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57「後日談1」
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晩秋の風が薫る10月下旬。久しぶりに訪れた日本はすっかり秋一色で。
そういえばあいつの好きな季節も秋だったな、なんて事を思い出しながら車を走らせる。
待ち合わせ場所に着き、時刻を確認すれば丁度良い頃合。あいつもそろそろ来ているだろうと辺りを見回せば、こちらに手を振っている姿が目に入った。
それに軽く手を振って応えようとして、気付く。あいつの──雨月の後ろに誰か上背のある金髪の男が一緒に立っている事に。
怪訝に思いながらも近付けば、その金髪の男はオレより少し高いくらいの身長で。
「お久しぶりです、三門」
「ああ。…で、こいつは誰だよ」
視線で指し示すと、雨月が困ったように苦笑する。
「ええっと、彼はリアムといいます」
「リアム?」
どこかで聞いた名前だなと記憶を探る。…思い出した。
「お前の同僚か」
いつか、雨月に電話をかけてきた外国人だ。
「はい、そうです」
頷く雨月を横目に、男──リアムを見やる。すると、
「I don’t admit you!(俺はお前を認めない!)」
びしりと指を指し、強い口調でリアムはそう言ってきた。
は?いきなり何言ってんだこいつ?
「Liam!? What are you saying suddenly…(リアム!? いきなり何を言って…)」
「You are silent. I ──(お前は黙ってろ。俺は──)」
「Wait a minute. What does it mean to not admit me?(ちょっと待てよ。オレを認めねえってどういう意味だ?)」
「………」
「………」
何故か驚いた顔でこちらを見る二人。
「…何だよ」
「いえ…君、英語話せたんですね」
「まあな」
世界で活躍すると決めたからには英語くらい話せないといけないと、社長に講師をつけられてみっちり教えられたからな。
…って、今はそんな事どうでもいいんだよ。
「So? Why are you so angry?(それで?何でお前はそんなにキレてんだよ?)」
リアムがチッと舌打ちをする。…大方、オレが英語を話せないと思っていたんだろう。それを良い事に言いたい放題するつもりだったんだろうが……ハ、残念だったな。
「…Ugetsu is kind. He is not suitable for you!(雨月は優しいんだ。お前に彼は相応しくない!)」
「I don’t get it. Why do you have to say that in the first place? What are you going to do?(意味が分からない。そもそも、何でお前にそんな事を言われないといけないんだ?何様のつもりだ?)」
「I…I am his best friend!(俺は…俺は彼の親友だ!)」
「I’m Ugetsu’s lover.(オレは雨月の恋人だ)」
そう言うとリアムは漸く押し黙った。その隙にオロオロとオレ達を見ていた雨月に問う。
「おい、こいつさっきから一体何なんだ」
やけに突っかかってきやがって。
「おれにもさっぱりで…」
「つーか、何でこいつがここにいるんだよ」
「それは──」
雨月の話によると、リアムも雨月と同時期に休暇を取っていたらしく、しかも行き先は同じ日本。それならば途中まで一緒に行こうと提案され、特に断る理由もなかったため同じ日本行きの便でフランスを発ったそうだ。
そして日本に到着し、雨月はオレとの待ち合わせ場所に向かうためリアムと別れようとしたが、何故か着いてくるリアム。何故着いてくるのかと何度問うても「いいからいいから」とばかりで、仕方なしに今から恋人に会いに行くのだと伝えると「知っている」と返され、むしろその恋人とやらの顔を見に来たのだと言われ、何とか撒こうとしたのだが出来ず、オレが来て今に至る、と。
「……ストーカーかよ」
「What!?(何だと!?)」
オレの言葉が気に障ったようだ。だが、オレに会う事を知っていると言っていた時点で、『偶然』休みが被ったという話も怪しいものだ。
オレがそう言うと、雨月はリアムから一歩離れた。その眼には疑心が浮かんでいる。ここまで言えば流石に雨月もこいつの行動を訝しんだのだろう。
「It’s a misunderstanding , Ugetsu! I’m not a stalker!(ご、誤解だ、雨月!俺はストーカーじゃない!)」
「Then, what are you going to do?(じゃあ、どういうつもりなんだよ?)」
雨月を背に庇い、リアムから距離を取る。
「Well, that…(そ、それは…)」
「If you don’t say it, I’ll stick out to the police.((言わねえなら警察に突き出すぞ)」
「Wait please! (ま、待ってくれ!)」
警察という言葉に流石に焦ったのか、それともこれ以上雨月に誤解されたくなかったからなのか。もしくはその両方かもしれないが、ともかくリアムは漸く話す気になったらしい。
そういえばあいつの好きな季節も秋だったな、なんて事を思い出しながら車を走らせる。
待ち合わせ場所に着き、時刻を確認すれば丁度良い頃合。あいつもそろそろ来ているだろうと辺りを見回せば、こちらに手を振っている姿が目に入った。
それに軽く手を振って応えようとして、気付く。あいつの──雨月の後ろに誰か上背のある金髪の男が一緒に立っている事に。
怪訝に思いながらも近付けば、その金髪の男はオレより少し高いくらいの身長で。
「お久しぶりです、三門」
「ああ。…で、こいつは誰だよ」
視線で指し示すと、雨月が困ったように苦笑する。
「ええっと、彼はリアムといいます」
「リアム?」
どこかで聞いた名前だなと記憶を探る。…思い出した。
「お前の同僚か」
いつか、雨月に電話をかけてきた外国人だ。
「はい、そうです」
頷く雨月を横目に、男──リアムを見やる。すると、
「I don’t admit you!(俺はお前を認めない!)」
びしりと指を指し、強い口調でリアムはそう言ってきた。
は?いきなり何言ってんだこいつ?
「Liam!? What are you saying suddenly…(リアム!? いきなり何を言って…)」
「You are silent. I ──(お前は黙ってろ。俺は──)」
「Wait a minute. What does it mean to not admit me?(ちょっと待てよ。オレを認めねえってどういう意味だ?)」
「………」
「………」
何故か驚いた顔でこちらを見る二人。
「…何だよ」
「いえ…君、英語話せたんですね」
「まあな」
世界で活躍すると決めたからには英語くらい話せないといけないと、社長に講師をつけられてみっちり教えられたからな。
…って、今はそんな事どうでもいいんだよ。
「So? Why are you so angry?(それで?何でお前はそんなにキレてんだよ?)」
リアムがチッと舌打ちをする。…大方、オレが英語を話せないと思っていたんだろう。それを良い事に言いたい放題するつもりだったんだろうが……ハ、残念だったな。
「…Ugetsu is kind. He is not suitable for you!(雨月は優しいんだ。お前に彼は相応しくない!)」
「I don’t get it. Why do you have to say that in the first place? What are you going to do?(意味が分からない。そもそも、何でお前にそんな事を言われないといけないんだ?何様のつもりだ?)」
「I…I am his best friend!(俺は…俺は彼の親友だ!)」
「I’m Ugetsu’s lover.(オレは雨月の恋人だ)」
そう言うとリアムは漸く押し黙った。その隙にオロオロとオレ達を見ていた雨月に問う。
「おい、こいつさっきから一体何なんだ」
やけに突っかかってきやがって。
「おれにもさっぱりで…」
「つーか、何でこいつがここにいるんだよ」
「それは──」
雨月の話によると、リアムも雨月と同時期に休暇を取っていたらしく、しかも行き先は同じ日本。それならば途中まで一緒に行こうと提案され、特に断る理由もなかったため同じ日本行きの便でフランスを発ったそうだ。
そして日本に到着し、雨月はオレとの待ち合わせ場所に向かうためリアムと別れようとしたが、何故か着いてくるリアム。何故着いてくるのかと何度問うても「いいからいいから」とばかりで、仕方なしに今から恋人に会いに行くのだと伝えると「知っている」と返され、むしろその恋人とやらの顔を見に来たのだと言われ、何とか撒こうとしたのだが出来ず、オレが来て今に至る、と。
「……ストーカーかよ」
「What!?(何だと!?)」
オレの言葉が気に障ったようだ。だが、オレに会う事を知っていると言っていた時点で、『偶然』休みが被ったという話も怪しいものだ。
オレがそう言うと、雨月はリアムから一歩離れた。その眼には疑心が浮かんでいる。ここまで言えば流石に雨月もこいつの行動を訝しんだのだろう。
「It’s a misunderstanding , Ugetsu! I’m not a stalker!(ご、誤解だ、雨月!俺はストーカーじゃない!)」
「Then, what are you going to do?(じゃあ、どういうつもりなんだよ?)」
雨月を背に庇い、リアムから距離を取る。
「Well, that…(そ、それは…)」
「If you don’t say it, I’ll stick out to the police.((言わねえなら警察に突き出すぞ)」
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警察という言葉に流石に焦ったのか、それともこれ以上雨月に誤解されたくなかったからなのか。もしくはその両方かもしれないが、ともかくリアムは漸く話す気になったらしい。
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