24 / 30
新婚生活はお静かに1
しおりを挟む
「今日、誰に会っていたの?」
誰と聞かれて、当人の顔と、同時に過去を思い出していた私に、焦れたアレクの手がゆっくりと動き出す。
私の事は護衛のラグーシュ改め、ジュリアナから全て聞いているでしょうに。
普段こんな風に束縛なんてしないから、多分今日会っていた人物が気に入らないのだろう。
婚約してから数年。大人の領域に入り、色気は駄々洩れになったくせに、こういう所は変わらない。
要注意人物とみなした相手には、警戒を解かないのだ。そういう所もフランクに似て、可愛いと思ってしまう私も私だけど。
仕方なく、小さくため息を吐いた後、私は彼の目を見て口を開いた。
「今日……街でイザークに会ったの」
隠す事でもないので、事実だけを告げる。
「ちょっと欲しいものがあって、街に出ていたの。それで、偶然にイザークに会って声をかけられたわ」
そう。どうしても欲しかったけれど、人に頼む事ができないものがあって。それで今日はジュリアナを含む僅かな護衛を伴って街に出た。
所謂、お忍びってやつ。
学生の頃からローレインにはよく来ていたし、その頃から『師匠』のアドバイスを受けつつ、領地経営にも携わっていた。異世界から来たという彼女は、土地改良のコツや、新しい大陸から入ってきた食べ物
にも知識があったから。
その関係で街の人とはよく話したし、交流もあった。当然彼らは、私の顔も知っている。街に出れば普通に挨拶もしてくれるのだが……。今日は、今日ばかりはそっとしておいてほしかったから。
目立たない服を着て、マントのフードを目深に被り、決して私だとバレないように。護衛もジュリアナを除き、少し離れてもらって……。目立たないように。目立たないように、こっそりと。
イザークに声をかけられたのは、目的の物を買ったすぐ後だった。
店は路地の奥まった場所にあり、尚且つ周囲には女性専門の店が多いエリア。
となると、護衛とはいえ男性の姿は珍しく、どうしても人目を引いてしまう。
それが嫌でその時はジュリアナだけを護衛に、二人で行動していたのだが、そこで背後から声をかけられた。
「エルーシア?」
最初声をかけられた時、正直誰かわからなかった。ただ、その声があまりにも親しげだったから振り返ってしまっただけ。だが、振り返って相手を見ても、私は当初その人が誰なのかわからなかった。
「ああ!やっぱりエルーシアだ!」
相手の声が跳ね上がる。
その声は確かに聞き覚えのあるもので。私は急いで記憶を辿り……さして時間もかからず思い出す。
イザークだ。昔好きだった、私の初恋の人。
あの頃長かった彼の髪は、短く切り取られていた。すらりとしていた姿が、男の人らしくがっしりとして、記憶の中にある彼の姿とは違ったけれど、声は変わらない。
初めてローレインに来た時、離れた位置から姿は見たものの一方的なものだった。こうして正面から向かい合うのは何年ぶりだろう。
お父様の話では、私が婚約した後、事情を書いた手紙を渡したと。詫びも兼ねたもので、私が彼を諦めた事、王都へ戻る事を希望するなら応じる事を書いたから、すぐにでも王都に帰るだろうという話だったのに、どうして今ここにいるか。
その事を不思議に思いながらも、それ以上の感慨が浮かばない。再会の喜びなんてものは勿論、懐かしいという感覚さえない。
あれだけ追い回し、好きだと思っていた人なのに。
