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63.公開真偽裁判
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翌日、ストロング国から駆けつけた神官による、祭壇で行われる真偽裁判が、マイルド国の王都で開かれた。
「神官による真偽裁判ですって!」
私は、一郎の話に、思わず叫んでいた。
この裁判は神官が、真実だけを述べるように、質問者も回答者も、祭壇に上がる前に、誓約書に血判を押して、どちらがより、真実を述べたかを、自分の命を賭けて、真偽する裁判のことだ。
これは、ある意味、神の正義を、この世に、実現させるように見える裁判だが、実際は、真偽の質問の仕方によっては、犯人側である相手に、有利に働く場合もある。
例えば、マッチを使って、火事を起こした犯人を見た人物が、真偽裁判で、犯人に対して、”私は、あなたが、火をつけて、逃げていくのを見ました。”と断言するが、犯人は”違う”と答える。
一見、犯人に不利に思えることも、犯人が逃げたのではなく、その火事を見物する為に、場所を変えただけだとすれば、火事を起こした人間を見た人の血判書が、”逃げた”と断言した分だけ黒くなり、逆にウソを吐いたことになってしまい、犯人の方が有利になる。
そういう裁判なのだ。
でも逆に、裁判に、物理的証拠を数多く、集めていれば、相手の身分に関係なく、公平に裁かれるので、良い面もあった。
そんな裁判が、公開で開かれると聞けば、誰もが度肝を抜かれる。
いったい誰が、この裁判に挑むのだろうか?
私は、自分が復讐しようと思っていた相手が、追い詰められる姿を見るために、裁判が行われる神殿に向かった。
一郎と次郎も、護衛として、一緒についてきた。
ふと見ると、最前列には、ダン王子とヴォイも陣取っていた。
私が目を白黒させていると、ダン王子から衝撃的なことを聞かされた。
挑戦者のサポート役として、ダン王子のお爺様であり銀獅子様と呼ばれるアレン様が、出ると聞いたのだ。
思わず”えー”と声を上げれば、ダン王子に引き寄せられ、彼に手で口を塞がれた。
私の隣になったヴォイに、”そこは普通、手じゃなく、唇で塞ぐんでしょ”と妙な突っ込みを入れられた。
”そうか”とダン王子が返したのを見て、私は、よろけるふりをして、彼の足を思いっきり、踏みつけてやった。
グエッ。
カエルが潰れるような声が、隣で上がった。
そんなふうにしているうちに、神官が現れ、裁判が始まった。
祭壇を見ていると、まず、挑まれた側として、ミエ王太子妃と彼女のサポート役として、彼女の夫であるコウ王太子が現れた。
次に、流れるような銀色の髪を後ろで括った銀獅子こと、アレン様が、白い甲冑を纏った、銀髪の美麗な熟女を伴なって、現れた。
えっ、シルビア、おばあ様?
私は、現れた人物をポカーンと見つめた。
復讐ばかり考えすぎて、頭がおかしくなった?
でも、あれは、どう見ても・・・。
そ・・・そんな・・・うそ!
私の目に涙が浮かんできた。
おばあ様。
でも、どうして、ここに、おばあ様が・・・。
そこで、私はハッとした。
そこにいるって言うことは、この裁判に挑むのが、おばあ様ってことになる。
うそ、イヤよ。
やっと会えたのに、おばあ様が、裁判の展開によっては、亡くなってしまうかも、知れない。
私は、席を立って、祭壇に行こうとして、ダン王子に手を捕まえられた。
「おい、どこに行こうとしている。もう、裁判は始まっているんだ。今更行こうとしても、中には入れん。何を考えているんだ。」
そうだ。
一旦、始まってしまうと、誓約書に血判を押していないものは、結界が邪魔して、祭壇に近づけない。
なら、誓約書に血判を押せばいい。
そう思って、席を立ったら、今度はヴォイに、逆側から手を掴まれ、椅子に引き戻された。
「大丈夫よ。銀獅子様が、サポートしてるんだから。」
いや、ここは戦場ではない。
いくら英雄と言えども・・・。
「大丈夫だ。おれの爺さんの別名は、”腹黒大魔王”だから安心しろ。」
はぁー、なんだそりゃ。
でも、それを聞いて、どこを安心するんじゃい。
思わず、突っ込みそうになっているうちに、ふと意識を祭壇に向けると、おばあ様陣営から、証拠の血判書が、祭壇に積み上げられた。
どうやら、あれはこの国の貴族が、”中の国”と交わした戦争後に行うはずだった、マイルド国の分割統治について書かれた書類のようだ。
王太子の顔が真っ青になっていた。
どうやら、身に覚えがあるようだ。
「なんで、それがここにあるんだ!」
彼は、我を忘れて、叫んでいる。
「はぁー、さすがマイルド国の王太子だわね。これ、公開裁判なのに、あんなに感情を顕わにして、いいのかしら。」
横から、ヴォイの呆れたような呟きが、聞こえてきた。
確かに。
私も、心の中で、同意した。
銀獅子様が、その書類をミエ王太子妃に見せ、これに見覚えがあるかどうかを聞いていた。
彼女は首を横に振った。
王太子の血判書は、一部が黒ずんでいるが、彼女の書いた血判書は、何も変わっていなかった。
どうやら、彼女は、この件には、関わって、いなかったようだ。
残念。
次には、この数十年間で粛清された人間についての、証拠書類が積み上げられていくが、どれも王太子の血判書が黒くなるだけで、王太子妃の血判書は、まっさらなままだった。
時間は、瞬く間に過ぎていき、真偽裁判自体が終わりに近づいていた。
神官が、目の前に置かれている砂時計に、目線を送っている。
王太子妃を糾弾出来なかったのは、悔しいが、今はおばあ様の命が、無事なことだけでいい。
私がそう思って、祭壇を見ていると、そこに書類を抱えた一花が駈け込んで来た。
一花!
