10 / 108
商品作りとお洗濯。
ステータス画面を見てみたら、微妙に数値が増加している。
ーーーーーーーーーーーーー
奏 商人 レベル2
交渉 3
目利き 2
魅力 65
☆
ーーーーーーーーーーーーー
紗耶香 商人 レベル1 女優レベル1
目利き 2
魅力 80
交渉 2
☆
ーーーーーーーーーーーーー
浩太 商人 レベル2
交渉 5
目利き 2
魅力 57
☆
ーーーーーーーーーーーーー
地味に数値がアップしたのを確認して、コウタとは部屋を分かれ、紗耶香ちゃんと女子部屋に戻った。
更なるレベルアップを目指して、私と紗耶香ちゃんは寝る前にひと仕事。
売り物を作る。
貝殻の口紅はちょっとしか作らないから、女子二人で引き受ける事にした。
そのかわり、コウタには明日の夕食の賄い用のハンバーグの下拵えを頼んだ。
私達が朝に洗濯してる間にやるって言ってた。
貝殻を丁寧に洗った後に煮沸消毒した貝をテーブルの上に並べた。
お買い物スキルで買った口紅をカッターで切った後、スプーンで貝殻に取り分ける。
お試しで売り物用に5個。
貝殻は予備がもっとあるけど、口紅は様子見で一本しか買って無いから。
「そう言えば、紗耶香ちゃん、この世界の口紅の相場が分からないね?」
「あー、食堂で見た客はほぼ化粧っ気無いけど、劇団の女性は流石に化粧してたから聞けば良かったね」
「博打で銀貨1枚くらいでどうかな」
「そだね、万が一安いって言われたら初回サービス価格とか言っておこう」
「食堂の女の人が化粧して無いって事は、お化粧品は高級な部類だとは思うのよね、でも、お祭りとかお見合いとか、デートの時は庶民も頑張って買って使う可能性はあると思うのよ」
「わかる気がする。あ、作業終わった」
5個の貝殻口紅の売り物が出来上がり。
スプーンの口紅をティッシュで拭った後に、いずれこのポケットティッシュも無くなると思うと、色々不安になってくる。
これは日本から修学旅行用に持って来た物だ。ポケットと鞄に元から入れていた。
「いくらなんでも口紅だけじゃ売り物少ないけど、商人ギルドで資格取得が上手くいけばハンバーガーでも売ってみる?」
「ハンバーガーはとても美味しいけど、下で台所借りる手間と時間考えると、道具が有れば現地で作れそうな焼き鳥屋とか豚汁屋とか良くない?
汁物は器がいるし、焼き鳥屋も何か袋的なのがいると思うけど」
「うーん、個人的には肉好きなんで焼き鳥屋が良いような。でも髪に匂いが付きそうだね」
「匂いは諦めてお風呂に……」
「でもお風呂と言えば、やっぱどっかで家借りたいね。毎回風呂屋まで行くの大変だし。
あ、焼き鳥屋をする事になったらコータ君にスキルでバーベキューセットでも買って貰うの?」
「昔、お父さんが日曜大工で鉄板を溶接してバーベキュー用の箱を作ってたわ。
きっとコウタのショップリストにあると思う。
後は網と炭が有れば出来るのよね。
鉄の箱はこっちの世界で鍛冶屋に依頼して作って貰うか、道具屋に安く売ってればそっちでもいいけど」
あ、お父さんや家族の事を思い出すと、ちょっと泣きそう。
紗耶香ちゃんは平気なんだろうか?
