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24 女子会の情報共有
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~ ニコレット視点 ~
再びの夜中の女子会中にて情報共有ですわ。
何しろ王弟殿下がネオ様の治療を受けに行かれたそうで今は当家に招いております。
ホテルよりは良い部屋が用意できますし。
「ザカロス国のビニエス家に関する噂を入手ましたわ」
「「ニコレット様! ザカロスのビニエス家ならネオ様に関する事ですわね!?」」
興奮してレベッカ嬢とエマ嬢、二人して見事にハモってますわ。
「情報によれば、魔力無しを理由に令嬢から婚約破棄を言い渡されたビニエス家の三男であるジョーベルトが失意の中、狩りに行くと言って魔物もいる森に入ってから戻らず……どうも亡くなったという事でした」
「亡くなった?」
エマ嬢は私にそう問いかけ、首をかしげました。
「ビニエスの実家が森で息子が行方不明になってから亡くなったと言ってるだけで、実は生きてるってことではないかしら?」
「貴族ですから、体裁を考えて家長に追放された可能性もありますわね。狩りに出かけて戻らないというのは、息子を追放したという冷酷なところを隠すための嘘かもしれません」
レベッカ嬢はそう推測したようですが、私もそんなとこだとは思います。
「それで傷心のネオ様がこっそり我が国に渡って、我が侯爵領の港から入って来られた可能性が濃厚ですわ」
「隣国ザカロスの貴族名簿によればネオ様の本名は
ジョーベルト・ディオー・ビニエスで間違いないようですね」
エマ嬢がレベッカ嬢から借りていた隣国の貴族名鑑を手にして読み上げて確認してくれていますわ。
「令嬢から婚約破棄をされて傷心の中、追放までされてるなら素性を隠して平民のフリもなさいますね」
三人とも、うんうんと頷いた。
「別に密入国以外にはネオ様……ジョーベルト様は悪さはしていませんわね」
エマ嬢はそう言って嬉しそうに微笑んだ。
「よく密入国できましたわね」
次にレベッカ嬢が私に問うような視線を投げて来ました。
「直近の港の関門所からの情報によれば隣国から商人が数人入ってきたとあるので、使用人の茶髪君が商人札を持っていたのではないかしら」
「あー、商人なら仕方ないですわ、商売ですもの色んな国に行かれても!」
レベッカ嬢が軽く両手を合わせて手を打った。
「もしかして珍しい調味料を探しておられたし、その線で商売をなさるつもりでしたのなら、別に悪くはないでしょう」
私もそれには同意しました。
「そうですわねーー! 我々のネオ様は何も悪くありませんわ! おほほほっ!」
レベッカ嬢が高笑いをしています。
あのネオ様の手のひらから放たれる白銀のオーラを見るに、悪人ではありえません。
あれは通常の魔力ではなく、神聖力だと思います。
それで魔力無し判定が出てしまい、婚約破棄されたならなんとも気の毒な話ですが、我が国にとっては世にも貴重なマギアストームの治療ができる逸材を手に入れたも同然。
おそらく神聖力をお持ちのネオ様が神殿に取られる前に領地つきで子爵位を即決で与えることに決めた王弟殿下もやり手ですわ。
「ところで、レベッカ嬢、一人で抜けがけしてネオ様に会いに行かれましたわね?」
しばらく滞在させてもらうと言いつつ私の屋敷からいきなりこっそりと出かけていましたわ。
「ちょ、調味料を迅速に届けたかっただけで、抜けがけなんて……」
使用人に任せてもいいのに自ら行っておいてこの娘は……。
「王弟殿下によればレベッカ嬢はご一緒にカレーという手料理までネオ様にふるまっていただいたと……」
エマ嬢も笑顔ではありますがレベッカ嬢に嫉妬を滲ませます。
「届けた調味料で早速作ってくださっただけですの! あ、味を教える為に? あ、カレーと、ロブスターの料理は美味でしたわ!」
誘ってくれたら私も同行しましたのに!
レベッカ嬢はずるいですわ!
これだから赤毛の女は油断なりませんの!
