パラレヌ・ワールド

羽川明

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二章 「スクール水着の半魚人」

その六

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「――――ゴキブリが出ても動じないマミが青い顔して駆け込んできたと思ったら。
 ……お前ら、何したんだよ」
「こここ、この人っ、いきなり私の手をかんだんです!!」
 震えながらジュリさんの背にしがみつく女の子の手には、うっすら歯型がついていた。
「トモカが?」
「おなかがすいていて、あまり覚えていない。誰デモヨカッタ」
「トモカさん、ちゃんと謝ってください」
「そうですわっ! 私(わたくし)の恥じらいを返してください」
 それは知らない。
「……後悔している」
「反省してくださいよ」
 人の手にかみついたことが自分でも信じられないのか、トモカさんは相当混乱しているようだ。
「まぁ、別にケガしたわけじゃないし、事を荒立てるつもりはないけどさ……」
「ナイケド?」
「トモカ、――――お前当分出禁(できん)な」
「マジで?」
「マジで」
 ジュリさんは、相応(そうおう)にお怒りだった。
「帰れ」
 しっし、と手で追い払われるトモカさん。自動ドアまで追いやられ、本当に追い出された。
「じゃ、そゆことで。頑張ってくれたまえ、諸君」
 反省しているのかいないのか、トモカさんはおでこで敬礼して帰って行った。
「……なんだったんですか? あの人」
「気にするなマミ。ただの馬鹿だ」
 フォローのしようがなかった。本音を言えば、気まずいので今すぐにでも帰りたいのだが、魚々乃女さんが僕の左腕をがっちりホールドしていた。何とは言わないけど、いろいろ当たってしまっていて、正直まんざらでもなかった。
「ふふっ、お二人は、仲良しさんですね」
 気づいたマミさんが、楽しそうに笑った。
「ギョギョ! し、心外ですわっ!」
 心底嫌そうな顔で飛び退(の)く魚々乃女さん。そしてちょっぴり傷つく僕。
「――――植木鉢、取りに行ってきますね?」
「あぁ、気をつけてな」
「大丈夫ですよ、すぐ戻りますから」
「いや、トモカに、なんだけど……」
 その一言を聞く前に、マミさんはパタパタと飛び出していった。すぐに左に曲がったので、さっき放り投げたやつを取りに行ったんだろう。
「……マミもそんなに気にしてないみたいだし、出禁はやりすぎたか?」
 ばつが悪そうに頬をかくジュリさんに、僕らは即答した。
「妥当かと」
「同意ですわ」
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