あるのは何故まだローレインにいるのだろうという疑問と、何故今になってまで親しげに私の名前を呼ぶのだろうという戸惑いだけ。
『鬱陶しい』と呼び、私が近くに行くことを『最低』と言ったのに。それほど嫌いな相手にわざわざ声をかけるなんて。
一体どういうつもりなのか。
その時、以前ユーリカさんが言っていた言葉を思い出す。
『彼はまだ貴女の事を2年前に別れたままの子供だって思っているようだけど、今の貴女にあったら、自分の不実は伏せて婚約を…って話にもなるでしょうしね』
本当にそうだろうか。子供だからダメで、大人なら大丈夫な理由は、今になれば理解できる。
金銭面だけではない、欲を伴った関係。彼はそんな目で私を見るだろうか。
警戒を隠しもせずに対峙した私に、だが彼は口元に笑みすら浮かべて近づき……。瞬時に動いたジュリアナに止められた。
彼女の先端が鋭く尖った簪の柄が、イザークの喉元にピタリと付けられる。
ほんの少しでも動けば、喉が切り裂かれる。彼女の行動に、イザークは止まるしかなかったのだ。
「元カノとでも勘違いしたか?王軍の兵士はよほど目が悪いとみえる」
ジュリアナが赤く塗られた唇を吊り上げ、捕食者の目でイザークを見る。そして至近距離から太い男の声で囁いた。
「わかっているようだが、こちらの方は、ローレインの次期領主婦人だ。一下級兵士が用もなく声をかければ不敬とみなす。近寄れば容赦なく殺す」
「あ……」
彼女の正論を真っ正面から受け、イザークが気まずそうに口を閉じる。
そんな彼を見て、わきまえたと思った彼女が先を促すように私の背に手を添えた時、彼は思わずといった感じで私の手を取った。
「待ってくれ!ただ話をしたいだけなんだ!」
話?
あれほど嫌っていた私に、何の話があるのだろう。
「大事な!大事な話なんだ!エルーシア頼むから!」
必死な形相で詰め寄るイザークに、ジュリアナの眉が苛立たし気に寄る。
これは!マジで首取る5秒前!
「ジュリアナ!ここじゃダメだって!」
いえ、話かけられただけで首を取るなんて、ここだけじゃなく、どこでもダメなんだけど。
焦って彼女を止め、私は改めてイザークに向き直った。
「大事な話とは何です?」
路地とはいえ、まったく人通りがないわけではない。そんな中で、大きな声で名前を連呼されれば、私が何者かというのが周知されてしまう。しかも相手は年寄りでも幼児でもない妙齢の男性だ。変な噂になっては困る。
それ以上に、周囲の人にあの店から出てきたのを知られるともっと困る。
務めて冷静に声をかけると、イザークはホッとした表情を見せ、それから困ったようにジュリアナを見た。
「二人きりになれる場所で話したいんだが……」
「「無理ね」」
合わさった声で、彼の要求に即座に拒否をする。
ジュリアナが怖いのは理解するけど、そんな事できるわけがないでしょう?未だに王子には子猫ちゃん扱いの童顔だけど、これでも一応既婚女性よ。
二人分の拒否にイザークは面食らい、おびえた様子を見せつつ、私とジュリアナの顔を交互に見る。
「ここで言えない事なの?」
「あ……言えないっていうか…、その…秘密の話で……」
「貴方と私で秘密の話?」
なにそれ?想像もつかないんだけど。でも、秘密は気になるわね。
さてどうしようか。
そう思っていると、それまで怖い顔をしていたジュリアナが、急に笑顔を見せた。
「ジュリアナ?」
またロクでもない事を考えているわね?
