幽霊の霊子さん

ココ

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【第五話】霊子への不信感

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一平

「霊子さん、おはよう」





霊子がコクリと頭を下げて、ハンカチをヒラヒラさせて返事を返した。



一平には霊子の姿も声も聞こえないけど、上手くコミュニケーションを取っているみたいだ。





エリカ

「皆さん~放課後は文化祭で披露するダンスの練習があるから全員参加するように」



アヤ・メグミ

「やったー」「ダンス楽しみ~」





(はー憂鬱だな。ダンスなんて苦手だし、上手く出来るかな?)





林先生

「皆、おはよう」



生徒達

「おはようございます」



林先生

「今日からダンスの練習があるみたいだけど、皆あまり無理しないように」



生徒達

「はーい」







~放課後~



エリカ

「今からダンスの練習するから皆、体育館に集まってー」



ミイコ

「霊子、ダンスの練習一緒に行かない?」



霊子

「・・・私、行かない」



ミイコ

「えっ?行かないとエリカ達に怒られるよ?」



霊子

「・・・」



霊子は険しい顔をして黙り込んでしまった。



(霊子もダンス苦手なのかな?)





ぞろぞろと皆が教室から出て行き、体育館へ向かって行った。



霊子は自分の席に座ったまま動く様子はない。



(霊子、本当にダンスの練習行かないつもりなのかな?)



私は一人で体育館へ向かった。





体育館に着くと、エリカとアヤとメグミはストレッチをして張り切っている様子だ。

他の女子生徒達もそれにつられてストレッチをし始めた。



男子達は嫌々参加している様子の人もいれば、ひょうきん者の健太は走り回ってはしゃいでいる。

隼人達悪ガキ連中は参加していないみたい。



エリカ

「今からダンスの練習を始めまーす。」





エリカとアヤとメグミの三人が皆の前に立ち、その動きを見て真似して踊るように指示された。

時折エリカ達のチェックが入り、徹底的に指導されている人もいた。

私はというと、やはり全然動きについていけずに、しばらく見学をするように言われた。



ダンスを始めて2時間経ち、ようやくエリカとアヤとメグミの三人が動きを止めた。





エリカ

「そろそろ日も暮れそうだし、今日の所はこれで終わりー、また明日もあるから全員参加してよね」





男子達

「はぁーやっと終わった」「キツかった」「疲れたー」





エリカ

「ミイコ、今日全然ダンス出来てなかったから明日までにちゃんと覚えてきてよね」



ミイコ

「うん、分かった・・・」



(はぁー疲れた。やっぱりダンスは苦手だ。明日は皆と踊れるように頑張ろう)



帰る準備をするため皆それぞれ教室へと向かっていった。

私も教室へ戻って帰る準備をしていると、





エリカ

「キャー」





エリカが教室中に響くぐらい大きな声で叫んだ。



アヤ

「エリカどうしたの?」



メグミ

「大丈夫?」





アヤとメグミはエリカのもとへ駆けつけ、私も他の生徒達もエリカのいる方向へ一斉に振り向いた。





エリカ

「誰がこんな事を・・・」





なんと、エリカのカバンの中身がぐちゃぐちゃに荒らされていた。





エリカ

「ちょっと!誰よ、私のカバンの中身を荒らしたのは!絶対に許さないから!」



健太

「俺たち今、体育館から帰ってきたばっかりだぞ。自分が間違えてやったんじゃないのか?」



エリカ

「はぁ?何で私がそんな事するわけ?」 



アヤ

「そうよ、男子達が先に教室に戻ったでしょ?」



男子達

「そんな事するかよ」「疑ってるのか?」





エリカ

「誰も名乗り出ないならパパに言いつけるから」





生徒達

「・・・」





エリカのお父さんはこの街の市長をしている。お父さんを怒らせた人はこの街に居づらくなり、引っ越していく人も少なくないという噂だ。





男子達

「おい誰だよ」「早く名乗り出ろよ」



女子達

「私達はやってない」「カバンなんて荒らさないよ」



エリカ

「そういえば霊子はずっと教室にいたよね?あなたがやった?」





霊子は首を大きく横に振っている。





ミイコ

「霊子はやってないって」





結局誰がエリカのカバンを荒らしたのかは分からないままになった。

皆は帰宅するため教室をぞろぞろと出て行った。

そして、エリカも不満そうな顔をして帰って言った。





ミイコ

「霊子、じゃあまた明日ね」



霊子

「また明日」





教室を出ると、先に教室を出て行った生徒達がコソコソと喋っている。





生徒達

「霊子じゃないか?」「ずっと教室いたよな」「霊子しかいない」「霊子怪しいよな」



アヤ

「絶対霊子だよ」



メグミ

「犯人は霊子で決まりだね」



エリカ

「霊子許さないから!」



ミイコ

「ちょっと待ってよ、霊子は違うって言ってたよ」





私は霊子がそんな事をするとはとても思えなかった。

霊子は、隼人達悪ガキ連中にイジメられていた一平を助けた事もある優しい幽霊だ。

イジメのような事をするなんてとても思えない。

エリカに「幽霊がお笑いなんて」とからかわれていた時はちょっとムッとしている事もあったけど、それでも私は犯人は霊子じゃないと信じたかった。



でも、皆はずっと教室にいた霊子が犯人なんじゃないかと疑っている。



今まで、このクラスで霊子も生徒達も何のトラブルもなく楽しい学校生活をおくれていたのに、この事をきっかけにエリカ達や他の生徒達は、霊子の存在が徐々に厄介な幽霊だと思い始めてきている。
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