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お盆
おはかまいり、はち
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廊下と太腿を汚した精液を拭うのに下着を使い、ノーパンで部屋に戻ることになってしまった。祖父達に気付かれることなく座布団に座ることは出来たが、尻の皮膚が着物の肌触りを直接感じているのにまだ慣れず、居心地が悪い。
「描けたのかい? 秋夜くん」
「やっと終わったか。おい親父、下ろせ」
絵のモデルをしていた祖父と曽祖父が伸びをしている。曽祖父は祖父を座布団の上に雑に下ろすと、完成した鉛筆画を眺めに四つん這いで恋人の元へ向かった。
「……これで完成?」
「デッサンはな。画室に戻ったら色を入れるよ」
本職のデッサンは見てみたいし、曽祖父も下着を着けていないという雪兎の発言の真意を確かめたい。しかし尻や性器が下着以外の布に擦れるリスクを踏んでまで満たしたい好奇心ではない。
「じゃあ今日はもう紙と鉛筆は離すのかな?」
「暗くなる前に外でもう一、二枚描きたいな。庭園とは植物が全く違うし、ここには一年に一度しか来られないから……」
「まだ描くのかい……はぁっ、あぁもう分かった、分かったよ、そんなに黒炭の成れの果てを作り出して愛でたいのなら協力しよう」
曽祖父は表情と声色で「不愉快です」と語り、霊廟の外庭で絵を描くために二人揃って出ていった。雪風はまだ迎え火とやらの準備を済ませられないのだろうか? 今部屋には三人しか居ない。
「おじい様、何かご用があればお申し付けください」
座布団の上に置かれていた祖父がこちらに向かって這いずり始めたので慌てて止める。
「……そっちに行きたいだけだ、気にするな」
「畳の上をそう移動するのは危険です、服が焦げますし手の皮が剥けますよ」
出来るだけ動きたくはなかったが、仕方ない。俺は渋々立ち上がって祖父を雪兎の前まで運び、元の位置へ座り直した。まだ勃起はしていないが、いつもと違う布が局部に擦れる違和感やスースーとした異様な風通りの良さに興奮が溜まってきている。そろそろまずい。
「……おじい様?」
雪兎と話したいのだろうと雪兎の前に置いた祖父が俺の膝に手を乗せてきた。
「…………お前の膝に乗りたい」
「えっ……あぁ、そうだったんですか……光栄です。すぐに気付けず申し訳ありません」
下着を履いていないことを悟られたくなかった俺は胡座をかいて祖父を右太腿の上に座らせ、右腕を背もたれとして使ってもらい、快適な座椅子を演じた。
「どうですか?」
「……いい。親父は痩せぎすな男でな、骨ばっていてバランスを取りにくいし不安がある。その点お前は肉厚でいい」
「ありがとうございます……」
祖父が俺の膝に乗っていることで雪兎の機嫌が崩れてはいないかと雪兎を見たが、彼は俺達を黙って見つめているだけだ。雪兎にとってこれは放置プレイの一環なのだろう。
「こんないい椅子に座れるのなら、尻の触覚には生きていて欲しかったな。座り心地のいい椅子というのは下半身の感覚あってこそ楽しめるものだ」
「そうなんですね……」
俺は犬だから座るのは主に床だ、椅子の話にはあまり付き合えない。
「お前も今のうちに家にあるソファに一通り座っておけ、脊椎がいつどうなるか分からんぞ」
「はい、近いうちに暇を作ってソファを楽しみます」
「お前はデカいからな、俺よりずっと世話を焼きにくいだろう……いや、それだけ筋肉があれば腕だけでも動けるのかもな」
「どうでしょう……」
半身不随まではいかなくても、足を負傷した状態で雪兎を守らなければならない事態はやってくるかもしれない。その時のために上半身だけで身体を素早く動かす術は考えておくべきかもしれないな、もちろん腕を使えない際のことも考慮して──仕方ないことだが、キリがないな。
「描けたのかい? 秋夜くん」
「やっと終わったか。おい親父、下ろせ」
絵のモデルをしていた祖父と曽祖父が伸びをしている。曽祖父は祖父を座布団の上に雑に下ろすと、完成した鉛筆画を眺めに四つん這いで恋人の元へ向かった。
「……これで完成?」
「デッサンはな。画室に戻ったら色を入れるよ」
本職のデッサンは見てみたいし、曽祖父も下着を着けていないという雪兎の発言の真意を確かめたい。しかし尻や性器が下着以外の布に擦れるリスクを踏んでまで満たしたい好奇心ではない。
「じゃあ今日はもう紙と鉛筆は離すのかな?」
「暗くなる前に外でもう一、二枚描きたいな。庭園とは植物が全く違うし、ここには一年に一度しか来られないから……」
「まだ描くのかい……はぁっ、あぁもう分かった、分かったよ、そんなに黒炭の成れの果てを作り出して愛でたいのなら協力しよう」
曽祖父は表情と声色で「不愉快です」と語り、霊廟の外庭で絵を描くために二人揃って出ていった。雪風はまだ迎え火とやらの準備を済ませられないのだろうか? 今部屋には三人しか居ない。
「おじい様、何かご用があればお申し付けください」
座布団の上に置かれていた祖父がこちらに向かって這いずり始めたので慌てて止める。
「……そっちに行きたいだけだ、気にするな」
「畳の上をそう移動するのは危険です、服が焦げますし手の皮が剥けますよ」
出来るだけ動きたくはなかったが、仕方ない。俺は渋々立ち上がって祖父を雪兎の前まで運び、元の位置へ座り直した。まだ勃起はしていないが、いつもと違う布が局部に擦れる違和感やスースーとした異様な風通りの良さに興奮が溜まってきている。そろそろまずい。
「……おじい様?」
雪兎と話したいのだろうと雪兎の前に置いた祖父が俺の膝に手を乗せてきた。
「…………お前の膝に乗りたい」
「えっ……あぁ、そうだったんですか……光栄です。すぐに気付けず申し訳ありません」
下着を履いていないことを悟られたくなかった俺は胡座をかいて祖父を右太腿の上に座らせ、右腕を背もたれとして使ってもらい、快適な座椅子を演じた。
「どうですか?」
「……いい。親父は痩せぎすな男でな、骨ばっていてバランスを取りにくいし不安がある。その点お前は肉厚でいい」
「ありがとうございます……」
祖父が俺の膝に乗っていることで雪兎の機嫌が崩れてはいないかと雪兎を見たが、彼は俺達を黙って見つめているだけだ。雪兎にとってこれは放置プレイの一環なのだろう。
「こんないい椅子に座れるのなら、尻の触覚には生きていて欲しかったな。座り心地のいい椅子というのは下半身の感覚あってこそ楽しめるものだ」
「そうなんですね……」
俺は犬だから座るのは主に床だ、椅子の話にはあまり付き合えない。
「お前も今のうちに家にあるソファに一通り座っておけ、脊椎がいつどうなるか分からんぞ」
「はい、近いうちに暇を作ってソファを楽しみます」
「お前はデカいからな、俺よりずっと世話を焼きにくいだろう……いや、それだけ筋肉があれば腕だけでも動けるのかもな」
「どうでしょう……」
半身不随まではいかなくても、足を負傷した状態で雪兎を守らなければならない事態はやってくるかもしれない。その時のために上半身だけで身体を素早く動かす術は考えておくべきかもしれないな、もちろん腕を使えない際のことも考慮して──仕方ないことだが、キリがないな。
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※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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