冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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肉尽くしのご馳走

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こんなに嬉しい誕生日は初めてだ、みんな大好き、みたいな意味であるとセイカは慌てて説明してくれた。俺はアキの頭にかけた紙片とカラーテープを払い、パーティ帽子を着けてやった。頭に固定するためなのかカチューシャが付いているから、巨大飾り付きカチューシャと呼んだ方が正しいのかもしれないけれど。

「……? にーに? これ、なにー……です?」

「ぼーうーし。帽子。誕生日の人専用」

レイが「今日の主役」と書かれたタスキをアキにかける。

「これー……?」

「タスキだ。タスキ……分かるか?」

「だ。悪くー、ない……あらーぐま、です!」

「ん……?」

「アライグマじゃないか? タヌキに似てるけど結構な害獣だろアイツ。悪くないアライグマ、つまりタヌキだ」

「あんな極寒の地にアライグマみたいな哺乳類生きていけませんよ」

「お前ロシアを何だと思ってんだ」

「ウォールペンギンとか居るとこ……」

「んな寒いとこに人間住んでてたまるか!」

歌見と俺がすっとぼけた話をする傍らでセイカはアキにタスキが何なのか説明したようだった。

《なるほどな。今日の主役か、ふふ……スェカーチカ! 今日は俺が主役だぜ!》

《おーぉー俺にとっちゃいつでもお前が主役だよ、設定盛り盛りイケメン野郎》

《嬉しいこと言ってくれるじゃねぇかスェカーチカ! お前がヒロインだ!》

《……鳴雷は?》

《兄貴は……ヒロインって感じじゃねぇ》

《俺も違うだろ! ったく……》

《へへ。で、俺の席どこ?》

「鳴雷、秋風の席どこ?」

「そりゃ当然お誕生日席だよ」

大きな机は長方形。その短い方に一つだけ置いた椅子を引き、どうぞと手を差し出す。

《いぇーい……って言いたいとこだけどよぉ、俺兄貴とスェカーチカの間がいいなぁ》

「鳴雷、お前の隣がいいってさ」

「えっ……きょ、今日まで散々ツンツンしてきたのに……とうとう解禁!? お兄ちゃん嬉しい! お兄ちゃんのお膝にお座り!」

引いた椅子に座って膝を高速で叩く。

「む、ここに座ると仮定して飾り付けもしたのだが……鳴雷一年生、貴様角に座れ」

「角に!?」

「机の足を足で挟め」

「挟む!? まぁ別にいいですけど」

「いいならいちいち大声を出すな」

「すいません、リアクション取らないと死ぬ病にかかってました」

お誕生日席から立ち、俺が元々座る予定だった椅子をお誕生日の右隣に移動させた。机の足を足で挟む形になるし、机の角を使わなければいけないけれど、特に不便はなさそうだ。

「もう始めとる? まだ?」

「あ、りゅー。もうすぐ始めちゃうよ、何してたの~?」

「プレゼント取りに行っとってん」

「僕も。寝室に置いていたからね。君達はちゃんと準備してあるのかい?」

「昼間にね~。ほら座って座って~」

リュウとネザメがやってきた。彼らもアキ同様石鹸の香りと火照った肌で俺を誘っている。乾かしたばかりの髪もイイ、リュウは乾かしが甘くてしっとりしている。ネザメはちゃんと乾かしたみたいでふわふわしている。二人とも可愛い。

「……ふふ、サラサラ」

アキも珍しくちゃんと髪を乾かしたようで、梳くと絹糸のように俺の指を撫でていく。後ろ髪を弄られたアキは俺の方を向いて首を傾げたので微笑みかけてやると、アキは満面の笑みを返してくれた。

「ゥグッ……ぎゃわゆい。はぁあ~……旅行始まってから今日まで全然触らせてもらえなくて、ほとんど話してもらえなくて、見つめ合うのすら全然……! ックゥウ! 俺の弟世界一可愛い……!」

久しぶりにアキが俺に笑いかけてくれている、スキンシップを許してくれている。たまらない。キスしたい、その先も一気に突き進みたい。

「水月くん、変わったところに座ってるね」

「あ、ネザメさん。はい、アキが隣に居て欲しいって言うから……もうホント可愛くって」

「へぇ、それは可愛らしい……ねぇ秋風くん、左隣、僕が座る、いいかな?」

ネザメは俺の背後からアキの左隣へと移り、優しく微笑む。

「にぇはらしょ……」

「……ハラショーって素晴らしいとかそういう意味だよね? やった……! 隣に座っていいんだね?」

「よくない、だぞ。にぇって付いてるから」

大喜びで椅子を運ぼうとしたネザメにセイカが訂正する。

「不とか、英語で言うアンみたいな感じ?」

「そんな感じそんな感じ」

なんだか適当な返事だ。俺がちゃんと勉強する気がないと分かっているからだろうか。

「ダメなのかい?」

「となりー……すぇかーちか、です。もみじー、ごめんなさい、です」

丁寧に断られたネザメは深く落ち込んだが、誕生日にそんな表情は似合わないと思い直してくれたのかにっこりと笑って「いいよ」と言いながらアキの頭を撫でてアキの顔がよく見える席を探しに行った。

《……俺がいいのか? 紅葉にいい顔しとけば何か見返りあるかもしれねぇのに、アイツ金持ちだから……俺なんか、なんの見返りもやれねぇぞ》

《スェカーチカは俺の隣に居るべきだ、有史以来から決まってる》

《…………バカだなぁ》

二、三言葉を交わしたセイカはアキの左隣に椅子を引きずり、呆れたように、それでいて嬉しそうに微笑みながら腰を下ろした。

「座れ皆の者、食事を始めるぞ」

彼氏達が各々席に着く。ミフユはネザメの隣に立ち、ワイングラスを片手に持った。俺達もぶどうジュースが注がれたそれを持つ。

「秋風、誕生日おめでとう!」

小学生の卒業式のように、ミフユとアキ以外の全員が「誕生日おめでとう」と続ける。

「今日の主役は貴様だ、思う存分楽しむがいい。では皆の者、グラスを構えよ。かんぱ~い!」

人数の多さからグラスをぶつけ合うことは出来ない、ただ上に突き上げるだけとなった。

「秋風、ステーキも鶏の丸焼きも、ローストビーフもあるぞ。今日は貴様の好きだという肉尽くしだ、好きなだけ食べるといい……と、伝えてくれ、狭雲」

「あ、はい。秋風……」

早速ステーキに齧り付いているアキにセイカが何かを伝えると、アキは口をむぐむぐと動かしながら楽しそうに何度も頷いた。
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