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お盆
いちにちめ、に
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両手を頭上高くに拘束され、両足首を開いた状態で固定され、俺は膝立ちの姿勢のまま動きを封じられている。胸囲を測るという名目で乳首を弄られたが絶頂出来ず、雪兎に懇願しても無駄で、疲れた俺は喚くのをやめた。
「…………ひっ」
俺が静かになるのを待っていたのか、雪兎は懇願をやめた途端に俺の頬を指先でくすぐった。頬と耳、頬と首、頬と顎の境目を探るように、白魚のような指が俺を愛撫する。
「ぁ、あっ……ユキ様ぁ……」
「……ねぇポチ、國行くんってそんなに可愛いの?」
「ふ、ぇ……?」
「僕より可愛い?」
個人的感情を抜きにして見た目だけで考えるなら、雪兎ほど可愛い少年は彼以外に存在しない。
仕草や性格を加味するなら、泣き虫で気弱な従弟には「いじらしい」という歪んだ可愛さがある。
総合的に見るならば──
「人間の子と下界に降臨した天使を比べるのは酷では……?」
「………………ポチはどっちの方が好きなの? 僕と國行くんが抱っこせがんだらどっちを抱っこしてくれる?」
「余裕で二人同時いけますよ」
「…………ポチは右腕を骨折しています」
嫌な条件を足された。まぁ、崖から落ちそうになっていたらどっちを助ける──なんて答えたくない質問をされるよりはずっといい。歳下と張り合う割に雪兎はその辺りは弁えている。
「ならユキ様ですね」
「そ、そう……? ふふ、酷いお兄ちゃんだね」
機嫌がよくなったようだ。
先程も言ったが従弟の可愛さは「いじらしい」という雪兎とは違った感情からのものだ。想像してみよう、しつこく俺の服なんかを引っ張り半泣きで抱っこをねだる従弟を……たまらなくいじらしい。
だからどちらを抱っこするかという質問で雪兎を優先することは、少々胸は痛むものの二人の可愛さを堪能出来る選択なのだ。そうとは知らず喜ぶ雪兎も愛らしい。
「そういう時は小さい子の方を抱っこしてあげるべきだよね、流石に僕だって子供相手に嫉妬や張り合いなんてやらないんだからさ。これだから駄犬だって言うんだ、子供を優先するべきだって覚えておきなよ」
嫉妬して張り合う姿を帰宅してからずっと見せられていた気がするのだが。
「……ポチったら帰ってくるの遅いから、僕もう寝る時間だよ。えっと……始めたのが三十分くらい前だっけ? もう少し前? 三十分でいいか」
「何が三十分前なんですか?」
「四日間責めるって言っただろ? 今日の夜に一日目が終わるんじゃなくて、明日の夜に一日目が終わるんだよ。ちゃんと時間をメモしておくから覚悟してね」
「…………明明後日の次の日の夜までイかせてもらえないってことですか? そんなっ……嫌ですユキ様! 既にもうかなり辛いんですよ、乳首も腹もっ、あちこち焦れてて!」
雪兎は俺の声に一切聞く耳を持たず、俺の前に箱型の機械を持ってきた。弱い電流を流す装置だ。低周波治療器などを性的な使い道のために改造したような背徳的なその製品は、今この場においては俺に恐怖を与える。
「や……嫌、です。それ嫌だっ……!」
貼るカイロのようなものが下腹に二つ貼られた。箱型の機械とコードで繋がっているそれらからいつ電流が流れるのかと想像しただけで下腹がぴくぴくと震え出す。
「ご飯は毎日僕があーんしてあげる。嬉しい?」
「それは……そりゃ、めちゃくちゃ嬉しいですけど、四日間本当に外さないんですか? お風呂は……?」
「部屋の中で焦らすだけなんだから四日くらい平気だよ」
「でも汗はかきますし」
「僕ポチの汗の匂い好きだよ」
「…………トイレは?」
「オムツとオマルどっちがいい?」
食事、トイレ、風呂、人間として大切な三つの行動が全て自分の意思では行えなくなった。絶頂や睡眠など生物として大切なことも妨害されている。
「酷い……」
「……ふふっ、喜んでくれて嬉しいよ」
尊厳や権利といったものを侵害されると、被支配感が強くなる。ゾクゾクと背骨を快感の寒気がよじ登って口角を吊り上げる。