職務に忠実で、勇猛果敢な彼女だけど、元来遊び好きというか、面白いこと好きなせいか、時々思考がとんでもない方向に飛ぶのよね。
「じゃあ、少しだけお時間を差し上げましょうか。あそこ、あそこの店の中なら人目も気にしなくていいし、秘密も厳守できますからいいですよ」
先ほどまでの態度とは違い、にこやかに彼女が一軒の店を指差す。
この通りにあっても不思議には思わない、愛らしいヘッドドレスや髪飾りなどが並べられた店。
でも多分、領主の息のかかった店なのだろう。
ジュリアナに連れて来られて入った店内は、奥に密談にふさわしい場所が用意されており、彼女と同種の店長が私に深々と頭を下げた。
「若奥様、エリザベータよ。私の古くからのお友達なの。引退して今はこの店を任せられているわ。ここならどんなヤバい話をしても、大丈夫だからね」
あ、でも話は手短に、10分でお願いしまーす。
と、ジュリアナが言うと、続いて大柄というのも憚られるほど縦にも横にも大きなエリザベータが口を開いた。
「エリザベータですわ。お目にかかれて光栄に存じます」
太い低音が耳に心地いい。多分だけど、引退する前は戦場で敵将たちにさぞ恐れられていただろう。見事な筋肉と豊かな胸筋。悔しいけれど、私のものよりも立派だ。
「よろしく。エリザベータ。急にごめんなさいね」
「構いませんわ。ここは元々領主様のお店。お好きに使ってください」
エリザベータはそう言うと、私とイザークを奥の部屋に案内し、お茶を出すと、仕切りのカーテンを引いてジュリアナと出て行った。
そして。
「ちょ、ちょっと待って!何?あの可愛い生き物はーっ!あの方が若奥様?信じられない!可愛いっ!可愛すぎるわよ!私思わず抱きしめたくなっちゃったわ!ヤバかったわー!」
囁き声にしては大きな話し声が聞こえてきた。
「やーめーてーよ。あんたの馬鹿力でだきしめられたら、若奥様が壊れちゃう!」
「でも可愛いのよ!」
「でしょ?でしょう?お顔も勿論可愛いんだけど、動きがたまんないのよ!ついつい心の中で『てちてち』とか『グイグイ』って擬音をつけてしまうのよーっ!」
そんな事していたの、ジュリアナ。
というか、本人たちは小声でプライベートなおしゃべりをしているつもりだろうけど、全部丸聞こえかだら。
「羨ましい!悔しいっ!私もお側付きの護衛になりたいわーっ!」
「ふふん。いいでしょう?」
「何よ、その勝ち誇った顔は!このブス!」
「ほほほ。負け犬の遠吠えなんて、何にも効かないわー」
………どうやらエリザベータにも受け入れてもらえそうで嬉しいけれど、できれば、そういうのは本人に聞こえない場所でやってほしい。
照れるけれど、とにかく今はイザークの言う『大事な話』とかやらを聞かなくては。
誰と聞かれて、当人の顔と、同時に過去を思い出していた私に、焦れたアレクの手がゆっくりと動き出す。
私の事は護衛のラグーシュ改め、ジュリアナから全て聞いているでしょうに。
普段こんな風に束縛なんてしないから、多分今日会っていた人物が気に入らないのだろう。
婚約してから数年。大人の領域に入り、色気は駄々洩れになったくせに、こういう所は変わらない。
要注意人物とみなした相手には、警戒を解かないのだ。そういう所もフランクに似て、可愛いと思ってしまう私も私だけど。
仕方なく、小さくため息を吐いた後、私は彼の目を見て口を開いた。
「今日……街でイザークに会ったの」
隠す事でもないので、事実だけを告げる。
「ちょっと欲しいものがあって、街に出ていたの。それで、偶然にイザークに会って声をかけられたわ」
そう。どうしても欲しかったけれど、人に頼む事ができないものがあって。それで今日はジュリアナを含む僅かな護衛を伴って街に出た。
所謂、お忍びってやつ。
学生の頃からローレインにはよく来ていたし、その頃から『師匠』のアドバイスを受けつつ、領地経営にも携わっていた。異世界から来たという彼女は、土地改良のコツや、新しい大陸から入ってきた食べ物
にも知識があったから。