まあ、私も卵サンドとマヨネーズのレシピはいただいたので、料理の件はひとまず許しますけど。
「王弟殿下も同席されていたので、二人きりにはならなかったようですが……」
「おほほ! 今回はユージーンというお付きの青年もいましてよ! 王弟殿下の治療の報酬でネオ様は爵位を授かるそうですから、おめでたいことですわね!」
「ネオ様お付きのユージーンは今度は騎士になる為に試験を受けるそうですわ。私、彼にも一部装備を贈ることにしました、何しろネオ様の護衛騎士になるのですから」
「まあ! 騎士に!?それは初耳ですわ! それでは私からもお祝いを差し上げたいわ!」
騎士になるのは先程入浴後にチラリとお聞きしたばかり。
「使用人が主を守る為に騎士にまでなるだなんて……なんだかとってもロマンを感じますわ」
エマ嬢がうっとりとした顔になっています。
「それはかなりの忠誠心ですわ」
レベッカ嬢が感心しています。
「本当にただの忠誠心だけでしょうか?」
エマ嬢がベッドの上で今度は本の代わりに枕を抱きしめています。
「エマ嬢、どういう意味です?」
「あの、その、実は密かに愛しておられるとか……?」
「「…………っ!?」」
「ほほほ、まさか、そんな……ええ?」
レベッカ嬢の笑顔がひきつっています。
「ただ、仲がいいだけでは?」
私は恋慕のようなものがユージーンの瞳にあったか、必死で思い出そうとしてますが、ネオ様の方ばかり見ていたので、よくわかりません。
顔がいいのは知っていますがネオ様の方が好みですので。
「私はどちらでも構いませんわ、ロマンスが好きなだけですから」
エマ嬢にはそのような趣味があったのですね。
構いませんけど。
そう言えば例の魔道具で見れる魔導サロンという掲示板にもそのようなルー厶がありましたわね。
確か秘密のバラ庭園とかいう。
「明日は私、ネオ様とユージーンが海で泳ぐそうですから、見守りに参ります」
私はレベッカ嬢にも正直に教えてあげます。
「まあ! 海遊びですの!? それは私も見守りに行かなくては!」
レベッカ嬢が参加表明しました。
「そうですね! 水場ですし、事故があってはいけませんから!」
エマ嬢もくることが確定しました。
やはり二人もついてくる予定のようです。
王弟殿下はどうなさるかしら?
すぐ王都か辺境伯領に戻られるかしら?
再びの夜中の女子会中にて情報共有ですわ。
何しろ王弟殿下がネオ様の治療を受けに行かれたそうで今は当家に招いております。
ホテルよりは良い部屋が用意できますし。
「ザカロス国のビニエス家に関する噂を入手ましたわ」
「「ニコレット様! ザカロスのビニエス家ならネオ様に関する事ですわね!?」」
興奮してレベッカ嬢とエマ嬢、二人して見事にハモってますわ。
「情報によれば、魔力無しを理由に令嬢から婚約破棄を言い渡されたビニエス家の三男であるジョーベルトが失意の中、狩りに行くと言って魔物もいる森に入ってから戻らず……どうも亡くなったという事でした」
「亡くなった?」
エマ嬢は私にそう問いかけ、首をかしげました。
「ビニエスの実家が森で息子が行方不明になってから亡くなったと言ってるだけで、実は生きてるってことではないかしら?」
「貴族ですから、体裁を考えて家長に追放された可能性もありますわね。狩りに出かけて戻らないというのは、息子を追放したという冷酷なところを隠すための嘘かもしれません」
レベッカ嬢はそう推測したようですが、私もそんなとこだとは思います。
「それで傷心のネオ様がこっそり我が国に渡って、我が侯爵領の港から入って来られた可能性が濃厚ですわ」
「隣国ザカロスの貴族名簿によればネオ様の本名は
ジョーベルト・ディオー・ビニエスで間違いないようですね」
エマ嬢がレベッカ嬢から借りていた隣国の貴族名鑑を手にして読み上げて確認してくれていますわ。
「令嬢から婚約破棄をされて傷心の中、追放までされてるなら素性を隠して平民のフリもなさいますね」
三人とも、うんうんと頷いた。
「別に密入国以外にはネオ様……ジョーベルト様は悪さはしていませんわね」
エマ嬢はそう言って嬉しそうに微笑んだ。
「よく密入国できましたわね」
次にレベッカ嬢が私に問うような視線を投げて来ました。
