ先輩」
「テスト? もうそんな時期かぁ」
以前から薄かったが、留年が決まってから一層学校への関心を失くしているな。
《俺テスト勉強するから、今週は構えないからな》
《え~……了解》
「セイカ? なんて? アキなんか嫌そうだけど」
「勉強するから絡むなって」
「あぁ……そっか、アキはセイカ大好きだもんなぁ?」
「だ」
「その分お兄ちゃんがたくさん構ってやるからな~」
「お前も勉強しろよ」
正論を吐き捨てながらセイカはベッドに座って義足を外し、学校支給のノートパソコンを開いた。
「……課題やるだけで手一杯かなぁ、俺は」
「大変だな」
「そうだ、カサネ先輩勉強教えてくださいよ。二年生なら一年二学期の中間テストくらい余裕でしょ?」
「んー……ちょっと範囲見せて。あぁ~……んまぁ、ある程度ならイケるかな」
「やった! お願いします」
「へいへい」
俺も作業を始めて、カサネが俺の隣に座ると、一人取り残されたアキはロシア語で何か呟いてプールへの扉をくぐった。
「……アキ、なんて?」
「退屈」
「そっか、暴言じゃなくてよかった」
月曜日の放課後はそうやって過ごした。カサネは照れたり緊張したりしなければ話すのが上手く、勉強は捗った。
「いらっしゃい、です。にーにぃ」
「いってらっしゃ~い」
「みつきー、いってらっしゃい」
アキと荒凪の間で手を振るカサネ……いつ帰るんだろ。
「行ってきます」
今日はクンネを鞄に入れている。放課後は家に帰らずそのままハルの家に行くつもりだ。アキ達には伝えておいたが、寂しがるだろうな。寂しがったアキは俺を求めて……フフフ。
普段正門から出入りしているからか、裏門からの景色に新鮮さがある。キョロキョロ辺りを見回していると、ハルに手首を掴まれた。
「みっつ~ん、俺の家覚えてないの~? こっちだよ~?」
「覚えてるよ。この辺来ないからちょっと色々気になってさ」
「ただの住宅地~、いい店なんかないよ~」
「……アレは?」
目に入ったのはオシャレな看板、民家のように見えるがカフェと英語で書いてある。ハルの好きそうな雰囲気に見えるが……?
「スピナチュママの店~。聞いたことないハーブティーとぉ~、砂糖ナシの不味いお菓子出るんだって~、あと何かに勧誘されるらしいよ~」
「おぉ……」
それは、行きたくないな。
「んなことより~。じゃーん! 俺の家でーす」
「ふふ、知ってるよ。やっぱり学校近くて羨ましいなぁ。お邪魔します」
「入って入って~、まだ姉ちゃん居ないから今のうち~……みっつんの靴隠しとこ」
ハルは俺の靴を靴箱に押し込んでしまった。
「おいおい……客で来たのに靴箱使うのは非常識とかいう問題じゃないだろ」
「家主がしたからいいの! ほらほら、早く部屋来て」
外では手首を掴んでいたハルだが、今度は自然に指を絡めた恋人繋ぎをしてきた。ときめいたのも束の間、当然すぐにハルの自室に着いて、手は離れた。繋いでいたのはほんの数秒だ。
「うわ、いっぱい出してあるな」
ハルの部屋の床はドールハウスなどで埋め尽くされている。
「埃は払ったし~、一応あの~……食卓用の抗菌シート? で一通り拭いたんだけど~、汚れ残ってたらごめんね?」
「綺麗にしてくれたのか? ありがとうな本当。えー、鞄……ここ置くぞ」
空いているのは内開きの扉の開閉スペースくらいだ。そこに鞄を置いていつ帰宅するか知れない姉の侵入を防ぐ。
「あ、待って待って~。ジュース取ってくるから、そこ置くならその後で~」
「あぁ、悪い……」
一旦鞄を持ち直し、ジュースを取りに行ってくれたハルが戻るのを待つ間に鞄からクンネを取り出した。
(また寝てますな)
推しぬいが入れられる、寝袋ストラップ。その中でクンネはぐっすり眠っている。
「ただいま~。鞄置いていいよ~」
「あぁ、ありがとう」
両手でよく冷えたペットボトルを持ち、足で扉を閉める。品のない態度を見せてくれることに優越感と興奮を覚える。
「あっ座るとこない……んー…………どうぞ!」
ハルは箱入りのドールハウスを積んだり、いくつかベッドの上に移したりしてスペースを空けた。俺は礼を言いながら床に胡座をかき、ペットボトルを膝の隣へ置いた。
「クンちゃんは……あっ、もう出てきてくれてるっ? え~可愛い~! 寝袋で寝てる~! ってか何このちっちゃい寝袋可愛い~!」
ハルの大声にも動じず、クンネは眠ったままだ。無理矢理起こした方がよさそうだな。
「はぁ……」
今日最後の休み時間、俺はハルから受けた二連撃を引きずってため息をついていた。
「……? みぃ、くん……つか、れた?」
「ん、いや、次の授業終わったらもう帰らなきゃなの、寂しいなぁって……昼休みが一番みんなと話せるだろ? その時間が今週はないんだって思ったら、な」
「わ……かる。さみ、し……」
「だよな? カンナ、放課後俺と過ごしてくれたりするか?」
「……ごめ、ん……なさ…………べんきょ、しな……きゃ」
「だよなぁー……俺も勉強頑張るか」
カンナには癒されたが、寂しさは拭えない。まぁ、自宅に帰っても常に六人居るからいいんだけどさ。
