冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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ロボットには優しく (水月+歌見・レイ・セイカ・荒凪・サン・カサネ)

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サンが訪問者の応対に出ていった後、セイカの髪を乾かしていると、焦ったような声が聞こえてきた。

「せんぱいせんぱいっ! 声出なくなったってホントっすか!?」

「うわ何だそのコルセット! 誰に何されたんだ水月!」

レイと歌見だ。訪問者は出前を運んできた赤の他人ではなく、俺の彼氏達だった。

「レイ、せんばっ……げほっ、けほ」

「喋るなって。悪い、木芽、歌見、筆談出来るようになるまで待っててくれ。寝室に荒凪居るから……あぁ、なんかまだショックあるみたいでさ、心配だっただろうけどあんまり誘拐されてた間のこと聞かないでやってくれ」

「分かったっす」

「待て待て、食材キッチンまで運んでからだ。料理は任せていいんだよな? サン」

「うん、一人でやりたいかな。手伝って欲しくなったら呼ぶよ」

この家に来る前にスーパーに寄っていたらしい。ビニール袋をぶら下げた二人がキッチンへ向かった。

「あ、あの……フランク、犬はどこに」

「……! がざねぜんぱっ、げほっ、けほっ」

「うわっ、だ、大丈夫かよ鳴雷くん……」

「犬かぁ。寝室はちょっと嫌かな。絵の具食べちゃうとまずいし……リビングでお願い。あ、でもソファとかクッション破ったりしない?」

「す、隅っこで寝てるだけだと思うけど……あっ、い、一応俺見とくから大丈夫っ」

「そ。緊張しなくていいよ、くつろいでね」

「ぁ、ありがと……したっけ鳴雷くん。色々話したいことあっけど……髪乾いたら、な」

急いで髪を乾かし終えて、まずは寝室に向かった。新しいヒレを褒められ、切れ味を失った鱗を撫で回され、二人に可愛がられ荒凪は心底嬉しそうにきゅうきゅう鳴いていた。

『お待たせしました! お待たせし過ぎたとまでは思ってません!』

「お、意外と早かったな……何だそれ」

「音声読み上げ機能っすか? スマホに備え付いてるヤツっすね、感情のない声っす~」

「きゅるっ、みつき! みつき! なな、れい、来た! 仲間いっぱい、嬉しい!」

『よかったね。ほら、心配することなんて何もなかっただろ?』

「何か心配してたのか?」

「荒凪、人間だった頃の記憶戻ったんだって。それで人間の感覚も思い出して、自分が化け物だって落ち込んでたんだ。みんなに怖がられるかもって」

「今更っすねー。最初にびっくりして終わりっすよ。虫っぽいとか、内臓出てるとか、目ん玉いっぱいとか、そういうのじゃないんすから」

「それは何度でもビビるな……人魚でよかった。妖怪の中でもトップクラスな美人だもんな」

「日本の人魚はそういうのじゃないっすけどね」

『そろそろ晩ご飯だし、あっち行こう。荒凪くんは人間に変身した方が椅子とか座りやすいかな? どうする? そのままでもいいけど』

「きゅ~……する! 椅子、座りにくい」

「うおっ!? お、おい……ヒレちぎって、えぇ……平気なのか? 痛そうな変身の仕方するなぁ」

「鱗剥がれてくのはちょっと気持ちよさそうっす」

「……この家、箒あるか? こんなばら撒くのヤバくないか?」

セイカの一言で俺達は青ざめた。荒凪は大抵自宅のプールサイドで変身するので鱗の片付けは比較的簡単だったが、この寝室には絨毯が敷かれている。夏場だからか毛の長いものではないとはいえ、プールサイドよりは掃除が手間だ。

