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13 伯爵令嬢と俺達
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急遽荷物の用意をして、伯爵領の端っこのラビ族の元へ向かうことになった。
一応大樹に手をつけてまた何か武器になりそうなものを取りに日本の家に行けるか試してはみたが、もう精霊祭も終わってるので無理だった。
また来月あたりに試すしかないのか。
地球の満月の周期だと、月は1か月周期で満ち欠けを繰り返し、正確な満ち欠けの日数は約29.5日となっていたはず。
こっちも似た感じかなぁ?
などと考えつつも、地球へは行けなかったので、一応身を守る為にと、ボウガンをジェラルドが貸してくれた。
良かった、万が一の時にナタでオークと戦うの怖すぎだし、多少は遠距離からやれる。
いや、基本的には後方支援の飯炊き係として行くつもりなんだけど。
俺達は荷馬車で現地へ向かう。
移動中も俺には目新しい異世界の町並みや村、美しい緑の草原と、見どころはある。
それにしても、
「ミレナちゃんも俺達と一緒に行くんだね?」
「私の冒険者パーティが解散したから……」
壁尻狐っ娘が同じ荷馬車に乗っているのだ。
「そういや人の男を寝取って仲間にお仕置きで壁にはめられたんだったか」
エルフが荷馬車から緑の草原を眺めつつそんな事を言った。
「寝取ってない! あっちが、男が勝手に私を口説いてきただけ!」
「そうだったのか、よほど怒らせないとあの状況にはならないと思ったが」
「あの女魔法使いが嫉妬深いだけよ!」
出発前に作って来たカレーパンをランチ代わりにジェラルドに手渡した。
パン粉は持って来てなかったのでジェラルドの家にあった硬いパンを削って貰ったのを作った。
「ありがとう、ショータ」
「こっちこそ色々お世話になってるから」
俺とジェラルドが仲良くカレーパンを食べているのであるが、
ミレナが物欲しそうな目でこちらを見てくる。
ゴクリと生唾も飲んだ音も聞こえた。
カレーライスは食べさせてあげたけど、カレーパンも欲しいのか。
「ひ、ひと口だけ! ひと口だけでいいからちょうだい!!」
そんな先っぽだけでいいから! みたいな要求されると哀れな気がして、仕方ないなと、俺は予備のカレーパンをあげた。
「やったぁ!」
ミレナは葉っぱに包まれたカレーパンを手に、喜んでいる。
「おい、小娘、パーティでもないのに食料を分けて貰ったのだし、そこはありがとうだろ?」
「ミレナよ! ありがとうございますぅ」
ジェラルドの言葉に顔を赤くしつつも礼を言うミレナ。
根は悪い子じゃないんだ、多分。
ただ美味しいものに目がないタイプなんだろう。
しばらく荷馬車を乗り継いで、二日かけて現地近くの村に着いた。
ケツが痛い。
体が戦う前からガッタガタ!
冒険者や騎士の姿まであった。
やはり貴族がいるかも!
情報と食材集めをしてくるからテントで休んでてもいいとジェラルドに言われて、お言葉に甘えて俺はテント内で横になった。
しばらくするとジェラルドが戻ってきて、
「ひつじ飼いからミルクとチーズを、農家から野菜を、商店からベーコンやソーセージを仕入れて来た」
と、お土産を持って来てくれた。
やった! 料理がんばるぜ!
焚き火で作るチーズフォンデュもおつなもんだよな!
俺はテントから出て、日本から持ってきたキャンプギアを取り出し、早速料理を始めた。
鍋底ににんにくを仕込む。
片手間にジェラルドに話しかけてみたが、
「ちなみに仕入れたオークとかの情報の方は?」
「……それは、食後にする」
ジェラルドはなんとなく歯切れの悪い感じだったので、食欲が失せるような内容なのかと察した。
「あ、貴族の方は伯爵家の令嬢が来てるそうだ」
「はあ!? なんで令嬢が?
普通戦場に来るなら令息の方じゃないか?」
「なんと女騎士だからだ」
「なんと! オーク戦に女騎士とかやばすぎだろ」
エロ漫画脳じゃなくても心配するとこじゃん!
