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四章 「五光年先の遊園地」
その六
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「じゃあ、僕は、そろそろ……」
立ち上がろうとする僕の腕に、必死の形相で魚々乃女さんが飛びつく。
「なんですか」
「泊っていって下さいまし」
「泊まれ」
「夜から大荒れだそうですし、泊りましょう、カズマ様」
約一名、家主でもないのに命令形だった。
「……いえ、男女比一対三で寝泊まりとか、正直ハードル高いんで」
本音だった。僕はラノベの主人公ではない。強いて言うならその友達ポジションだ。そして主人公にヒロインを奪われる。
「というか、なんでそんな全力で引きとめるんですか。樹里さんたちは普通に帰したのに」
うっ、と言葉につまる一同。しかし即座に食い下がる。
「せ、せめてお風呂だけでも、お風呂でだけでもいかがです?」
「そ、そうですね、お風呂だけでも入った方が、いいと思いますよ?」
「ソーダソーダ、入れ」
魚々乃女さんを含め六人分用意されているはずの夕食ならまだしも、頑(かたく)なに入浴をすすめられた。特に後半の二人は目が泳ぎっぱなしで落ち着きがない。トモカさんに至ってはなぜか鼻息を荒げていた。……怪しい。
「……お風呂に、何かあるんですか?」
「ナニもないよ」
「なんでトモカさんが答えるんですか」
「うっ」
「みっ、見えます! 間違いなく、何もありません」
「なんで古都さんが断言するんですか」
「はうっ」
水晶代わりにふでばこの上で手を回していた。……球体でさえない。そんなもので何が見えるというんだろう。
「コイツ、強い!」
苦しそうな顔で右肩を押さえるトモカさん。古都さんはなぜかファイティングポーズだ。
「う、うちのお風呂は、なんというかその、じっ、自慢ですの! 大きさとか、材質とか……」
「はぁ。……わかりましたよ、別に入らない理由もありませんし」
結局渋々(しぶしぶ)承諾し、僕は魚々乃女さんに促されるまま脱衣所へ向かった。
――――扉を閉める寸前、三人が手を取り合ってなにやらニヤついているのが見えたが、きっと気のせいだろう。と、思うことにした。
*
数分後。脱衣所の固く閉ざされた扉の前に、三人の健全な女子高生たちが結集していた。
「――――のぞきましょう」
「「異議なし!!」」
立ち上がろうとする僕の腕に、必死の形相で魚々乃女さんが飛びつく。
「なんですか」
「泊っていって下さいまし」
「泊まれ」
「夜から大荒れだそうですし、泊りましょう、カズマ様」
約一名、家主でもないのに命令形だった。
「……いえ、男女比一対三で寝泊まりとか、正直ハードル高いんで」
本音だった。僕はラノベの主人公ではない。強いて言うならその友達ポジションだ。そして主人公にヒロインを奪われる。
「というか、なんでそんな全力で引きとめるんですか。樹里さんたちは普通に帰したのに」
うっ、と言葉につまる一同。しかし即座に食い下がる。
「せ、せめてお風呂だけでも、お風呂でだけでもいかがです?」
「そ、そうですね、お風呂だけでも入った方が、いいと思いますよ?」
「ソーダソーダ、入れ」
魚々乃女さんを含め六人分用意されているはずの夕食ならまだしも、頑(かたく)なに入浴をすすめられた。特に後半の二人は目が泳ぎっぱなしで落ち着きがない。トモカさんに至ってはなぜか鼻息を荒げていた。……怪しい。
「……お風呂に、何かあるんですか?」
「ナニもないよ」
「なんでトモカさんが答えるんですか」
「うっ」
「みっ、見えます! 間違いなく、何もありません」
「なんで古都さんが断言するんですか」
「はうっ」
水晶代わりにふでばこの上で手を回していた。……球体でさえない。そんなもので何が見えるというんだろう。
「コイツ、強い!」
苦しそうな顔で右肩を押さえるトモカさん。古都さんはなぜかファイティングポーズだ。
「う、うちのお風呂は、なんというかその、じっ、自慢ですの! 大きさとか、材質とか……」
「はぁ。……わかりましたよ、別に入らない理由もありませんし」
結局渋々(しぶしぶ)承諾し、僕は魚々乃女さんに促されるまま脱衣所へ向かった。
――――扉を閉める寸前、三人が手を取り合ってなにやらニヤついているのが見えたが、きっと気のせいだろう。と、思うことにした。
*
数分後。脱衣所の固く閉ざされた扉の前に、三人の健全な女子高生たちが結集していた。
「――――のぞきましょう」
「「異議なし!!」」
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