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学園にて5
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そして、昼食の席で、アウル様は今回の事を説明してくれた。
それによると、私がリーゼ様からアレクを奪ったという噂は、実は入学前から出ていたらしい。
休み中のお茶会や、パーティーなんで広がったそれは、アウル様が気づいた時にはすでに広がり、簡単に収拾がつかない状態だったとか。
「元凶は結構苦労はしたけど、わかっていたのよ。今回はエルちゃんの事だから、ラファも影を使ったし」
噂の特定というのは、実は結構な時間がかかる。
噂を知っている人に、誰から聞いたのか聞き出して、更にその人に接触して、次の人へ。そんな地道な工程を繰り返すからだ。
ところが、さすが王家の影。首謀者特定にかかった時間は、僅か三日。
その翌日には理由までも、報告されていた。
彼女が今回の噂を流そうとしたのは、先程アウル様の公開尋問で分かっている。
いくら母親の言葉を鵜呑みにしていたとはいえ、ずっと好きで、結婚すると思っていた相手が、急に別の人間と婚約したのだ。悲しいと思うし、悔しいとも思っただろう。その部分に対しては、同情の余地はある。
それでもアウル様が彼女を許さなかったのは、リーゼ様の考える理想の未来が許せなかったからだ。
彼女はずっと以前から、複数の男性にもてはやされる生活を好んでいたらしい。
「昔からあの子は、複数の男にちやほやされるのが大好きなのよ」
その上、友人の彼も平気で奪う厄介な人だったらしい。
「そんなハーレム嗜好の女が、勝手にそのハーレムにアレクを組み入れようとしているのよ?アレクが他の男と同列に考えられる?アクセサリーみたいに扱われる?家の弟が?家のアレクをそんなに安い男だって思っていたの?」
勿論、アレクがリーゼ様の事が好きで、ハーレムでもいいよ、というのなら話は違う。けれど、アレクはリーゼ様の事を何とも思っていない。
そんなアレクを、外堀を埋める形で詰めていこうとする彼女に対し、アウル様は怒っていたのだ。
ともあれ、元凶も理由もわかった。その上で一か月も噂と彼女を放置したのは、別の用意があったからだという。
「エルちゃんには我慢させちゃって、申し訳なかったけれど、あれだけ広がっちゃうと、少人数に説明したところで潰されちゃうからね」
やるなら大人数のいる場所で、徹底的に。
どれだけ噂を振りまいても、私への愛を隠しもしないアレクの行動がそれを覆す。
業を煮やした彼女が、行動に出るのはわかっていた。だからそれを待っていた。
「あのタイミングで良かったわ。アレクからも、期限は一か月、って言われていたし」
アレクは最初話を聞いた時、すぐに抗議……ではなく、実力行使。つまり排除に出るつもりだったらしい。
だが、それでは噂の真相があやふやになると、姉に止められた。
「気が狂いそうだった」
「……平気なのに」
無視されたり陰口を言われ、辛かったり、寂しいと思った事がなかったとは言わないけど、それだって、時間が許す限りずっとアレクが一緒にいてくれたから、大丈夫だったのだし。
「エルが辛いと、俺も辛い」
彼はそう言って、私の右の掌にキスをする。
いつだってそう。私が傷つくのを彼は嫌がる。全力で守ってくれようとする。
どうしてこんなにも大切にしてくれるのか、と聞きたいくらい。
アウル様やレオナール様は『囲い込み』というけれど、果たして人の掌で育てられた小鳥にとって、自由だけど危険な外と、安全な檻のある室内。どちらにいるのが幸せかは、第三者にはわからない。
現に彼の側、彼の腕の中は私にとって、世界で一番安心できる場所になっている。……気づいたのは、最近だけど。
「ありがと」
お返しに彼の右手にキスを返す。こうすると、彼は凄く嬉しそうな顔をするから。
他の人には無表情がデフォの彼が、自分の前では年相応の表情を見せるのは、嬉しいを通り越して、クセになるのよ。中毒性のある笑顔というか。
彼の笑顔に、私も笑顔を返す。すると。