「おそらく自信があるんだろう」
「そ、そうか、令嬢騎士は強いのか」
「さてね」
「あ、白ワインとかある?」
「あるぞ」
「白ワインがあるとトロリとしたチーズができるから、少し分けてくれるか?」
「いいぞ」
俺はチーズに白ワインとレモン汁を混ぜ入れた。
とにかく、貴族の令嬢の件は俺等が心配してもしょうがないしな。
危ないから帰りなさいとか、俺が言えた義理じゃない。
──よし、できた!
「ジェラルドが仕入れてくれた、これはいいチーズだ、味が濃い」
「沢山の具材があって、この料理も美味しいな」
しばらくジェラルドとチーズフォンデュを堪能した。
バゲットはジェラルドの魔法の鞄からでてきたやつをいただいた。
チーズをたっぷりつけたソーセージやブロッコリー、アスパラなどを口に入れ、熱いのでハフハフと息を吐きつつ、美味いなと言い合って食べていると、俺の眼の前に人影が落ちた。
背後に人が立っている。
「あら、美しいエルフがいるわね。私と会話する栄誉を与えましょう」
「伯爵令嬢、いい夕刻ですね」
ジェラルドはクールに挨拶をした。
おおお! なんと!
貴族のお嬢様来たー!
この人が噂の女騎士で伯爵令嬢!
俺も挨拶をせねばと、騎士のように片膝をついた。
「麗しき伯爵令嬢にご挨拶申し上げます。今回は後方支援で主に友の食事係として参りました、ショータと申します」
まだオーク戦に向かうリーダー的な人と話もつけてないから俺は自分たちの分しか作ってなかった。
明日の作戦会議の時にジェラルドがリーダーに話してみるって事だったのだ。
令嬢はジェラルドを見て言った。
「まあ、あなた、料理人を雇っているのね」
素人ですが!
「彼は素人ですが、料理の上手い友人です」
「まあ、そうなのね、そこのお前、私に料理をふるまう栄誉を与えます」
「ありがたき幸せ」
ジェラルドの美貌のおかげで貴族に気に入られるチャンス到来!
金貨チャレンジいくぞ!
俺にはまだプリンもある!
一応大樹に手をつけてまた何か武器になりそうなものを取りに日本の家に行けるか試してはみたが、もう精霊祭も終わってるので無理だった。
また来月あたりに試すしかないのか。
地球の満月の周期だと、月は1か月周期で満ち欠けを繰り返し、正確な満ち欠けの日数は約29.5日となっていたはず。
こっちも似た感じかなぁ?
などと考えつつも、地球へは行けなかったので、一応身を守る為にと、ボウガンをジェラルドが貸してくれた。
良かった、万が一の時にナタでオークと戦うの怖すぎだし、多少は遠距離からやれる。
いや、基本的には後方支援の飯炊き係として行くつもりなんだけど。
俺達は荷馬車で現地へ向かう。
移動中も俺には目新しい異世界の町並みや村、美しい緑の草原と、見どころはある。
それにしても、
「ミレナちゃんも俺達と一緒に行くんだね?」
「私の冒険者パーティが解散したから……」
壁尻狐っ娘が同じ荷馬車に乗っているのだ。
「そういや人の男を寝取って仲間にお仕置きで壁にはめられたんだったか」
エルフが荷馬車から緑の草原を眺めつつそんな事を言った。
「寝取ってない! あっちが、男が勝手に私を口説いてきただけ!」
「そうだったのか、よほど怒らせないとあの状況にはならないと思ったが」
「あの女魔法使いが嫉妬深いだけよ!」
出発前に作って来たカレーパンをランチ代わりにジェラルドに手渡した。
パン粉は持って来てなかったのでジェラルドの家にあった硬いパンを削って貰ったのを作った。
「ありがとう、ショータ」
「こっちこそ色々お世話になってるから」
俺とジェラルドが仲良くカレーパンを食べているのであるが、
ミレナが物欲しそうな目でこちらを見てくる。
ゴクリと生唾も飲んだ音も聞こえた。
カレーライスは食べさせてあげたけど、カレーパンも欲しいのか。
「ひ、ひと口だけ! ひと口だけでいいからちょうだい!!」
そんな先っぽだけでいいから! みたいな要求されると哀れな気がして、仕方ないなと、俺は予備のカレーパンをあげた。
「やったぁ!」
ミレナは葉っぱに包まれたカレーパンを手に、喜んでいる。
「おい、小娘、パーティでもないのに食料を分けて貰ったのだし、そこはありがとうだろ?」
「ミレナよ! ありがとうございますぅ」
ジェラルドの言葉に顔を赤くしつつも礼を言うミレナ。
根は悪い子じゃないんだ、多分。
ただ美味しいものに目がないタイプなんだろう。
しばらく荷馬車を乗り継いで、二日かけて現地近くの村に着いた。
ケツが痛い。
体が戦う前からガッタガタ!
