冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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お風呂でお喋り (水月+セイカ・荒凪)

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気が付くと俺は湯船の中に居た。荒凪が運んでくれたらしいが、大き過ぎる彼は俺達に狭さを与えないようシャワーを浴びてすぐに浴室を出たのだと、頭を洗いながらセイカが教えてくれた。

「けほっ、けほ……はぁ…………喉痛…………なぁ、俺なんで手にラップ巻かれてんの」

「怪我してるから」

「あぁそう……そうか、まぁそうか……」

「それより、どうだった? まさか寝るとはなぁ、イくと眠くなるから仕方ないけどさ、満足したか?」

「…………うん」

「よかった! 言いたい文句もあるけどさ、やっぱり労ってやりたかったんだ。頑張ったもんな、怪我までして荒凪助けてさ……だからアレは、そのご褒美ってことで」

とんでもない快楽地獄だった。まだ腰が重だるい。陰茎はヒリヒリするし、陰嚢にはないはずの筋肉痛のような感覚がある。

「まぁ……気持ちよかったよ」

荒凪の媚毒の効果は俺には出さないようにと言ったのに、なんで効いたんだ? 止まってと言った時は辛そうな姿勢で静止するほど命令がよく通ったのに。媚毒に関するあの発言、命令だと認識されてなかったのかな。

(もうちょいキッパリ使うな、効かすなって言うべきだったんでしょうか? 効かないように出来る? じゃあそうしてって感じでしたっけ……うーん?)

風呂を出てすぐに命令を下しておくか。いや、すぐにやったらさっきの行為は嫌だったのかと荒凪が落ち込みかねない。日を空けようかな。

「ふー、やっと落ちた……かな? お前の多いし粘っこいんだよ、顔はともかく髪は後処理大変だな」

「……見たかったな、ぶっかけセイカ」

「言うと思って撮っといた。真っ白なだけで、見ても面白くないと思うけど」

「マジか……流石過ぎる」

「ふふん、最古参は時雨じゃなくて俺だからな。お前のことはそこそこ分かってるつもりだぞ。でも本当に面白くないぞ? テレビでたまに見る……パイ投げドッキリされた後みたいな感じだし」

「……俺そんなに出したの?」

そりゃ筋肉でなかろうと筋肉痛にもなるわ。

「っていうかパイ投げドッキリ後の姿を面白くない面白くない言うなよ、面白いと思われてるからテレビでたまに見るんだし」

「面白くねぇもん……」

「ドッキリ嫌いだっけ。バラエティなら何が好き?」

「……コント?」

「へぇ……げほっ、けほ、げほっげほっ…………はぁ」

「喉痛いんだろ、あんま喋るなよ」

「セイカとお喋りしたい……」

「風呂出てからにしろよ。スマホでも筆談でも何でもいいからさ」

「ん……」

「腰周り軽く流しただけだから、頭と身体は自分で洗えよ。じゃあ、ほら、交代」

湯船から出て、交代に湯船に浸かるセイカの介助をしてやる。腰は重だるく、足に力は入りにくいが、軽いセイカの介助くらいはまだまだ出来る。ありがとうなと申し訳なさそうに笑うセイカが可愛いから、やる気も出る。

「…………なぁ、鳴雷」

「……ん?」

「あぁ、返事しなくていい……喉痛いんだろ。話すから聞いてくれ、適当に頷きでもして」

セイカを見つめて頷くと彼は優しく微笑んだ。

「みんな、すごく心配してた。秋風のことも、お前のことも。ちゃんと治るのか、ちゃんと帰ってくるのか、いつも通りに戻れるのかって。時雨なんかたまに泣き出しちゃってさ、その度に霞染が慰めてたんだけど……昼休みに、とうとう一緒に泣いちゃってさ」

俯いて話していたセイカが不意に笑いを漏らす。笑いどころのない話なのにと不思議がっていると、くすくす笑いながらその理由を話してくれた。

「霞染、マスカラ? って言ってたかな、目元に塗ってる化粧品涙で流れて……涙黒いんだよアイツ。ふふっ……悪いけど、面白くて、ククッ……笑っちゃダメだって思うほどなんか笑けてきてさぁ……なんとか霞染にはバレなかったんだけど、ヤバかったよ」

笑ってはいけない状況での笑えるワンシーン、辛いよな。うんうんと頷くとセイカは満足そうに口元を緩めた。

「今日一日、怖かった。お前が居ないとか、秋風が心配とか、なんか化け物来るかもとか……そういうのもあったんだけど、何より…………天正の雰囲気が、さぁ……気付いた? 鳴雷に会ってもしばらくピリついてただろ」

頷く。

「……鳴雷が居なかったからかな。アイツ普段明るくてさ、話振ったりもしてくれてさ……お前が居なくてアイツが喋らないと、俺達なんかぎこちなくなるんだなって、気付いた。結構仲良くなってたつもりなんだけどな」

どれだけ仲良くなろうとも、グループ内には必ず盛り上げ役が存在するし、それが欠ければ普段と雰囲気が変わるのは仕方ないことだ。仲良くなれていなかったのかと落ち込む必要はない。

「物静かなアイツ、怖ぇのな。知らなかった」

普段明るい子が静かだとギャップがすごい。もっとあの調子のリュウを見たかったような、気まずいから見たくないような……

「……洗えた? 出ようか、もう一回浸かる? 出る? ん……立たせて」

髪と身体を洗い終えた俺はセイカを抱き上げて浴室を後にした。バスタオルを羽織り、セイカが用意してくれたという俺の着替えを確認する。

「いつもの部屋着だな。助かるよホンど……けほっ」

「喋るなってば。あ、怪我どうする? 包帯とか剥がしてラップ巻くのは俺と荒凪でも出来たけど、包帯は自信ないぞ。荒凪出来るかなぁ」

「ぎおぐ、戻ってがらだいぶ器用に、げほっ、だから……だいりょぶ……げほっ、げほ」

「あーぁー悪化してるよ……ごめん話しかけて。荒凪に任せていいんだな? 分かったよ」

それからは互いに無言で着替えを終えて、髪を乾かしていると、インターホンが鳴った。今度こそ出前だろうか、そろそろいい時間だ。

「きゅ~、みつき、せーか、誰か来た……」

「荒凪。部屋入っとけ、多分サンが応対するから」

「きゅ」

人魚の姿を他人に見られては大変だ。二階から降りてきたサンに荒凪が寝室に隠れるまで待つように頼んだ。
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