俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

長船凪

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15 異世界での戦い

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「サイクロプスだーっ!」

 周囲は阿鼻叫喚のるつぼ。

 前線の冒険者達の間をどうやってすり抜けたのか、一つ目の怪物が我々後方支援の者の近くまで迫ってきている。
 だいぶデカくて怖い!
 二メートルくらいある!?
 
 俺は混乱の最中にも、戦闘能力がないので、隠れるようにこっそり近くの食料倉庫ような建物の屋根の上に登り、目立たないように伏せた。

 震える手でリュックから取り出したのは日本から持ってきた調味料だった。


 ああ、頼む、こっちに来ないでくれ!
 神様! 
 その願いが叶わないなら今すぐチートな攻撃魔法でも授けてくださいよ!

 俺がここで死んだらこの異世界に来た理由ってなんですか!?
 花街の路地裏ですけべな絵を多少披露した程度で終わって、何か意味がありますか!?

 近くで魔物の咆哮が聞こえ、人間の悲鳴も聞こえた!

 俺は調味料の蓋を開けてから、上から下をこそっと見た。

 すると、目があった!
 ギョロリとした一つ目と!


「うわーっ!!」

 手にした調味料をふりかけた!
 タバスコ!!


「ギャアアアッ!」

 でかい一つ目に激辛攻撃!
 たまらずやつは悲鳴をあげた。
 悶絶しつつも手にした斧を闇雲に振り回す。
 俺は逃げ出した!

 風を斬るような音がしたと思ったら、矢が飛んで来て、サイクロプスの太い喉を貫通し、やつは倒れた。

 そして振り返るとそこにはヒーローがいた!

「ジェラルド!!」

 いつの間にか後方まで下がってきてたのか!

「大丈夫か!? ショータ!」
「そっちこそ!」
「既に乱戦だからお前が心配で見に来た!」

「ありがとう! ところで敵は何体くらいいんの!?」
「目視で軽く二十体はいた!」
「討伐隊の人間は七十人以上いたから、大丈夫かな!?」
「オークとサイクロプスは強いから厄介だが、魔法使いと剣士が連携してるから何とかなるとは思う!」

 そういや壁尻狐のミレナちゃんの職業って何だろ?
 大きな武器の類を見なかったが、シーフか武闘家?

 あちこちから炸裂音がする。
 魔法の攻撃だろうか?

 あ! 見知らぬ冒険者がオークに捕まっている!

 男性冒険者の首を締め上げていたオークの後頭部を目掛けて、俺は空になったタバスコの瓶を投げた!
 それがなんとクリーンヒット!
 やばい、オークがこっちに振り向いた!
 ああっ! ついうっかりヘイト稼いた!

 その隙に風のようにすばやく走り込んで来て、オークを切り倒したのはなんと令嬢騎士!

 お、お嬢様! 強かったんですね!
 オークに勝てる女騎士で良かった!


 血飛沫と血煙が立ち、殺伐とした空気が充満する。

 あにこちで死闘が繰り広げられている。

 これが戦場か!
 そんな事を考えつつも、ジェラルドに隠れてろと言われたので一旦別れ、俺はさらに後退し、隠れ場所を探した!
 だって戦闘要員じゃありませんし!

 俺は木々の茂みに隠れた。
 田舎なので木は沢山生えてる!

 無になれ! 気配を殺せ! 
 自然と一体化するんだ!

 いつか何処かで見た少年漫画のキャラのように俺は静止した。

 やがて夜が開け、空が明るくなった。
 そしてトキの声ってやつ?
 つまり歓声が聞こえた、人間達の勝利の声だ!

「お、終わったっぽい?」

 なんとか生き延びた。
 怖かった。

 俺はドキドキハラハラの冒険者より、地味に絵を描いて暮らすとか、全国美味いもの食べ歩きとか、あるいは商人になりたい。

 まあ日本に帰ればいいんだろうが、とりあえず水の都は見たい。
 ジェラルドが案内してくれるって言ってたし。

 あ、ジェラルドはどこだ!?
 もう戦闘は終わったはず!

「ジェラルド!! 何処だ!?」
「あっちの方で見たわよ」  

 ミレナが突然現れ、指を差す方向を見たが、建物があってよく分からない!

「ミレナ! ジェラルドは無事だったか!? 怪我してなかった!?」 
「大丈夫そうだったわよ」

 良かった!

「君も無事なようだな! 良かった!」
「ふん、あなたもね」
「ところで君のジョブって何?」
「……シーフ」
「あ、そうなんだね」 


 なるほど、と思ったとこで、

「この泥棒狐ぇ! よくも私の恋人を誑かしたわね!」
「はあ!? 知らないし! アンタ誰!?」

 知らない女冒険者がミレナを見て叫んでる。
 どうやらまた男女間のいざこざに巻き込まれたか、当事者なんだろう。

 俺はそれには無関係なので飛び火しないようにジェラルドと合流すべく、彼を探すことにした。
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