俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

長船凪

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59 あなたの降らせた星を

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 船着き場に向かう前に買い物をしておくか。
 と、俺は近くの店で食材や貝で出来たネックレスなどのお土産を購入した。


 そして道の途中にスターフルーツに似た果実をつけた木を見つけた。

 果実は変わった形をしているが、カットすると星の形をしているのだ。
 青いほどに酸っぱくて、黄色くなるほど甘いみがある。

 小学生低学年くらいの女の子が果実が欲しくて手を伸ばしていたが、届かないようだ。
 日本から高枝切り鋏でも買って持って来ておけばよかったなと思いつつ、俺は久しぶりだが木登りに挑戦した。

 スターフルーツは木の上に登って枝を揺らすとわりと簡単に落ちてくると思うのだ。
 ベトナムの人がそうやって採っていたのを見たことがある。

「そこのお嬢ちゃん、枝を揺らすからちょっと木の下から離れておいてくれ!」

 木の上から下にいる女の子にそう言うと、素直に後ろに下がってくれた。

 それを見届けてから俺は枝を揺さぶった。
 降ってくるスターフルーツをいつの間にかトートバッグから抜け出たミラが下でいくつか受け止めていた。

 エプロンドレスを着ていたので、エプロンを広げて。

 賢い。

 他にもそこらの子供達が、ワラワラと集まって来たので、俺は多めに枝を揺さぶった。

 俺も果実を数個拾って、ミレナとジェラルドにも分けてあげようと思ったから、ミラのと合わせて10個ほど持ち帰ることにした。

 カットすると星の形で可愛いからな、ミレナとジェラルドで三つずつあげよう。

 後一個は、ドールは食べられないがミラ用。
 しばらく眺めるのかな。
 分かんないけど、食べられなくてもとりあえずほしいのか、ただ俺を手伝ってくれたのか。

 俺はなんとなく海外ドラマのクリスマスのお話で、クリスマスツリーの天辺に飾るお星さまを欲しがる幼い女の子を思い出した。

 女の子はお星さまを買おうと集めていた小銭を店主に渡した。

 でも実は女の子の持っていた小銭では金額として足りなかったけど、優しい男の店主がサービスしてくれた。

 クリスマス関連のほっこりエピソードだ。
 なんとなく俺はミラに訊いてみた。

「このフルーツ、ミラも欲しかったのか?」
「マスターが降らせるお星さまを受け取りたかったんです」

 えええ~、可愛いかよ~!
 でもこれカットしないと星の形には見えないと思うけど、知っているのか。
 このフルーツの名を。

「ミラもこれ、やっぱりスターフルーツだと思うか?」
「はい」
「なるほど」
 
 俺は魔法のカバンにほとんどのスターフルーツを入れた。
 二個だけ自分のパーカーのポケットに入れて、ミラにも一個だけ持たせておいた。

 しばらく船着き場で、木製の箱に腰掛けつつ、
 ぼーっと海を眺めたり撮影したりしていたら、ミレナとジェラルドが小走りでやって来た。

 俺は立ち上がってポケットから取りだした果実を二人に投げたら、どちらもナイスキャッチ!


「二人共、お疲れ様!」
「なに? これスターフルーツじゃないの」
「スターフルーツだな、買ったのか?」
「木に実ってたから久しぶりに木登りして採ってきたよ」

「ふーん、ショータも木登り出来たのね」
「多少は」
「ミラもマスターからお星さま貰いました!」

 持たせていたスターフルーツを二人に見せて自慢げだった。

「良かったな」

 そう言って、ジェラルドは屈んでミラの頭を撫でた。何? 可愛いんだが!

「ショータ、今度は私の前でスターフルーツの木に登りなさいよ」
「なんでだよ」

 ミレナの謎の要望に首を傾げる俺。

「なんでもいいでしょ!」
「あ、さては、本当に俺が木に登れるか疑ってるな?」
「違うわよ!」


「そろそろ船を出しまーす!」


 ふいに船乗りが声をあげたのが聞こえた。


「ふたり共、そろそろ船に乗り込め」
 

 ジェラルドがそう言ってミラを抱えて肩に乗せたので、俺は頷いてラッキーを抱え、帰りの船に向かった。

 ミレナも何かぶつくさ小声で言いつつも、船に乗って皆で家に帰る。
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