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[クリス]
ピナーグレン §3
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「きゃーっ、皆さん、昨日ぶり~」と、リア様が手を振っている。
「のわぁー! すげえ偶然!」
「リアちんだぁ。やっぱ縁があるぅ!」
「きゃわええぇ!」
「会いたかったよ、臨時部員ー!」
かわいいうさぎさんとウルサイ仲間たちは飛び跳ねながら盛り上がっていた。
なんて自然の摂理に反した光景だろう。野に放たれた野獣の前で、フワフワのうさぎさんが楽しげにぴょんぴょんしている。自分で言うのも変だが、俺みたいな男に彼女を近づけてはいけない気がする。
「ちょちょちょ、あのさぁリアちん、羊食べたけぇ?」と、南部弁まる出しのやかましい女子が言った。
「ひつじ? 食べてないです」
リア様がぷるぷると首を振る。
はあ……俺はひつじさんよりも、うさぎさんが食べたい(一度殺されろ、俺)
「すぐそこにさ、羊焼きの店で『ひつじ屋』ってのがあってさぁ?」
「ほむ?」と、彼女が首をかしげている。
「元祖でさ、めっちゃ美味しいらしいんだわ!」
「リアちん、羊さん好きけぇ?」
「うん、好きぃ♪」
「んじゃ、一緒に食べいこーぜぇ!」
「いこーぜ、いこーぜぇぇー!!」
「えーっと……」と、彼女がこちらを振り返った。
俺が後ろから扉を押さえて顔を出すと、連中がまた大騒ぎを始める。
「っぎゃあぁーーッ!!」
「若殿いるしぃーッ!」
「なんで同じ部屋から出てくんのけ!」
「やっぱデキてんのけぇッ?」
彼女たちはこの世界においてほぼ無敵の生き物だ。
もし異世界で暮らす民が強者を必要としているのなら、是非こいつらを召喚して迎えてもらいたい(そして帰さなくていい)魔物に魔獣に大魔王、イエエエ剣とフッフゥー拳でいかなる敵をも倒せるはず。クランツの民は世界平和に役立つことうけあいだ。
「まさか婚約者って若殿だったんけぇーッ?」と、やかましい娘たちは騒いでいる。
「違うっ! 彼女は俺の友人のっ婚約者だ!」
「……りゃ、りゃくだつ的なっ?!」
「それも違ぁーう!」
こんなのを四人もマトモに相手していたのでは身が持たない。こいつらを食事に連れて行くのは構わないが、どうせなら役に立ってもらおうではないか。
俺は四人組に部屋割りを尋ねた。
「二人部屋が一つに、一人部屋が二つだけどぉ?」と返事が返ってきて、俺は思わず手を打った。
「でかしたぁッ! 取り替えろ!」
やかまし娘の一人部屋と、こちらの二人部屋を交換してもらうことに成功。これで今宵の問題は解決だ。
お礼に彼女たちが行きたがっていた『ひつじ屋』へ連れて行くことにした。
もきゅもきゅと肉を咀嚼するリア様を見ていると、親友が彼女を「小リス」と呼ぶのが少しわかる気がする。
小さなお口で一生懸命食べる彼女は、やはりかわいいうさぎさんだ。そのかわいいお口に俺がムラムラしていると知ったら、間違いなく嫌われるだろう。
俺の頭は依然として思春期の男子学生のごとくお祭り騒ぎ。もう食欲に走るしかない重症レベルだ。
名物と言うだけあり、ピナーグレンの羊料理は美味だった。
香辛料が効いていて、しっかりとした味つけがエールやワインに合う。噛みしめるほどに肉汁がジュワリと広がり、シャキシャキとした甘みの強い早生種のタマネギが合う。一口また一口と止まらない。
ふと気づくと、リア様の視線が壁にへばりついていた。「ピナグレ風ソースの作り方」と書いてある広告を見ているようだ。
「お家でも羊焼きを作ってみてね?」
俺が読み上げると、彼女はこちらを見て「ふんふん」とうなずく。小動物のようでクソかわいい。
「お義父様が大の羊好きで、これなら絶対に喜ぶと思うのです」
彼女の言う「お義父様」とはカール王兄殿下だ。俺が出てくる前、羊の置き物をいじくり回していたな……あれは「羊が食べたい」の合図だったのだろうか。