思わず声を上げそうになって、自分の口を手で塞いだ。
なんで、そこに一花がいるの?
一花はこちらを無視して、荒い息を吐きながら、最後の書類を祭壇に置いた。
神官がその書類を確認し、おばあ様が、それを王太子妃に見せた。
「これは!」
彼女の目が大きく見開かれる。
「その女性を知っていますか?」
おばあ様が、王太子妃に質問した。
彼女は、素直に頷いた。
次に、おばあ様は、その女性が、なぜ婚約を破棄されたのか知っているかと質問した。
彼女は、頷いた。
彼女の血判書は変わらない。
さすがに、これで彼女がどうかなるわけはないか。
私はあきらめの境地で、話を聞いていた。
次に、その女性の両親が、処刑された書類を手に取ったおばあ様は、震える声で、なんで処刑されたのかを、知っているかと問いかけられた。
「ええ、もちろんだわ。その書類に記されているわ。彼女の両親は、王家に対して、反逆したと。」
真実は違っていても、書類には、そう書かれているので、やはり、彼女の血判書は、なんの変化もなかった。
おばあ様は、それでも凛と背筋を伸ばすと、黄色く黄ばんだ最後の書類を、銀獅子様から受け取って、彼女に渡した。
「これは?」
彼女が可愛らしく首を横に傾げた。
「両親が反逆罪で処刑されたとしても、まだ未成年の子供は、この国では、処刑されないし、処罰もされない。普通はただ国外に追放されるだけなの。それなのに、その子は、奴隷売買され、その後、処刑された。その証拠書類よ。あなたは、それを知っていたわね。」
「し・・・知らないわ。」
初めて、王太子妃の血判書が黒くなった。
神官が手を上げた。
これが最後の質問になるようだ。
おばあ様が、最後の質問をした。
「あなたは、”魅了の瞳”を持っていますか?」
彼女は首を横に振った。
彼女の”血判書”がさらに黒くなった。
「それを使ったことは、ありますか?」
彼女は、もう一度、首を横に振った。
途端に、彼女の血判書が、真っ黒に塗りつぶされた。
神官が手を降ろし、そこで真偽裁判が終了した。
途端に、祭壇の前に立っていた二人が、その場に頽れた。
どうやら、肩が動いているので、まだ息はあるようだ。
二人は、ストロング国の兵士に両脇を抱えられ、その場を去って行った。
おばあ様は、神官に何かの書類を渡すと、祭壇を背にして、その場から歩き去った。
私の方を振り向くことはなかった。
そりゃ、そうか。
何十年も会っていないし、こんな髪になってしまった自分のことがわかるわけがない。
でも、おばあ様は、無事だった。
今は、それが一番嬉しい。
最後に残った、たった一人の血のつながりのある人が生きていた。
私が、それを噛みしめて、黙り込んでいると、何でかダン王子に肩を抱かれた。
「なんで、肩なんか抱いてるの?」
「そりゃ、そんなに泣いてりゃ。」
そう言われて、始めて自分が泣いていたのを自覚した。
「取り敢えず、帰ろう。」
ダン王子に肩を抱かれて促され、私たちは、その場を後にした。
翌々日、神殿から、マイルド国の王家廃絶が発表され、真偽裁判で黒判定された二人は、そのまま牢に幽閉になった。
それから間もなくして、彼らは、暗い牢で息を引き取った。
「神官による真偽裁判ですって!」
私は、一郎の話に、思わず叫んでいた。
この裁判は神官が、真実だけを述べるように、質問者も回答者も、祭壇に上がる前に、誓約書に血判を押して、どちらがより、真実を述べたかを、自分の命を賭けて、真偽する裁判のことだ。
これは、ある意味、神の正義を、この世に、実現させるように見える裁判だが、実際は、真偽の質問の仕方によっては、犯人側である相手に、有利に働く場合もある。
例えば、マッチを使って、火事を起こした犯人を見た人物が、真偽裁判で、犯人に対して、”私は、あなたが、火をつけて、逃げていくのを見ました。”と断言するが、犯人は”違う”と答える。
一見、犯人に不利に思えることも、犯人が逃げたのではなく、その火事を見物する為に、場所を変えただけだとすれば、火事を起こした人間を見た人の血判書が、”逃げた”と断言した分だけ黒くなり、逆にウソを吐いたことになってしまい、犯人の方が有利になる。
そういう裁判なのだ。
でも逆に、裁判に、物理的証拠を数多く、集めていれば、相手の身分に関係なく、公平に裁かれるので、良い面もあった。