「直近の港の関門所からの情報によれば隣国から商人が数人入ってきたとあるので、使用人の茶髪君が商人札を持っていたのではないかしら」
「あー、商人なら仕方ないですわ、商売ですもの色んな国に行かれても!」
レベッカ嬢が軽く両手を合わせて手を打った。
「もしかして珍しい調味料を探しておられたし、その線で商売をなさるつもりでしたのなら、別に悪くはないでしょう」
私もそれには同意しました。
「そうですわねーー! 我々のネオ様は何も悪くありませんわ! おほほほっ!」
レベッカ嬢が高笑いをしています。
あのネオ様の手のひらから放たれる白銀のオーラを見るに、悪人ではありえません。
あれは通常の魔力ではなく、神聖力だと思います。
それで魔力無し判定が出てしまい、婚約破棄されたならなんとも気の毒な話ですが、我が国にとっては世にも貴重なマギアストームの治療ができる逸材を手に入れたも同然。
おそらく神聖力をお持ちのネオ様が神殿に取られる前に領地つきで子爵位を即決で与えることに決めた王弟殿下もやり手ですわ。
「ところで、レベッカ嬢、一人で抜けがけしてネオ様に会いに行かれましたわね?」
しばらく滞在させてもらうと言いつつ私の屋敷からいきなりこっそりと出かけていましたわ。
「ちょ、調味料を迅速に届けたかっただけで、抜けがけなんて……」
使用人に任せてもいいのに自ら行っておいてこの娘は……。
「王弟殿下によればレベッカ嬢はご一緒にカレーという手料理までネオ様にふるまっていただいたと……」
エマ嬢も笑顔ではありますがレベッカ嬢に嫉妬を滲ませます。
「届けた調味料で早速作ってくださっただけですの! あ、味を教える為に? あ、カレーと、ロブスターの料理は美味でしたわ!」
誘ってくれたら私も同行しましたのに!
レベッカ嬢はずるいですわ!
これだから赤毛の女は油断なりませんの!
まあ、私も卵サンドとマヨネーズのレシピはいただいたので、料理の件はひとまず許しますけど。
「王弟殿下も同席されていたので、二人きりにはならなかったようですが……」
「おほほ! 今回はユージーンというお付きの青年もいましてよ! 王弟殿下の治療の報酬でネオ様は爵位を授かるそうですから、おめでたいことですわね!」
「ネオ様お付きのユージーンは今度は騎士になる為に試験を受けるそうですわ。私、彼にも一部装備を贈ることにしました、何しろネオ様の護衛騎士になるのですから」
「まあ! 騎士に!?それは初耳ですわ! それでは私からもお祝いを差し上げたいわ!」
騎士になるのは先程入浴後にチラリとお聞きしたばかり。
「使用人が主を守る為に騎士にまでなるだなんて……なんだかとってもロマンを感じますわ」
エマ嬢がうっとりとした顔になっています。
「それはかなりの忠誠心ですわ」
レベッカ嬢が感心しています。
「本当にただの忠誠心だけでしょうか?」
エマ嬢がベッドの上で今度は本の代わりに枕を抱きしめています。
「エマ嬢、どういう意味です?」
「あの、その、実は密かに愛しておられるとか……?」
「「…………っ!?」」
「ほほほ、まさか、そんな……ええ?」
レベッカ嬢の笑顔がひきつっています。
「ただ、仲がいいだけでは?」
私は恋慕のようなものがユージーンの瞳にあったか、必死で思い出そうとしてますが、ネオ様の方ばかり見ていたので、よくわかりません。
顔がいいのは知っていますがネオ様の方が好みですので。
「私はどちらでも構いませんわ、ロマンスが好きなだけですから」
エマ嬢にはそのような趣味があったのですね。
構いませんけど。
そう言えば例の魔道具で見れる魔導サロンという掲示板にもそのようなルー厶がありましたわね。
確か秘密のバラ庭園とかいう。
「明日は私、ネオ様とユージーンが海で泳ぐそうですから、見守りに参ります」
私はレベッカ嬢にも正直に教えてあげます。
「まあ! 海遊びですの!? それは私も見守りに行かなくては!」
レベッカ嬢が参加表明しました。
「そうですね! 水場ですし、事故があってはいけませんから!」
エマ嬢もくることが確定しました。
やはり二人もついてくる予定のようです。
王弟殿下はどうなさるかしら?
すぐ王都か辺境伯領に戻られるかしら?
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