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両手にいらない花
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ハルの姉達に両腕を固められてしまった。石畳の上ではセイカの歩行が安定しないのだが……アキに任せておけば大丈夫か? アキの方にも三女が行ったが、アキも腕にしがみつかれているのでは?
「京都の名所、いーっぱい案内したげるね~」
やっぱりアキも腕を組まれて──
《離せクソビッチ》
──いたけれど、すぐ振り払った。
《ちょっ、おいアキ! 断り方ってもんがあるだろなんっつー暴言吐いてんだお前は本当に口が悪いな!》
「あっ、いいのいいの怒んないでセイカくん。急に抱きついてごめんね? びっくりさせちゃったね、慣れない街ではぐれちゃ大変だから、お姉ちゃんと手繋ご?」
ちょくちょく一人称が「お姉ちゃん」になっているのは普段ハルにそう話しかけているからなのか、三姉妹の中では一番下だから歳下を見つけると姉ぶりたくなるのか……前者だったら萌えるな、お姉ちゃんと〇〇しよ~とか言われてるハルめっちゃ可愛くない? ハルはもっと弟感出して欲しい。
《……嫌だね、俺の手はスェカーチカと傘で埋まってんの》
「す、すいません……嫌だって言ってます」
「……!? そ、そうなの…………嘘でしょ今まで嫌がられたことなかったのに……グラサン濃すぎてよく見えてないのかな……」
長女と次女は「ざまぁ」なんて顔をしているんじゃないだろうかと両脇の彼女達の様子を見てみる。
「マジ……? え、腕払われることあるんだ……初めて見た……」
「嘘~……めっちゃ恥ずかしがり、って感じでもないし……なんで?」
全く「ざまぁ」なんて雰囲気ではなかった。俺は少し悪し様に思い過ぎていたようだな。彼女達はどうやら自分の魅力というものに絶対的な自信を持っているようだ、これまではどんな男も堕としてきたって感じの連中なんだろう。魅力が通用しない相手が初めて現れて愕然としているんだ。
(まぁ、わたくしもこの美顔が通用しなかったらびっくりしますしな……いえわたくしは恋愛対象が男なので、通用しないことは彼女達よりは多いと思いますけども)
実際、焼肉屋で会った穂張組を操っているボスとやらには全然通用しなかった。いや、彼はアキの方が好みだっただけで、超絶美形が通用しない相手と思うのは少し違うのか? いやどうでもいいなこの思考。
「…………ふっ」
すっかりご機嫌ナナメだったハルが「ざまぁ」という顔で僅かに笑った。
(ハルどのの方でしたか~。まぁ、ざまぁ顔も可愛いですけどな。しっかしハルどのかんわゆい~ゆいゆいゆい~、綺麗な御髪を結って、簪まで刺しちゃって、普段と全然印象違いまそ、かわゆいでそ~)
赤い着物は綺麗な百合柄、お前は薔薇だろと言いたくはなるけれどとても似合っている。下駄もいい、カラコロという足音が心地いいし、足袋のあの……足の指を二つに分けてしまう感じが、何ともフェティッシュ。足袋履いたまま爪先を口に突っ込んで欲しい。
(うなじ! うなじ! たまりませんぞ~! んはぁああのうなじのひょろひょろした髪の毛未満の髪の毛を舐めしゃぶりたいでそ。うなじはみはみしたぁ~い!)
着物は下着を着けないものだとギャルゲの夏祭りイベントで見たことがある、事実だろうか。
(ゲイなのにギャルゲやるのかって? やりますぞ。二次元と三次元は別でそ。ラブコメもハーレムアニメも百合作品も何でも食べますぞわたくしは)
ハルと姉達が同じものを着ているのだとしたら、触れている感覚から察するに着物の生地は薄い。安物とは思えない肌触りと見た目だから、夏用なのだろうか。この生地の薄さでノーパン……揉みたい、ハルのあの肉の少ない小さな尻を揉みたい!
(そうそうこんな感じの感触で、いえもうちょい弾力が……)
二の腕に押し付けられている胸の感触からハルの尻の感触を連想しようとする。
(ん……? そうでそ、ブラ着けてるかどうか分かればハルどのがぱんてぃ~履いてない可能性の高さが分かりますぞ。雄っぱいならぬ本家本元おっぱいの感触はブラ越しか否か……分かるかぁそんなもん!)
