Estrella

碧月 晶

文字の大きさ
上 下
85 / 179

31

しおりを挟む
──『栽培部』

正直今初めて聞いた部活だが、部活内容は名称から言わずもがなだ。

貼り紙に記載されていた活動場所は、別館校舎裏の花壇とその付近にある部室だそうだ。

つーか、こんな所あったんだな。教えられなければ絶対知らなかっただろうな。


「あ、やっぱり誰もいないっぽいね」
「みたいだな」


あの貼り紙の様子から、今年誰も入らなければ廃部になる、といった具合だろう。


「ふーん…じゃあ俺ここに入ろっかな」
「─え」


今まで見学してきた部活のように、ろくに見てもいないのに
祭月は何故か『栽培部』に入部する事を即決した。

一体ここの何が祭月の基準を満たしたのだろうか?


「那月君も入ろうよ」
「…は? 何で」
「だってさ!いま新しい部員がいないって事は俺達がここで何をしていようが、してなかろうが、誰も文句を言わないんだよ?それって良いと思わない?」


バッと手を広げて、嬉しそうに笑いながら『誰もいない』事を最高のことだと祭月は言った。


「入るだけ入っておいて、後は適当にのんびりすれば良いんじゃないかな?一応、部活には入ってる訳だしね?」


それに植物育てるの嫌いじゃないし、と祭月は付け足した。


…なるほど。
確かにそれは良いかもしれない。

見知らぬ奴らと集団行動を強要させられるでもなく、当然面倒な練習なんてものもしなくていい。
確かにこれは超優良物件かもしれない。


「良いな、それ」
「でしょ?」


得意げにふんぞり返る祭月。


「…お前、結構いい加減だな」


賛同しておいて何だけど。


「うん♪ 結構面倒くさがりだよ俺」






この時、得意げに笑う祭月を見て、1つ分かったような気がした。


祭月が部活に入るための条件として探していたのは









『人がいない事』なんじゃないか、と。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

BL / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:261

子悪党令息の息子として生まれました

BL / 連載中 24h.ポイント:10,786pt お気に入り:288

お願いだから、独りでいさせて

BL / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:22

無気力な男の子は今日もクズ

BL / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:123

風紀委員長の恋活!!

BL / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:384

王道学園に通っています。

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:147

街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

BL / 連載中 24h.ポイント:1,370pt お気に入り:1,959

【完結】お前なんていらない。と言われましたので

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,576pt お気に入り:5,629

処理中です...