そんな裁判が、公開で開かれると聞けば、誰もが度肝を抜かれる。
いったい誰が、この裁判に挑むのだろうか?
私は、自分が復讐しようと思っていた相手が、追い詰められる姿を見るために、裁判が行われる神殿に向かった。
一郎と次郎も、護衛として、一緒についてきた。
ふと見ると、最前列には、ダン王子とヴォイも陣取っていた。
私が目を白黒させていると、ダン王子から衝撃的なことを聞かされた。
挑戦者のサポート役として、ダン王子のお爺様であり銀獅子様と呼ばれるアレン様が、出ると聞いたのだ。
思わず”えー”と声を上げれば、ダン王子に引き寄せられ、彼に手で口を塞がれた。
私の隣になったヴォイに、”そこは普通、手じゃなく、唇で塞ぐんでしょ”と妙な突っ込みを入れられた。
”そうか”とダン王子が返したのを見て、私は、よろけるふりをして、彼の足を思いっきり、踏みつけてやった。
グエッ。
カエルが潰れるような声が、隣で上がった。
そんなふうにしているうちに、神官が現れ、裁判が始まった。
祭壇を見ていると、まず、挑まれた側として、ミエ王太子妃と彼女のサポート役として、彼女の夫であるコウ王太子が現れた。
次に、流れるような銀色の髪を後ろで括った銀獅子こと、アレン様が、白い甲冑を纏った、銀髪の美麗な熟女を伴なって、現れた。
えっ、シルビア、おばあ様?
私は、現れた人物をポカーンと見つめた。
復讐ばかり考えすぎて、頭がおかしくなった?
でも、あれは、どう見ても・・・。
そ・・・そんな・・・うそ!
私の目に涙が浮かんできた。
おばあ様。
でも、どうして、ここに、おばあ様が・・・。
そこで、私はハッとした。
そこにいるって言うことは、この裁判に挑むのが、おばあ様ってことになる。
うそ、イヤよ。
やっと会えたのに、おばあ様が、裁判の展開によっては、亡くなってしまうかも、知れない。
私は、席を立って、祭壇に行こうとして、ダン王子に手を捕まえられた。
「おい、どこに行こうとしている。もう、裁判は始まっているんだ。今更行こうとしても、中には入れん。何を考えているんだ。」
そうだ。
一旦、始まってしまうと、誓約書に血判を押していないものは、結界が邪魔して、祭壇に近づけない。
なら、誓約書に血判を押せばいい。
そう思って、席を立ったら、今度はヴォイに、逆側から手を掴まれ、椅子に引き戻された。
「大丈夫よ。銀獅子様が、サポートしてるんだから。」
いや、ここは戦場ではない。
いくら英雄と言えども・・・。
「大丈夫だ。おれの爺さんの別名は、”腹黒大魔王”だから安心しろ。」
はぁー、なんだそりゃ。
でも、それを聞いて、どこを安心するんじゃい。
思わず、突っ込みそうになっているうちに、ふと意識を祭壇に向けると、おばあ様陣営から、証拠の血判書が、祭壇に積み上げられた。
どうやら、あれはこの国の貴族が、”中の国”と交わした戦争後に行うはずだった、マイルド国の分割統治について書かれた書類のようだ。
王太子の顔が真っ青になっていた。
どうやら、身に覚えがあるようだ。
「なんで、それがここにあるんだ!」
彼は、我を忘れて、叫んでいる。
「はぁー、さすがマイルド国の王太子だわね。これ、公開裁判なのに、あんなに感情を顕わにして、いいのかしら。」
横から、ヴォイの呆れたような呟きが、聞こえてきた。
確かに。
私も、心の中で、同意した。
銀獅子様が、その書類をミエ王太子妃に見せ、これに見覚えがあるかどうかを聞いていた。
彼女は首を横に振った。
王太子の血判書は、一部が黒ずんでいるが、彼女の書いた血判書は、何も変わっていなかった。
どうやら、彼女は、この件には、関わって、いなかったようだ。
残念。
次には、この数十年間で粛清された人間についての、証拠書類が積み上げられていくが、どれも王太子の血判書が黒くなるだけで、王太子妃の血判書は、まっさらなままだった。
時間は、瞬く間に過ぎていき、真偽裁判自体が終わりに近づいていた。
神官が、目の前に置かれている砂時計に、目線を送っている。
王太子妃を糾弾出来なかったのは、悔しいが、今はおばあ様の命が、無事なことだけでいい。
私がそう思って、祭壇を見ていると、そこに書類を抱えた一花が駈け込んで来た。
一花!