イチャつくぞとやる気たっぷりに家を出なければ、ここまで落ち込むことはなかっただろうなと思いつつ、自宅に帰った。人肌恋しさが普段以上に強くなっていたので、着替えたらすぐにアキの部屋へ向かった。
「にーに、おかえりなさいです」
「おかえり鳴雷くん、早苗ちゃん」
カサネ、まだ居た。じゃあ七人か、大所帯だな。
「ただいま帰りました。先輩、朝居ませんでしたけど……帰ったんじゃなかったんですね」
「散歩行ってただけだべ。つか鳴雷くん達早くね?」
「テスト前週間で短縮授業なんですよ。一応同じ学校の生徒ですよね、分かっててくださいよ先輩」
「テスト? もうそんな時期かぁ」
以前から薄かったが、留年が決まってから一層学校への関心を失くしているな。
《俺テスト勉強するから、今週は構えないからな》
《え~……了解》
「セイカ? なんて? アキなんか嫌そうだけど」
「勉強するから絡むなって」
「あぁ……そっか、アキはセイカ大好きだもんなぁ?」
「だ」
「その分お兄ちゃんがたくさん構ってやるからな~」
「お前も勉強しろよ」
正論を吐き捨てながらセイカはベッドに座って義足を外し、学校支給のノートパソコンを開いた。
「……課題やるだけで手一杯かなぁ、俺は」
「大変だな」
「そうだ、カサネ先輩勉強教えてくださいよ。二年生なら一年二学期の中間テストくらい余裕でしょ?」
「んー……ちょっと範囲見せて。あぁ~……んまぁ、ある程度ならイケるかな」
「やった! お願いします」
「へいへい」
俺も作業を始めて、カサネが俺の隣に座ると、一人取り残されたアキはロシア語で何か呟いてプールへの扉をくぐった。
「……アキ、なんて?」
「退屈」
「そっか、暴言じゃなくてよかった」
月曜日の放課後はそうやって過ごした。カサネは照れたり緊張したりしなければ話すのが上手く、勉強は捗った。
「いらっしゃい、です。にーにぃ」
「いってらっしゃ~い」
「みつきー、いってらっしゃい」
アキと荒凪の間で手を振るカサネ……いつ帰るんだろ。
「行ってきます」
今日はクンネを鞄に入れている。放課後は家に帰らずそのままハルの家に行くつもりだ。アキ達には伝えておいたが、寂しがるだろうな。寂しがったアキは俺を求めて……フフフ。
普段正門から出入りしているからか、裏門からの景色に新鮮さがある。キョロキョロ辺りを見回していると、ハルに手首を掴まれた。
「みっつ~ん、俺の家覚えてないの~? こっちだよ~?」
「覚えてるよ。この辺来ないからちょっと色々気になってさ」
「ただの住宅地~、いい店なんかないよ~」
「……アレは?」
目に入ったのはオシャレな看板、民家のように見えるがカフェと英語で書いてある。ハルの好きそうな雰囲気に見えるが……?
「スピナチュママの店~。聞いたことないハーブティーとぉ~、砂糖ナシの不味いお菓子出るんだって~、あと何かに勧誘されるらしいよ~」
「おぉ……」
それは、行きたくないな。
「んなことより~。じゃーん! 俺の家でーす」
「ふふ、知ってるよ。やっぱり学校近くて羨ましいなぁ。お邪魔します」
「入って入って~、まだ姉ちゃん居ないから今のうち~……みっつんの靴隠しとこ」
ハルは俺の靴を靴箱に押し込んでしまった。
「おいおい……客で来たのに靴箱使うのは非常識とかいう問題じゃないだろ」
「家主がしたからいいの! ほらほら、早く部屋来て」
外では手首を掴んでいたハルだが、今度は自然に指を絡めた恋人繋ぎをしてきた。ときめいたのも束の間、当然すぐにハルの自室に着いて、手は離れた。繋いでいたのはほんの数秒だ。
「うわ、いっぱい出してあるな」
ハルの部屋の床はドールハウスなどで埋め尽くされている。
「埃は払ったし~、一応あの~……食卓用の抗菌シート? で一通り拭いたんだけど~、汚れ残ってたらごめんね?」
「綺麗にしてくれたのか? ありがとうな本当。えー、鞄……ここ置くぞ」
空いているのは内開きの扉の開閉スペースくらいだ。そこに鞄を置いていつ帰宅するか知れない姉の侵入を防ぐ。
「あ、待って待って~。ジュース取ってくるから、そこ置くならその後で~」
「あぁ、悪い……」
一旦鞄を持ち直し、ジュースを取りに行ってくれたハルが戻るのを待つ間に鞄からクンネを取り出した。
(また寝てますな)
推しぬいが入れられる、寝袋ストラップ。その中でクンネはぐっすり眠っている。
「ただいま~。鞄置いていいよ~」
「あぁ、ありがとう」
両手でよく冷えたペットボトルを持ち、足で扉を閉める。品のない態度を見せてくれることに優越感と興奮を覚える。
「あっ座るとこない……んー…………どうぞ!」
ハルは箱入りのドールハウスを積んだり、いくつかベッドの上に移したりしてスペースを空けた。俺は礼を言いながら床に胡座をかき、ペットボトルを膝の隣へ置いた。
「クンちゃんは……あっ、もう出てきてくれてるっ? え~可愛い~! 寝袋で寝てる~! ってか何このちっちゃい寝袋可愛い~!」
ハルの大声にも動じず、クンネは眠ったままだ。無理矢理起こした方がよさそうだな。
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