冒険者や騎士の姿まであった。
やはり貴族がいるかも!
情報と食材集めをしてくるからテントで休んでてもいいとジェラルドに言われて、お言葉に甘えて俺はテント内で横になった。
しばらくするとジェラルドが戻ってきて、
「ひつじ飼いからミルクとチーズを、農家から野菜を、商店からベーコンやソーセージを仕入れて来た」
と、お土産を持って来てくれた。
やった! 料理がんばるぜ!
焚き火で作るチーズフォンデュもおつなもんだよな!
俺はテントから出て、日本から持ってきたキャンプギアを取り出し、早速料理を始めた。
鍋底ににんにくを仕込む。
片手間にジェラルドに話しかけてみたが、
「ちなみに仕入れたオークとかの情報の方は?」
「……それは、食後にする」
ジェラルドはなんとなく歯切れの悪い感じだったので、食欲が失せるような内容なのかと察した。
「あ、貴族の方は伯爵家の令嬢が来てるそうだ」
「はあ!? なんで令嬢が?
普通戦場に来るなら令息の方じゃないか?」
「なんと女騎士だからだ」
「なんと! オーク戦に女騎士とかやばすぎだろ」
エロ漫画脳じゃなくても心配するとこじゃん!
「おそらく自信があるんだろう」
「そ、そうか、令嬢騎士は強いのか」
「さてね」
「あ、白ワインとかある?」
「あるぞ」
「白ワインがあるとトロリとしたチーズができるから、少し分けてくれるか?」
「いいぞ」
俺はチーズに白ワインとレモン汁を混ぜ入れた。
とにかく、貴族の令嬢の件は俺等が心配してもしょうがないしな。
危ないから帰りなさいとか、俺が言えた義理じゃない。
──よし、できた!
「ジェラルドが仕入れてくれた、これはいいチーズだ、味が濃い」
「沢山の具材があって、この料理も美味しいな」
しばらくジェラルドとチーズフォンデュを堪能した。
バゲットはジェラルドの魔法の鞄からでてきたやつをいただいた。
チーズをたっぷりつけたソーセージやブロッコリー、アスパラなどを口に入れ、熱いのでハフハフと息を吐きつつ、美味いなと言い合って食べていると、俺の眼の前に人影が落ちた。
背後に人が立っている。
「あら、美しいエルフがいるわね。私と会話する栄誉を与えましょう」
「伯爵令嬢、いい夕刻ですね」
ジェラルドはクールに挨拶をした。
おおお! なんと!
貴族のお嬢様来たー!
この人が噂の女騎士で伯爵令嬢!
俺も挨拶をせねばと、騎士のように片膝をついた。
「麗しき伯爵令嬢にご挨拶申し上げます。今回は後方支援で主に友の食事係として参りました、ショータと申します」
まだオーク戦に向かうリーダー的な人と話もつけてないから俺は自分たちの分しか作ってなかった。
明日の作戦会議の時にジェラルドがリーダーに話してみるって事だったのだ。
令嬢はジェラルドを見て言った。
「まあ、あなた、料理人を雇っているのね」
素人ですが!
「彼は素人ですが、料理の上手い友人です」
「まあ、そうなのね、そこのお前、私に料理をふるまう栄誉を与えます」
「ありがたき幸せ」
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