「ポチ……君は本当に可愛いね」
人間としての俺を無視され犬として愛玩されることに、俺はこの上ない喜びを感じていた。
「…………ひっ」
俺が静かになるのを待っていたのか、雪兎は懇願をやめた途端に俺の頬を指先でくすぐった。頬と耳、頬と首、頬と顎の境目を探るように、白魚のような指が俺を愛撫する。
「ぁ、あっ……ユキ様ぁ……」
「……ねぇポチ、國行くんってそんなに可愛いの?」
「ふ、ぇ……?」
「僕より可愛い?」
個人的感情を抜きにして見た目だけで考えるなら、雪兎ほど可愛い少年は彼以外に存在しない。
仕草や性格を加味するなら、泣き虫で気弱な従弟には「いじらしい」という歪んだ可愛さがある。
総合的に見るならば──
「人間の子と下界に降臨した天使を比べるのは酷では……?」
「………………ポチはどっちの方が好きなの? 僕と國行くんが抱っこせがんだらどっちを抱っこしてくれる?」
「余裕で二人同時いけますよ」
「…………ポチは右腕を骨折しています」
嫌な条件を足された。まぁ、崖から落ちそうになっていたらどっちを助ける──なんて答えたくない質問をされるよりはずっといい。歳下と張り合う割に雪兎はその辺りは弁えている。
「ならユキ様ですね」
「そ、そう……? ふふ、酷いお兄ちゃんだね」
機嫌がよくなったようだ。
先程も言ったが従弟の可愛さは「いじらしい」という雪兎とは違った感情からのものだ。想像してみよう、しつこく俺の服なんかを引っ張り半泣きで抱っこをねだる従弟を……たまらなくいじらしい。
だからどちらを抱っこするかという質問で雪兎を優先することは、少々胸は痛むものの二人の可愛さを堪能出来る選択なのだ。そうとは知らず喜ぶ雪兎も愛らしい。
「そういう時は小さい子の方を抱っこしてあげるべきだよね、流石に僕だって子供相手に嫉妬や張り合いなんてやらないんだからさ。これだから駄犬だって言うんだ、子供を優先するべきだって覚えておきなよ」
嫉妬して張り合う姿を帰宅してからずっと見せられていた気がするのだが。
「……ポチったら帰ってくるの遅いから、僕もう寝る時間だよ。えっと……始めたのが三十分くらい前だっけ? もう少し前? 三十分でいいか」
「何が三十分前なんですか?」
「四日間責めるって言っただろ? 今日の夜に一日目が終わるんじゃなくて、明日の夜に一日目が終わるんだよ。ちゃんと時間をメモしておくから覚悟してね」
「…………明明後日の次の日の夜までイかせてもらえないってことですか? そんなっ……嫌ですユキ様! 既にもうかなり辛いんですよ、乳首も腹もっ、あちこち焦れてて!」
雪兎は俺の声に一切聞く耳を持たず、俺の前に箱型の機械を持ってきた。弱い電流を流す装置だ。低周波治療器などを性的な使い道のために改造したような背徳的なその製品は、今この場においては俺に恐怖を与える。
「や……嫌、です。それ嫌だっ……!」
貼るカイロのようなものが下腹に二つ貼られた。箱型の機械とコードで繋がっているそれらからいつ電流が流れるのかと想像しただけで下腹がぴくぴくと震え出す。
「ご飯は毎日僕があーんしてあげる。嬉しい?」
「それは……そりゃ、めちゃくちゃ嬉しいですけど、四日間本当に外さないんですか? お風呂は……?」
「部屋の中で焦らすだけなんだから四日くらい平気だよ」
「でも汗はかきますし」
「僕ポチの汗の匂い好きだよ」
「…………トイレは?」
「オムツとオマルどっちがいい?」
食事、トイレ、風呂、人間として大切な三つの行動が全て自分の意思では行えなくなった。絶頂や睡眠など生物として大切なことも妨害されている。
「酷い……」
「……ふふっ、喜んでくれて嬉しいよ」
尊厳や権利といったものを侵害されると、被支配感が強くなる。ゾクゾクと背骨を快感の寒気がよじ登って口角を吊り上げる。
「ポチ……君は本当に可愛いね」
人間としての俺を無視され犬として愛玩されることに、俺はこの上ない喜びを感じていた。
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