冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,226 / 2,312

小さな稲荷にお参りを

しおりを挟む
神社に行きたいと言ってみたら、ハルがスマホで近場の神社を調べてくれることになった。パッと思い付いた京都の名所が無数の鳥居による幻想的な風景だったと言うだけで、俺は別に神社マニアでもないのだが……昨日の昼まで神社に居たし。

「ここ近くない? 行ってみよ」

「あぁ……ぁ、ごめん、母さんから電話だ。ちょっと待っててくれるか?」

「OK~、道確認しとくね~」

ハルはスマホ片手に周囲を歩き回り、道の確認を始めた。俺はハルから少し離れてスリープモードのスマホを耳に当て、口を開いた。

「サキヒコくん、居る?」

「もちろんだ、水月。今日の相手は可愛らしいお嬢さんだな」

「分かってると思うけど男だからね」

「もちろん分かっているとも、彼は以前にも見た。それで? 用事は何だ?」

「……これから神社行くから、気を付けなよって言いたくて。神主さんとかに見つかって祓われちゃったら大変だからさ、あんまり近寄っちゃダメだよ」

「そのくらい言われなくとも大丈夫だ。しかし……ミツキが私を心配してくれたのはとても嬉しい。ミツキ、気を付けて……行ってらっしゃい」

ちゅ、と頬の辺りで音がした。感触はなかったけれどキスをされたのだろう。サキヒコの姿を見たいし、触れたい。どうにかサキヒコを出会った時のような強力な霊にする方法はないだろうか。

「ハル、ごめんごめん」

「いーよっ。何話してたの~?」

「ちょっとした状況確認、アキちゃんと紫外線対策してるかとかセイカ薬飲んでるかとか。デート中って言ったらすぐ切ってくれたよ」

「ふ~ん、行こ行こ~っ」

着物姿のハルに腕を組まれ、幸福感に浸りながら歩いていく。スマホで地図を確認しながらのハルが転んだり何かにぶつかったりしないよう、サンと歩いている時のように細心の注意を払った。

「次右~」

「なんか……人気、なくなってくね。あんまり賑わってる神社じゃなさそう?」

「ゆっくりお参り出来るじゃん」

「うーん……でもなんか、人いっぱい来てる神社の方が神様のパワー強そうじゃないか?」

「同接何万人の配信者より同接三人くらいの配信者のが、コメントした時反応いいじゃん。神様のパワー強くてもその分人が多くちゃご利益も薄まっちゃいそうじゃない? あんまり人来ないとこの方が張り切ってご利益くれるよ~」

そんな打算的な考えで神社に行っていいのだろうか。配信者と神を重ねて話していいのだろうか。色々と考えることはあるが、今更「人気なさそうだから行かない」なんて失礼過ぎる。俺達は参拝客が一人も居ない寂れた神社に足を踏み入れた。

「ちっちゃいけど~、木がいっぱいで空気綺麗な気がするね~」

「……そうだな」

サキヒコはちゃんと離れたかな? 姿が見えないから不安だ。

「手水舎の水冷たくて気持ち~……さ、お参りしよっ」

「あぁ、ところでここの神社ってどういうご利益とかあるんだろうな」

「……さぁ?」

まぁいいか。幽霊が彼氏に居る以上、神や仏にあまり深く関わるべきではないだろう。参拝ではなく観光として入らせてもらおう。

「あれ……? みっつんみっつん! こっちにもある~!」

お参りを終え、おみくじを引いたりお守りを買ったりする場所はないみたいだなと辺りを見回していると、ハルが大声を上げて俺を神社の裏手に呼んだ。

「見てほら、ちっちゃい社」

「ホントだ」

裏手にある小さな社の前には狛犬のように狐の像が置かれているが、肝心の頭がない。尻尾で何とか狐だと分かる。

「狐……? お稲荷さんかな」

「その通りや、嬢ちゃん坊ちゃん」

後ろから声をかけられ、驚いて振り向くと宮司と思しき男性が竹箒を持って立っていた。

「やぁ若い参拝さんは久しぶりやわ、お稲荷さんまでちゃんと見てもうて」

「はぁ……あの、この像はこういう形の像……ではないんですよね?」

「あぁ……こないだ夜中になぁ、なんやタチの悪い連中入り込んだみたいでなぁ、境内ゴミだらけやわ、参道に「参上!」とか書いとるわ、お稲荷さんの首折ってどっかやってまうやとか、ひっどいことしよったんや」

「えぇー、本当に酷い……警察とかに言いました?」

「言いた言うた、捕まりよった。せやけど酔っとったから覚えてへん言うてなぁ、首見つかれへんねん。新しい像作ってもらう余裕もないしなぁ……」

宮司のため息に引っ張られて俺達も暗い気分になる。

「…………あぁ、すんませんなぁ、こないな話するつもりなかったんですけど……ぁ、せや、ここのお稲荷さんはねぇ、縁切り得意なんよ。アベックさんには無用やろうけど」

「ア、アベックってぇ……恋人ってこと~?」

「そうそう……最近はもうアベック言わんのでしたっけ」

「えへへへっ、アベックだってみっつんアベックだってぇ~」

ちゃんと恋人同士に見えているのが嬉しいのか、ハルは緩んだ笑顔を浮かべて俺の腕にしがみつき、俺の腕をぶんぶん揺らした。

「ふふ、可愛い…………縁切りかぁ」

セイカとその母親とか、アキとその父親とか、レイと元カレとか、ハルとその父親とか、俺の縁ではないけれど切りたい縁は山ほどある。お願いしておこうかな。

「縁切りはやだ~。縁結びがいいなぁ、みっつんともっとぎゅーって、ね~?」

「……そうだな」

ハルが思い付いていないのなら父親の話はしないでおこう、連想させそうなアキやセイカの親の話もやめておこう。

「でもレイと元カレは切っといてもらおうかな」

「もう綺麗に別れたんじゃなかった?」

「念入りに切っときたい……」

「あははっ、そうだね~。でも本人が来なきゃダメじゃない?」

「それもそうかぁ」

俺自身には切って欲しい縁はないので何も頼まず、宮司に挨拶をして神社を後にした。
しおりを挟む
感想 532

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処理中です...