巻き込まれ転生

もふりす

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1章 隠密令嬢(?)とリア充令息

話し合い

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目が見えなくなるまで、あと30分。

研究所で魔法の基礎を叩き込み、一通り実践してみた。結果、生活魔法は順調に取得できた。あとは、3属性使える事が分かった。火・水・闇の三つ。…うん、悪役でしたものね。
魔道具の方は、前世の記憶が上手い事活用できた。何だかんだで幼馴染とのロボットライフは無駄ではなかったらしい。何故、魔道具を作ろうとしたかって?それは、視力が上がる眼鏡でも作ろうと思ったからですよ。でも、この世界に眼鏡はまだ普及してないらしく。それ専用にレンズを作ろうと思ったのだけど、材料が高すぎた。なので、今のところはモノクルを目標にする。眼鏡の半額、だからね。

バロンさんは有言実行の方で、本当に4時間以内に伝授してくれた。それも教え方が上手だった。仕事が早いだけに、上司…師匠としては完璧…、才能があるだけに勿体ないとも思う。そのうち、彼の部下とも顔を合わせる事あるかな?

「シリル、物覚えがいいね。今まで何か学んだことがあるのかい?」
「…ああ、勉強は自学なのでオリジナルですけど…」

そこで、ピタッと止まった。バロンさんが私を真剣な顔で見ていたからだ。
…私、何か変な事、言った?
あ、私記憶ないっていったのに、勉強したことあるとか言っちゃったよ。いくら何でも誤魔化せないじゃんか。前世って言って信じてくれるかどうか―――

「…シリル、何か隠してる事があるなら教えてくれないかい?君にもしもの事があった時、フォローできる人間が一人でもいないと君も困るだろう?」
「…っ。あの…――」
「ゆっくりでいいんだ。君の言葉は信じるから」

そう優しく絆されて順番に話した。

私がこことは違う、とある場所で生きてきて、そこで培った知識を覚えている事。私はそこでの生活がいきなり終わってしまって、突然知らない場所、バロンさんの家の前にいた事。そして、勿論この身体での記憶が全くない事。

前世での記憶だという事と、ここが異世界である事は伏せて、あとは包み隠さず伝えた。全て、じゃないけどね。

バロンさんは言葉を飲み込むのに時間を有していたけれど、頭から否定する事はなく、分からなければ質問してきた。その殆どがこの世界にない言葉を使った事が原因だったみたいだけど…。でも、知ったかぶりもせず、分からない事をちゃんと聞けるって、本当にすごい事だよね。ますますバロンさんへの好感度が上がりましたよ。いや~、彼に拾ってもらってよかった!

「その感じだと、私達の常識は大分食い違う事になるね。何から確認していこうか…」
「バロンさん、私の話を信じてくれるんですか…?」
「信じると言っただろう?それに、君はこれと言って嘘を言っていない。そうだろう?」
「…そうです」
「まあ、言えない事もまだあるみたいだけど、これ以上問いつめるつもりはないよ」
「っ、」

バレてる。お見通しなのか。言わなくていいなら、このまま伏せておこう。最初からペラペラと個人情報を提示するのも、信用しているとは違うしね。

それから、バロンさんと確認したんだけど、この世界は魔法が科学の代わりになっているらしい。ここはあの神様が言ってた通りだ。我が幼馴染も技術を広めたくてうずうずしてる事だろう。私は助手をするつもりはないが!

そして、大体は神様からの説明通りの情報を入手した。種族の事だったり、職種の事だったりと話を聞いていった。

で、ここからが新しい情報だったんだけど、私の事です。そう、あの神様は私に関する事はな~んも教えてくれなかったからね!バロンさんは私の身体を洗う時に隅々までボディーチェックしてたらしい。そこは開き直る事にする!それで、私の背中中央に文様が入っていたんだと。それが所謂烙印。私も貴族だったらしいが、家族から疎まれたのかどうかも今となっては分からないが、捨てられた時に背中に押されたらしい。バロンさんは痛々しい表情で私のその烙印の場所を撫でていました。でも、ちょっと手つきがエロくて内心ドギマギしましたよ。変な気分にならないよう自制心を養わないと!

バロンさんの憶測だと、私は娼館なり人身売買に遭い、命からがら逃げてきたのではないか、と。確かに私の脇腹の傷がそうなんじゃないかという証拠になりそうだけど。正直今はどうでもいいかな?だって、もう貴族ではないんだし。私の心の内を知らないバロンさんは「私が一生養ってあげるからね」と意味深に目を細めながら言ってきた。ナニコレ、プロポーズ?ここはドキドキするのが正解な気がするけど、私は冷や汗が止まりませんでしたよ。

こう…捕食者のような目つきで見つめられた事が初めてだったから。というか、ここに来て初体験ばかりだから!…こう言うと、何か危ない発言な気がするな。あー、バロンさんに私の初めてを奪われていく…。

今更だけど、バロンさんってノーマルではないの?あれか、子供好きで私を構い倒してるだけかもね、ははは。この件に関しては、何が何でも聞きたくない!何かダメなやつ。

ある程度常識の照らし合わせをして、その日は帰宅する事になりました。そして、バロンさんは図っていたかのように、私の視力は研究所で落ちてしまい、お姫様抱っこされて帰る事になりました。視界がない状態でのお姫様抱っこって案外怖いよ!?バロンさんの腕の中は不思議と安心できたし、1分ごとに今どこ辺りで、どういう状態か解説してくれるので不安はなかった。

バロンさんには申し訳ないけど、もう少しの間私の介護よろしくお願いします!視力を保つモノクルとか魔道具をすぐ完成させるから!ここまでの世話はそれまでだから!

その後、外に出たからという理由でまた一緒にお風呂に入り、一緒に食事をとり、寝ました。

…世話されるのに慣れない。ここはクリーン魔法でもよくないか?…そうだよ。私が習得すればいいんだ。じゃないと、バロンさんの甘い甘い対応に依存してしまいそう!

…――幼馴染も禁断症状は出てるのかな?いや、あいつはどこでも順応できるし大丈夫だろう。

私は知らなかった。幼馴染が血眼になって私を探し回っているという事実を。
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