半年前まで女に蛇蝎の如く嫌われていた俺が、生ぱいかブラぱいかなんて分かる訳がない。
(……ハッ! 天啓! 洗濯物を取り込んだり畳んだりした時にならママ上の下着触ったことありまそ! どんな感触でしたっけ、えっと……子持ちのくせにすげぇ責めたデザインの……違う違う違う違いまそ! こんなこと考えてるって知れたらわたくし殺されますぞ!?)
分からない。分からない。知りたい。ハルの着物越しの尻の感触を。
「どうせなら一ヶ月前に来れば祇園祭やってたのに~。今なーんにもやってないよ~」
「私らも一昨日くらいに来たばっかで祇園祭参加してないけどね~」
ハルの尻を触るまで下着の有無が分からない。確認するまでは確定しない、これがシュレディンガーの猫ならぬシュレディンガーのパンツ……シュレディンガーさん怒ってあの世から舞い戻って俺殴りにきそうだな、シュレディンガーのパンツとか言っていたら。
「ばぁば地蔵盆とか言ってなかったっけ~?」
「あれガキの祭りだし~、本番明日か明後日でしょ~?」
量子力学的観点から下着について考えてみていると、知らない単語が聞こえてきた。
「地蔵盆……って何ですか?」
「あれ、知らない~? お地蔵さん綺麗にして~、お供えとかして~、いつもありがとーってやるの~」
「水月くんシティボーイだもんね~。東京じゃお地蔵さん自体にあんまり馴染みないよね~」
思わぬ知見を得た。妄想に一区切り付いたのでアキとセイカの様子を伺ってみる。
「このお店は創業四百年なの! こういうの見ると観光客って喜ぶもんなんだけど~……アキくんはあんまりかな?」
《三桁以上前だと実感湧かなくてどうでもよくなりがちじゃね?》
「えっと、実感湧かないって……」
「分かる~。江戸頃かな? 六百とか七百の店もポンポンあるんだよ~。ってかセイカくんロシア語話せるんだ! すごいね~!」
「ぁ、や……はい、誰も秋風と話せないと、困るから……」
アキは左手をセイカの腰に添え、右手で日傘を持ったまま、三女には興味なさげに過ごしている。セイカの方は緊張した様子で三女の相手をしていた。
(……とりあえずセイカ様が転んじゃったりとかはしなさそうですけど、はぁ~……四人で回りたかったなぁ~)
もし今ため息をつけば長女と次女に激しく問われるのが分かっている、心の中でたっぷり深いため息をつかせていただいた。
「京都の名所、いーっぱい案内したげるね~」
やっぱりアキも腕を組まれて──
《離せクソビッチ》
──いたけれど、すぐ振り払った。
《ちょっ、おいアキ! 断り方ってもんがあるだろなんっつー暴言吐いてんだお前は本当に口が悪いな!》
「あっ、いいのいいの怒んないでセイカくん。急に抱きついてごめんね? びっくりさせちゃったね、慣れない街ではぐれちゃ大変だから、お姉ちゃんと手繋ご?」
ちょくちょく一人称が「お姉ちゃん」になっているのは普段ハルにそう話しかけているからなのか、三姉妹の中では一番下だから歳下を見つけると姉ぶりたくなるのか……前者だったら萌えるな、お姉ちゃんと〇〇しよ~とか言われてるハルめっちゃ可愛くない? ハルはもっと弟感出して欲しい。
《……嫌だね、俺の手はスェカーチカと傘で埋まってんの》
「す、すいません……嫌だって言ってます」
「……!? そ、そうなの…………嘘でしょ今まで嫌がられたことなかったのに……グラサン濃すぎてよく見えてないのかな……」
長女と次女は「ざまぁ」なんて顔をしているんじゃないだろうかと両脇の彼女達の様子を見てみる。
「マジ……? え、腕払われることあるんだ……初めて見た……」
「嘘~……めっちゃ恥ずかしがり、って感じでもないし……なんで?」
全く「ざまぁ」なんて雰囲気ではなかった。俺は少し悪し様に思い過ぎていたようだな。彼女達はどうやら自分の魅力というものに絶対的な自信を持っているようだ、これまではどんな男も堕としてきたって感じの連中なんだろう。魅力が通用しない相手が初めて現れて愕然としているんだ。
(まぁ、わたくしもこの美顔が通用しなかったらびっくりしますしな……いえわたくしは恋愛対象が男なので、通用しないことは彼女達よりは多いと思いますけども)
実際、焼肉屋で会った穂張組を操っているボスとやらには全然通用しなかった。いや、彼はアキの方が好みだっただけで、超絶美形が通用しない相手と思うのは少し違うのか? いやどうでもいいなこの思考。
「…………ふっ」
すっかりご機嫌ナナメだったハルが「ざまぁ」という顔で僅かに笑った。
(ハルどのの方でしたか~。まぁ、ざまぁ顔も可愛いですけどな。しっかしハルどのかんわゆい~ゆいゆいゆい~、綺麗な御髪を結って、簪まで刺しちゃって、普段と全然印象違いまそ、かわゆいでそ~)
赤い着物は綺麗な百合柄、お前は薔薇だろと言いたくはなるけれどとても似合っている。下駄もいい、カラコロという足音が心地いいし、足袋のあの……足の指を二つに分けてしまう感じが、何ともフェティッシュ。足袋履いたまま爪先を口に突っ込んで欲しい。
(うなじ! うなじ! たまりませんぞ~! んはぁああのうなじのひょろひょろした髪の毛未満の髪の毛を舐めしゃぶりたいでそ。うなじはみはみしたぁ~い!)
