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一章 幽世へ
五話 召使い
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夕飯の買い物をして家へ戻ると、リビングにいた千雅に、開口一番、
「遅い」
と怒られた。
「何してたの。もうすぐ夕飯時じゃない」
「ご、ごめんなさい」
美桜はびくびくと謝り、休む間もなくキッチンに立った。手早くエプロンを身につけ、買って来た野菜を調理台の上に取り出し、順番に水洗いをする。今日は餃子の予定だ。
慣れた手つきでキャベツをみじん切りにすると、国産の豚挽肉を用意した。叔父も叔母も食にうるさいので、肉は国産を購入している。
ボウルに挽肉を入れ、手で押しつけるように捏ねる。ねっとりとしてきたらキャベツを足し、調味料と共に混ぜ合わせた。餃子の皮にたねを挟んでせっせと包む。五十個ほど完成した後、付け合わせの中華スープを作った。
「ご飯はチャーハンにしよう」
餃子を焼きながら、器用にチャーハンを作る。匂いにつられるように、千雅と叔父の隆俊がダイニングにやって来た。美桜が給仕をするのが当然という顔で、椅子に腰を下ろす。
「真莉愛はまだ帰らないのか?」
隆俊が千雅に尋ねると、千雅は、
「モデル仲間と打ち上げをしてから帰るんですって」
と答えた。隆俊の眉間に皺が寄る。
「打ち上げって……あいつは高校生なのに」
「まあ、いいんじゃないの? それも世間勉強よ」
二人の会話を背中で聞きながら、美桜は料理を仕上げると、皿に盛って、ダイニングテーブルへ運んだ。
「お待たせしました」
小皿と箸も用意して、テーブルに置くと、隆俊が、
「餃子か……。今日は魚の気分だったんだがな」
やれやれといった表情でこぼした。美桜の体がビクッと震える。
「ご、ごめんなさい……気がつかなくて……」
おどおどと謝ると、隆俊は美桜の顔を見て溜め息をついた。
「本当にお前は気が利かないよな。昨日も肉だったじゃないか。肉の次は魚。順番だろ?」
「は、はい」
隆俊は肉好きだ。へたに魚料理を出すと怒るのに、今日に限ってどうしたのだろうと思っていると、
「ああ、そういえばさっき、テレビでデパ地下の海鮮丼の特集をやっていたわね」
千雅が納得をしたように言った。
「確かに、今日はお刺身の気分だったかも」
肩をすくめられ、美桜は体を縮こまらせる。
「ご、ごめんなさい……。明日はそうします」
隆俊は、ハァとあからさまな溜め息をつくと、箸を取った。
美桜は叔父と叔母の気まぐれにびくびくしながら、「失礼します」と言って、ダイニングを出た。遅くなってしまったが、洗濯物を取り込まないといけない。そういえば、雨が降ったのだった。もちろん、千雅は取り込んでくれてはいないだろう。庭へ出ると、やはり洗濯物は濡れていた。
(洗い直しだ……)
洗濯カゴに湿った洗濯物を入れ、ランドリーへ持って行く。けれど、雨を降らせた翡翠を恨む気持ちはなかった。
美桜は胸に下げたネックレスに触れた。
(また会えるかな?)
宝石のような紺色の瞳を思い出し、胸がトクンと鳴った。
「美桜、お茶を入れて!」
ダイニングから千雅が呼ぶ声が聞こえてきた。美桜は急いでランドリーを出ると、足早にキッチンへと向かった。
「遅い」
と怒られた。
「何してたの。もうすぐ夕飯時じゃない」
「ご、ごめんなさい」
美桜はびくびくと謝り、休む間もなくキッチンに立った。手早くエプロンを身につけ、買って来た野菜を調理台の上に取り出し、順番に水洗いをする。今日は餃子の予定だ。
慣れた手つきでキャベツをみじん切りにすると、国産の豚挽肉を用意した。叔父も叔母も食にうるさいので、肉は国産を購入している。
ボウルに挽肉を入れ、手で押しつけるように捏ねる。ねっとりとしてきたらキャベツを足し、調味料と共に混ぜ合わせた。餃子の皮にたねを挟んでせっせと包む。五十個ほど完成した後、付け合わせの中華スープを作った。
「ご飯はチャーハンにしよう」
餃子を焼きながら、器用にチャーハンを作る。匂いにつられるように、千雅と叔父の隆俊がダイニングにやって来た。美桜が給仕をするのが当然という顔で、椅子に腰を下ろす。
「真莉愛はまだ帰らないのか?」
隆俊が千雅に尋ねると、千雅は、
「モデル仲間と打ち上げをしてから帰るんですって」
と答えた。隆俊の眉間に皺が寄る。
「打ち上げって……あいつは高校生なのに」
「まあ、いいんじゃないの? それも世間勉強よ」
二人の会話を背中で聞きながら、美桜は料理を仕上げると、皿に盛って、ダイニングテーブルへ運んだ。
「お待たせしました」
小皿と箸も用意して、テーブルに置くと、隆俊が、
「餃子か……。今日は魚の気分だったんだがな」
やれやれといった表情でこぼした。美桜の体がビクッと震える。
「ご、ごめんなさい……気がつかなくて……」
おどおどと謝ると、隆俊は美桜の顔を見て溜め息をついた。
「本当にお前は気が利かないよな。昨日も肉だったじゃないか。肉の次は魚。順番だろ?」
「は、はい」
隆俊は肉好きだ。へたに魚料理を出すと怒るのに、今日に限ってどうしたのだろうと思っていると、
「ああ、そういえばさっき、テレビでデパ地下の海鮮丼の特集をやっていたわね」
千雅が納得をしたように言った。
「確かに、今日はお刺身の気分だったかも」
肩をすくめられ、美桜は体を縮こまらせる。
「ご、ごめんなさい……。明日はそうします」
隆俊は、ハァとあからさまな溜め息をつくと、箸を取った。
美桜は叔父と叔母の気まぐれにびくびくしながら、「失礼します」と言って、ダイニングを出た。遅くなってしまったが、洗濯物を取り込まないといけない。そういえば、雨が降ったのだった。もちろん、千雅は取り込んでくれてはいないだろう。庭へ出ると、やはり洗濯物は濡れていた。
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(また会えるかな?)
宝石のような紺色の瞳を思い出し、胸がトクンと鳴った。
「美桜、お茶を入れて!」
ダイニングから千雅が呼ぶ声が聞こえてきた。美桜は急いでランドリーを出ると、足早にキッチンへと向かった。
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