「こらっ!何破廉恥な事をエルちゃんにさせているのよ!」
「煩い」
アウル様に怒られてしまったわ。
破廉恥な事?そういうつもりはなかったけれど、他の人から見るとイチャイチャしていたように見えたかしら?確かにいくらアレクが「婚約者同士なら普通だ」と言っても、守らなくてはならない節度ってあるものね。
うん、と頷く私に、アウル様が微妙な目をする。
「エルちゃん……。何でそんなに純粋なの?」
?意味がわからない。
そんな私に、彼女は大きくため息を吐き、それから話を戻した。
「とにかく。こんな感じだから、計画を進めるよりも、この子を押さえるのが大変だったのよ」
「……お世話かけました」
素直に頭を下げると、アウル様はニッと笑い
「家族の為に動いているのよ。何てことないわ」
そう言って席を立つ。
「さて、この後ラファに呼ばれているから、この辺で失礼するわね」
「あ……ありがとうございました」
彼女は大したことないと言うが、あらましを聞いただけでかなり動いていてくれたことがわかる。
卒業後すぐという結婚の為、王妃教育で彼女自身かなりな時間を割いているというのに。それでも彼女は余裕のある顔で、こちらにウインクをしてみせた。
「どういたしまして。お礼は、この前作ってくれたクッキーの詰め合わせでいいわよ。前貰った時は沢山あったから、ラファとのお茶で頂いたの。でも一口食べて後悔したわ。独り占めしておけば良かった、ってね」
「でしたら、今回は二つ作りましょうか?アウラ様の分と殿下の分を」
私の提案に、アウラ様の顔がぱっと明るくなる。
「名案よ!だったら、一つは部屋に隠しておいて、もう一つをラファとのお茶会に持っていくわ!」
え……?いや、一人一個って意味だったんだけど。
戸惑う私の隣でアレクが小さく手を挙げる。
ああ、アレクも欲しいのね。
すぐに王宮に向かうというアウル様を見送ると、その場は二人きりになる。
すると、途端にアレクが私を後ろから抱きしめた。
え?いいけど。できれば胸の下に腕を回すのはやめてほしい。小さな胸が強調されるような気がするから。
私が胸の大きさを気にしている間、アレクは私の首筋に顔を埋める。
言葉にならない感情を、もどかしく思うっているように。
この人は時々こうして小さな子供のような真似をする。付き合っている内に気がついたけれど、それは大抵不安を抱いた時だ。
「どうしたの?」
それがわかっているだけに、できるだけ優しく尋ねると、彼は顔を伏せたまま小さく呟いた。
「……本当は、俺だけでエルを守りたかった」
「え、でもそれは……」
今回の場合は無理だったんじゃない?
相手は女性で、噂話。となれば、男性の手出しは難しい領域になる。下手をすれば、大きな反発を受けかねない。下火だったのが、大炎上になるとか。
それに、アレクは水面下で策を練り、人を動かすのは得意ではないはず。
だからこそ、アウル様と殿下が動いて下さったのだろう。
そう言おうとしたところ、アレクがぎゅっと腕に力を込めた。わかっている、とでも言いたげに。
「俺はいつだって、俺だけの力でエルを守りたい」
「……」
こういう所が、兄姉にも『囲い込み』と言われてしまうところだろう。
でも。
「守ってくれているじゃない」
いつだって。
「もっと。俺だけに守られてほしい」
真摯な声で耳元に囁かれ、ちょっと笑みが零れる。
少年らしい純粋さ。ストレートに告げられる彼の気持ちが嬉しくて。
冷静に言うなら、彼だけに守られるのは不可能だ。この先、彼は領主となり、私はその妻となる。
互いの仕事で離れる時も増えるし、離れた時ジュリアナのような警護が付くのは当たり前の生活になる。
自分で自分の身を守る平民ではない。皆に守られる立場になるのだ。
それでも、何か事が起こった時、私が真っ先に呼ぶのはただ一人。彼の名前だろう。
囲い込みでも、かごの中の鳥でもいいじゃない。彼の独占欲という檻の中に入るとしても、それを選択したのは自分だ。
私は首を回し、彼の毛先にキスをする。……それ以上は回らなかったから。
すぐに気づいた彼が顔を上げる。