着物は下着を着けないものだとギャルゲの夏祭りイベントで見たことがある、事実だろうか。
(ゲイなのにギャルゲやるのかって? やりますぞ。二次元と三次元は別でそ。ラブコメもハーレムアニメも百合作品も何でも食べますぞわたくしは)
ハルと姉達が同じものを着ているのだとしたら、触れている感覚から察するに着物の生地は薄い。安物とは思えない肌触りと見た目だから、夏用なのだろうか。この生地の薄さでノーパン……揉みたい、ハルのあの肉の少ない小さな尻を揉みたい!
(そうそうこんな感じの感触で、いえもうちょい弾力が……)
二の腕に押し付けられている胸の感触からハルの尻の感触を連想しようとする。
(ん……? そうでそ、ブラ着けてるかどうか分かればハルどのがぱんてぃ~履いてない可能性の高さが分かりますぞ。雄っぱいならぬ本家本元おっぱいの感触はブラ越しか否か……分かるかぁそんなもん!)
半年前まで女に蛇蝎の如く嫌われていた俺が、生ぱいかブラぱいかなんて分かる訳がない。
(……ハッ! 天啓! 洗濯物を取り込んだり畳んだりした時にならママ上の下着触ったことありまそ! どんな感触でしたっけ、えっと……子持ちのくせにすげぇ責めたデザインの……違う違う違う違いまそ! こんなこと考えてるって知れたらわたくし殺されますぞ!?)
分からない。分からない。知りたい。ハルの着物越しの尻の感触を。
「どうせなら一ヶ月前に来れば祇園祭やってたのに~。今なーんにもやってないよ~」
「私らも一昨日くらいに来たばっかで祇園祭参加してないけどね~」
ハルの尻を触るまで下着の有無が分からない。確認するまでは確定しない、これがシュレディンガーの猫ならぬシュレディンガーのパンツ……シュレディンガーさん怒ってあの世から舞い戻って俺殴りにきそうだな、シュレディンガーのパンツとか言っていたら。
「ばぁば地蔵盆とか言ってなかったっけ~?」
「あれガキの祭りだし~、本番明日か明後日でしょ~?」
量子力学的観点から下着について考えてみていると、知らない単語が聞こえてきた。
「地蔵盆……って何ですか?」
「あれ、知らない~? お地蔵さん綺麗にして~、お供えとかして~、いつもありがとーってやるの~」
「水月くんシティボーイだもんね~。東京じゃお地蔵さん自体にあんまり馴染みないよね~」
思わぬ知見を得た。妄想に一区切り付いたのでアキとセイカの様子を伺ってみる。
「このお店は創業四百年なの! こういうの見ると観光客って喜ぶもんなんだけど~……アキくんはあんまりかな?」
《三桁以上前だと実感湧かなくてどうでもよくなりがちじゃね?》
「えっと、実感湧かないって……」
「分かる~。江戸頃かな? 六百とか七百の店もポンポンあるんだよ~。ってかセイカくんロシア語話せるんだ! すごいね~!」
「ぁ、や……はい、誰も秋風と話せないと、困るから……」
アキは左手をセイカの腰に添え、右手で日傘を持ったまま、三女には興味なさげに過ごしている。セイカの方は緊張した様子で三女の相手をしていた。
(……とりあえずセイカ様が転んじゃったりとかはしなさそうですけど、はぁ~……四人で回りたかったなぁ~)
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