「ま、まぁ、箒とちりとりくらいあるだろ」

「……でもサンさんって盲目っすよね? 見えないと箒って使えなくないっすか?」

「掃除機もそうだろ。じゃあこの家どうやって」

相談し合う俺達の耳に、ピーと電子音が聞こえてきた。全員揃ってそちらを向けば、充電中だったロボット掃除機がこちらに向かってきていた。

「なるほど、アレか」

「おっ、おいおいおい大丈夫か!? 鱗なんか掃除したら下とか吸い込み口ギャリギャリにならないか!?」

「カピカピの米とかも普段吸ってるはずっす、大丈夫っしょ」

「それとはサイズと量が違うだろ! ちょっと外に出してくる!」

ペットを部屋から追い出すように、ロボット掃除機は廊下に出されてしまった。結局鱗は手やチラシを使って集めることになり、荒凪の申し訳なさそうな鳴き声が胸に痛かった。

「よし、粗方拾えたな。まだ落ちてそうではあるが……このくらいならギャリギャリにならず吸ってくれるだろ」

「歌見せんぱいはロボット掃除機にまで過保護なんすねぇ、全部任せても大丈夫だったと思うっすけど」

「呼んでくる」

拾ってくる、じゃないのか? と思いつつ歌見が廊下からロボット掃除機を拾ってくるのを待った。ブラシを振り回すロボット掃除機を抱えて戻ってきた歌見は暗い顔をしていた。

「……玄関に、落ちてた。廊下に出したのは迂闊だったかもしれん……どこもへこんでないよな?」

「ここめっちゃバリアフリーっすから玄関スロープじゃないすか」

「玄関ウロウロしたの寝室の絨毯に乗せるのか?」

「一回電源切って裏拭きましょーっす」

「で、電源切るのか? ちょっと可哀想じゃないか?」

「点けたままじゃ拭けないっすよ。ほら切った切った」

「お……大人しくなった……」

「……歌見、ロボットをペット扱いするタイプなんだな」

「カワヨ……げほっ、げほっ」

「くだらねぇこと言って咳き込むのだけはやめろよお前」

ロボット掃除機の裏を除菌シートでしっかりと拭き、電源を入れ直して床に下ろした。先程鱗が散っていた辺りを重点的に往復し始めたので、拾い損ないがあったのかと少し落ち込んだ。

「きゅ~……きゅ~……?」

荒凪は動き回るロボット掃除機をしゃがみ込んで眺めている。

「……記憶戻ったって言ってたっすけど、家電とかには疎いお家の子だったんすかね?」

「いやロボット掃除機は生で見たら結構はしゃぐだろ。結構可愛いんだな……な、なぁ水月、将来デカい家に住んだら買ってもいいか?」

「その頃にはもっとすごいの発売されてそうっすね。俺ピンクがいいっす」

「いやホワイトかシルバーだろ」

「ピンクがいいっす!」

「なんでそこで争うんだよ……それぞれ勝手に買えばいいだろ」

「俺は水月と同棲する、レイも水月と同棲する。つまり俺達は同居するんだ、一家に二台はちょっとやり過ぎだろ。選べる色は一色だ。っと、セイカも一緒に住むよな。何色がいい?」

「……銀色かな」

「よっしゃ二対一で勝ちだ」

「そんな! せんぱい、せんぱいはピンクがいいっすよね!」

当然のように同居前提で話す彼氏達、愛おし過ぎる。昇天しそう。

「なんすかその菩薩のような顔は! ピンクって言うっす!」

「他にも住みたがるヤツ居るだろ、集計するなら全員でした方が……っていうかピンクなんか出るのか? 家電ってだいたい白系か黒系だろ」

「そんなぁ……あっ、ロボット掃除機ってこのタイプじゃなくて、もう人型……家事代行アンドロイドが発売されるかもしれないっすね! 最短でも三年後っしょ? うわぁ夢が広がるっす」

「人型アンドロイドはダメだ、水月が欲情する」

「鳴雷がオナホを接着する未来が見える」

「おい!」

「みつき、話す、ダメ!」

不名誉な予想に反論したかったのに、つい大声を出してしまった俺は再び荒凪に説教された。正座する俺の膝にゴツゴツぶつかってきたロボット掃除機に、ちょっと萌えた。
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