「じゃあ、しっかり守ってね」
未来永劫。
その言葉を口にすると、彼が嬉しそうに目を細めた。
「約束する」
と。
それによると、私がリーゼ様からアレクを奪ったという噂は、実は入学前から出ていたらしい。
休み中のお茶会や、パーティーなんで広がったそれは、アウル様が気づいた時にはすでに広がり、簡単に収拾がつかない状態だったとか。
「元凶は結構苦労はしたけど、わかっていたのよ。今回はエルちゃんの事だから、ラファも影を使ったし」
噂の特定というのは、実は結構な時間がかかる。
噂を知っている人に、誰から聞いたのか聞き出して、更にその人に接触して、次の人へ。そんな地道な工程を繰り返すからだ。
ところが、さすが王家の影。首謀者特定にかかった時間は、僅か三日。
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彼女が今回の噂を流そうとしたのは、先程アウル様の公開尋問で分かっている。
いくら母親の言葉を鵜呑みにしていたとはいえ、ずっと好きで、結婚すると思っていた相手が、急に別の人間と婚約したのだ。悲しいと思うし、悔しいとも思っただろう。その部分に対しては、同情の余地はある。
それでもアウル様が彼女を許さなかったのは、リーゼ様の考える理想の未来が許せなかったからだ。
彼女はずっと以前から、複数の男性にもてはやされる生活を好んでいたらしい。
「昔からあの子は、複数の男にちやほやされるのが大好きなのよ」
その上、友人の彼も平気で奪う厄介な人だったらしい。
「そんなハーレム嗜好の女が、勝手にそのハーレムにアレクを組み入れようとしているのよ?アレクが他の男と同列に考えられる?アクセサリーみたいに扱われる?家の弟が?家のアレクをそんなに安い男だって思っていたの?」
勿論、アレクがリーゼ様の事が好きで、ハーレムでもいいよ、というのなら話は違う。けれど、アレクはリーゼ様の事を何とも思っていない。
そんなアレクを、外堀を埋める形で詰めていこうとする彼女に対し、アウル様は怒っていたのだ。
ともあれ、元凶も理由もわかった。その上で一か月も噂と彼女を放置したのは、別の用意があったからだという。
「エルちゃんには我慢させちゃって、申し訳なかったけれど、あれだけ広がっちゃうと、少人数に説明したところで潰されちゃうからね」
やるなら大人数のいる場所で、徹底的に。
どれだけ噂を振りまいても、私への愛を隠しもしないアレクの行動がそれを覆す。
業を煮やした彼女が、行動に出るのはわかっていた。だからそれを待っていた。
「あのタイミングで良かったわ。アレクからも、期限は一か月、って言われていたし」
アレクは最初話を聞いた時、すぐに抗議……ではなく、実力行使。つまり排除に出るつもりだったらしい。
だが、それでは噂の真相があやふやになると、姉に止められた。
「気が狂いそうだった」
「……平気なのに」
無視されたり陰口を言われ、辛かったり、寂しいと思った事がなかったとは言わないけど、それだって、時間が許す限りずっとアレクが一緒にいてくれたから、大丈夫だったのだし。
「エルが辛いと、俺も辛い」
彼はそう言って、私の右の掌にキスをする。
いつだってそう。私が傷つくのを彼は嫌がる。全力で守ってくれようとする。
どうしてこんなにも大切にしてくれるのか、と聞きたいくらい。
アウル様やレオナール様は『囲い込み』というけれど、果たして人の掌で育てられた小鳥にとって、自由だけど危険な外と、安全な檻のある室内。どちらにいるのが幸せかは、第三者にはわからない。
現に彼の側、彼の腕の中は私にとって、世界で一番安心できる場所になっている。……気づいたのは、最近だけど。
「ありがと」
お返しに彼の右手にキスを返す。こうすると、彼は凄く嬉しそうな顔をするから。
他の人には無表情がデフォの彼が、自分の前では年相応の表情を見せるのは、嬉しいを通り越して、クセになるのよ。中毒性のある笑顔というか。
彼の笑顔に、私も笑顔を返す。すると。
「こらっ!何破廉恥な事をエルちゃんにさせているのよ!」
「煩い」
アウル様に怒られてしまったわ。