私は、弱いな。 上を、向こう……。
泣かないように……。
「あ、網は金物屋に売ってると思うけど、炭……炭はこの地で仕入れないと金物でも、食品でもないよね。とりま、コータ君とも他の売り物何にするか相談しなきゃだね」
「うん。でも朝から洗濯の仕事があるから、今夜はもう寝よう」
「りょ。おやすみカナデっち」
「うん、おやすみ、紗耶香ちゃん」
私達は片付けをして、ベッドに入った。
安物のベッドは寝返りで動くたびにギシリと軋む音がした。
……名前を呼んでくれる知り合いがいて良かった。
異世界で一人ぼっちじゃなくて良かった……。
──私はその夜、頭から粗末な毛布をかぶって、こっそりと……少し泣いた。
*
朝になって、宿の裏庭で紗耶香ちゃんと洗濯開始。
私達はカッターナイフで買ったばかりの高級美肌石鹸を削って洗濯をしている。
桶の中にはぬるま湯を入れてある。
コウタは厨房でハンバーグのネタの仕込み作業をしてくれてる。
「今生で洗濯板使うとか、大正や明治の人になったみたいじゃね?」
私達は洗濯板でパンツをゴシゴシと手洗いで洗っているのだ。
雑談などをしながら。
「フィリピンの田舎とか洗濯機買っていても電気代がもったいないのか、停電が怖いせいか知らんけど、何故か平成の時代でも洗濯板使っていたよ。動画で見た」
「文明の利器があっても使わないとは……。
あ、パンツは擦るけど、シャツとか大きいのはどうする?」
「洗濯で踏んでるのを見た事あるよ、漫画で」
「踏むか──。
てか、冬になったら水の中で踏むのは辛くない?」
今は秋だからまだマシなんだけど。
「寒い時期は洗濯自体が辛いとは思う。
私が錬金術師なら魔道具で洗濯機作るんだけどね、商人ではね……」
そんな夢を語りつつ、私達は靴を脱いで裸足になり、制服のシャツを踏み洗いする。
「お金貯めて制作を依頼するか、後でジョブ増えるかもよ。私に女優って表示出てたし」
「そういや女優さんだったね」
「あはは! ただの代打だったのにウケるよね」
「紗耶香ちゃんにその適性があるって事じゃない?」
「え~~、マジで~~? あ、ハンバーグって夕食でしょ?
朝ご飯どうする? 食堂?」
「昨日食べずに残してたタイムセールのウインナーロールパンよ」
「あ! そうだった! 忘れてた! 後でそれ食べるんだ!」
「ジュースもまだ残ってるから、これ干し終わったら、後で一緒に朝食を食べよう!」
「うん!」
「朝食で思い出したけど、コーンスープが安ければ、何かに詰め替えてお湯注ぐだけで美味しいコーンスープ上がりでーす!って、売るんだけど、簡単だけどそこまで安くないよね」
私は何となく思いつきを口にした。
「騎士や冒険者が買ってくれたりしないかな?
出先でも美味しい物が食えるよって売り込めばよくない?」
「騎士はともかく、冒険者って裕福?」
「うーん、ピンキリだとは思うケド」
「だよね~~」
フリーズドライ製品とか、携行食にもってこいよね~~。
仕入れ値さえ安ければな~~。
ーーーーーーーーーーーーー
奏 商人 レベル2
交渉 3
目利き 2
魅力 65
☆
ーーーーーーーーーーーーー
紗耶香 商人 レベル1 女優レベル1
目利き 2
魅力 80
交渉 2
☆
ーーーーーーーーーーーーー
浩太 商人 レベル2
交渉 5
目利き 2
魅力 57
☆
ーーーーーーーーーーーーー
地味に数値がアップしたのを確認して、コウタとは部屋を分かれ、紗耶香ちゃんと女子部屋に戻った。
更なるレベルアップを目指して、私と紗耶香ちゃんは寝る前にひと仕事。
売り物を作る。
貝殻の口紅はちょっとしか作らないから、女子二人で引き受ける事にした。
そのかわり、コウタには明日の夕食の賄い用のハンバーグの下拵えを頼んだ。
私達が朝に洗濯してる間にやるって言ってた。
貝殻を丁寧に洗った後に煮沸消毒した貝をテーブルの上に並べた。
お買い物スキルで買った口紅をカッターで切った後、スプーンで貝殻に取り分ける。
お試しで売り物用に5個。
貝殻は予備がもっとあるけど、口紅は様子見で一本しか買って無いから。
「そう言えば、紗耶香ちゃん、この世界の口紅の相場が分からないね?」
「あー、食堂で見た客はほぼ化粧っ気無いけど、劇団の女性は流石に化粧してたから聞けば良かったね」
「博打で銀貨1枚くらいでどうかな」
「そだね、万が一安いって言われたら初回サービス価格とか言っておこう」
「食堂の女の人が化粧して無いって事は、お化粧品は高級な部類だとは思うのよね、でも、お祭りとかお見合いとか、デートの時は庶民も頑張って買って使う可能性はあると思うのよ」
「わかる気がする。あ、作業終わった」
5個の貝殻口紅の売り物が出来上がり。
スプーンの口紅をティッシュで拭った後に、いずれこのポケットティッシュも無くなると思うと、色々不安になってくる。
これは日本から修学旅行用に持って来た物だ。ポケットと鞄に元から入れていた。
「いくらなんでも口紅だけじゃ売り物少ないけど、商人ギルドで資格取得が上手くいけばハンバーガーでも売ってみる?」
「ハンバーガーはとても美味しいけど、下で台所借りる手間と時間考えると、道具が有れば現地で作れそうな焼き鳥屋とか豚汁屋とか良くない?
