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団体客とお家。
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「あれ!? あの方は!」
団体客に紛れていても目立つ長身の、推しそっくりのあのお姿は!
冒険者のラウルさん!
「あれ、アンタ、この間の」
「い、いらっしゃいませ!」
自分の少し声が上擦ったのが分かる。
「えーと、そのパンに挟んだ食べ物を一個くれ」
「ハイ! ハンバーガーワン!」
私はいそいそとパンに瑞々しいレタスを挟み、マヨネーズをトッピングし、焼き立てのハンバーグを挟んだ。
「どうぞ!」
私は緊張で若干手が震えていたけど、何とか完成させて手渡した。
推しそっくりな人に自分で用意したもの食べて貰える光栄!
いや、ハンバーグ焼いたのはコウタだけど!
「お、美味いな、これ。ソースの味が絶妙だし、パンも柔らかくて」
「な、昨日は串焼き屋やってて、そっちもすげー美味かったんだよ」
ほ、褒められたぁ~~~~!!
ありがとうございます!!
人が並ぶと、そんなに美味しいの!? って他の人も釣られて並ぶので、行列の出来る有名店みたいになってしまった。
我々は何とか団体客をさばいた。
水を飲んで小休止中。
「二人共、ごめん、串焼き屋が大繁盛の時さ、行列出来てたじゃん」
コウタが急に謝って来た。
「行列の何が悪いの? 閑古鳥鳴くよりいいんじゃない?」
私はそう言って首を傾げた。
「テンパって、アイテムボックスに入れて存在を忘れてたキノコの炊き込みご飯のおにぎりが、今ここにあります!」
「あ! 私達の賄い!」
「ウケる、今頃出て来た。じゃあ今の休憩時間に食べようよ、傷んでないよね?」
「アイテムボックス内は悪くならないらしいって、説明表示がある」
そんな訳で、休憩時間に私達は今更ながらも森でゲットしたきのこ入り炊き込みご飯のおにぎりを美味しくいただいた。
「美味しい! きのこすごい秋っぽくない?」
「うん、美味しいね、きのこのおにぎり」
「ああ、思い出して良かった」
「あ、カナデッチ。 サヤ思ったんだけどぉ」
「何?」
「その髪、結ぶ位置上に変えてのポニテとか、何か可愛いアレンジにしない?
下の方で結んでジミティにする事無いじゃん、ココもう学校じゃないから、校則もないし、シャシャる先輩もいないしさ」
確かにここはもう学校じゃないし、地味にする必要ない。
シャシャリ出て文句言ってくる先輩もいない。
「ご、ごめん、私、ダサかったよね」
こんなんで綺麗で可愛い紗耶香ちゃんの隣を歩いてて。
私の髪型はものすごく地味で、オタクによくある、黒いゴムで後ろ一本に髪を結んでる髪型だった。
「そうじゃなくて、謝る必要なくて、さっきのあの人に可愛く見られようとか思わない?
推しに似てるんでしょ? 可愛くしてアピろう?」
「あ、ああ、なるほど……」
ただの親切だった。
でも照れるな、好きな人の為にオシャレとか……。
だって私の推しは今まで基本的に二次元だったから。
「と、とりあえず、後で高い位置のポニテにすればいいかな?
今は飲食系の食事中で、かつ、仕事中だから髪扱えないけど、終わってから」
「りょ!」
私はハンバーガーが完売してから、テントの後方で髪の結ぶ位置を高くした。
「オケ。そっちのがかわたんだよ」
かわたんはかわいいって意味だ。
紗耶香ちゃんは褒めてくれて、ニコっと笑った。
「今、可愛いくしても、あの人もう帰ってるけど」
「コータ君、次いつカナデっちがあのイケメンに会うか分からないから、これで良いんだって」
「そ、そうか」
「そうだ、カナデっち、このリボンあげる。ポニテに付けるね」
「え? ありがとう。このリボンはどうしたの?」
「前に学校で貰ったお菓子の包装のリボン、制服のポッケに入れっぱだったのを、売る前に取っといたやつ」
「ああ……」
紗耶香ちゃんが黒ゴムでまとめた髪の結び目にリボンで結んでくれた。
「こっちの世界じゃジミティより目立ってナンボでしょ。ほら、きゃわゆ」
「あ、ありがとう」
市場で食材を買って、帰宅の時間。
というか、宿に戻ってるんだけど、早くお家が欲しい。
荷物はアイテムボックスに入るからまだマシとはいえ、徒歩移動はきつい。
「ずっとテクるのしんど」
「テクる?」
「コウタ、紗耶香ちゃんはずっと歩くのが辛いと言ってる」
テクるはテクテク歩くとかから来てるんじゃないかな?
