ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

せんじょう、ろく

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精液を溜めたコップの中に歯ブラシが突っ込まれる、もちろんブラシの方を精液に浸ける形でだ。ブラシにどろりと絡んだ白濁液は、歯磨き粉と唾液が混ざったものにも見えて、日常の風景にも見えた。

「口の中まで真っ赤ってさ、何されたらこうなるの……先祖だからあんまり言わないようにはしてるけどさ、悪口で原稿用紙三枚くらい埋められるよ。ムカつく……」

雪兎はコップを一旦置き、俺の顎に左手を添えた。T字型の金属棒の拘束具で背や首を曲げられなくなっている上、開口具で口を閉じられなくなっている無防備な俺の口内に精液まみれの歯ブラシが入った。

「僕のポチなのに……ねぇ、この調子じゃどうせお尻も血まみれだよね。ポチ、滝浴びただけだから中は流せてないだろうし。手だけだって言ってたから深さ的には……まぁ、多分、落とせるだろうけどさ、ムカつくよ、本当にムカつく」

「んぅう……」

雪兎はまず下顎の歯を磨くと決めたらしい。俺の唇をつまんでめくったりしながら、歯の隙間なども重点的に前歯からブラシで丁寧に清められていく。精液の匂いが口中に広がり、精液の味が舌に染み込んでいく。

「……そんな顔しないで、ポチは悪くないよ」

「ぇう……?」

予想外にも雪兎は俺を叱らなかった。俺が言いつけを破って灯りを使ったから先祖の霊に襲われたのに、俺が言いつけ通りにしていればよかっただけなのに、厳しい雪兎が俺に怒らないなんて信じられない。

「…………暗いの、怖いんだもんね」

精液を足すために歯ブラシをコップに浸しながら、雪兎は俺の額にキスをしてくれた。

「僕のこと起こしてよかったのに……遠慮しちゃったんだね、このバカ犬。僕はいいんだよ、眠る時だって豆電球点けないとパニック起こしちゃう君のためなんだから、真っ暗闇を歩くのに付き合うくらいなんてことないんだよ」

「ゅ、い……ぁ、あ……」

「よく聞いて、僕だけの可愛いワンちゃん。僕は夜目がきくんだよ、真っ暗闇なんて目を塞がないと体験出来ないんだよ、それはきっと愛犬が暗所恐怖症だからなんだよ、君のためにこの目があるんだ」

「ぅ……」

ショリショリと歯を磨く音ににちゃにちゃと精液の粘着質な音が混ざる。歯を磨かれる心地良さで唾液が溢れてくる。味と音と感触で興奮させられているのに、雪兎は悲しげな目をして真面目な話をするから、脳がバグる。

「……僕はまたそのうち渡米するけどさ、その間ポチはお化けに会ったりするのも、訓練も……しなくていい、何もしなくていいから……ううん、何もしないで、この部屋で僕を待ってて、玩具で遊んでてよ。それが犬ってものだろ?」

「…………わぅ」

「……とか、言っても無駄なんだよね、知ってる」

諦めのため息をついた雪兎は押し黙って俺の歯磨きに集中した。唾液と混じった精液が開かされっぱなしの口の端からダラダラ垂れているけれど、雪兎がそれを拭ってくれる気配はない。

「…………歯並びいいよね、ポチって。歯医者さん行った記録もなかったし……いい歯してるんだね」

雪兎の視線はいつの間にか俺の口内に集中しなくなった、喉の辺りをチラチラと見るようになったのだ。おそらく、自分の精液が俺の褐色肌に映えているのに興奮でもしているのだろう、そんな目をしている。

「犬歯ちょっと長いかな? 鋭いね。カッコイイよ、歯形取りたいくらい」

精液が流れているのか雪兎の視線はどんどん下へ向かう。胸を見始めた辺りで雪兎の陰茎が下着の下でむくむくと膨らんだのが分かり、欲情されているのだと嬉しく思った。
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