冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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先々輩々とスイーツ売り場で出会して (水月+サキヒコ・荒凪)

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卵に油揚げなど昼食の食材はもちろん、夕飯の分の食材、その他諸々の生活用品もついでにと頼まれている。

「洗濯洗剤……これかっ?」

『プレミアムって書いてる方だから、その右』

「こっちか。品数が多いな、この店は。次はしゃんぷぅ……分かるぞ、これだな?」

『詰め替え用だからこっちだよ』

「何っ……!?」

まだまだ現代に慣れていないサキヒコは見ているだけで楽しい。荒凪はスーパーに馴染みが全くないようで、物珍しそうに辺りを見回すばかり。サキヒコのように少し慣れたからこその面白いリアクションなどはない。

(荒凪きゅん、サキヒコきゅんとは違って最近死んだ子なんですよな? どうしてこう現代に疎いのでしょう。字も読めないし……実はめっちゃ幼いとか? いや、あの場で見た骨的にそんな子供ではないはず……専門家ではないとはいえ、それくらいは分かりまそ)

荒凪の生前に関しては謎が深まるばかりだ。いやまぁ、もう記憶戻ってるから聞けばいいだけの話なんだけどね。あんまり思い出したくないみたいだしなぁ。

「といれとぺぇぱぁはこれだな」

『サンちゃんはダブル派だよ』

「む……?」

俺達が泊まっているから減りが早いのかな、なんて考えながらカートに諸々の生活用品を積む。

(レイたそが勝手に書いただけだろうチューハイは無視して、適当にスイーツも買えと……肉と魚の産地や部位は指定してくるくせに、どうして急にわたくしのセンスに託してくるんでしょう、サンちゃん)

俺が選んだ物を食べたいってことなのかな、と、いいように解釈してニヤつきながら売り場へ行くと、見覚えのある童顔があった。

(おんや? あの方はパイセンのパイセンでわ?)

一応挨拶しておこう。俺は今声が出ないけれど、元気さが伝わるようにメモ帳に大きく文字を書いてっと。

『こんにちは! キラパイ!』

「……! びっくりした。忘れようもないその顔は歌見の……え、何、その怪我。てか筆談? 声出ないの?」

『出るけど噎せます』

「そう、お大事に…………ダメだスルーしようと思ったけど無理、聞く、キラパイって何」

『キラキラネームパイセンパイセンの略です』

「おやおやおやおや歳上をイジるだなんて歌見は後輩に随分と面白おかしい教育を施しているようだ。今日は一緒じゃないの?」

ヤバい、俺のせいで歌見が今度詰められる。

『先輩はバイト中です』

「よくバイトしてるなアイツ……ところでその子、前は車椅子乗ってなかったか?」

「きゅ? 僕達?」

そういえば彼とは祭りの日にも会ったんだったな。この辺住んでるのかな?

「足、よくなったのか? よかったな」

「きゅるるっ、ありがとー! きゅ……? 名前、何?」

「ん、あぁ、チューリップ法律相談所会計士見習いの鬱金レインです。どうぞよしなに」

アッ! 荒凪が名刺を片手で受け取っている!

「お前は前に渡してるはずだからいいよな……? 失くしたか? もう一枚いるか?」

『大切に保管してます』

「よろしい。ぼくにもあげよう、何か困ったことがあったらこの電話番号に連絡してね」

アッ! サキヒコが子供扱いを受けている!

(頭撫でられてらぁ……サキヒコきゅんはミフユたんほどお子様サイズなことにコンプレックスはないみたいですな。訂正せず至って丁寧な対応をしてまそ)

ミフユなら顔を真っ赤にして自分の年齢を伝えただろうな。

「礼儀正しい子だな~。いい子には飴をあげよう。イチゴ味とコーラ味どっちがいい?」

この人結構子供に優しいタイプなんだな……意外。

「よし、事務所の宣伝も終わったことだし俺はもう行く。キョウヤさんに新作スイーツを届ける大事な役目があるからな……歌見に言っとけ、バイトの掛け持ちは程々にしないと倒れるぞってな」

『はい。さようなら』

歌見の先輩は新作と書かれたスイーツを一つずつカゴに入れ、レジの方へと消えていった。

(夏場の新作はレモン系が多いですな)

俺も新作を買って行こうか、好奇心旺盛な画家のサンは新鮮なインスピレーションをいつも求めていることだし。

(でも美味しい確信が持てないものって買いにくくないですか?)

俺はアイスを買う時も、ドーナツを買う時も、自販機の前に立った時だっていつも同じ物を買ってきた。興味があるくせに新作に手を出せない意気地無しなのだ。自分だけでなく彼氏達の分ともなると、この選択は重い。

「ミツキ? 八人分だぞ」

何人居たっけ……と悩んでいるように見えたのだろうか。俺は彼氏の人数を間違えるようなバカじゃない。

『どれがいいと思う?』

「なんだ、決まらないのか? 私はやはり、この……くりぃむの多いものに惹かれてしまうが、しかしこれは私の趣味でしかないからな……荒凪、食べたい物はあるか?」

「きゅ~……全部、見たことない。分かんない」

和菓子、洋菓子どちらも分からないのか? 甘味が禁止された家だったのだろうか、だとしても街中で広告を見かけるくらいはあっただろう、給食でも年に一度くらいはケーキが出るし、全く知らないというのはやはり現代っ子にしては不自然だ。

「そうか……ふむ、ミツキ、大きな物を等分するのは難しい。小さい物を一人一つ買っていく方がいいだろう。私が出せる提案はこのくらいだ」

『じゃあショートケーキ、生クリーム四つと生チョコ四つ。とかでもいいかな? 無難過ぎない? 俺つまらない男じゃない?』

「ミツキ、無難というのは欠点のないもののことだ。つまらなくなどない、素晴らしい選択だと私は思う」

欠点はないが、優れてもいないのが無難というものだ。サキヒコはああ言ってくれたが、やはり俺にはつまらない選択だと感じてしまう、

『決めた、三つずつにして、残り二つは新作のレモンケーキにする』

「れもん……酸味の強い柑橘類だったか、綺麗な色をしているな。爽やかな、夏を思わせるけぇきだ。いいんじゃないか?」

サンは新作を選ぶだろう。もう一つは…もし誰も選ばなかったら俺が食べよう。そう心に決めてカゴにケーキを入れていった。

「すいぃつ、完了……よし、会計を済ませよう、ミツキ」

買い物メモにはサキヒコがこまめにチェックを入れてくれていた。おかげで買い漏らしはないだろう、細かく気が付く彼氏を誇らしく思いながらレジへ向かった。
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