汁物は器がいるし、焼き鳥屋も何か袋的なのがいると思うけど」
「うーん、個人的には肉好きなんで焼き鳥屋が良いような。でも髪に匂いが付きそうだね」
「匂いは諦めてお風呂に……」
「でもお風呂と言えば、やっぱどっかで家借りたいね。毎回風呂屋まで行くの大変だし。
あ、焼き鳥屋をする事になったらコータ君にスキルでバーベキューセットでも買って貰うの?」
「昔、お父さんが日曜大工で鉄板を溶接してバーベキュー用の箱を作ってたわ。
きっとコウタのショップリストにあると思う。
後は網と炭が有れば出来るのよね。
鉄の箱はこっちの世界で鍛冶屋に依頼して作って貰うか、道具屋に安く売ってればそっちでもいいけど」
あ、お父さんや家族の事を思い出すと、ちょっと泣きそう。
紗耶香ちゃんは平気なんだろうか?
私は、弱いな。 上を、向こう……。
泣かないように……。
「あ、網は金物屋に売ってると思うけど、炭……炭はこの地で仕入れないと金物でも、食品でもないよね。とりま、コータ君とも他の売り物何にするか相談しなきゃだね」
「うん。でも朝から洗濯の仕事があるから、今夜はもう寝よう」
「りょ。おやすみカナデっち」
「うん、おやすみ、紗耶香ちゃん」
私達は片付けをして、ベッドに入った。
安物のベッドは寝返りで動くたびにギシリと軋む音がした。
……名前を呼んでくれる知り合いがいて良かった。
異世界で一人ぼっちじゃなくて良かった……。
──私はその夜、頭から粗末な毛布をかぶって、こっそりと……少し泣いた。
*
朝になって、宿の裏庭で紗耶香ちゃんと洗濯開始。
私達はカッターナイフで買ったばかりの高級美肌石鹸を削って洗濯をしている。
桶の中にはぬるま湯を入れてある。
コウタは厨房でハンバーグのネタの仕込み作業をしてくれてる。
「今生で洗濯板使うとか、大正や明治の人になったみたいじゃね?」
私達は洗濯板でパンツをゴシゴシと手洗いで洗っているのだ。
雑談などをしながら。
「フィリピンの田舎とか洗濯機買っていても電気代がもったいないのか、停電が怖いせいか知らんけど、何故か平成の時代でも洗濯板使っていたよ。動画で見た」
「文明の利器があっても使わないとは……。
あ、パンツは擦るけど、シャツとか大きいのはどうする?」
「洗濯で踏んでるのを見た事あるよ、漫画で」
「踏むか──。
てか、冬になったら水の中で踏むのは辛くない?」
今は秋だからまだマシなんだけど。
「寒い時期は洗濯自体が辛いとは思う。
私が錬金術師なら魔道具で洗濯機作るんだけどね、商人ではね……」
そんな夢を語りつつ、私達は靴を脱いで裸足になり、制服のシャツを踏み洗いする。
「お金貯めて制作を依頼するか、後でジョブ増えるかもよ。私に女優って表示出てたし」
「そういや女優さんだったね」
「あはは! ただの代打だったのにウケるよね」
「紗耶香ちゃんにその適性があるって事じゃない?」
「え~~、マジで~~? あ、ハンバーグって夕食でしょ?
朝ご飯どうする? 食堂?」
「昨日食べずに残してたタイムセールのウインナーロールパンよ」
「あ! そうだった! 忘れてた! 後でそれ食べるんだ!」
「ジュースもまだ残ってるから、これ干し終わったら、後で一緒に朝食を食べよう!」
「うん!」
「朝食で思い出したけど、コーンスープが安ければ、何かに詰め替えてお湯注ぐだけで美味しいコーンスープ上がりでーす!って、売るんだけど、簡単だけどそこまで安くないよね」
私は何となく思いつきを口にした。
「騎士や冒険者が買ってくれたりしないかな?
出先でも美味しい物が食えるよって売り込めばよくない?」
「騎士はともかく、冒険者って裕福?」
「うーん、ピンキリだとは思うケド」
「だよね~~」
フリーズドライ製品とか、携行食にもってこいよね~~。
仕入れ値さえ安ければな~~。
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!