その関係で街の人とはよく話したし、交流もあった。当然彼らは、私の顔も知っている。街に出れば普通に挨拶もしてくれるのだが……。今日は、今日ばかりはそっとしておいてほしかったから。
目立たない服を着て、マントのフードを目深に被り、決して私だとバレないように。護衛もジュリアナを除き、少し離れてもらって……。目立たないように。目立たないように、こっそりと。
イザークに声をかけられたのは、目的の物を買ったすぐ後だった。
店は路地の奥まった場所にあり、尚且つ周囲には女性専門の店が多いエリア。
となると、護衛とはいえ男性の姿は珍しく、どうしても人目を引いてしまう。
それが嫌でその時はジュリアナだけを護衛に、二人で行動していたのだが、そこで背後から声をかけられた。
「エルーシア?」
最初声をかけられた時、正直誰かわからなかった。ただ、その声があまりにも親しげだったから振り返ってしまっただけ。だが、振り返って相手を見ても、私は当初その人が誰なのかわからなかった。
「ああ!やっぱりエルーシアだ!」
相手の声が跳ね上がる。
その声は確かに聞き覚えのあるもので。私は急いで記憶を辿り……さして時間もかからず思い出す。
イザークだ。昔好きだった、私の初恋の人。
あの頃長かった彼の髪は、短く切り取られていた。すらりとしていた姿が、男の人らしくがっしりとして、記憶の中にある彼の姿とは違ったけれど、声は変わらない。
初めてローレインに来た時、離れた位置から姿は見たものの一方的なものだった。こうして正面から向かい合うのは何年ぶりだろう。
お父様の話では、私が婚約した後、事情を書いた手紙を渡したと。詫びも兼ねたもので、私が彼を諦めた事、王都へ戻る事を希望するなら応じる事を書いたから、すぐにでも王都に帰るだろうという話だったのに、どうして今ここにいるか。
その事を不思議に思いながらも、それ以上の感慨が浮かばない。再会の喜びなんてものは勿論、懐かしいという感覚さえない。
あれだけ追い回し、好きだと思っていた人なのに。
あるのは何故まだローレインにいるのだろうという疑問と、何故今になってまで親しげに私の名前を呼ぶのだろうという戸惑いだけ。
『鬱陶しい』と呼び、私が近くに行くことを『最低』と言ったのに。それほど嫌いな相手にわざわざ声をかけるなんて。
一体どういうつもりなのか。
その時、以前ユーリカさんが言っていた言葉を思い出す。
『彼はまだ貴女の事を2年前に別れたままの子供だって思っているようだけど、今の貴女にあったら、自分の不実は伏せて婚約を…って話にもなるでしょうしね』
本当にそうだろうか。子供だからダメで、大人なら大丈夫な理由は、今になれば理解できる。
金銭面だけではない、欲を伴った関係。彼はそんな目で私を見るだろうか。
警戒を隠しもせずに対峙した私に、だが彼は口元に笑みすら浮かべて近づき……。瞬時に動いたジュリアナに止められた。
彼女の先端が鋭く尖った簪の柄が、イザークの喉元にピタリと付けられる。
ほんの少しでも動けば、喉が切り裂かれる。彼女の行動に、イザークは止まるしかなかったのだ。
「元カノとでも勘違いしたか?王軍の兵士はよほど目が悪いとみえる」
ジュリアナが赤く塗られた唇を吊り上げ、捕食者の目でイザークを見る。そして至近距離から太い男の声で囁いた。
「わかっているようだが、こちらの方は、ローレインの次期領主婦人だ。一下級兵士が用もなく声をかければ不敬とみなす。近寄れば容赦なく殺す」
「あ……」
彼女の正論を真っ正面から受け、イザークが気まずそうに口を閉じる。
そんな彼を見て、わきまえたと思った彼女が先を促すように私の背に手を添えた時、彼は思わずといった感じで私の手を取った。
「待ってくれ!ただ話をしたいだけなんだ!」
話?
あれほど嫌っていた私に、何の話があるのだろう。
「大事な!大事な話なんだ!エルーシア頼むから!」
必死な形相で詰め寄るイザークに、ジュリアナの眉が苛立たし気に寄る。
これは!マジで首取る5秒前!
