ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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郊外の一軒家

しょじょがえり、いち

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後孔が痛い、血も出ている、雪兎が泣いている。俺の尻が裂けた? そんなバカな、いくら久しぶりと言っても俺の尻はそんなヤワな開発はされていない。

「ごめんね、ごめんね、ゆきがちょーしのったからぁ……ふぇえん……ごめんなさいぃ……」

「ユ、ユキ様落ち着いっ……痛……だ、大丈夫です、俺はドMですから、むしろ嬉しいです!」

話し方が退行するほど泣いている雪兎を抱き締めて慰めながらも俺の後孔の痛みに悩まされた。足や腹に力を込める度、体勢を変える度、新たに裂けたような痛みが走るのだ。
ちなみにアナルプラグはもう抜いてある。抜く瞬間は痛かったけれど、ずっと傷口に異物がくい込み続けるよりはマシだ。

「……ほ、ほら! 俺もうひいおじい様に治してもらっちゃいますから!」

こんな用事でかけるのははばかられるが、雪兎が泣いているのだから仕方ない。俺は雪兎が部屋で充電してくれていたスマホを取り、曾祖父に電話をかけた。

「あ、もしもし? ひいおじい様? あの、怪我しちゃって……治療お願い出来ますか? 今すぐ治さないとユキ様が泣いていて……本当申し訳ないんですけど、治して欲しいんです」

『もしもし雪也くん? いいよ、えっと……顔を見るにはどうすればいいんだっけ?』

俺は曾祖父にビデオ通話のやり方を伝え、赤い瞳と目を合わせて後孔の傷を治療してもらった。曾祖父は一瞬眉を顰めた、そういえば彼は他人の傷を治すと同時に数秒間その傷の痛みを感じるとか──

『…………お尻にあんまり大きいもの突っ込んじゃダメだよ?』

「こんなもん治療させてホンットすいません!」

俺は雪兎にスマホを持ってもらい、カメラに映る位置でジャンピング土下座をキメた。バク宙をして土下座で着地するという高度かつ膝の痛い技だ。

『おぉ……すごい身体能力だねぇ』

「ひいおじいちゃん……ありがとぉ、ごめんなさい……そんなにおっきいの入れてないんだけどね? ポチのお尻の穴なんだかすっごく狭くなっててね? ちょっとほっといただけでこんなのなるのかなぁ……」

曾祖父にそんなこと相談しないで欲しい……って俺裸のままだったな、裸でバク宙したのか、それを曾祖父に見せたのか、俺の方が恥知らずだな。

『…………そういえば前に雪也くん大怪我したよね? 怪異関係のお仕事で』

「叔父と行ったヤツですか? はい」

俺は正座をして乳首と股間を腕で隠し、スマホの中の曾祖父を見上げた。

『……僕もね、昔死にかけたことがあって……鏡を見て自分で怪我を治したんだけど……その時にね』

鏡で自分まで治せるのか、怖いものなしだな。

『その、言いにくいんだけど……なんて言うのかな、生娘のような身体に戻ってしまったんだ。多分……まぐわうためのお尻の状態は、僕の目にとって正常な体の状態じゃないんだと思う。だから、指や首周りなんかの範囲の狭い怪我ならいいんだけど、身体全体を治すと……その、お尻が、戻ってしまうんだよ』

「……処女に? 嘘!? ひいおじいちゃんそんなこと出来たの!?」

『う、うん……これまで自分でやったのは五回だけだけど、多分……間違いないよ』

結構やってるな。

「そんなぁ……一年くらいかけて調教してきたのに」

『ごめんね雪兎くん……あ、でも感度は戻らなかったからそっちの育成に心配はいらないよ』

「地獄に仏って感じだよ」

『ごめんねぇお尻のは怪我じゃないって学習出来ない目で……あ、ちょっと待ってて』

スマホに映るのが曽祖父から彼の足元に変わる。酷い揺れだ、歩いているのだろう。曾祖父は画廊らしき場所に着くと絵を描いている曾祖父の恋人を映した。

「秋夜くん、生娘のような穴を手っ取り早く拡げる方法を雪兎くんに教えてあげてくれないかい?」

「はぁ!? きゅ、急に何を……! バカを言うな、俺はそんなこと詳しくない!」

「五回も僕の処女を奪ったくせに」

「四回目からはわざとだったろ! 大変だったんだからな、舐めて拡げて張形入れっぱなしにしてまた舐めて指入れたり……!」

「一度目は強姦だったのにねぇ」

「………………せめて曾孫には聞かせないでくれ」

『もしもしおじいちゃん? 拡げ方くらい分かるよ、ありがと、ごめんね、バイバイ!』

流石の雪兎も気まずくなったようで曾祖父の返事を聞かずに電話を切り、はぁっとため息をついて血で汚れたままのアナルプラグを見下ろした。
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