彼女はすかさず手を挙げて店員を呼ぶと、レシピを書き写したいので筆記用具を借りられないかと尋ねた。
「それなら、これと同じものをお持ちしますよ!」
赤髪のイケメン店員が、すぐにチラシを持った女性の店員を連れてきた。
すげえ美魔女である。めちゃくちゃ美人だが年齢不詳。紫色の巻き髪に赤い口紅、豊満な胸の谷間と口元のホクロがエロすぎる……! 勘弁してくれ。これ以上、俺を刺激しないでもらいたい。
美魔女は壁に貼ってある広告と同じものを手渡しながら、熱心に何かを説明していた。すごい光景だ。かわいすぎる聖女と、妖艶すぎる美魔女が楽しげにキャッキャしている。
赤髪の店員の話では、彼女は「羊焼きの生みの親」だそうだ。俺は外の看板に「羊焼き一筋で三十年」のような宣伝文句が書いてあったことを思い出した(二十年だったかもしれない)
美魔女が何歳のころに生み出したのかは知らないが、当時二十歳だったとしても、もう四十路をぶっちぎっている計算だ。この見た目で四十を過ぎているとか、もはや異世界人としか思えない……。
「ごゆっくりどうぞぉ」と微笑まれ、へらへら笑い返してしまった。何をしているわけでもないのに、すさまじい色気だ。おかげで俺の思春期は終わらない。
リア様は王都に戻ってから羊焼きを作ろうと考えているようだ。
「くまんつ様も一緒にいかがですか? 最上階のベランダが広いので、パーティーができそうなのです」と、俺のことも誘ってくれた。
最上階のベランダは彼女の私室の先だ。聖女宮には何度か足を運んでいるが、サロン、ダイニング、ヴィルの部屋(飽きた)アレンの部屋(オシャレすぎてムカツク)あとは庭しか行ったことがない。彼女の私室が見られるのなら、それはもう最高だ。
帰ってからの生き甲斐ができた。
お花の香りがする愛らしいうさぎさんの部屋へ遊びに行くぞ。褒賞がもらえなくても、俺はそれを希望に生きてゆけるだろう。
やかまし娘はまるで巣に戻って来た小鳥たちのようににぎやかだったが、意外にも食事の行儀は良かった。
クランツ領での俺は「みんなの若殿」であり、すべての民が彼女たちのように気安く接してくる。俺の在り方はこれでいい。このガタイで親分風など吹かせようものなら、民を怖がらせてしまうからだ。しかし、王都のほかの貴族は違う。
彼女たちは王都では言葉遣いや態度に気をつけなくてはならない。卒業旅行中に万が一のことがあっては、親も悲しむだろう。
「聞け、やかまし娘たちよ。王都の貴族は俺とは違う。イエーとフッフーは、絶対にダメだ。捕まってムチ打ちの刑や、最悪は首を斬られることもある。十分に気をつけるのだぞ?」
俺の真面目な忠告に、爆速で返事が返ってきた。
「了解したぞぉ、若殿ぉ!」
「がってん承知しまんたぁ!」
「イエェー!」「フッフゥー!」
……こいつらの親に問いたい。どうやって育てたらこうなるのだ、と。
うさぎさんはコロコロ笑うと俺に耳打ちをした。
「お茶会で知り合った旅行会社の社長さんに、ガイドをつけてもらうのでご安心ください」と。世話になったお礼として、王都の安全な旅を支援するつもりでいるようだ。
やかまし娘はリア様の露店に毎日通っていた客だ。同時に、彼女に変な虫を寄せ付けない最強の護衛でもあった。その素晴らしい功績をたたえ、クランツ家からも褒美を出したいくらいだ。
――王都内の移動に、この馬車を貸してやるか。復路はうちの騎士に送らせればいい。どうせ空っぽの馬車を運んで戻るわけだしな。
ぼんやりと考えている俺に、やかまし娘の一人が「ねーねー若殿ぉ」と言った。
「なんだ?」と言うと、お願いがあると言う。
「我々はデザートを所望するっ!」
なんて安上がりなお願いだろう。お前らは聖女を、大陸を護ったのだぞ? そう言ってやれないのが残念だ。
「良かろう。好きなものを頼め。遠慮した者は罰する」と言うと、彼女たちは手をたたいて喜んだ。
「いよっしゃあああぁ!!」
「さっすが金持ちぃ!」
「俺にもメニューを見せてくれ」
「私、ひつじミルクのジェラートぉぅ!」
