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十二
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八代君が赤黒いミミズのような九重の式神と距離を取って対峙する中、立ち尽くしている相田さんの元へと駆け寄り、腕を掴もうと手を伸ばす。
けれど、その腕を掴む事は出来なかった。
『何で…』
「相田さ──」
『話が違う!アンタが言ったんだろ!僕に協力してくれるって!なのに何で僕を襲うんだよ!』
相田さんが九重の式神に向かって叫ぶ。すると、
「『協力? そんなこと言ったっけ?』」
ミミズのような式神から九重の声が発せられると同時に、式神の首が傾げられる。
『はあ!?言っただろうが!忘れたとは言わせないぞ!』
「『あは、ごっめーん。忘れちゃったー』」
声は幼い子どものようなのに、その声が発せられている式神は赤黒くおぞましい姿をした巨大なミミズ。その差が余計に不気味さに拍車をかけていた。
『なっ、僕を騙したのか!』
「『何のことー?分かんないなー。でもぉ、騙される方が悪いよね』」
「…いい加減にせよ、九重」
「『えー?なにが?』」
「相田。お主もじゃ」
『な、何だよ…』
「こやつは甘い言葉で人を唆し、不幸に陥れて愉悦に浸るような奴じゃ。故にお主を騙した事も微塵も悪いとは思うておらん。憤慨すればする程寧ろこやつを喜ばせるだけで、思う壺じゃぞ」
『………』
「さて、九重。宗介を恨むように仕向け、そやつを悪霊化させようと企んだようじゃが…残念じゃったな。お主の目論見は外れたようじゃぞ?」
「『…まあ、そうだね。でもさぁ、いつぼくの目的が一つだけだなんて言った?』」
「…何?」
「『んふふ、まぁだ気付かないの? …ほら、来たみたいだよ?』」
「何が…、…!」
九重の言葉に、八代君が何かに気が付いたようにバッと後ろを振り返る。
つられて俺も振り向くと、
「いたぞ!二体目の式神だ!」
「えっ」
白炎さん!?
自身と同じように白髪に赤い瞳を持つ男性たちを数人引き連れて現れた白炎さんの登場に驚いたが、そういえば彼らは『もう一体の式神の捜索』をしていたんだと直ぐに思い出す。
「おい、これは一体どういう状況だ」
九重の式神と対峙している八代君に、白炎さんが不機嫌そうに問いかける。
「どうもこうも、お主らこそ何故ここに来た」
「何故だと?我らは主様よりそこにいる式神の討伐を命じられている。この場にいて何が悪い」
「…阿呆め」
「何だと?」
八代君が零した言葉に、白炎さんがギロリと睨む。
「では聞くが、お主らは何故この式神の居場所が分かったのじゃ?」
「痕跡を辿ってきたからに決まっているだろう」
「ほお?今日までまるで掴めなかったこやつの痕跡をか?」
「…何が言いたい」
「ここまで言うてもまだ気が付かんか。お主らはまんまと奴の罠に嵌まったという事じゃ」
「! まさか…誘い込まれた、のか?」
こくりと頷く八代君を見て、白炎さんたちが信じられないというようにお互いを見やる。
「『お話しは済んだぁ?』」
「っ、おのれ九重!我らをここへ誘い込んで何を企んでいる!」
「『どうもこうも、ぼくの可愛い式神のエサになってもらうために決まってるじゃない』」
「は、何を言うかと思えば。貴様の式神ごときに遅れを取る我らではないわ」
「『ふーん?そんなこと言っちゃうんだー』」
「現に、貴様の式神の一体はもう我らが討伐している。従って、貴様は我らより弱い」
「『…ぷ、あははは!』」
「な、何が可笑しい!」
白炎さんの問いかけには答えずに、ひとしきり笑うと
「『だぁって、今の聞いた?八代』」
九重は八代君に話しかけた。
「………」
八代君は答えなかったが、そんな事はお構いなしに九重は続ける。
「『君たちがやっつけたっていうぼくの式神だけど、あれはわざと弱く作ってあったんだよねぇ』」
「…弱く、だと?」
「『うん、そうだよ?だから思っちゃったでしょ?これなら次も楽勝だって。後はしばらく隠れてー、調子にのった所で誘導すれば作戦は成功!ってね』」
けれど、その腕を掴む事は出来なかった。
『何で…』
「相田さ──」
『話が違う!アンタが言ったんだろ!僕に協力してくれるって!なのに何で僕を襲うんだよ!』
相田さんが九重の式神に向かって叫ぶ。すると、
「『協力? そんなこと言ったっけ?』」
ミミズのような式神から九重の声が発せられると同時に、式神の首が傾げられる。
『はあ!?言っただろうが!忘れたとは言わせないぞ!』
「『あは、ごっめーん。忘れちゃったー』」
声は幼い子どものようなのに、その声が発せられている式神は赤黒くおぞましい姿をした巨大なミミズ。その差が余計に不気味さに拍車をかけていた。
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「…いい加減にせよ、九重」
「『えー?なにが?』」
「相田。お主もじゃ」
『な、何だよ…』
「こやつは甘い言葉で人を唆し、不幸に陥れて愉悦に浸るような奴じゃ。故にお主を騙した事も微塵も悪いとは思うておらん。憤慨すればする程寧ろこやつを喜ばせるだけで、思う壺じゃぞ」
『………』
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「『んふふ、まぁだ気付かないの? …ほら、来たみたいだよ?』」
「何が…、…!」
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つられて俺も振り向くと、
「いたぞ!二体目の式神だ!」
「えっ」
白炎さん!?
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「どうもこうも、お主らこそ何故ここに来た」
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「…阿呆め」
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