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一章 「世界征服はホドホドに」
その九
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古都さんは、〝紫の冥王星人〟だ。〝冥王の審判〟というのが、恐らくこの人の〝星の力〟の名前なんだろう。
気を取り直すように咳払いをして、古都さんは、制服のブレザーを頭にかぶると、水晶玉を空中からなでるように手を回し始めた。占い師の、つもりなんだろう。決して警察に連行される犯人のそれではない。
「……ナンカ、ニュースでやってる捕まった人みたいだね」
「ちょっと」
「何? カズマ」
「あれは占い師のつもりなんですよ、きっと」
僕の言葉に古都さんが反応した気がしたが、まぁ気のせいだろう。
古都さんはまた大きく咳払いをしてから、何事か呟き始めた。
「ほぉ。見えます、見えますっ!」
「――――ナニも見えないよ?」
「ちょっと。そういうていでやってるんですから」
なぜか古都さんに睨(にら)まれた気がした。きっと気のせいだろう。
「これは、これは!」
いよいよ大詰めなのか、呼吸を荒げて生き生きとしだす古都さん。紫がかっていた瞳の虹彩いっぱいに、冥王星が映り込む。どうやら、本当に〝星の力〟で何かを占えるようだ。
手元の水晶玉が、ほんのりと紫色に輝き始めた。……うっすらと煙が立ち込めている気がするけど、大丈夫だろうか。
「――――見えます!! お二人が、一緒に歩いています。あ、プールに着きました。おぉ!」
「どうしたの?」
「何か、何かっ、魚の背びれのようなものが、水面に!」
「けっこう具体的なんですね。もっと、遠まわしに言うのかと」
それはそうと、古都さんの格好に気づいたクラスのみんなが足早に教室を出ていくけれど。どうしたんだろう?
「言ったじゃないですか、見えるんですよ、私には! ほぉ、なんか、さっきの魚がプールから飛び出して………どっかぁーーんって、ずっばぁーーーんって、なってます!!」
遠回しってそういうことじゃないよ。興奮する二人の隣で、僕は何となく乗れずにいた。
水晶玉の輝きが、心なしか増している気がする。
で、煙がいよいよ無視できなくなってきたけど。大丈夫かなこれ。
「おぉ、おぉお!! み、見えます! これは、これは――――!!」
水晶玉の光が、いっそう強くなる。……あ、大丈夫じゃないわ、これ。
――――次の瞬間水晶玉は、ちゅどぉーーーん!! と、わかりやすく爆発した。
教室中が煙で満たされ、ついに火災報知機が鳴る。
「――――古都ぉーーーーーーーーーーっ!!」
「はぁれぇーーーーーーっ!!」
古都さんは、駆けつけた体育の先生に連行されていった。
気を取り直すように咳払いをして、古都さんは、制服のブレザーを頭にかぶると、水晶玉を空中からなでるように手を回し始めた。占い師の、つもりなんだろう。決して警察に連行される犯人のそれではない。
「……ナンカ、ニュースでやってる捕まった人みたいだね」
「ちょっと」
「何? カズマ」
「あれは占い師のつもりなんですよ、きっと」
僕の言葉に古都さんが反応した気がしたが、まぁ気のせいだろう。
古都さんはまた大きく咳払いをしてから、何事か呟き始めた。
「ほぉ。見えます、見えますっ!」
「――――ナニも見えないよ?」
「ちょっと。そういうていでやってるんですから」
なぜか古都さんに睨(にら)まれた気がした。きっと気のせいだろう。
「これは、これは!」
いよいよ大詰めなのか、呼吸を荒げて生き生きとしだす古都さん。紫がかっていた瞳の虹彩いっぱいに、冥王星が映り込む。どうやら、本当に〝星の力〟で何かを占えるようだ。
手元の水晶玉が、ほんのりと紫色に輝き始めた。……うっすらと煙が立ち込めている気がするけど、大丈夫だろうか。
「――――見えます!! お二人が、一緒に歩いています。あ、プールに着きました。おぉ!」
「どうしたの?」
「何か、何かっ、魚の背びれのようなものが、水面に!」
「けっこう具体的なんですね。もっと、遠まわしに言うのかと」
それはそうと、古都さんの格好に気づいたクラスのみんなが足早に教室を出ていくけれど。どうしたんだろう?
「言ったじゃないですか、見えるんですよ、私には! ほぉ、なんか、さっきの魚がプールから飛び出して………どっかぁーーんって、ずっばぁーーーんって、なってます!!」
遠回しってそういうことじゃないよ。興奮する二人の隣で、僕は何となく乗れずにいた。
水晶玉の輝きが、心なしか増している気がする。
で、煙がいよいよ無視できなくなってきたけど。大丈夫かなこれ。
「おぉ、おぉお!! み、見えます! これは、これは――――!!」
水晶玉の光が、いっそう強くなる。……あ、大丈夫じゃないわ、これ。
――――次の瞬間水晶玉は、ちゅどぉーーーん!! と、わかりやすく爆発した。
教室中が煙で満たされ、ついに火災報知機が鳴る。
「――――古都ぉーーーーーーーーーーっ!!」
「はぁれぇーーーーーーっ!!」
古都さんは、駆けつけた体育の先生に連行されていった。
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