破廉恥な事?そういうつもりはなかったけれど、他の人から見るとイチャイチャしていたように見えたかしら?確かにいくらアレクが「婚約者同士なら普通だ」と言っても、守らなくてはならない節度ってあるものね。
うん、と頷く私に、アウル様が微妙な目をする。
「エルちゃん……。何でそんなに純粋なの?」
?意味がわからない。
そんな私に、彼女は大きくため息を吐き、それから話を戻した。
「とにかく。こんな感じだから、計画を進めるよりも、この子を押さえるのが大変だったのよ」
「……お世話かけました」
素直に頭を下げると、アウル様はニッと笑い
「家族の為に動いているのよ。何てことないわ」
そう言って席を立つ。
「さて、この後ラファに呼ばれているから、この辺で失礼するわね」
「あ……ありがとうございました」
彼女は大したことないと言うが、あらましを聞いただけでかなり動いていてくれたことがわかる。
卒業後すぐという結婚の為、王妃教育で彼女自身かなりな時間を割いているというのに。それでも彼女は余裕のある顔で、こちらにウインクをしてみせた。
「どういたしまして。お礼は、この前作ってくれたクッキーの詰め合わせでいいわよ。前貰った時は沢山あったから、ラファとのお茶で頂いたの。でも一口食べて後悔したわ。独り占めしておけば良かった、ってね」
「でしたら、今回は二つ作りましょうか?アウラ様の分と殿下の分を」
私の提案に、アウラ様の顔がぱっと明るくなる。
「名案よ!だったら、一つは部屋に隠しておいて、もう一つをラファとのお茶会に持っていくわ!」
え……?いや、一人一個って意味だったんだけど。
戸惑う私の隣でアレクが小さく手を挙げる。
ああ、アレクも欲しいのね。
すぐに王宮に向かうというアウル様を見送ると、その場は二人きりになる。
すると、途端にアレクが私を後ろから抱きしめた。
え?いいけど。できれば胸の下に腕を回すのはやめてほしい。小さな胸が強調されるような気がするから。
私が胸の大きさを気にしている間、アレクは私の首筋に顔を埋める。
言葉にならない感情を、もどかしく思うっているように。
この人は時々こうして小さな子供のような真似をする。付き合っている内に気がついたけれど、それは大抵不安を抱いた時だ。
「どうしたの?」
それがわかっているだけに、できるだけ優しく尋ねると、彼は顔を伏せたまま小さく呟いた。
「……本当は、俺だけでエルを守りたかった」
「え、でもそれは……」
今回の場合は無理だったんじゃない?
相手は女性で、噂話。となれば、男性の手出しは難しい領域になる。下手をすれば、大きな反発を受けかねない。下火だったのが、大炎上になるとか。
それに、アレクは水面下で策を練り、人を動かすのは得意ではないはず。
だからこそ、アウル様と殿下が動いて下さったのだろう。
そう言おうとしたところ、アレクがぎゅっと腕に力を込めた。わかっている、とでも言いたげに。
「俺はいつだって、俺だけの力でエルを守りたい」
「……」
こういう所が、兄姉にも『囲い込み』と言われてしまうところだろう。
でも。
「守ってくれているじゃない」
いつだって。
「もっと。俺だけに守られてほしい」
真摯な声で耳元に囁かれ、ちょっと笑みが零れる。
少年らしい純粋さ。ストレートに告げられる彼の気持ちが嬉しくて。
冷静に言うなら、彼だけに守られるのは不可能だ。この先、彼は領主となり、私はその妻となる。
互いの仕事で離れる時も増えるし、離れた時ジュリアナのような警護が付くのは当たり前の生活になる。
自分で自分の身を守る平民ではない。皆に守られる立場になるのだ。
それでも、何か事が起こった時、私が真っ先に呼ぶのはただ一人。彼の名前だろう。
囲い込みでも、かごの中の鳥でもいいじゃない。彼の独占欲という檻の中に入るとしても、それを選択したのは自分だ。
私は首を回し、彼の毛先にキスをする。……それ以上は回らなかったから。
すぐに気づいた彼が顔を上げる。
「じゃあ、しっかり守ってね」
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