知らんけど。
「あ、じゃあ、あそこの乗り合い馬車に乗ろう」
「おけ」
「OK、乗ろう」
私達は乗り合い馬車に揺られつつ、雑談タイム。
「この世界、不動産屋ってどこにあるんだろうね?」
「もう家が欲しいって事か?」
稼ぎ始めたばかりで贅沢なのは分かるけど。
「だって、ずっと宿生活で毎日部屋代払うより、ボロ屋でも買ってリノベーションした方がいい気がしてくる」
「リノベですごい金かかったらどうする?」
「その時は……見栄えはある程度諦める」
「ボロ屋はセキュリティやばくないか?」
「でも宿も人多いし、夜は酔っ払いがいるし」
「じゃあさ、とりま、宿の客にでも聞いてみようよ、良い物件知らないか。
サヤもお家欲しい。賃貸でもいい」
「まあ、宿の人に聞くのはあれだし、客に聞くしかないか。
家が買えたら利用客が減るってことになるし」
「じゃあ夕食時にぱくつきながら、さりげリサーチしよ」
「うん、じゃあ夕食を食べながら聞こうね」
「ついでに帰りがけの風呂屋でも聞いてみるか」
「あ、それもアリだね!」
「りょ」
*
風呂屋から宿に戻る帰り道で、コウタが風呂屋で朗報を持って来た!
「家は人が住んで無いと荒れるから、安く貸すよって人がいたよ」
「急展開!」
「マ!? 風呂屋で裸の付き合いするとそんなミラクル起きる訳!?」
「息子さんが旅の商人で、長く留守をするんだって。何しろ飛行機も電車も無い世界での荷馬車で移動だし、かなりの時間がかかるらしい」
「わー、これは手土産渡してお礼しなきゃね」
家主のご家族にハムでも渡すべきかな?
「まだ物件見てもないけど、即決でおけ?」
「贅沢は言ってられないし。家の前の畑もいじっていいらしいから良いのではないかと」
「え!? 家庭菜園も可!? かなりラッキーじゃない!?」
「サヤも早く見たい! 宿屋ドロンして早く物件見に行こう!」
「え!? ドロンてバックれ!? 忍者!?」
紗耶香ちゃんの発言にびっくりするコウタ。
「いや、さよならバイバイの意味で普通に精算後、チェックアウトの意味だと思う」
「うん、チェックアウトね、ごめんコータ君」
キャハハと笑う紗耶香ちゃん。
「ああ、焦ったわ~~」
その後、世話になった赤星亭からさよならして、私達はコウタが風呂屋で出会ったおじさん紹介の物件へ行く事になった。
団体客に紛れていても目立つ長身の、推しそっくりのあのお姿は!
冒険者のラウルさん!
「あれ、アンタ、この間の」
「い、いらっしゃいませ!」
自分の少し声が上擦ったのが分かる。
「えーと、そのパンに挟んだ食べ物を一個くれ」
「ハイ! ハンバーガーワン!」
私はいそいそとパンに瑞々しいレタスを挟み、マヨネーズをトッピングし、焼き立てのハンバーグを挟んだ。
「どうぞ!」
私は緊張で若干手が震えていたけど、何とか完成させて手渡した。
推しそっくりな人に自分で用意したもの食べて貰える光栄!
いや、ハンバーグ焼いたのはコウタだけど!
「お、美味いな、これ。ソースの味が絶妙だし、パンも柔らかくて」
「な、昨日は串焼き屋やってて、そっちもすげー美味かったんだよ」
ほ、褒められたぁ~~~~!!
ありがとうございます!!
人が並ぶと、そんなに美味しいの!? って他の人も釣られて並ぶので、行列の出来る有名店みたいになってしまった。
我々は何とか団体客をさばいた。
水を飲んで小休止中。
「二人共、ごめん、串焼き屋が大繁盛の時さ、行列出来てたじゃん」
コウタが急に謝って来た。
「行列の何が悪いの? 閑古鳥鳴くよりいいんじゃない?」
私はそう言って首を傾げた。
「テンパって、アイテムボックスに入れて存在を忘れてたキノコの炊き込みご飯のおにぎりが、今ここにあります!」
「あ! 私達の賄い!」
「ウケる、今頃出て来た。じゃあ今の休憩時間に食べようよ、傷んでないよね?」
「アイテムボックス内は悪くならないらしいって、説明表示がある」
そんな訳で、休憩時間に私達は今更ながらも森でゲットしたきのこ入り炊き込みご飯のおにぎりを美味しくいただいた。
「美味しい! きのこすごい秋っぽくない?」
「うん、美味しいね、きのこのおにぎり」
「ああ、思い出して良かった」
「あ、カナデッチ。 サヤ思ったんだけどぉ」
「何?」
「その髪、結ぶ位置上に変えてのポニテとか、何か可愛いアレンジにしない?