「ジュリアナ!ここじゃダメだって!」
いえ、話かけられただけで首を取るなんて、ここだけじゃなく、どこでもダメなんだけど。
焦って彼女を止め、私は改めてイザークに向き直った。
「大事な話とは何です?」
路地とはいえ、まったく人通りがないわけではない。そんな中で、大きな声で名前を連呼されれば、私が何者かというのが周知されてしまう。しかも相手は年寄りでも幼児でもない妙齢の男性だ。変な噂になっては困る。
それ以上に、周囲の人にあの店から出てきたのを知られるともっと困る。
務めて冷静に声をかけると、イザークはホッとした表情を見せ、それから困ったようにジュリアナを見た。
「二人きりになれる場所で話したいんだが……」
「「無理ね」」
合わさった声で、彼の要求に即座に拒否をする。
ジュリアナが怖いのは理解するけど、そんな事できるわけがないでしょう?未だに王子には子猫ちゃん扱いの童顔だけど、これでも一応既婚女性よ。
二人分の拒否にイザークは面食らい、おびえた様子を見せつつ、私とジュリアナの顔を交互に見る。
「ここで言えない事なの?」
「あ……言えないっていうか…、その…秘密の話で……」
「貴方と私で秘密の話?」
なにそれ?想像もつかないんだけど。でも、秘密は気になるわね。
さてどうしようか。
そう思っていると、それまで怖い顔をしていたジュリアナが、急に笑顔を見せた。
「ジュリアナ?」
またロクでもない事を考えているわね?
職務に忠実で、勇猛果敢な彼女だけど、元来遊び好きというか、面白いこと好きなせいか、時々思考がとんでもない方向に飛ぶのよね。
「じゃあ、少しだけお時間を差し上げましょうか。あそこ、あそこの店の中なら人目も気にしなくていいし、秘密も厳守できますからいいですよ」
先ほどまでの態度とは違い、にこやかに彼女が一軒の店を指差す。
この通りにあっても不思議には思わない、愛らしいヘッドドレスや髪飾りなどが並べられた店。
でも多分、領主の息のかかった店なのだろう。
ジュリアナに連れて来られて入った店内は、奥に密談にふさわしい場所が用意されており、彼女と同種の店長が私に深々と頭を下げた。
「若奥様、エリザベータよ。私の古くからのお友達なの。引退して今はこの店を任せられているわ。ここならどんなヤバい話をしても、大丈夫だからね」
あ、でも話は手短に、10分でお願いしまーす。
と、ジュリアナが言うと、続いて大柄というのも憚られるほど縦にも横にも大きなエリザベータが口を開いた。
「エリザベータですわ。お目にかかれて光栄に存じます」
太い低音が耳に心地いい。多分だけど、引退する前は戦場で敵将たちにさぞ恐れられていただろう。見事な筋肉と豊かな胸筋。悔しいけれど、私のものよりも立派だ。
「よろしく。エリザベータ。急にごめんなさいね」
「構いませんわ。ここは元々領主様のお店。お好きに使ってください」
エリザベータはそう言うと、私とイザークを奥の部屋に案内し、お茶を出すと、仕切りのカーテンを引いてジュリアナと出て行った。
そして。
「ちょ、ちょっと待って!何?あの可愛い生き物はーっ!あの方が若奥様?信じられない!可愛いっ!可愛すぎるわよ!私思わず抱きしめたくなっちゃったわ!ヤバかったわー!」
囁き声にしては大きな話し声が聞こえてきた。
「やーめーてーよ。あんたの馬鹿力でだきしめられたら、若奥様が壊れちゃう!」
「でも可愛いのよ!」
「でしょ?でしょう?お顔も勿論可愛いんだけど、動きがたまんないのよ!ついつい心の中で『てちてち』とか『グイグイ』って擬音をつけてしまうのよーっ!」
そんな事していたの、ジュリアナ。
というか、本人たちは小声でプライベートなおしゃべりをしているつもりだろうけど、全部丸聞こえかだら。
「羨ましい!悔しいっ!私もお側付きの護衛になりたいわーっ!」
「ふふん。いいでしょう?」