思わず声を上げそうになって、自分の口を手で塞いだ。
なんで、そこに一花がいるの?
一花はこちらを無視して、荒い息を吐きながら、最後の書類を祭壇に置いた。
神官がその書類を確認し、おばあ様が、それを王太子妃に見せた。
「これは!」
彼女の目が大きく見開かれる。
「その女性を知っていますか?」
おばあ様が、王太子妃に質問した。
彼女は、素直に頷いた。
次に、おばあ様は、その女性が、なぜ婚約を破棄されたのか知っているかと質問した。
彼女は、頷いた。
彼女の血判書は変わらない。
さすがに、これで彼女がどうかなるわけはないか。
私はあきらめの境地で、話を聞いていた。
次に、その女性の両親が、処刑された書類を手に取ったおばあ様は、震える声で、なんで処刑されたのかを、知っているかと問いかけられた。
「ええ、もちろんだわ。その書類に記されているわ。彼女の両親は、王家に対して、反逆したと。」
真実は違っていても、書類には、そう書かれているので、やはり、彼女の血判書は、なんの変化もなかった。
おばあ様は、それでも凛と背筋を伸ばすと、黄色く黄ばんだ最後の書類を、銀獅子様から受け取って、彼女に渡した。
「これは?」
彼女が可愛らしく首を横に傾げた。
「両親が反逆罪で処刑されたとしても、まだ未成年の子供は、この国では、処刑されないし、処罰もされない。普通はただ国外に追放されるだけなの。それなのに、その子は、奴隷売買され、その後、処刑された。その証拠書類よ。あなたは、それを知っていたわね。」
「し・・・知らないわ。」
初めて、王太子妃の血判書が黒くなった。
神官が手を上げた。
これが最後の質問になるようだ。
おばあ様が、最後の質問をした。
「あなたは、”魅了の瞳”を持っていますか?」
彼女は首を横に振った。
彼女の”血判書”がさらに黒くなった。
「それを使ったことは、ありますか?」
彼女は、もう一度、首を横に振った。
途端に、彼女の血判書が、真っ黒に塗りつぶされた。
神官が手を降ろし、そこで真偽裁判が終了した。
途端に、祭壇の前に立っていた二人が、その場に頽れた。
どうやら、肩が動いているので、まだ息はあるようだ。
二人は、ストロング国の兵士に両脇を抱えられ、その場を去って行った。
おばあ様は、神官に何かの書類を渡すと、祭壇を背にして、その場から歩き去った。
私の方を振り向くことはなかった。
そりゃ、そうか。
何十年も会っていないし、こんな髪になってしまった自分のことがわかるわけがない。
でも、おばあ様は、無事だった。
今は、それが一番嬉しい。
最後に残った、たった一人の血のつながりのある人が生きていた。
私が、それを噛みしめて、黙り込んでいると、何でかダン王子に肩を抱かれた。
「なんで、肩なんか抱いてるの?」
「そりゃ、そんなに泣いてりゃ。」
そう言われて、始めて自分が泣いていたのを自覚した。
「取り敢えず、帰ろう。」
ダン王子に肩を抱かれて促され、私たちは、その場を後にした。
翌々日、神殿から、マイルド国の王家廃絶が発表され、真偽裁判で黒判定された二人は、そのまま牢に幽閉になった。
それから間もなくして、彼らは、暗い牢で息を引き取った。
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