「あたしはミルクジェラートぅー!」
「ならば、俺はリンゴのソルベットぅー!」
俺は冷たいソルベで頭を冷やし、どうにかピナーグレンの夜をやり過ごした。
王都への旅は始まったばかり。それ以降も波乱は続いた。
「のわぁー! すげえ偶然!」
「リアちんだぁ。やっぱ縁があるぅ!」
「きゃわええぇ!」
「会いたかったよ、臨時部員ー!」
かわいいうさぎさんとウルサイ仲間たちは飛び跳ねながら盛り上がっていた。
なんて自然の摂理に反した光景だろう。野に放たれた野獣の前で、フワフワのうさぎさんが楽しげにぴょんぴょんしている。自分で言うのも変だが、俺みたいな男に彼女を近づけてはいけない気がする。
「ちょちょちょ、あのさぁリアちん、羊食べたけぇ?」と、南部弁まる出しのやかましい女子が言った。
「ひつじ? 食べてないです」
リア様がぷるぷると首を振る。
はあ……俺はひつじさんよりも、うさぎさんが食べたい(一度殺されろ、俺)
「すぐそこにさ、羊焼きの店で『ひつじ屋』ってのがあってさぁ?」
「ほむ?」と、彼女が首をかしげている。
「元祖でさ、めっちゃ美味しいらしいんだわ!」
「リアちん、羊さん好きけぇ?」
「うん、好きぃ♪」
「んじゃ、一緒に食べいこーぜぇ!」
「いこーぜ、いこーぜぇぇー!!」
「えーっと……」と、彼女がこちらを振り返った。
俺が後ろから扉を押さえて顔を出すと、連中がまた大騒ぎを始める。
「っぎゃあぁーーッ!!」
「若殿いるしぃーッ!」
「なんで同じ部屋から出てくんのけ!」
「やっぱデキてんのけぇッ?」
彼女たちはこの世界においてほぼ無敵の生き物だ。
もし異世界で暮らす民が強者を必要としているのなら、是非こいつらを召喚して迎えてもらいたい(そして帰さなくていい)魔物に魔獣に大魔王、イエエエ剣とフッフゥー拳でいかなる敵をも倒せるはず。クランツの民は世界平和に役立つことうけあいだ。
「まさか婚約者って若殿だったんけぇーッ?」と、やかましい娘たちは騒いでいる。
「違うっ! 彼女は俺の友人のっ婚約者だ!」
「……りゃ、りゃくだつ的なっ?!」
「それも違ぁーう!」
こんなのを四人もマトモに相手していたのでは身が持たない。こいつらを食事に連れて行くのは構わないが、どうせなら役に立ってもらおうではないか。
俺は四人組に部屋割りを尋ねた。
「二人部屋が一つに、一人部屋が二つだけどぉ?」と返事が返ってきて、俺は思わず手を打った。
「でかしたぁッ! 取り替えろ!」
やかまし娘の一人部屋と、こちらの二人部屋を交換してもらうことに成功。これで今宵の問題は解決だ。
お礼に彼女たちが行きたがっていた『ひつじ屋』へ連れて行くことにした。
もきゅもきゅと肉を咀嚼するリア様を見ていると、親友が彼女を「小リス」と呼ぶのが少しわかる気がする。
小さなお口で一生懸命食べる彼女は、やはりかわいいうさぎさんだ。そのかわいいお口に俺がムラムラしていると知ったら、間違いなく嫌われるだろう。
俺の頭は依然として思春期の男子学生のごとくお祭り騒ぎ。もう食欲に走るしかない重症レベルだ。
名物と言うだけあり、ピナーグレンの羊料理は美味だった。
香辛料が効いていて、しっかりとした味つけがエールやワインに合う。噛みしめるほどに肉汁がジュワリと広がり、シャキシャキとした甘みの強い早生種のタマネギが合う。一口また一口と止まらない。
ふと気づくと、リア様の視線が壁にへばりついていた。「ピナグレ風ソースの作り方」と書いてある広告を見ているようだ。
「お家でも羊焼きを作ってみてね?」
俺が読み上げると、彼女はこちらを見て「ふんふん」とうなずく。小動物のようでクソかわいい。
「お義父様が大の羊好きで、これなら絶対に喜ぶと思うのです」
彼女の言う「お義父様」とはカール王兄殿下だ。俺が出てくる前、羊の置き物をいじくり回していたな……あれは「羊が食べたい」の合図だったのだろうか。
彼女はすかさず手を挙げて店員を呼ぶと、レシピを書き写したいので筆記用具を借りられないかと尋ねた。