「何よ、その勝ち誇った顔は!このブス!」
「ほほほ。負け犬の遠吠えなんて、何にも効かないわー」
………どうやらエリザベータにも受け入れてもらえそうで嬉しいけれど、できれば、そういうのは本人に聞こえない場所でやってほしい。
照れるけれど、とにかく今はイザークの言う『大事な話』とかやらを聞かなくては。
132
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】精霊姫は魔王陛下のかごの中~実家から独立して生きてこうと思ったら就職先の王子様にとろとろに甘やかされています~
吉武 止少
恋愛
ソフィアは小さい頃から孤独な生活を送ってきた。どれほど努力をしても妹ばかりが溺愛され、ないがしろにされる毎日。
ある日「修道院に入れ」と言われたソフィアはついに我慢の限界を迎え、実家を逃げ出す決意を固める。
幼い頃から精霊に愛されてきたソフィアは、祖母のような“精霊の御子”として監視下に置かれないよう身許を隠して王都へ向かう。
仕事を探す中で彼女が出会ったのは、卓越した剣技と鋭利な美貌によって『魔王』と恐れられる第二王子エルネストだった。
精霊に悪戯される体質のエルネストはそれが原因の不調に苦しんでいた。見かねたソフィアは自分がやったとバレないようこっそり精霊を追い払ってあげる。
ソフィアの正体に違和感を覚えたエルネストは監視の意味もかねて彼女に仕事を持ち掛ける。
侍女として雇われると思っていたのに、エルネストが意中の女性を射止めるための『練習相手』にされてしまう。
当て馬扱いかと思っていたが、恋人ごっこをしていくうちにお互いの距離がどんどん縮まっていってーー!?
本編は全42話。執筆を終えており、投稿予約も済ませています。完結保証。
+番外編があります。
11/17 HOTランキング女性向け第2位達成。
11/18~20 HOTランキング女性向け第1位達成。応援ありがとうございます。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
【完結】初恋の人に嫁ぐお姫様は毎日が幸せです。
くまい
恋愛
王国の姫であるヴェロニカには忘れられない初恋の人がいた。その人は王族に使える騎士の団長で、幼少期に兄たちに剣術を教えていたのを目撃したヴェロニカはその姿に一目惚れをしてしまった。
だが一国の姫の結婚は、国の政治の道具として見知らぬ国の王子に嫁がされるのが当たり前だった。だからヴェロニカは好きな人の元に嫁ぐことは夢物語だと諦めていた。
そしてヴェロニカが成人を迎えた年、王妃である母にこの中から結婚相手を探しなさいと釣書を渡された。あぁ、ついにこの日が来たのだと覚悟を決めて相手を見定めていると、最後の釣書には初恋の人の名前が。
これは最後のチャンスかもしれない。ヴェロニカは息を大きく吸い込んで叫ぶ。
「私、ヴェロニカ・エッフェンベルガーはアーデルヘルム・シュタインベックに婚約を申し込みます!」
(小説家になろう、カクヨミでも掲載中)
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
公爵令嬢は嫁き遅れていらっしゃる
夏菜しの
恋愛
十七歳の時、生涯初めての恋をした。
燃え上がるような想いに胸を焦がされ、彼だけを見つめて、彼だけを追った。
しかし意中の相手は、別の女を選びわたしに振り向く事は無かった。
あれから六回目の夜会シーズンが始まろうとしている。
気になる男性も居ないまま、気づけば、崖っぷち。
コンコン。
今日もお父様がお見合い写真を手にやってくる。
さてと、どうしようかしら?
※姉妹作品の『攻略対象ですがルートに入ってきませんでした』の別の話になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる