パラレヌ・ワールド

羽川明

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五章 「失われた色彩」

その十三

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 さざめきが聞こえた。きぬずれにも、雨音にも似たそれは、怒号のように膨れ上がり、やがて地面を揺さぶり始めた。
「あれは……?」
 青々とした緑色のなだれが、頂上からなだれ込んで来る。目を凝らせばそれは、木の枝やツルが絡み合った植物のなだれだった。
「ナニアレ!?」
「にっ、逃げましょう!」
 慌てる二人を尻目に、僕は驚くほど冷静だった。そうして、逃げきれないと悟った。
 トモカさんのシャボン弾でも、魚々乃女さんの魚人化でも、樹理さんたちのガスやバリアでもダメだ。
 あの奔流の前では、数秒ともたないだろう。莉尾さんのビームももう使ってしまった。

 ――――なら、あれを止められるのは誰だ?
 集結した七人の異星人の中で、あの〝力〟に対抗できるのは、――――僕以外いない。

「カズマ様……」
 呼びかけられたと気づいたとき、僕以外の全員は、みんな逃げ出し始めていた。
 そして、僕だけがここに残り、押し寄せる緑を見据えていたのだ。
「やっぱり、行ってしまわれるんですね?」
 占ったのか、察したのか。古都さんが悲しげに問いかけてくる。全員の視線を肌で感じながら、僕は決然と答えた。
「――――僕は、アイツを止めに行きます」
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