「それなら、これと同じものをお持ちしますよ!」
赤髪のイケメン店員が、すぐにチラシを持った女性の店員を連れてきた。
すげえ美魔女である。めちゃくちゃ美人だが年齢不詳。紫色の巻き髪に赤い口紅、豊満な胸の谷間と口元のホクロがエロすぎる……! 勘弁してくれ。これ以上、俺を刺激しないでもらいたい。
美魔女は壁に貼ってある広告と同じものを手渡しながら、熱心に何かを説明していた。すごい光景だ。かわいすぎる聖女と、妖艶すぎる美魔女が楽しげにキャッキャしている。
赤髪の店員の話では、彼女は「羊焼きの生みの親」だそうだ。俺は外の看板に「羊焼き一筋で三十年」のような宣伝文句が書いてあったことを思い出した(二十年だったかもしれない)
美魔女が何歳のころに生み出したのかは知らないが、当時二十歳だったとしても、もう四十路をぶっちぎっている計算だ。この見た目で四十を過ぎているとか、もはや異世界人としか思えない……。
「ごゆっくりどうぞぉ」と微笑まれ、へらへら笑い返してしまった。何をしているわけでもないのに、すさまじい色気だ。おかげで俺の思春期は終わらない。
リア様は王都に戻ってから羊焼きを作ろうと考えているようだ。
「くまんつ様も一緒にいかがですか? 最上階のベランダが広いので、パーティーができそうなのです」と、俺のことも誘ってくれた。
最上階のベランダは彼女の私室の先だ。聖女宮には何度か足を運んでいるが、サロン、ダイニング、ヴィルの部屋(飽きた)アレンの部屋(オシャレすぎてムカツク)あとは庭しか行ったことがない。彼女の私室が見られるのなら、それはもう最高だ。
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やかまし娘はまるで巣に戻って来た小鳥たちのようににぎやかだったが、意外にも食事の行儀は良かった。
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彼女たちは王都では言葉遣いや態度に気をつけなくてはならない。卒業旅行中に万が一のことがあっては、親も悲しむだろう。
「聞け、やかまし娘たちよ。王都の貴族は俺とは違う。イエーとフッフーは、絶対にダメだ。捕まってムチ打ちの刑や、最悪は首を斬られることもある。十分に気をつけるのだぞ?」
俺の真面目な忠告に、爆速で返事が返ってきた。
「了解したぞぉ、若殿ぉ!」
「がってん承知しまんたぁ!」
「イエェー!」「フッフゥー!」
……こいつらの親に問いたい。どうやって育てたらこうなるのだ、と。
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「お茶会で知り合った旅行会社の社長さんに、ガイドをつけてもらうのでご安心ください」と。世話になったお礼として、王都の安全な旅を支援するつもりでいるようだ。
やかまし娘はリア様の露店に毎日通っていた客だ。同時に、彼女に変な虫を寄せ付けない最強の護衛でもあった。その素晴らしい功績をたたえ、クランツ家からも褒美を出したいくらいだ。
――王都内の移動に、この馬車を貸してやるか。復路はうちの騎士に送らせればいい。どうせ空っぽの馬車を運んで戻るわけだしな。
ぼんやりと考えている俺に、やかまし娘の一人が「ねーねー若殿ぉ」と言った。
「なんだ?」と言うと、お願いがあると言う。
「我々はデザートを所望するっ!」
なんて安上がりなお願いだろう。お前らは聖女を、大陸を護ったのだぞ? そう言ってやれないのが残念だ。
「良かろう。好きなものを頼め。遠慮した者は罰する」と言うと、彼女たちは手をたたいて喜んだ。
「いよっしゃあああぁ!!」
「さっすが金持ちぃ!」
「俺にもメニューを見せてくれ」
「私、ひつじミルクのジェラートぉぅ!」
「あたしはミルクジェラートぅー!」
「ならば、俺はリンゴのソルベットぅー!」
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