下の方で結んでジミティにする事無いじゃん、ココもう学校じゃないから、校則もないし、シャシャる先輩もいないしさ」
確かにここはもう学校じゃないし、地味にする必要ない。
シャシャリ出て文句言ってくる先輩もいない。
「ご、ごめん、私、ダサかったよね」
こんなんで綺麗で可愛い紗耶香ちゃんの隣を歩いてて。
私の髪型はものすごく地味で、オタクによくある、黒いゴムで後ろ一本に髪を結んでる髪型だった。
「そうじゃなくて、謝る必要なくて、さっきのあの人に可愛く見られようとか思わない?
推しに似てるんでしょ? 可愛くしてアピろう?」
「あ、ああ、なるほど……」
ただの親切だった。
でも照れるな、好きな人の為にオシャレとか……。
だって私の推しは今まで基本的に二次元だったから。
「と、とりあえず、後で高い位置のポニテにすればいいかな?
今は飲食系の食事中で、かつ、仕事中だから髪扱えないけど、終わってから」
「りょ!」
私はハンバーガーが完売してから、テントの後方で髪の結ぶ位置を高くした。
「オケ。そっちのがかわたんだよ」
かわたんはかわいいって意味だ。
紗耶香ちゃんは褒めてくれて、ニコっと笑った。
「今、可愛いくしても、あの人もう帰ってるけど」
「コータ君、次いつカナデっちがあのイケメンに会うか分からないから、これで良いんだって」
「そ、そうか」
「そうだ、カナデっち、このリボンあげる。ポニテに付けるね」
「え? ありがとう。このリボンはどうしたの?」
「前に学校で貰ったお菓子の包装のリボン、制服のポッケに入れっぱだったのを、売る前に取っといたやつ」
「ああ……」
紗耶香ちゃんが黒ゴムでまとめた髪の結び目にリボンで結んでくれた。
「こっちの世界じゃジミティより目立ってナンボでしょ。ほら、きゃわゆ」
「あ、ありがとう」
市場で食材を買って、帰宅の時間。
というか、宿に戻ってるんだけど、早くお家が欲しい。
荷物はアイテムボックスに入るからまだマシとはいえ、徒歩移動はきつい。
「ずっとテクるのしんど」
「テクる?」
「コウタ、紗耶香ちゃんはずっと歩くのが辛いと言ってる」
テクるはテクテク歩くとかから来てるんじゃないかな?
知らんけど。
「あ、じゃあ、あそこの乗り合い馬車に乗ろう」
「おけ」
「OK、乗ろう」
私達は乗り合い馬車に揺られつつ、雑談タイム。
「この世界、不動産屋ってどこにあるんだろうね?」
「もう家が欲しいって事か?」
稼ぎ始めたばかりで贅沢なのは分かるけど。
「だって、ずっと宿生活で毎日部屋代払うより、ボロ屋でも買ってリノベーションした方がいい気がしてくる」
「リノベですごい金かかったらどうする?」
「その時は……見栄えはある程度諦める」
「ボロ屋はセキュリティやばくないか?」
「でも宿も人多いし、夜は酔っ払いがいるし」
「じゃあさ、とりま、宿の客にでも聞いてみようよ、良い物件知らないか。
サヤもお家欲しい。賃貸でもいい」
「まあ、宿の人に聞くのはあれだし、客に聞くしかないか。
家が買えたら利用客が減るってことになるし」
「じゃあ夕食時にぱくつきながら、さりげリサーチしよ」
「うん、じゃあ夕食を食べながら聞こうね」
「ついでに帰りがけの風呂屋でも聞いてみるか」
「あ、それもアリだね!」
「りょ」
*
風呂屋から宿に戻る帰り道で、コウタが風呂屋で朗報を持って来た!
「家は人が住んで無いと荒れるから、安く貸すよって人がいたよ」
「急展開!」
「マ!? 風呂屋で裸の付き合いするとそんなミラクル起きる訳!?」
「息子さんが旅の商人で、長く留守をするんだって。何しろ飛行機も電車も無い世界での荷馬車で移動だし、かなりの時間がかかるらしい」
「わー、これは手土産渡してお礼しなきゃね」
家主のご家族にハムでも渡すべきかな?
「まだ物件見てもないけど、即決でおけ?」
「贅沢は言ってられないし。家の前の畑もいじっていいらしいから良いのではないかと」
「え!? 家庭菜園も可!? かなりラッキーじゃない!?」
「サヤも早く見たい! 宿屋ドロンして早く物件見に行こう!」
「え!? ドロンてバックれ!? 忍者!?」
紗耶香ちゃんの発言にびっくりするコウタ。
「いや、さよならバイバイの意味で普通に精算後、チェックアウトの意味だと思う」
「うん、チェックアウトね、ごめんコータ君」
キャハハと笑う紗耶香ちゃん。
「ああ、焦ったわ~~」
その後、世話になった赤星亭からさよならして、私達はコウタが風呂屋で出会ったおじさん紹介の物件へ行く事になった。
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